お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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114:NTRの悪魔

 百獣海賊団と一緒に追い詰められる海賊達。

 

 百獣海賊団も流石に軍事同盟の猛攻に耐えるのは厳しいと理解し始めた。だが、逃げるにしても鬼ヶ島は”カイドウ”の力によって浮上している。つまり、逃げるにしてもこの高度を無事に降りれる者に限られた。

 

 ”麦わらの一味”にして、ソラがこの場で絶対に殺しておきたい人物の一人に挙げている"海侠のジンベエ"。その理由は、彼が魚人だからに他ならない。海に逃がしてしまえば、おしまいだ。ゲリラ戦に持ち込まれたら、軍事同盟とて敗北する可能性が濃厚になる。

 

 いつ、どこから来るかもわからない元・王下七武海の魚人を敵に回すなど、下手したら四皇”黒ひげ”より最悪だ。ジンベエの逃亡を許すなら、まだ”麦わらのルフィ”の逃亡を許す方がマシだとソラは本気で思っている。

 

 だからこそ、この陸地にいる時こそ仕留める絶好のチャンス。

 

 ワズキャン達の次の任務は、ジンベエの始末だった。だが、不測の事態に備えて、他の者達も集められる。

 

 ジンベエが百獣海賊団の飛び六胞フーズ・フーと戦い終えたと同時に彼を囲む軍事同盟の者達。僅かでもジンベエの体力が削られ、その実力と技を確認できた事が大事なポイントだった。

 

「おぬし等、確か軍事同盟の者達だな。儂に何の用だ? 随分と物騒な者達を連れてきておるな」

 

「いやだね~、何で僕が元・王下七武海と戦わないといけないのよ。いつも言っているけど、コックには荷が重いってのに。ごめんね、ソラがどうしてもこの場で”裏切りのジンベエ”を始末して欲しいと言うから」

 

 ワズキャン、イーロン、ケイミーの三人に加え。ルッチとカリファ、フクロウまで加わっている。6対1の状況だ。

 

「裏切り?儂は、今まで一度も裏切った事はない。人違いだ」

 

「そんな事はないでしょう。自分の経歴分かってる? リュウグウ王国ネプチューン軍の兵士、タイヨウの海賊団の船員、タイヨウの海賊団の2代目船長、世界政府の王下七武海、軍事同盟の掃除人、麦わらの一味操舵手兼大幹部といった様に、コロコロと主人を変えているよね?  確かに、裏切りと言うより転職に近いイメージなのは認めるよ」

 

 ジンベエは、黙ってしまう。

 

 言い返す事が出来ない経歴だった。故郷の魚人島の為と言うならば、最初からネプチューン軍に在籍していればよかった。だが、結局どのような事を彼がやっても魚人や人魚の立場は改善しなかった。

 

「儂を”裏切りのジンベエ”と呼ぶ理由は分かった。で、この状況で儂らを始末する理由はなんだ? おぬし等もカイドウを倒すために居るのだろう。お互い手を組む事は出来ないのか」

 

「無理でしょう。僕たちの元で二年働いていたジンベエなら分かるよね。 “麦わらの一味”は、もう僕たちに必要ないどころか足かせなんだ。それどころか、爆弾でしかない。約束は守らないし、都合の良い時だけ利用しようとするし、海賊の首は取らない。僕たちは、未来の将軍モモの助という人から海賊を根絶やしにする許可を得ているんだ。つまり、そういう事なんだよ」

 

 ジンベエは、ワズキャンの言葉で全てを察した。

 

 つまり、軍事同盟とワノ国は手を組んだ。この機に乗じて、百獣海賊と一緒に”麦わらの一味”を始末して海外勢力と仲良くするつもりだと。確かに、軍事同盟の掃除人として非合法な仕事をしていたジンベエなら分かっていた。この国の惨状を救える方法を軍事同盟は持っている。

 

 特に、ビビが魚人島でも提供している汚水などを浄化するカビだ。あれのおかげで、魚人島は綺麗で美しい場所になった。今のワノ国に必要な戦力、物資、技術のすべてを彼等は提供できる。それを得る代わりに売り払われたのが海賊達という構図が出来上がる。

 

「ワノ国の侍たちに仁義はなかったのか。一体、儂らの苦労はなんだったんだ」

 

「僕には、分からないね。でも、仁義で腹は膨れない。仁義だけではカイドウには勝てないかもしれない。仁義だけでは国は運営できない。”カイドウ”を倒したら出航して居なくなる君達と、”カイドウ”を殺した後も国家再建に協力できる軍事同盟。後は、僕たちが引き継ぐよ。イーロンとケイミーからも何か言いたい事はある? 同じ魚人島出身者としてさ」

 

 ジンベエは、同じ魚人島出身の二人を確認した。イーロンとケイミー。二年前は、確実にジンベエ自身も自分が強いと確信を持って言えた。だが、今はどうだろうか。凶悪なフルアーマーに身を包んだイーロン。そして、エネルギー・ステロイドを接種したかのように白髪で真っ赤な目をしているケイミー。

 

 強い。

 

「儂から先に聞かせてくれ。なぜ、お主達程の者がソラとホタルの二人に従い続けるのか。それ程の力があれば、軍事同盟の力が無くても魚人島を守れるだろう」

 

「魚人島だけを守ってどうする。あんな小さな島に閉じこもって暮らせというのか。違うだろう。ソラは、魚人や人魚達に外で生きる場所や人権を提供してくれた。それに、命を救われた恩もある」

 

「お兄様とお姉様に付き添うのは、妹として当然じゃないですか。私は、ホタルお姉様の目、ホタルお姉様の手、ホタルお姉様の足、ホタルお姉様の・・・」

 

 狂気じみたケイミーの様子にジンベエもドン引きする。

 

「洗脳されとるぞ!!」

 

「違う、自分で自分を洗脳しとるんじゃ。もう、色々と拗らせて手遅れだ。だが、自己暗示と言うのもバカにできないぞ。仮想敵がビビじゃからな。おかげで、ここまで鍛えられた。魚人島では、同様の訓練方法ができないか、日夜研究されとる・・・バカバカしい事だがな」

 

 イーロンから魚人島の新たな兵士訓練カリキュラムを伝えられたジンベエ。魚人島も未来に生きているなと思った。もう、古い時代の魚人は終わりなんだと理解し始める。

 

 覚醒した姿になるルッチが前に出る。

 

「話し合いは、終わったようだな。悪いが、この後も控えているから手早く死んでくれ。元・王下七武海だ。無勢に多勢で悪く思うなよ」

 

「儂を過大評価しすぎだ。だが、無抵抗に殺されるほど儂は優しくない。ルフィ達と違って、殺しの覚悟もある。道連れ上等じゃわい」

 

 ジンベエ。”麦わらの一味”操舵手として最後の戦いに挑む。そして、その戦いに巻き込まれ死ぬことになる飛び六胞フーズ・フー。

 

 

◇◆◇◆

 

 ニコ・ロビンは、飛び六胞ブラックマリアとの戦いを終えていた。修行期間に、革命軍で魚人空手を習っていなければ、この場でやられていた。今はこの場を生き延びた事に感謝している。

 

 早く仲間に合流して、ナミ達を助けに行こうと思っていた。彼女の戦闘力は、ゾロやサンジと比較して低い。だが、チョッパー、ナミ、ウソップよりは高い。彼らのような船員を助ける立場にある。

 

「”震破(グラッシュ)”!!」

 

 覇王色の覇気が込められた振動がロビンが居る区画一体を包み込んだ。広範囲の攻撃であるため逃げ場もなく、何処からの攻撃かわからないままロビンは吹き飛ばされる。

 

 吹き飛ばされる最中、彼女は三つの影を見つけた。

 

 その一人の女性の手には、バチバチと黒いイナズマみたいな物があった。それをロビンは本能で理解した。遂に殺しに来たのね、と。不意打ち紛いのグラグラの実は、確実に生命を狩りに来ていた。壁を何枚も突き破り、手足がもがれそうになる衝撃を耐えつつ、ロビンは200m程先の壁に激突して止まった。

 

 咄嗟にハナハナの実で頭部をガードしなければ、気を失って死んでいた可能性すらある。コツンコツンと足音が聞こえるように歩くソラ達。その音は、敵対者からすれば死神の足音のように聞こえるだろう。

 

「やはり、ターゲットを目視した上で能力を行使しなければ、これが限界のようですね。近くに居た他の海賊達は死んだというのに、ニコ・ロビンだけ生き残った理由は何でしょうか?」

 

「やっぱり、ソラが言っていた通りね。半信半疑でしたが、確信しました。お久しぶりです、ミス・オールサンデー。そして、さようなら」

 

 時間稼ぎをしたい、ロビン。

 

 今までも窮地は多々あった。だが、どれもその場を生き延びて生存を勝ち取ってきた経験がある。今が無理でも未来ならという希望に賭ける。実際、ルフィがカイドウと死闘を繰り返していなければ、助けが来る可能性もある。

 

 サンジやゾロが百獣海賊団に足止めされていなければ、助けに来たかもしれない。だが、その者達は全て軍事同盟がその目(・・・)で位置を確認している。突然、ワープして来るなど超常現象が起きる事はない。

 

「”六輪咲き(セイスフルール)”。それ以上、動けば。この子の大事なタマを潰すわよ。私は本気よ。動かないで!!」

 

「ソラの体に手を生やせるなんて、チートですよ。ソラのタマは私のですから、その汚い手を放してくれませんか?」

 

 ソラのタマをタマ質にした、ロビン。確かに、ビビ達にとって効果的だ。カビカビの実の自然系(ロギア)相手より、この場で一番弱く弱点も多いソラをターゲットにする。ビビとホタルの弱点でもある、ソラ。彼の子種がここで失われるなら、見逃す事もあり得ただろう。

 

 ビビがIXAを引きずりながらロビンとの距離を縮める。タマ質がいる事など気にも留めない。だから、ロビンは、少し力を入れる。男性のタマとは繊細であり、強く握ると苦痛の顔をする。

 

 それは、過去の経験からロビンが学んだ事だ。あのクロコダイルですら、タマを握られたら苦い顔をした記憶が彼女にはある。

 

「近づかないでって言ってるでしょ!! 下がりなさい。さもなければ、一生子供が作れない体にするわよ。”クラッシュ”」

 

 遥か遠くにいる黒足のコックが絶叫していた。その声がここまで届く事はないが、完全に二つのゴールデンボールが握りつぶされて使い物にならなくなる。

 

「おや、今の一撃でも死なないとはサンジさんは、お強いですね。ビビ、能力が使えるならば逃げられる可能性があります。トドメを」

 

「どうして、効かないの!? 貴方本当は女なの?」

 

「違いますよ、ミス・オールサンデー。男の娘です・・・そこら辺の男と一緒にしないでください。失礼ですよ」

 

 ビビがIXAをニコ・ロビンに突き刺した。確実な死を与える。能力による分身でない事を確認し、”グリーン・ディ”が内部から食い荒らし始めた。これが、嘗てアラバスタを混乱に陥れた犯罪組織のNo.2。世界政府が恐れていたポーネグリフを解読できる考古学者の末路だ。

 

 ソラは、電伝虫を手に取り、店長ことピーター聖に報告を入れる。

 

『こちらは、ネロナ・ソラです。ピーター聖、NTRの悪魔の異名を持つニコ・ロビンをこの手で殺害しました。証拠動画をお送りいたしますので、ご検証下さい。それで、鍵の回収はいつ頃でしょうか?』

 

『仕事が早すぎるのも問題だぞ、ソラ聖。今の会話は、私以外の五老星達も聞いている。とりあえず、良くやった。褒美などの件はいったん後に置いておこう。我々が回収に向かう事が決定した』

 

 ソラは、我々とは誰の事を言っているのだろうかと本気で思った。だが、話の流れ的に五老星だろうとも理解するが、どうやってという課題が残る。

 

 しかし、その疑問はすぐに解決する。ソラ達の近くに謎の魔法陣が5つ現れた。雷鳴と共に現れる五老星・・・ソラは、彼等を見て誰が面倒を見るんだよと思った。適当な対応をすれば後が面倒だし、この戦火の中で勝手に動かれても面倒極まりない。

 

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