鬼ヶ島の海賊殲滅に動くソラ達。軍事同盟内部の報告では、既に”麦わらの一味”と”キッド海賊団”の情報も寄せられていた。その中には、赤鞘九人男に関する情報もあった。侍の中でも最上位に位置する者達であり、全員揃えば”カイドウ”にもダメージを通せる程の実力者ぞろいだ。
下手に話が拗れる事は面倒だと思い、ソラ達が話し合いに向かう事になる。そして、その間も海賊殲滅の作戦は継続される。
電伝虫を使いソラが指示を出す。
『赤鞘達には、顔見知りが居るから私が話に行きます。手を組んだ方がより効率的に海賊を殺せますが・・・百獣海賊団以外の海賊を殺すとなると渋るでしょう。ブルーノの能力で治療名目で隔離し地上に送ります。麦わらのルフィが戦いに集中している間に他を殺すのも忘れずに』
ソラが通信を終えると、チ〇チ〇レーダーの反応から錦えもんの居場所を把握する。そして、その場に急行する。道中に居る海賊達を撫で斬りにしつつ血の海を作り上げていた。
大看板”疫災のクイーン”の死亡、大看板”旱害のジャック”の死亡。この二大ニュースは、百獣海賊団の士気を落とすのには効果抜群だった。飛び六胞の生存者もいるが一部は既に打ち取られており、生存している者達も”麦わらの一味”によって重傷を負わされていた。
大幹部、幹部の下の地位である真打ちが現状の主戦力となる。真打ちでも100人力程度には強い。軍事同盟の連中が10人も集まれば集団の力で十分勝てる。
「ねぇ、ホタル。ミス・オールサンデーは何処に居るかわかる?彼女は、私の手で終わらせたいの。アラバスタでやらかした事を私は許してないから」
「少し待ってね。流石に、こうも人数が多いと・・・でも、女性で強い反応なら目的地の近くに居るわね。いいんじゃないかしら。彼女が死ねば、ポーネグリフを解読できる者がいなくなり、必然的に大海賊時代は終わりよ」
ホタルの言う通りだった。大海賊時代を終える為には、ポーネグリフを解読できる人物を抹消する事が一番早い。辿り着く方法を解読できなければ、それで旅はおしまいだ。過去のオハラの研究資料がどこかに残っていれば話は別だが。
海軍がバスターコールをした後に現地確認をせず、そのまま帰った事などソラは知る由もない。それでは、何のためのバスターコールだったのかと疑問が残る。そのような事態が発生していたとなれば、世界政府か海軍のどこかに裏切り者がいると言っているのと同じだ。
・・・
・・
・
赤鞘達は、鬼ヶ島に攻め込んできた第三勢力の存在を把握してたが、接触を図る事はなかった。敵か味方か定かでない存在。彼等の狙いが百獣海賊団である事だけは、戦う様子を見て理解していた。
同じ志がある連中ならば、とりあえず攻撃はせず百獣海賊団だけを狙う方針であった。
だが、赤鞘達と第三勢力の軍事同盟では決定的に方針が違っている部分がある。侍たちが斬り捨てた海賊達に対し、頭部に銃弾を撃ち込んでトドメを刺す行い。動けぬ者達に卑劣な行為をするなど、武士道に悖る連中だと彼らは思っている。
その時、錦えもんがいち早く気が付いた。三つの気配が前方から凄まじい勢いで接近してくるのを。構える赤鞘達。大看板達がもう復活して仲間を引き連れてきたのかと誤認する。
しかし、現れたのは青い髪の女性と金髪の双子だった。どう見てもこの場に不釣り合いな服装で、百獣海賊団でもなく、侍でもなく、民間人でもなかった。しかし、錦えもんだけは目を疑った。
「ソラ殿!! ホタル殿!! それに、あの時の王女ではないか!?」
「錦えもん。儂らは知らぬ人物だ。お主の知り合いか?なぜこのような場におる」
赤鞘の一人である雷ぞうは、ソラ達を見て怪しんだ。血の匂いが濃く、危険な香りを察していた。万が一の場合は、殿になってでも仲間を逃がす構えだった。
「我々、軍事同盟は総力を挙げて四皇討伐に乗り出しました。今回のターゲットが”カイドウ”含む海賊の為、殲滅している所です。あそこで軍服を着ている人たちは、軍事同盟の者です。モモの助君からも既に海賊を殲滅する許可をいただきました。我々は、仲間ですよ」
「なんと仕事が早い!! 皆の者、安心せよ。この者達は、拙者たちの仲間だ。その証拠に、ソラ殿とホタル殿は、あのネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング号の船長だ。腰の刀は、拙者の同郷ハセガワ氏から授かった物。彼等は強いぞ、なんせルフィ殿たちに勝利するくらいだからな」
ワノ国での”麦わらの一味”の活躍は、凄まじい。その彼等に勝利した連中ともなれば、この状況では頼もしいという他ないのが彼等の正直な感想だ。しかも、明確に味方だと言い切っており、この状況での頼もしい援軍だった。
「錦えもんさん以外の方が疑うのも当然です。突然、現れて味方と言われても困惑するでしょう。モモの助君から承認を受けた映像を渡します。それに、我々は行動で示すタイプです。大看板”疫災のクイーン”、大看板”旱害のジャック”、それから飛び六胞も数名殺しております」
海賊・侍同盟が未だに誰も打ち取れていない大物たちを次々と殺して居る事に赤鞘達は己のふがいなさを実感していた。目の前の女子供が大海賊を打ち取っているのに、20年以上の歳月をこの日の為に準備してきた自分たちがまるで戦果を挙げていないと。
「兄様。時間がありません。とりあえず、彼等の治療を優先しましょう。皆様、満身創痍ではこれからも続く激しい戦いで生き残れません。一度我々の仲間の元で治療を受けて下さい」
「かたじけない。治療を終えたらすぐに、合流して必ずや”カイドウ”討伐の力になる事を誓おう」
カイドウ討伐・・・ソラは、足りないな~と思っていた。カイドウが死んでも残っている海賊がいれば意味がない。だから、訂正を加える事にした。
「錦えもんさん。"カイドウ"が死んでも第二第三の"カイドウ"が生まれるかもしれません。海賊を根絶やしにするんですよ。徹底的にね。ブルーノ、彼等を(地上にある)船の医務室に運んでくれ」
突然、虚空の扉が開いた。彼等を治療したいのは事実であり、赤鞘達は疑いながらも中へ進んだ。そして、治療と同時に睡眠薬が投与される。これで、事が終わるまで起きる事はない。全ては、未来の将軍モモの助君を支える侍を無事に生存させるため。
◆◇◆◇
元・CP9内では、剣術の腕前が一番のカク。
彼は、ロロノア・ゾロとの再戦を望んでいた。だが、その前座として割り当てられたのが”麦わらの一味”の中でも異次元の狙撃腕前を持つウソップだ。当然、この人選には理由がある。
ウソップの想い人が今のカクの恋人だという事だ。
正直、カクは恋人の過去などどうでも良いと思っていた。自分はCP9として感情をコントロールする訓練を受けていた。だが、なぜか、イライラが止まらなかった。
「悪いな、わしはお前を殺さなきゃならん。恨んでくれてもいいぜよ。懸賞金5億ベリーのゴッド・ウソップ」
「お、お前はエニエス・ロビーのキリン野郎!! 嘘だろうぉぉぉ。俺じゃなくてゾロの方にいけよ。お前の相手は俺じゃねぇぇぇぇぇよ」
理不尽な対面にウソップは命の危険を感じていた。
こういう危機察知能力に関しては、”麦わらの一味”随一だ。だが、察知できたからといって逃げられるかは別問題。
「お主。シロップ村のカヤという女性を知っているだろう?」
「カヤに何かしやがったら、俺はお前をゆるさねーーぞ!! カヤは無事なんだろうな」
この時、ウソップは軍事同盟の連中が”麦わらの一味”を潰すため本腰を入れてきたと思った。既に、大海賊の仲間入りを果たしたのだからメンバーの素性もおのずとばれている。つまり、親、親戚、恋人などは全て足かせになる。
「馬鹿か、お主。我々、軍事同盟はそういった卑怯な事はしない。お主が海賊であっても親兄弟は、関係ない。ソラもそういう事をやる奴は大嫌いだからな。まぁ、それ以外なら何でもやるのが、あ奴の恐ろしいところだ。儂もそれに釣られた口じゃ」
「ど、どういうことだ?カヤとお前等と何の関係があるんだ」
ウソップ。この時、鍛えた見聞色の覇気を後悔した。カクが懐から取り出した一枚の写真。恥ずかしそうなメス顔をしたウソップの思い人とウソップのように鼻が長い男が一緒に映っていた・・・ベッドの上で。
「悪いとは思っておらん。これが現実じゃ。裏社会の住人である海賊と表社会の住人のワシとの差じゃ。安心せい。彼女の事を本気で愛しとる。必ず幸せにしてやる・・・だから、海賊と縁があったという汚点はここで消えてくれ。それが彼女の為にできるお前の最後の仕事だ」
「なんだよぉぉぉ!! そんなのありかよぉぉぉぉ!! 海賊が夢を見ちゃいけねーーのかよ!! 俺が先に好きだったんだぞぉぉぉぉぉ!? こんなのあんまりだろうぉぉぉぉ!!」
泣こうが喚こうが現実は変わらない。世間で言う
女性がいつまでも男性を待っているなど夢物語だ。女性には色々とタイムリミットもある。将来の事も考えれば、いい男が出てきたら捕まえる必要がある。いったい、ウソップはクズみたいな自分の父親から何を学んでいたのだろうか。
心がへし折れそうになっているウソップを前にしているカクだが油断はしていない。
本来、ウソップが本領を発揮する場面は、遠くにある安全地帯から遠距離で一方的に攻撃する事だ。その命中精度と状況に合わせた多種多様の弾丸を
覚醒カクを目の前にしては、得意の弾を装填する段階で斬り捨てられる。下手に動けば死ぬ未来が早く訪れるとウソップ自身も感じ取っていた。だから、この状況でも攻撃するという事はしなかった。仲間の助けを待つしかできない不甲斐なさ。
「ワシは、次もあって忙しい」
「ナミやお玉まで狙う気なのかよ!! お前等、あんな子供まで!!」
ウソップは、狛犬に乗ってナミとお玉と逃げていた所を襲撃された。そして、ウソップが狛犬から落ちた結果、今の状況になっている。
「おぃ!! 言葉には、気を付けろ。ナミとかいう女海賊まではいい。お玉というのは先ほど和服を着ていた子供であろう。軍事同盟は、海賊に対して容赦しない。女子供であっても、情けなどかけない。今の発言では、まるでお前達の仲間みたいじゃろう。もう一度だけ、言い直すチャンスをやる」
「・・・な、ナミと偶然行動を共にしたワノ国の子供まで狙う気なのか」
死に際に、男を見せたウソップ。
「それで良い。安心せい、海賊はゴミじゃが子供は宝じゃ。必ず海賊どもを根絶やしにしたワノ国に返してやる。だから、お前はここで死んでいけ・・・”
ゾロレベルの身体能力と剣術があっても防ぐか弾く必要がある殺意がこもった攻撃。ウソップは、眼前に迫る攻撃を前に走馬灯を見ていた。シロップ村でのカヤとの思い出・・・。
同刻、ソラが背負っているワンピースボックスから使用不可能になったウソップと書かれたワンピースが廃棄された。
今年も読者の皆様には本当にお世話になりました!!
この場を借りてお礼を言われせて下さい。
本当にありがとうございます。
読者の皆様の感想などがあるからモチベーションを維持できてここまで執筆できました。
まさか、年内に100話突破するとは思っていませんでした。