お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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120:火災のキング

 大看板”火災のキング”。百獣海賊団のNo.2と言われるルナーリア族の最後の生き残り。ゾロとの戦いに敗北した彼だが、歩けるくらいには体力が回復し、鬼ヶ島内部に戻ってきた。部下たちに治療をさせ、いち早くカイドウの元に馳せ参じようと思っていた。

 

 ”麦わらの一味”の力は強大だ。覇王色の覇気に目覚めたロロノア・ゾロまで戦いに加われば”カイドウ”の敗北もありえる。その最悪を避ける為、キングは必死だった。だが、鬼ヶ島内部を見たキングは、状況は彼が考えるより遥かに悪い事を知る。

 

 火祭りでバカ騒ぎしていた海賊達の気配がまるで感じられない。それどころか、見慣れない軍服を来た連中が鬼ヶ島に侵入しており、生き残っていた海賊達を殺していた。他にも、床から生えた木に貫かれ養分を吸われて死んでいる海賊など、右を見ても左を見ても死体しかなかった。

 

「侍たちの仕業・・・にしても、殺し過ぎだ。あの軍服、軍事同盟か!?」

 

「ご名答。いや~、良かったよ、屋敷内部に戻ってきてくれて。僕たちの中には飛行系能力者は少なくてね。ペルじゃ君の相手は勤まらない。だから、待っていたんだよ・・・この千載一遇のチャンスを」

 

 ワズキャン達がキングを囲む。

 

 百獣海賊団の最後の大看板。手負いの獣だが決して油断できない。キングの背中の炎はメラメラと燃えており、究極の防御が健在である証拠だ。それを突破するためには、技を繰り出す一瞬の隙を狙うのが正攻法だ。

 

「他はどうした?クイーンの馬鹿も居ただろう」

 

「あぁ、”疫災のクイーン”だったらソラ達が殺したよ。彼は、怨敵だったらしいから徹底的にね。残る大看板は、君一人なんだ。百獣海賊団の飛び六胞、君を除く大看板は全て殺したよ。”麦わらの一味”と”キッド海賊団”も残すは船長だけ・・・君達海賊は本当に海賊には甘いよね。お互い殺してないんだもん」

 

 ロロノア・ゾロの死。それは、キングにとって衝撃的だった。自分を倒した男が軍事同盟に倒されるなどあってはならない。強さこそ全ての海賊社会において、自分の上を行った男が軍事同盟なんかにやられるなど。

 

 クイーンの死よりロロノア・ゾロの死に対して、キングは絶望感を感じていた。

 

 それほどまでの強者がここにきているのか。カイドウだけでも、この命を懸けて逃がすべきなのかと。背中の炎が健在なのを確認したキング、この場に居る全員を殺してカイドウの元に駆け付ける覚悟を決めた。

 

「俺とお前達では、絶対に埋められない種族の差がある!! おれは、カイドウさんの為、お前達をここで殺していく」

 

 急に元気になったキングを見ているワズキャンやルッチ達。そりゃ、種族は違うなと皆が納得する。翼があり無敵のチートもある。それなのに、その全てを台無しにする悪魔の実。

 

 その時、壁を突き破り突進する軍事同盟の男が一人いた。その名は、イーロン。ジンベエとの戦いで片腕を失い、腕の生え変わりで弱体化したが、対能力者相手にはクソ強い現実は変わらない。

 

「魚人甲冑格闘(アーマークラシオン)”ベアハッグ” !!」

 

「力が・・・海楼石か!?」

 

 イーロンがキングの肌に触れて締め上げる。骨が砕けても可笑しくないパワーで締め上げているが、持ち前の無敵の防御でキングは無傷。

 

「はい、捕縛完了と。悪いね、だまし討ちみたいな事をして。ルナーリア族の特性ってのは厄介だってルッチからも聞いていたからね。でもさ~、そんな無敵の防御があるのに能力者になったら意味がないでしょう。それに、僕の個人的な見解なんだけどさ・・・ルナーリア族なんかより、種族的に魚人の方が強いでしょ」

 

「ワズキャン、あまり弱い者いじめは感心しないぞ。イーロンが抑え込んでいるとはいえ、四皇の大幹部だ。それに背中の炎は消えていない。ダメージは食らっていないという事になる」

 

 ルッチは、こういう無敵チートを倒す方法をソラから教わっている。

 

 ダメージが無効化という種族特性は、きわめて強力だ。だが、即死防御の特性ではない。ルッチが無言でキングに目隠しをする。これからどのような攻撃が行われるか分からない方が覚悟の決まり方が違うので有効だ。

 

「この場にソラがいたらダメージ無効のワンピースを手に入れたって喜びそうなんだけど、居ないから運がよかったね。ケイミー、そこらへんで殺してきた海賊を10人ほど持ってきてくれないかな。大量の水は無いけど、大量の血液なら準備できるよね」

 

「こいつら!! 俺の体で実験する気だな。はなせ!! っ」

 

 その瞬間、一瞬だけキングの意識が飛んだ。

 

 背中の炎が健在なのに発生した謎の現象。ダメージは確実に無効化されているのに意識が持っていかれるなんてあるのか。キングはすぐに原因を探る。

 

「ワズキャン。賭けは、俺の勝ちだな。ソラが言った通り、ダメージは通らないが即死攻撃なら殺せる可能性がある。首を切り落とす事には失敗したが、一瞬意識が飛んだのを確認した」

 

「へぇ~、じゃあ連続で同じ動作したら意識を失わせ続けられるってことかな。それなら殺せるかも。僕が考えた背中の炎を消火する作戦が無駄になるじゃん。そんなわけで、楽に死にたかったら早めに炎を自分で解除した方がいいよ。僕たち、絶対に君をここで殺すから」

 

「貴方達は、殺し方が物騒なのよ。地上に居る生物を殺すなんて私に任せれば簡単よ。アワアワの能力で頭部を包むでしょう。後は、一酸化炭素中毒になるように中で練炭でも一緒に焚けばいいのよ」

 

 カリファのお手軽無敵殺しの方法。実に理にかなったスマートな方法だった。動けないキングは、密閉空間で中毒死する。生命である以上、呼吸が必要だ。

 

「頭いいね。じゃあ、僕のメラメラで酸素を燃やし尽くすから。この方法ってカイドウにも効果があるんじゃない?後で、ソラに提案してみよう。閉鎖空間でのアワアワの実とメラメラの実のコンボ技」

 

 息が出来ずもがき苦しむキング。だが、イーロンは決して締め上げた状態を解放しない。海楼石で力がでないキングを抑え込むなど、魚人のイーロンにとっては赤子の手をひねるようなものだった。

 

 この世に無敵など存在しない。弱者とは強者を殺すために、あの手この手を尽くす。キングは意識が失われる中で、カイドウの無事を祈った。どうか、この場は恥を忍んで逃げてくれ、と。

 

 

◆◇◆◇

 

 ソラ達は、最終目的地である鬼ヶ島の屋上に来ていた。ソラ達が到着すると別の階段からこの地に到着したワズキャン達。誰一人仲間が欠けることなく到着した事にソラは喜んだ。

 

 元・CP9達だけは、ソラ達と行動を共にしている五老星達を見て現実に戻る。聖地マリージョアのパンゲア城から普段は出ないと言われている彼等がこの地にいる。どう考えても通常の方法での移動ではない。世界には、まだまだ自分たちが知らない事も多いのだと。

 

 覇気が衝突するこの現場、いつ崩壊しても可笑しくない状況になってきていた。この島を支えているカイドウも限界が近く、高度は下がる一方。これから始まる船長クラスの海賊討伐・・・どう考えても鬼ヶ島が耐えられるとは思えない。

 

 ソラは、電伝虫を手に取った。

 

『軍事同盟各位に告げる。主要な海賊達の首を取りました。これより幹部船員を残して全員撤収してください。ココからの戦い、鬼ヶ島に残っている貴方達は足かせになります。一般人も可能な限り救出し10分以内に撤収を完了させてください』

 

 今この場に居るメンバーが一斉に乱入して制圧する事もできるが、優しいソラはキッドとローに最後の見せ場を作る事を考えた。軍事同盟に出る被害は少ない方がいいし、海賊達には出来るだけダメージを残しておきたい。

 

 ソラは、バックパックよりキッドとローと書かれたワンピースを取り出す。命のやり取りをしている為、ワンピースは元気100倍といった感じでビクンビクンしている。最後に命を燃やして頑張ってもらおうと、豪水が入っている注射器を取り出しキッドとローのワンピースに注入する。

 

 豪水は、アラバスタの特産品で厳重に管理されている物だ。飲めば数分で死に至るが、命を対価に力を得る事が出来る希少品だ。

 

「ソラ聖。今、ワンピースに何を注射した?」

 

「ピーター聖・・・これは、元気が出るお水ですよ。とっても元気が出過ぎて、死んじゃうんですけどね」

 

 いつの間にか五老星の中でもワンピースと言う名称が共通認識になり始めた。近い将来ワンピースがワンピースに入れ替わる日も近い。

 




ワンピースを消費して戦うソラ。
残機補充をどこかでしないといけない。

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