お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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111:破壊

 一人一つの悪魔の実の原則を破った事を目撃したクイーン。科学者として、非常に興味があった。その分野は、かつて所属していたMADSのベガパンクが詳しい物で彼自身は手を付けていなかった。

 

 だが、百獣海賊団を更に強くするために、これほどの研究材料はない。ビビを生け捕りにして解剖する事でその秘密が明らかになると考えた。

 

「ちっ!! 今の一撃で右半身がいっちまったな。ステルスも動作不良。馬鹿げた威力をしてやがる」

 

 クイーンは、直撃を回避した。四皇の大幹部でサイボーグ化され、古代種の能力で底上げされている肉体に確実なダメージを与えた異常な攻撃力。世界が滅ぼせるのも納得できてしまう。

 

 鬼ヶ島屋敷内部は大地震があったかのように、あちこちで崩落が始まった。

 

 立ち上がろうとするクイーン。体制を整え、戦略的撤退。肉体を修理したのちにジャックとキングを連れて殺しに行く算段を立てた。一人でも面倒なのに同レベル帯が三人もいる。更にはグラグラの実があるとなれば、まともに戦うだけ無駄だ。

 

 クイーンは嫌な予感がした。顔を横にするとソラの拳が目の前にある。立ち上がる前に攻撃される理不尽さ。この世界において海賊同士の戦いでも相手がダウンしているときに追い打ちを掛ける事はなぜかほぼない。相手が立ち上がりファイティングポーズを取ってから再開するのが常だ。

 

 そう、まるでボクシングの試合のように・・・立ち上がった相手を何度も打ちのめす。それが海賊同士の戦いだった。

 

「”六王銃”」

 

「いででぇぇぇぇぇって、言っているだろうがぁぁぁぁぁ!! ちょ、おま!! それもレギュレーション違反んんんん!? “ブラック光火”!! おっしゃ、今の一撃は完全に取ったぜぇぇぇ。肉を切らせて骨を断つってのはこの事だ」

 

 サイボーグ相手に人間の弱点が有効か不明だった、ソラ。頭部を破壊しても動くようなら全身を破壊すればよいという結論に至る。ソラの”六王銃”がクイーンの脳を揺らす。科学者とて自分の脳を改造するほど酔狂な連中は多くない。

 

「頭部まで頑丈なのが嫌気が差します」

 

「おぃおぃ、今の直撃しただろう!! 上半身が吹き飛ぶ威力だったぞ。何で死んでねーんだよ」

 

 ソラが背負っている箱からいくつかのナニかがポンと飛び出した。

 

「レシーマが終わってしまいました。彼は、”西の海”出身でワンピースを目指してグランドライン入りした海賊の船長です。元・4000万ベリー相当でした。今は、私の能力維持の為にアラバスタの地下牢で生かし続けていたのですがね」

 

「・・・おぃ、まさか。お前の能力はホーキンスと同系統か!? ありえねーーーだろう。チ〇チ〇の実でワラワラの実と同じ事を再現してんじゃねーよ。一体いくつの命を抱えてやがる。まさか、その背に背負っているのが全部ナニだってのか。狂ってやがる」

 

 狂っていなければ、大海賊時代に海賊を根絶するなど発想はしない。

 

 狂っていなければ、四皇を本気で潰そうとは思わない。

 

 そもそも、その原因を作ったのが”疫災のクイーン”だった。

 

「狂わずして、海賊を根絶やしになどできませんよ。今のラッキーパンチは、通じませんよ。それに、これからは私達三人で貴方を少しずつ解体します。徹底的に、一体何処を破壊すれば死ぬのかゲームを始めましょう」

 

「ねぇ、ソラ。グラグラの実って振動を操作するのよね。確か物質には固有の振動数があって波長を合わせる事でより効率的な破壊が可能になると思うのよ。雑に能力を使うより、破壊したい物を正確に破壊する。これがグラグラの実の真髄だと私は思ったわ。例えば、こんな風に・・・”破壊”!!」

 

 ビビがクイーンの肉体に触れるとその部分が砂のように崩壊した。サイボーグの身体の分解ではない。文字通り原子レベルでの崩壊が起こっていた。

 

 クイーンのサイボーグ化された部分は、彼が独自で研究開発した特殊合金が使われている。

 それは、耐熱性、耐圧性、耐電性、耐油性、耐薬品性、耐摩耗性、耐食性に優れた新素材であり、カイドウでも破壊するのに苦労する品物だった。

 

 悪魔の実の能力を鑑みても、あり得ない物を見せられたクイーンは、初めて死を自覚し始めた。今まで数々のバカ達を葬ってきたが、いずれも勝ち残ってきたクイーン。

 

「化け物かよぉ!! 待て待て待て、俺は大事な情報源だろう。少しは躊躇しろよぉぉぉ!!」

 

「ビビ、待ちなさい。兄様も少しだけ解体するのを待ってください。私の気が収まりません。もう、私も子供じゃないんです。当時兄様がどのような目に会っていたか理解できます。ありがとうございます、私をいつも守ってくださって」

 

 ビビを静止したホタル。その手には、大業物が抜かれていた。刃にまで覇気が纏わり漆黒になっている。ホタルは、その刀の先で動けなくなったクイーンの身体をコツンコツンと小突く。そして、カーンと少し違う音がした場所を見つけた。

 

 ホタルがそこめがけて刀を押し込むとスーーと内部に刃が入っていく。そして内部にある機械部品を破壊する。

 

「おぃおぃマジかよ!! 刀が通るような装甲じゃねーーんだぞ。やめろぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「外れでしたね。でも、あと何回刺せば貴方は死ぬんですか? 要領はつかめました、時間もありませんので、早く死んでください。それまでジワジワといつ死ぬか恐怖し後悔しなさい」

 

 ビビにより手足の駆動系を破壊されたクイーン。ホタルによって、黒ひげ危機一発的なゲームの的にされていた。そして、ビビも同じく手に持ったIXAで、同じように動けなくなったクイーンを刺して、内部からカビを侵食させる。

 

「サイボーグを殺した経験はありませんが、どうですか? 優れた耐性は、素晴らしいです。ですが、強ければ強いほど私のカビも進化します。苦しいでしょう?つらいでしょう?でも、ソラの方がもっと苦しかったんです」

 

「あぁ、私でも刃が通せる場所がありますね。軍事同盟の方には教えましたが、目の部分を鍛えられる能力者ってほぼいないんですよ。古代種のサイボーグでも実証できれば、確実だと思いませんか?」

 

 動けず死を待つ恐怖。

 

 クイーンは、自慢の兵器があれば。他の大看板が居れば。”カイドウ”が居れば。と考えていた。だが、たらればなど意味はない。全ては結果だけが物を言う。

 

 大看板として彼は悲鳴一つ上げずに、ソラ、ホタル、ビビの三人により串刺しにされた。そして、最後に首を切断され広間に彼の頭部が転がされる。大看板の死は、百獣海賊団の戦意喪失には十分な効果があった。

 

 

◇◆◇◆

 

 大看板のクイーンが黒ひげ危機一発のゲームにされている頃。

 

 同じく大看板のジャックは、海軍大将緑牛、海軍中将ガープ、海軍大佐コビーの三人を前に膝を折っていた。元々、侍達により深手を負っており、海軍連中を相手にできるほど回復しきれていない。

 

 モリモリの実の能力で肉体の養分が吸い取られ、ご自慢の巨体も骨と皮しかほぼ残っていない。

 

「ヒャッハー、弱り切った大看板を殺すのは楽しいな。どうした?まだ、息はあるんだろう?頑張れよ。そうしないと他の部下たちも全滅だぞ」

 

「そこまでにしてください、緑牛大将。早く、海楼石の手錠を付けて軍事同盟に預けましょう。僕たちは、ルフィさんたちを捕らえるという大事な仕事があるんです」

 

 コビーが生ぬるい事を言う。

 

 この状況でも命が勿体ないなんて思考をしているとなると、この先、命がいくつあっても足りない。これは緑牛とガープの共通見解だ。命とは大事だが、誰の命が一番大事なのか、理解が足りない。

 

 人の命とは平等だが、その価値は平等ではない。

 

「コビー見ておれ。儂はルフィを救うためこの場におる。それ以外は全て二の次じゃ。だから今は、貴様ら相手に時間をかけている場合じゃないんじゃ――――”拳骨唐竹割(ギャラクシー・ディバイド)”!!」

 

 ガープの一撃が弱ったジャックの首を消し飛ばした。

 

 

 血しぶきに染まるガープ中将。その顔を見たコビーも理解した。ガープ中将が本気の本気だと。




そろそろ、百獣海賊団以外にもご登場願わないといけませんよね。

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