存在しない劇場版『ONE PIECE FILM ABYSS』!!
絶対正義海軍のSSG(海軍特殊化学班)のメンツ・・・どっちが悪だっけな。
【挿絵表示】
鬼ヶ島上部にて、四皇”カイドウ”相手に死闘を繰り広げるルフィ、ロー、キッドの三船長。彼等は、打倒”カイドウ”を目的に手を組んだ海賊同盟。ここに来るまでの数々の難関を仲間達と切り抜けてきた。
彼等の仲間は、船長をカイドウの元に届ける為の尊い犠牲になっている事など、今は露ほども知らない。唯一、ローの部下達だけが鬼ヶ島の外にいて無事だった。そう、この状況であってもローの部下だけは全員無事であるという不可解な事象を、ローはどのように弁明するのだろうか。
しかし、ローは不幸中の幸いな事に、後の事を心配する必要はなかった。今目の前にある死からどうやって生き抜くか、それだけが大事だ。
なぜなら、彼等船長組の目の前には、この世界でも生粋で最強の年寄りの二人がいるからだ。
「おぃ、ガープ。貴様、何のつもりだ。俺の戦いに横やりを入れてきやがって」
「横やりじゃと?儂は、孫を救いに来ただけじゃ。邪魔するなら、お前さんから潰すぞ」
一体どういう状況なのか、ルフィにも理解できていなかった。”カイドウ”との戦いの最中、突如現れたガープ。海軍中将ガープ、彼は海賊の味方ではない。だが、今の彼はカイドウと横並びになりルフィ、キッド、ローと対峙している。
「好きにしろ。俺は、キッドとローの生意気なガキを潰す。終われば、お前等だ。それでいいな」
「孫を真人間に戻した後に相手をしてやる。弱ったお前さんを潰す方が楽じゃからな。さぁ、ルフィ!! 今日の爺ちゃんは、一味も二味も違うぞ。この命を懸けて、お前を海軍に連れ戻す!!」
カイドウ・ビックマムではなく、カイドウ・ガープの爺コンビが爆誕した。お互い敵同士だが、潰し合うのはお互い後でいい理論。ソラがいたら苦情の一つも言っただろう。だが、命を燃やしてまで、ルフィと戦う覚悟をしたガープを止められる者は誰もいない。
「おぃおぃ、冗談じゃねーぞ。麦わら屋。お前の爺さんだろう。こんな時に、伝説の海兵なんて相手にしてられねーぞ。それに、お前は、海兵だったのか!?」
「どういうことだ、麦わら。場合によっちゃ、お前を今この場で殺すぞ」
「知らねーーよ。なんで、爺ちゃんがここにいるんだよ。それに、コビーと知らないおっさんも。俺たち、今忙しいんだよ。そこにいるカイドウをぶっ飛ばさないといけねーーんだって」
緑牛は、間近で”カイドウ”を見て、真面にやりあったら勝てないと理解する。だが、鬼ヶ島を浮遊させ、ルフィ達との死闘の末、ダメージが確実に蓄積されている事も理解していた。ガープ中将と組めば勝算は十分あるレベルだ。
ダメージが色濃く残る四皇”カイドウ”。本当に、殺害の大チャンスだ。だが、今は素直に”麦わらのルフィ”を海軍チームは相手にする。もっと弱ったタイミングで戦う方が良いからだ。
それに、最悪、後詰めの部隊であるソラ達に任せればいいと思っている。
「なぁ、ガープ中将。俺も手伝うけどさ~。ソラにはしっかりと弁明してくれよ。カイドウを無視して”麦わらのルフィ”と戦う事になったって。コビー、お前は非能力者だから海楼石でしっかり抑え込めよ。奴を救いたかったら、分かってるな? そうしないと、麦わらは死ぬぞ」
「分かってます。ルフィさんは、僕が救ってみせます」
孫の命を守る為、ガープは覇王色の覇気を纏った。殺す気で。
「どうしてだよ、爺ちゃん。なんで、俺の邪魔をするんだ!?」
「愛、愛じゃよ。ルフィ」
ガープの踏み込みにあわせて、カイドウもローとキッドに狙いを定めて突進する。
◇◆◇◆
軍事同盟の死傷者の数は300人を超えた。負傷者は500人。”黒ひげ”討伐がパーフェクトゲームだった事もあり、これが現実だと数字が示す。
相手の本拠地に乗り込んで、丁寧に殺しているのだから当然の数字だ。だが、それでも士気は衰えない。圧倒的能力者を抱える四皇最強と名高い”カイドウ”の百獣海賊団。無傷で済むなど愚か者の考えだ。
「貴方達、海賊達が百獣海賊団をしっかりと処理しないからですよ。鉄人フランキー。なぜ、敵海賊を殺さずその場を離れるんですか。温情を懸けるべき相手ではないと思いますよ。教えてください、首だけになってもサイボーグなんですから話せますよね?」
火花をあげるフランキーの肉体。ビビが”破壊”慣れしたおかげで、クイーンよりお手軽に壊せた。サイボーグに使用されていた金属は、クイーンの物に酷似していた。親子で似ているとはこの事だ。
「ふ、ふざ・・けるな」
「兄様。その首をちょっと貸してくれますか? 硬い金属を切断するのは大変ですけど、分解するのは意外と簡単だと思いました。製造過程の逆をたどれば必然的に分解できると思います。昔から、こういうパズルみたいなのは得意なんです」
ソラがフランキーの首をホタルに渡す。そうすると、ルービックキューブを揃えるゲームをするかの如くクルクルと回転させながら部品を一つずつばらしていく。自分が解体される恐怖を感じつつ何もできないフランキー。
残された脳が格納されていると思われる部分。自分を改造してサイボーグになったというフランキー。彼の精神は人間を超越している。常識的に考えて、脳だけを残して他を改造するなんて狂気だ。
「あぁ~、インペルダウンに捕らえていたフランキー一味が無駄になりました。・・・これいりますか?もしかしたら、PLUTONの設計図が脳内にあるかもしれませんが」
「預かっておこう。ベガパンク送りにする手筈を整える」
ピーター聖が疲れた顔をしてフランキーの脳が入ったケースを受け取った。生命維持装置がないため、どの程度保管が効くか不明だが・・・天才科学者ベガパンクならきっと、何らかの手段で抜き出してくれると五老星達は信じていた。
「ヨホホホホ、フランキーさん!! 助けに来ましたよ!! あら?フランキーさんが先ほどまでここで戦っていたはずなのですが・・・。ええぇぇぇぇぇぇーーーー!?なんで、フランキーさんがバラバラにされているんですか!!??」
魂の姿で仲間を探していたブルック。
フランキーがソラとホタルと戦っているところを目撃して、骨の体と一緒に大急ぎで駆け付けていた。”麦わらの一味”に関する情報は、一通り入手済みの五老星。剣士という事もあり、ナス寿郎聖が前に出た。
「ヨミヨミの実か。こいつは、死んでいるから死なない。それにヨミの国を経験している。ベガパンク送り確定だ。あ奴らの実験にも活用できる。骨をバラバラにして、海楼石の箱にでも詰めればよい。ロロノア・ゾロの前座には不足しているが、準備運動位にはなるだろう」
「あの~、ブルック対策でラブーンをいつでも殺せる準備が・・・あ、はい、必要ありませんでしたね。どうぞ、ご自由に料理してください」
刀を使う強者の雰囲気がある年寄りが頼もしいとソラは思ってしまった。天竜人の全員が五老星みたいだったら、天竜人への苦情も相当数減るだろう。ソラは、大至急海楼石製の箱を持ってきていないか確認を急ぐ。だが、そんな都合の良い物はなく、海楼石の牢屋で代用する事になる。
ナス寿郎聖の剣技を観察するホタル。しっかりとその目で覚えてコピーする。悪魔の実の能力ではビビには勝てないと理解しているホタルだが、技術面ではホタルの方がだいぶ先を行っていた。