今年もよろしくお願いいたします。
ウソップの死。それを”麦わらの一味”が知る事は無かった。混戦状態に加え、誰もが自らの命を守り、目的達成のために動いている状況。それに加え、なんだかんだで今まで生き残ってきた仲間達の強運を誰もが信じている。
この戦いが終われば、みんなで宴ができると本気で信じている。
信じる者は救われる。そういう事もあるだろう。”麦わらのルフィ”は、インペルダウンで死にかけたが復活、カイドウに殺されかけたが復活など数々の奇跡を起こしている。だから今回も奇跡が起こり、みんなが無事だと。
ワンピースの反応を元に見つけ出した”麦わらの一味”の一匹の前でソラが刀を抜く。
彼の目の前にいるのは一匹のトナカイもどきだ。悪魔の実を食べて人間になったチョッパー。有能な医師であり、海賊船の船医でなければ歴史に名前を残す可能性もあった。
だが、海賊だ。
しかも、大海賊にして次期四皇候補とも言える大海賊の船医。彼がいかに優秀であっても、治療を頼める者はいないだろう。何をされるかわからない恐怖が勝ってしまう。それに人間でない医者というだけで不安が募る。
「名医を殺すのは忍びないですが、海賊である以上、仕方ありません」
「ちょっと待ってくれよ!! ここには沢山の負傷者がいるんだ。おれは、あいつらを助けるって約束してるんだ。頼むよ、ビビ。ビビからも何か言ってやってくれ」
ソラには話が通じないと理解した、チョッパー。彼の判断は、実に合理的だった。嘗てアラバスタの為に、苦楽を共にした仲間として情に訴える。
「チョッパーさん、"ちょっと"とは具体的に何分ですか?待った後に、素直に死んでくれるんですか? 今を先延ばしにするという事はそういう事です。アラバスタの一件もあり、当時の仲間にこのような事を言いたくありませんが、”麦わらの一味”と私達との関係は終わっています。私との約束は守らず、破り続ける・・・私は、王女であり子供もいる身です。大事なのは過去ではありません。今と未来なんです」
ソラとホタルが、この場に居た負傷者達を確認する。そこには、侍だけでなく百獣海賊団も居た。それを見つけると、ソラとホタルはきっちりトドメを刺して回る。ここにいるメンバーを助けたいなら、救うべき人間は少ない方がよい。
海賊なんかにリソースを割いている暇など時間の無駄でしかない。どうせ、治療した後で殺すのだ。それならば、医者の手間を省くのは理にかなっている。
「な、何をしてるんだぁぁ。そいつら怪我人でもう動けないんだぞ」
「それが、どうしたんですか? 彼等は、海賊です。そして、貴方も。私とホタルがこの場にいる海賊達を殺しつくす前に早く侍たちの治療を終えてください。早くしないと、治療が終わる前に貴方の番です。逃げても構いません。逃げ切れるならね」
チョッパーは、初めて海賊に対して強い恨みを持つ人種と出会った。今まで、海賊が嫌いだとか言っていた連中とは比ではない。いかなる手段・方法を使っても海賊を根絶やしにするという強い意志がそこに宿っていた。
そして、ビビもいつの間にか彼等の同類になっている事をチョッパーは理解する。ビビと一時旅をしていたチョッパーから見ても彼女が変わってしまったと言うほかなかった。だがビビにとって、”麦わらの一味”と過ごした時間よりソラ達と過ごした時間の方が遥かに長く濃厚な物だ。
「頑張ってください、チョッパーさん。貴方の命が終わるまでの短い間ですが、パンクハザードで救い出した子供達について知っている事を教えてあげます。本当なら、貴方が救いたかったでしょうから・・・冥途の土産に持って帰ってください。”グリーン・ディ”!!」
「ぎゃあああああああああああ!! なんでだ、どうしてだよビビ!! 俺たち仲間だろう!?」
ビビが不意に殺人カビ”グリーン・ディ”をチョッパーに感染させた。
医師として異能レベルで対抗策を考え、実現してしまう危険な能力者。これが治療ではなく攻撃に使われるようになったら、危険過ぎる。それに、ビビの殺人カビへの対抗策ですら彼の頭の中には構築されつつあった。
進化し続けるカビ。ならば、進化の最終地点である自滅まで世代交代をさせる方法を考えていた。時間と設備と金があれば、チョッパーなら実現してしまっただろう。
「仲間
「そ、それは・・・」
ビビの立場などを何も考えずに、宴会や食事のネタとしてアラバスタの事を話していた過去が彼等にはあった。その際、話の都合上どうしてもビビが登場する事になり、仲間になったという事実がバレてしまう。
当然、誰にも言うなよとその場では言い、相手も納得する。そして、結果的にその全員をソラ達が口封じして回る結果になった。
「チョッパーさん、私も覚悟を決めているんです。私の短い手では多くは守れません。守るべき中に誰を入れるか・・・その中に、貴方達は含まれていないんです。私は、仲間の為ではなく、家族の為に生きます」
「つらい選択をさせちまったな、ビビ。悪いな、ルフィの口の軽さが止められなくて・・・おれは、もうすぐ死ぬ。だから、患者の事を助けてやってくれよ」
死期を悟るチョッパー。
海賊をやっているのだから、いつかこのような日が来ると思っていた。チョッパーの心残りとしては、ルフィが海賊王になる瞬間を見れなかった事だ。それと、世界一の医師になり、沢山の人を救う夢がかなえられなかった事だ。
「海賊以外なら引き受けます。それと、死ぬまでの間に聞いてください。パンクハザードから助け出した子供達は、ベガパンクと呼ばれる人がいる場所にいます。なんでも、すごい天才が沢山いて、誰が一番早く治療できるか競っているとか」
「そうか・・・それ・・・は、よかっ・・・た」
息絶えたチョッパー。カビが食い散らかしてそこに残っていたのは、形があった跡だけだ。ソラとホタルがそっとビビを抱きしめる。
「ソラ、ホタル。ちょっと暑苦しいです。大丈夫です、私は今と未来を選択しました。母親は強いんですからね。・・・ソラ、ちょっと頬っぺた触るわね。前々から気になっていたんだけど、ソラの肌年齢ってホタルより若い気がするのよね」
「ビビ、それは私がおばさんって意味かしら?ねぇ?私と兄様は、同い年よ。ビビより若いんだからね。兄様、ちょっと失礼。ほら、そんな事あるわけ・・・な・・・い?あら? 兄様、化粧水を変えましたか?」
ビビが入念にソラとホタルの頬をすりすりして確認する。
ホタルも気になって自身の肌とソラの肌を触れて確認した。確かに、違いがある。僅わずかだが、二年程ソラの肌年齢が若い。だが、実は肌だけではない。
「たいした事では、ありません。ルフィのワンピースに、老化というダメージを押し付けているだけです。彼の寿命を倍速で消費させています。彼の寿命は、今までの激しい戦いのダメージと治療と能力の乱用で激減しているでしょうから、長くても10年。短ければその半分程度。私が半分使っているから更に短いはずです」
「兄様、それって実質的な不老不死みたいなものじゃないですか? 私達以外に伝えない方がいいです。オペオペの実みたいになりかねません」
ビビは、ソラのルフィを必ず殺すという強い意志がそこには宿っていると理解した。ルフィを殺すためにあらゆる手を打つそのやり方。例え、ガープがルフィ存命の為に努力しても、寿命を使い切って殺す。
「ビビも若い男の方が好きでしょうから、浮気対策です。おしゃべりはこのくらいにして、次を殺りにいきます。この場にいる負傷者は、軍事同盟が引き継ぎます。次は、お待ちかねの、ミス・オールサンデー。アラバスタで好き勝手していた犯罪組織のNo.2です」
アラバスタを無茶苦茶にした犯罪組織のNo.2。死んで当然の国際指名手配犯だ。
鬼ヶ島の上部でワノ国の為、カイドウを倒すためルフィ、キッド、ローの三人が必死で戦っている最中、鬼ヶ島内部では徐々に彼等の船員達が死に始めていた。
始末する対象が多いから、一部はダイジェストに予定。
キッドの海賊団とか。