お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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107:イレギュラー

 世界が大きく動いている時、新世界の支配者の一人である四皇”赤髪のシャンクス”は世界経済新聞を片手に海を眺めていた。新聞には、彼が最も警戒していた四皇”黒ひげ”が落ちたというニュースが大きく載っている。

 

 アラバスタの軍事同盟が新世界にまで殴りこんできて海賊達を根絶やしにしている事は、赤髪海賊団も気にしていた。知名度がある軍事同盟の為、主要な構成員情報が新聞にも載っている。

 

 情報は、海賊が生き残るのに非常に大事だ。赤髪海賊団においても、それは重要視されており新聞を読まない者はいない。シャンクスが珍しく新聞を注目していたのでベン・ベックマンが声をかけた。

 

「何か気になる記事でもあったのか?”黒ひげ”の件は、終わったんだ。気になると言えば、次の標的が何処かってことか?」

 

「ベックマン。あぁ、それもあるが・・・この天竜人の双子についてちょっとな。ネロナ・ソラ聖、ネロナ・ホタル宮。天竜人が表舞台に立って、自ら先導し海賊狩りをしているなど随分と自信家だなと」

 

 神妙な顔をするシャンクスを心配する彼の仲間達。当然、この軍事同盟の動向を赤髪海賊団も気にしている。正面対決する日も遠くないと思っているからだ。

 

 その船長をいじり倒そうと、無責任な子作りをした結果、産まれた子供(ウソップ)と現地妻を放置したヤソップが動く。彼は病弱だった妻に子供であるウソップを託して居なくなった。その理由は、海賊旗が俺を呼んでいるというクソみたいな理由だ。しかも、同じ東の海にある別の村に滞在していたのに一切現地妻と子供に会いに行かない立派な海賊だ。

 

「あぁ、その新聞記事は俺も見たぜ。それにしても、天竜人って頭おかしいのかよ。ビビ王女の婚約者のソラってやつは分かるぜ。だが、ホタルって妹まで同じ女に嫁ぐって頭に蛆でも沸いてんじゃねーか。子供も居るってアラバスタの公式発表があったぜ。わけーのにお盛んだことで。それに、子連れで新世界にくるとか、何考えてんだ。子供の事を少しは考えろよな」

 

「ヤソップ。お前が言うな!! あっ、すまん。なぜか、言わなければならない気がしてな。だが、天竜人でもこいつらは特別だと思うぞ。俺だって、双子の兄妹を両方とも娶る王女の心情とか理解できん。この場合、アラバスタの王族の方がおかしい。・・・今回は(・・・)色々とイレギュラーが多い」

 

 シャンクスは、昔見た一人の天竜人の子供を思い出した。その子供は、実家の隣人宅の窓際に立っており、こちらを見ていたなと。確かに面影が残っていると感じた。

 

 

◇◆◇◆

 

 聖地マリージョアでは、五老星ピーター聖が軍事同盟から直通の連絡を貰った。後見人として、一応多少の事には手を貸す予定でいる。だが、ここまで大きな案件を持ち込まれる事は想定していない。

 

 電伝虫にてソラからの直通電話を受け取ったピーター聖。まずは、四皇”黒ひげ”を潰した事に対して賞賛を送る。

 

『よくやった。四皇”黒ひげ”の討伐は、見事だった。今回の一件で世界平和への一歩となったのは間違いない。軍事同盟の筆頭に天竜人である二人が居た事で、世間の偏見も少しは和らぐだろう。この件に関して五老星から君たち二人に勲章と上位の権限が贈られる事になった』

 

『お褒めの言葉ありがとうございます。私が海賊を殺したいから殺しただけですので、そこまで気にしないでください。後、本日お電話した件は、四皇とは別件です。この電話、盗聴が出来ないように変更可能ですか?少し、電話口では言いにくい情報でして』

 

 ピーター聖は、次のターゲットとする四皇についての情報提供依頼かと思っていた。だが違った。五老星達が持つ情報には、四皇の海賊団についてもそれなりに詳しい物がある。四皇を軍事同盟単独で潰せるとなれば、持っている情報を渡してもいいとピーター聖は思っていた。

 

 むしろ、活用してもらう事で少しでも世界政府が関わったという事実を作りたい。

 

『可能だ。話題次第では、他の五老星も招集しよう。今の君達には、それだけの価値がある』

 

『カギの一つを手に入れました。早めに回収しに来て下さい』

 

 爆弾を持ってきたなとピーター聖は理解した。

 

 その鍵が何の事なのか、分かる者には分かる。四皇抹殺をしている軍事同盟だ。その過程で、ロードポーネグリフを手に入れても不思議じゃない。正直その可能性はあると思っていたが、ここまで手早く持ってくるとは思ってもみなかった。

 

 ロードポーネグリフについて、五老星からは何も教えていない。どうして知っていると疑問もあるが、ネロナ家の者でフルティン聖の実子だ。教育課程で知っていたという事で納得できる。

 

『あぁ・・・少し待ちたまえ。今、緊急で五老星を招集して対処しよう。それで、今どこに居る? ”黒ひげ”の討伐までは、こちらでも追跡していた。現在の場所までは、こちらも把握していない』

 

『ワノ国で百獣海賊団を狩猟中です。近場に居た百獣海賊団を殺害しています。懸賞金とか気にしないで構いません。殺したいから殺しているだけです。それに物的証拠となる死体も残っていませんから』

 

 ピーター聖が胃痛を感じ始めた。

 

 先ほどまで”黒ひげ”討伐という偉業を成し遂げた子供を褒めていたと思ったが、いつの間にか、ロードポーネグリフの発見報告、次なる四皇”百獣のカイドウ”率いる百獣海賊団に手を出していたとは、行動が早すぎる。

 

 つまり、いの一番でロードポーネグリフだけでも回収に向かわねば再びそれが四皇の手に落ちるという事だ。

 

『分かった。ワノ国にいる事も含めて、五老星と会議を行う。それと、君らだけでカイドウを倒せる可能性はどれほどかね?』

 

『100%です。だって、負ければ死ぬだけですから。それに、ワノ国は最悪の世代と言われた”麦わらの海賊団”、”ハートの海賊団”、”キッド海賊団”が居ます。彼等がカイドウを攻略中らしいので、漁夫の利を狙って全員皆殺しです』

 

 この状況。世界政府にとってもチャンスではないかと思い始めたピーター聖。数々の問題が一気に解決するチャンス。ピンチをチャンスに変えるとはこの事だ。

 

・・・

・・

 

 五老星からの連絡を待つソラ達は、花の都へと進行を続けていた。その間、ソラとホタルのレーダーで周囲を警戒しつつ、海賊を見つけては緑牛とビビの能力で死体に代えて大地に還元していった。

 

 陸地が多いワノ国では、モリモリの実とカビカビの実の能力が最大限活用できる。相性も良く相乗効果で当社比1.5倍程の能力が使えていた。

 

「ワノ国は美しい国だとハセガワ船長から聞いていたのですが、見る影もありません。非常に残念極まりない。ですが、私が必ず復興させて見せましょう。海賊達の血肉を肥料にして」

 

「兄様。ハセガワ船長のご家族・・・ご存命だといいですね。事が終わりましたら彼の故郷にこの刀を奉納しにいきましょう」

 

 長年ソラとホタルと連れ添った愛刀。元々の持ち主である一族に返す事を二人は考えていた。特に家族が居たならばこれは形見となる。それをいつまでも持っていようとは思っていなかった。

 

 海賊に支配された国家の成れの果てを見て、一国の王女であるビビはアラバスタもクロコダイルに支配されていたらこうなる未来もあったんだなと思っていた。緑のなさでいえば、アラバスタもあまり変わらない。

 

 ビビは、数年前にアラバスタを救ってくれた海賊団を思い出した。仲間の証としてつけた×のマーク。既に消えているが、心の中では確かにそのマークはまだ残っている。だが、それではダメだ。

 

「私も覚悟を決めなきゃだめよね。ルフィさん・・・いいえ、海賊”麦わらの一味”。子供の為、夫と妻の為、アラバスタの為。既に引き返せません。せめて、苦しませないように引導を渡してあげます。それに、私が戦える時間はあまり長くはありません」

 

 ビビが左手でお腹のあたりを摩る。そこには、アラバスタの未来がある。まだ、ソラはその事を知らないが、女が言う大丈夫な日ほど信用できない日はないと、そう遠くないうちに理解するだろう。 




今年度中に完結まで頑張りたいが・・・さすがに無理だ。
リアルが忙しいのでごめんなさい。

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