ワズキャン、イーロン、ケイミーの三人。ソラの予想通り、この三名を派遣したことが功をなしていた。突然現れたかのように、不死鳥のマルコが鬼ヶ島入口で船を守っていた。元・白ひげ海賊団No.2の実力は確かなものだ。
それに加え、幻獣種固有の力である不死鳥の能力で回復するチートを持っていた。
「誰が来たかと思えば、軍事同盟かよい。カイドウ討伐なら手を貸してもいいよい。敵の敵は味方とは言わないが、お互い目的達成のために偶然同じ敵を叩くってのもダメかよい」
「僕は、それでもいいんだけどね。でも、海賊に貸しを作るなんて、できないんだよね。悪いけど、邪魔しなければ今は殺さない。”カイドウ”抹殺は、僕たちが引き受けるから帰ってくれない?」
ワズキャンは先に手を出せば、泥沼の戦いになる事を察していた。目的は、海賊船の完全破壊。それさえ達成できればすぐに屋敷内部に入り海賊達を焼き殺す仕事になる。
「だったら、早く中に行けばいい。ココには、無人の海賊船しかないよい」
「僕もそう思う。それより、君達が出来なかった後始末をした僕たちに感謝して、この場はお互い出会わなかった事にして欲しいな」
「うん?何の事だよい?」
「あれ?知らないの?世界経済新聞で大々的に載っていたんだけど。ほら、元・白ひげ海賊団出身で四皇になった”黒ひげ”さ。ここに来る前に僕たち軍事同盟が殺したって話さ」
マルコは、”黒ひげ”の死亡を聞き驚愕した。
頂上戦争で白ひげが殺された後に、生き残った白ひげ海賊団の船長達と落とし前戦争を挑んだが惨敗に終わる。いつしか、再戦をしようと思っていたが既に故人にされていたとは想像できなかった。能力を二つ持つ規格外の戦闘力を保有しており、あれが負ける未来がなかなか想像できないほどだ。
マルコの注意をワズキャンが引き付けたおかげで、十分な隙が出来た。水中で力を溜め海賊船を沈める任務を請け負っていたワズキャンとケイミー。二人が渾身の力を込めて放つ。
『『魚人空手・鬼瓦正拳』』
水中という環境は、能力者にとって感知しにくい。また、”黒ひげ”の事を聞いて動揺した隙があった。マルコなら最悪一隻だけならば海賊船を蹴り飛ばして鬼ヶ島から逃がす事も出来ただろう。しかし、ワズキャンという強者だけでなく他にもこの場に派遣されているなどマルコも想像できなかった。
「これはやられたよい。軍事同盟ってのは人材が豊富な事で・・・魚人に人魚か。あ~ぁ、海賊船が粉々になってしまった」
「さて、僕たちの任務はこれで完了。どうする?ソラからは君の事は無視して構わないと言われている。僕たちはこれから海賊を根絶やしにするので忙しいから、帰るなら追わないよ」
陸地に上がるフルアーマー・イーロン。無骨な海楼石製の鎧に加え、覇気まで使えるオールラウンダー。そして、白髪になり深紅の眼が特徴のケイミー。人魚だが二股に分かれた足を手に入れ陸地でも十分な戦闘力を有する。
非能力者である二人は、当然のように海楼石の武器を扱うのでマルコにとっては天敵だ。しかも、水場も近くにあるので魚人や人魚を相手にするなど自殺行為。
「・・・・・・やめとくよい。お前さんは能力者なんだろう。能力者と魚人と人魚を相手に戦っても何の得にもならない。カイドウを倒す戦力が減るだけだよい」
「それは良かった。じゃあ、男に二言はないという事でお互い会わなかった。それじゃあ、行こうか、イーロン、ケイミー。ずぶ濡れじゃないか、人様の家に上がるのに乾かさないとね」
ワズキャンがメラメラの実の能力を使い温風を送る。この季節、濡れたままでは風邪をひいてしまう。寒さに強い魚人や人魚でも風邪は引くのだ。
「ちょっと、待つよい!! その能力は、メラメラの実か。何処で手に入れた?」
「えぇ~、どこってドレスローザのコロシアムさ。ドフラミンゴがメラメラの実を景品にしていたのを勝ち取ったんだよ。正攻法で入手したんだから文句を言うなら、ドフラミンゴに地獄で言って欲しいな」
いくら探してもメラメラの実がみつからないと思っていたマルコ。仲間の能力だったからこそ、”麦わらの一味”にプレゼントしたいと思って各方面に色々と確認していたが既に食われていたと初めて知った。
「あれって、本物だったのかよい。絶対に、偽物を景品にした客寄せだと思って気にも留めなかった。ドフラミンゴって馬鹿だったのかよい」
「僕は、馬鹿だったと思っているよ。だって、たった一日で全てを失ったんだ。どれだけ杜撰な管理をしていたのか理解できないよ。それじゃあ、くれぐれも僕たちの邪魔はしないでくれよ。君を殺すのは、少し面倒なんだから」
マルコは思った。ココで自分ができる事はもうなくなった。後は、元・白ひげ海賊団の縄張りで悪さを行う海賊が居ないか定期巡回しつつ、医者として国境なき医師をやろうと。麦わらのルフィの海賊船が破壊された事に対してマルコが動くのは何かが違う。
それは海賊団のプライドの問題であり、外部の者が口をはさむのはご法度だった。
・・・
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ソラとホタルの怨敵である”疫災のクイーン”。彼を前にしても、二人の思考はクリアだった。殺す。確実に殺す。それだけを目的に雑念を振り払う。四皇の大幹部である海賊を前に油断すれば、命を落とす可能性もある。
ソラとホタルの抜刀術。飛ぶ斬撃に覇気を乗せる事で切断力を向上させる。それを当然のように回避するクイーン。その体格からは考えられない程の敏捷性を見せていた。
「あぶねーな。最近のガキは、斬撃を普通に飛ばしやがる。だが、今のでわかった・・・お前等をここで殺さなきゃいけね~な。カイドウさんの為にも。俺の安全のためにも」
リュウリュウの実 モデル“ブラキオサウルス”を解放するクイーン。古代種で恐竜という事もあり非常に耐久力がある。しかし、非常に残念な事が一つだけあった。恐竜というのはでかい。耐久力が上がっても機動性が落ちてしまうという欠点があった。
何より、そんな変身途中なんて隙だらけだ。
「”凶れぇぇぇぇぇぇ”!!」
「”ムラムラビームソード”」
高速でクイーンのワンピースがねじ切れるように回転し取れた。
ポロリと落ちたワンピースを見てソラは、タマ取った!!と思った。だが、本来絶叫するレベルの痛みだというのにクイーンには全く効果がない。一流の科学者として、クイーンは自身をサイボーグにしていた。そして、弱点となる股間は取り外し可能なアタッチメントを採用している。いつまでも肉体に弱点を残しておくのはナンセンスという科学者らしい視点からだ。
科学者にとってワンピースなど飾りに過ぎない。
「王女の前で汚いものを見せないでください!! “グリーン・ディ”」
「ひゃっはーー!! 俺は科学者。弱点なんて克服済みだぜ。お前等のゴミみたいな能力は既に調査済みよ。”チ〇チ〇の実”とか、股間がとり外し可能な俺には効果ねーし。”ムラムラの実”だって、性的嗜好を反転させられても俺は可愛いけりゃどっちでもいい派だから関係ねーんだよ。”カビカビの実”だって機械の体にゃ意味がねー」
四皇幹部は伊達じゃなかった。数々の強敵を葬ってきたソラとホタルの能力にメタを張っている。流石、元・MADSのメンバーであり百獣海賊団の技術屋だ。
更に動けるデブという代名詞にも相応しく、ホタルの剣技と真っ向からやりあえる。実戦経験で言えば、ソラ達より積んでいる。戦闘技術はホタルの方が上だが、直感や経験だけでクイーンは凌ぎ切っていた。
ソラが腕に覇気を込める。強靭な肉体に加え、古代種の悪魔の実だ。並大抵の攻撃ではダメだと悟り、この国由来の技術、流桜を使う。元々、ソラとホタルにこの技術を教えたのは故人のハセガワ船長。その技で痛めつけてやろうとソラは思った。
「古代種でサイボーグだろうと・・・痛みを感じるなら殺せる証拠!! “鞭打・八衝拳”」
ホタルに対応しているクイーンの背中からソラが打撃を加えた。
1対1で戦っているわけではない。背後を取って攻撃する事に躊躇などソラには無い。鞭のようにしなる打撃がクイーンの腹に当たり手のひらサイズの後を残す。叩くと同時に内臓に直接ダメージを与える。
「い、イデデデェェェェェェェ!? イデェェェェ!? ぶっ殺すぞ、ガキども!! しねぇぇぇーー!!」
「”流れ星”」
ホタルの指先から解放された刀から発生した斬撃。クイーンが腹を引っ込める事で緊急回避に成功した。ギリギリのタイミングだったのに彼は勘で避けた。すぐさま、距離を取られてしまう。背後に回れる事を避ける為、ソラ達が正面に来るように構えていた。
「くっそたれ。なんつー攻撃力してんだ。一瞬、計器を振り切ったぞ。だが、俺の科学力を甘く見るなよ!! 本当ならジェルマのガキに見せつけてやろうかと思ったステルス機能だ。お前達をじわじわと・・・あっ。ああああぁぁぁぁぁ!! 思い出した!! 思い出したぞ」
「やっとですか。ハセガワ船長から教わったこの技を・・・」
ソラは、恩人の技でクイーンにダメージを与えられた事に満足していた。
「おめぇ、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング号に乗っていたガキじゃねーか。覚えているぜ。妹を助ける為、俺たちのオモチャ(意味深)になっていた奴じゃねーか。お前のせいで、どれだけの部下たちの性癖が歪んだと思ってやがる。確か、『妹の代わりに三倍頑張るから、手を出さないでくれ』だったか。あの時は、俺感動しちまったぜ・・・だから、お望み通り”疫災弾”も三倍打ち込んでやったんだ。良く生きてたな」
クイーンの発言で周囲の気温が明らかに下がった。
ビビが覇王色の覇気を身に纏い、手に持つIXAが悲鳴を上げる程に覇気を流し込んでいた。ビビは、自分が二代目ビッグマムと呼ばれようが、頭天竜人だと言われようが大体の事は半殺しで許せる程度の優しさを持っている。だが、妹を守る為その身を削った兄を蔑むようなクズは、許せない。
クイーンは、ビビを一瞬カイドウかと見誤った。ガチ切れした時のカイドウに雰囲気が似ており、地雷を踏んだと理解する。
「口は禍の元ですよ。ステルス機能で隠れている?へぇ、でも攻撃まで透過するわけではないんでしょう。だったら、簡単ですよ。全方位をぶっ飛ばせばいいだけです」
「ええええぇぇぇぇぇ!? 待て待て、その構え!? お前の悪魔の実は、カビカビの実だろう。それは、ありえねぇぇぇぇぇって。仮にそうだったとしても、ダメだろう。それはレギュレーション違反だろぉぉぉ」
少し先の未来が見えたホタルは、電伝虫を使い緊急の連絡をいれる。軍事同盟全軍に「頭を低くして衝撃に備えてください」と。
”白ひげ”エドワード・ニューゲート 、”黒ひげ”マーシャル・D・ティーチ、”海賊狩りの王女”ネフェルタリ・ビビ(の胎児)へと引き継がれたグラグラの実。
空に浮かぶ鬼ヶ島で大地震が発生する。
『ONE PIECE FILM ABYSS』に登場した場合の各サテライトが各々考える延命措置。
正(シャカ)→ 正(ボンドルド)※メイドインアビス → 自分の複製
悪(リリス)→ 悪(リリス) ※原作通りワンピース → データバンク式
想(エジソン)→ 想(涅 マユリ)※BLEACH → 産み直し
知(ピタゴラス)→ 知(Dr.ゲロ) ※ドラゴンボール → 人造人間化
暴(アトラス)→ 暴(ホーエンハイム) ※鋼の錬金術師 → 錬金術式不老不死
欲(ヨーク) → 欲(大蛇丸) ※NARUTO → 転生
その結果、ステラからの支配を脱却する。
いい感じにマッドサイエンティスト具合が出てきた。