お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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122:百獣

 力不足の結果、仲間が全滅した事実を知ったルフィの目に、光は残っていなかった。絶望・・・まさにそれが相応しい表情だ。若さとノリと勢いでどうにかできるレベルを既に超えていた。百獣海賊団と軍事同盟と海軍と世界政府を同時に相手にして勝ち抜けられる実力が備わっていなかった事を後悔するしかなかった。

 

 いつの時代も悪が栄えなかったのは、正義が強いからだ。世界政府発足後、今回のような事態は何度もあった。だが、それでも正義は勝ち続けた。そして、今の時代が出来上がった。

 

 ソラは、ルフィを確認し、満足してか準備運動を始める。軍事同盟各位もこれからの激戦に備える。カイドウの体力は目算で多くても3割。ローとキッドが命を懸けて十分削ってくれた。最後の大技もむなしく、”カイドウ”にとどめを刺すに至らず、”雷鳴八卦”で岩盤送りにされノックアウトされている。

 

 ”カイドウ”は、目の前の敵を倒し終えて、初めてソラ達に気が付いた。今まで、気を抜けば死ぬ可能性があった戦い。明確な敵意がない者への注意がおろそかになっていた。だが、今は違う。明確な殺意が”カイドウ”に向けられる。

 

「ウォロロロロロロロ!! まだ、居やがったのか。麦わらの野郎は、ガープにやられたのか。なさけねーな。で、次はどいつが俺の相手をするってんだ。にしてもだ、ガキと女と年寄りばかりじゃねーか」

 

「時間稼ぎで回復を待たれると面倒なので、全員で相手しますね。逃げないでくださいね、世界最強の生物”カイドウ”。もう、貴方の時代は終わったんです」

 

 ソラ達が能力を解放する。覚醒フォルムになるガキと女と老人・・・”カイドウ”は、侮っていたわけではない。だが、全員が覚醒済みの能力者だとは想定していなかった。今までのローとキッドとの死闘は前座。これからが命を懸けた最終決戦だと”カイドウ”は理解した。

 

「おもしれぇぇぇぇーーー!! 最高におもしれぇぇーーーじゃねーかよ。この俺の命に王手が掛かっている。そうだ、これが命のやり取りだ。最後の晴れ舞台だ、歓迎するぜ”海賊狩りの王女”一行。俺は、お前が気に食わなかった!! 何が二代目ビッグ・マムだぁぁぁぁ!! リンリンはアイツだけだぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ”大威徳 雷鳴八卦”!!」

 

「怖い怖い。”ポジションチェンジ”」

 

「相当拗らせていますね。”リビドー”!! ビビ、見せてあげなさい」

 

 全身覇気で覆い強化されている”カイドウ”に状態異常は通りにくい。だが、今の”カイドウ”なら瞬間的にソラとホタルの能力が通る。

 

 股間の位置が絶妙に気になる位置にずらされ、ムラムラする気分になった”カイドウ”。この戦場において一瞬の迷いは致命的だ。

 

「これが、全力全壊!! ”震破(グラッシュ)”!!」

 

 ビビの拳がカイドウの攻撃と拮抗し、徐々に押し始めた。カイドウと比べて華奢な肉体の女であるビビに押し負ける”カイドウ”。信じられない物を見るような反応をするも、今起こっている現実を受け入れる。

 

 そして、ビビの能力がグラグラの実である事を理解した。

 

 白ひげから黒ひげに能力が渡った事までは、”カイドウ”でも知っていた。だが、その能力が更に別人に渡っていることまでは初耳だ。

 

「馬鹿な。ありえねーーだろう。その能力は・・・いいや、そうじゃねーな。面白くなってきたじゃねーーーか!!」

 

 ”カイドウ”の覇気がさらに膨れ上がる。命を燃やしてのパワーアップ。この死合、勝たねば死ぬ。つまり、命を燃やすに値する。ルフィのギア4と戦い”カイドウ”は、その原理を理解した。心臓の鼓動を早くさせ、血液や酸素の循環を早くする自己ドーピング。”カイドウ”の肉体と竜の耐久力があれば、マネできてしまう。

 

 ビビが押し負けて吹っ飛ばされた。

 

 岩に激突したが、軽い打撲と血を少し流す程度の負傷だ。自然系(ロギア)の力で肉体を再構成してすぐに治療を終える。軍事同盟最強の一人ビビが真っ向から撃ち負けるなど、珍しいにもほどがある。

 

 これが四皇の実力だ。

 

 だが、カイドウとて無傷ではない。彼の棘こん棒が砕け散った。武器破壊。グラグラの実の能力を使った技だ。金属のような物質はビビにとって実に破壊しやすい。

 

 ここからが三度目の頂上戦争の始まりだ。

 

 対能力者最終兵器フルアーマー・イーロン。カイドウは、ご自慢の棍棒を失った。全身裸のような男だ・・・イーロンが触れさえすれば悪魔の実の能力は封じられる。

 

「ソラ、ホタル。お前達の能力は後方支援だ。期待しているぞ。ビビは、儂らと一緒に前衛じゃ」

 

動物系(ゾオン)なら分かりますが、私は自然系(ロギア)超人系(パラミシア)ですよ。肉体スペックだって、女の子なんです」

 

 女の子。その発言に一番驚いたのは”カイドウ”だった。

 

 まさか、自分と殴り合いを拮抗させた女が自称女の子だ。ビッグ・マムも超人系(パラミシア)でカイドウと殴り合えた事を考えると、やはり二代目ビッグ・マムかなと思い始めた。

 

「嘘つけぇ!! おれと真っ向から殴り合える奴が、女の子とか抜かすんじゃねよ!! くっそ、認めたくねーが、二代目ビッグ・マムじゃねーか。あいつもよ、昔は美人で気立てが良くて、頼りがいがある姉後肌のいい女だったんだぜ。だから、将来を楽しみにしておけよ、女は化けるからな」

 

 実体験を元にして、ソラとホタルに恐怖を叩き込むカイドウ。

 

 カイドウは、世界経済新聞もしっかりと読んでいる。つまり、ビビの王配である二人の事も知っていた。人生の大先輩であるカイドウからの言葉・・・それは、いつまでもソラとホタルの心に残り続けるだろう。

 

・・・

・・

 

 カイドウの動きを阻害し続け、仲間の支援に徹する緑牛。

 

 カイドウの股間を操作し、仲間を支援するソラ。

 

 カイドウの欲情を操作し、仲間を支援するホタル。そして時を止め、緊急回避で仲間を救う。

 

 撃水でカイドウの傷口を的確に貫き、仲間を支援するケイミー。

 

 メラメラの炎でカイドウの視界を遮り、仲間を支援するワズキャン。

 

 組手でカイドウの能力を封じ、仲間を支援するイーロン。

 

 六式でヒットアンドアウェイを繰り返し、体力を確実に削っていく元・CP9達。

 

 実直拳骨(オネスティインパクト)でカイドウのタマを完全に潰し、男として再起不能にしたコビー大佐。*1

 

 不死の特性を最大限に生かして骨を切らせて肉を断つ攻撃を繰り返し、カイドウの肉体を物理的に削り取る五老星達。

 

 それでもカイドウは、生きている。血を流し過ぎて、長くはもたないだろうが、まだ戦うという意思がそこにはあった。

 

「ウォロロロロロロロ!! まだだぁ、まだ俺は死んじゃいねーぞ!! 来いよ、ガキども。お前もそこそこ戦えるんだろう。さっきから後方でチクチク嫌な攻撃してきやがって」

 

 ソラとホタルに対して、カイドウが誘いをかける。

 

 だが、四皇”百獣のカイドウ”からの誘いを断る。完璧な包囲網を崩してまで戦う意味はない。海賊は囲んで磨り潰す。その基本方針を守ってきたからこそ、軍事同盟はここまで生き残ってきた。

 

「お誘いはうれしいのですがね。お断りいたします。その代わりに、彼女が相手になってくれますよ。ビビがこの場に居ない事に気が付きませんでしたよね?それどころではありませんでしたから」

 

 ペルの背に乗り急降下してくるビビ。アラバスタの必殺コンボ。

 

 この世のすべてを貫き、島すら砕く一撃・・・IXAに込められる覇王色の覇気とカビカビの能力とグラグラの能力。そこに時速300kmにも達する速度とビビの六式による加速も加わる。

 

 ビビがIXAに全てを込めて投げた。

 

「"梵天よ、我を呪え(ブラフマーストラ・クンダーラ)"!!」

 

 カイドウの脳裏に次の行動が浮かぶ。

 

 迎撃・・・不可能。

 防御・・・不可能。

 回避・・・不可能。

 生存・・・不可能。

 

「俺の航海もここでおしまいみたいだな。リンリン、あの世で同盟でも組もうぜ」

 

 ビビが投げたIXAは、カイドウを、鬼ヶ島を、ワノ国を貫き海底に刺さる。胸元に大きな穴をあけたカイドウは、大の字で倒れる。我が人生に一片の悔いなし、と。

 

 砕け散る鬼ヶ島・・・カイドウの能力での支えが消え、地上まで落下を始める。その最中、ソラは最後の仕事を行った。岩盤送りにされて虫の息のキッドとロー。彼等の心臓の鼓動はまだ続いている。こういう状況で行方不明になると後から復活されるので、しっかりと首を刎ね飛ばす。

 

 伝説のスーパーアラバスタ人・・・その瞬間をモルガンズのカメラはしっかりと捉えていた。もはや伝説を超えて、アラバスタ神話の始まりだ。

 

*1
※ココが一番ダメージが通りやすかった。




生き残りは潜水艦にいる"ハートの海賊団"、キャロット、ヤマトと言った感じです。
魚人部隊がいるから、時間の問題でハートの海賊団も・・・。

さて、解放されたワノ国・・・モモの助さんも喜んでくれるでしょう。
約束通り海賊を根絶やしにして、カイドウを倒して、国の再興に力を貸す!!
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