お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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ワンピースのロゴのIがナニになっとる!?


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※一枚目は運営から怒られたので、削除しました。


123:女の恨み

 カイドウの死と百獣海賊団の崩壊。

 

 その大ニュースにワノ国中は、歓喜した。残っている百獣海賊団は、火祭りの日に鬼ヶ島に招待されず地方を任された海賊達のみだ。当然、そのような海賊がどのような末路を辿るかは明白だ。

 

 ワノ国に残っていた侍達が、押し寄せて皆殺し。草の根分けても殺してやると、20年の恨みと執念を懸けて血眼になって探して回った。その結果、残党だった海賊達も数時間のうちに全て狩りつくされた。

 

 これが狂気に染まった民衆の力だ。赤鞘たちが居なくても集団で殺せば、海賊は死ぬ。そして、そのすべてが終わった頃になり、治療時に眠らされた赤鞘たちが目覚める。彼等が目覚めたのは、オロチが住んでいた城だった。

 

 彼等の傍には、モモの助と彼の妹である日和が居た。

 

 主君である二人が同室に居た事で、赤鞘たちは安堵する。そして、今の状況について説明を求めた。今いる場所が鬼ヶ島でなく、将軍の城。更に周囲は、歓喜の声で満ち溢れている。

 

「錦えもん。カイドウは死に、百獣海賊団は全滅した」

 

「なんと!! 某たちが寝ている間に・・・なぜ、寝ていたんだ? ソラ殿達に治療をされてから今まで記憶がない。だが、カイドウが死に、百獣海賊団が全滅ともなれば大金星ではありませんか。どうして、そんなに暗い顔をなさっておられる」

 

 これで、ワノ国は解放される。将軍は、光月モモの助となる事が決まった。

 

 どうやってカイドウが死んだかなど、色々と疑問が残る赤鞘達。だが、百獣海賊団の全滅よりハッピーな事はない。あったとしても些細な事だと思っていた。

 

「すまぬ、錦えもん。拙者が・・・拙者がやらかしてしまった。拙者は、軍事同盟からワノ国の土壌や水質改善、食料を手に入れる代わりに海賊を根絶やしにする許可を出した。それがこのような事態になるなど、想定できんかった」

 

「はぁ~? カイドウによってワノ国は見る影もなくなり、軍事同盟がそれを直してくれるのならば良いのではないでしょうか? むしろ、貰いすぎな気も致します。ソラ殿達が軍事同盟のトップだとは言え、ここまでされて何も返さないのは仁義に反します」

 

 どう考えてもワノ国にメリットしかない取引だ。海賊を根絶やしにしてくれるだけでなく、土壌や水質の改善、食料までくれる。その条件を相手から引き出したモモの助は稀代の大将軍として後世に名を残す。

 

 モモの助がつらい顔をして続きを話す。

 

「その海賊達にルフィ達が含まれていても、そうもうすのか」

 

「モモの助様、このような場で冗談はいただけませんぞ。海賊と言っても、ルフィ殿たちは良い海賊でござる。モモの助様、そろそろ嘘だとおっしゃってください」

 

 モモの助は、ソラ達から全てを聞かされている。現状、生存しているのは、ルフィ、フランキーの脳殻、ブルック。その他の”麦わらの一味”、”キッド海賊団”、”ハートの海賊団”は、全て殺されている。

 

 そして、ワノ国の民衆はモモの助が海外勢力を連れてきて海賊を討伐した事に心底感謝し、崇拝している。もはや、国民に良い海賊もいたなど言っても通じないレベルだ。

 

「いいや、ルフィとブルックは生きておる。フランキーも一応・・・後は、全員死んだ。拙者が海賊を根絶やしにする許可を出したからだ。これだけは言わせてくれ、結果が変わらぬならば国益を取るしかあるまい。それが将軍の務めなんだ」

 

「ぐぐぐぐ、理不尽でござろう。仮にも、ワノ国の為、命を懸けてくれた者達ですぞ。それなのに、我々が守ってやらず、どうするのですか。武士の情け、仁義はそこにはないのですか!!??」

 

 モモの助に助け船を出すため、部屋の外で待機していたソラとホタルが入室する。二人は、この国に合わせて和服を着ている。着こなす姿は、良家のお手本みたいだ。

 

 赤鞘達は、傍に置かれていた刀を手に取り、いつでも戦える構えをしている。

 

「私達は話し合いに来たのですから、落ち着いてください。その証拠に、貴方達には危害を加えていませんし治療も施しました。刀だって傍に置いてあったでしょう? だまし討ちみたいに睡眠薬を投与した事は謝罪します」

 

「なぜだ、ソラ殿。どうしてこのような暴挙に出たんだ。協力してカイドウを討伐すれば良かったではないか」

 

 海賊・侍同盟ではなく、海賊・侍・軍事同盟でカイドウを狙えば被害は確かに減っただろう。だが、その結果、海賊への被害が少なくなり、結果的に将来大きな被害が出る。今だけを見てはダメだ。

 

「無理ですよ、錦えもんさん。私達、海賊が大嫌いですから。そもそも、海賊を根絶やしにする為に軍事同盟まで結成して、新世界で海賊を殺して回っているんです。無償で、自己満足で。それに、”麦わらの一味”について、あなた方は無知過ぎます。どうせ、こういう事態になるかと思って、彼等の行動を纏めてみました。それを熟読してから、会話をしましょう。我々は、明日の朝には出港します」

 

「待てぇい。約束の土壌改善と水質改善はどうなっている!?」

 

 流石は未来の将軍。国益の事をしっかりと考えている。

 

「緑牛さんとビビの力を甘く見ないでください。丸一日あれば、ワノ国の汚染された場所程度、改善されていますよ。疑うようならば、ご自身の目で確認してください。それと、食糧問題はビビがキノコ農園を作りましたので、しっかりと管理し栽培すれば食うに困らないでしょう」

 

 隠れ潜んでいる犯罪者や海賊を根絶やしにする為に緑牛とビビが国内を隅々まで周り、土壌改善と水質改善のついでに対応をしていた。安全な水と安全な土壌・・・これにより、ワノ国は農業を行える。

 

 そして、働くほど生活は豊かになっていく。

 

「そ、そうか。ソラは約束を違えないからな」

 

「当然です。国家と国家の約束です。それを違えるという事は戦争で解決するほかありません。今回の約束は、ワノ国と我々軍事同盟参加国の各国との約束です・・・覚えておいてください。で、私達からのお願いについては、お調べいただけましたか?」

 

 モモの助は懐にある調査結果を取り出しソラに渡した。ワノ国について、地の利がある者達に依頼した方が的確で早いから頼んでいた・・・ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロングの船長にして、ソラ達の恩人ハセガワさんについて。

 

「五年前に・・・」

 

「ありがとうございます。残念でした。ハセガワ家の誰かが存命でしたら、この刀をお返しできたのですが。せめて同じ村に奉納させていただきます」

 

 ソラとホタルが深々と頭を下げて退室した。

 

 その姿に赤鞘達も双子が悪人には思えなかった。恩人の刀を返したいなど、侍からすれば感動ものだ。だが、同時にルフィ達を始末した者達でもあり複雑な感情になってしまう。双子が退室した後、残された者達は”麦わらの一味”の経歴を確認した。

 

 アラバスタ、ドレスローザを救ったなど良い情報もあれば、結果的に彼等が来たお陰で発生した被害額が天文学的な物になっている。後始末にかかった費用もしっかりと明記されている。

 

 三歩進んで二歩戻る・・・まさしく、それが似合う経歴だった。これで、インペルダウンの一件が無ければ、プラスで終わっていた経歴だが、その一件が重た過ぎた。

 

「拙者は、お主達が寝ている間に確認しているから、何も言わぬ。日和も同じだ。今回の事、理解はしているが納得はしておらん。だが、結果的に彼等はワノ国を救っている。その事実も踏まえるべきだ」

 

「モモの助様、ルフィ殿はまだ生きていると聞きました。会う事は出来るのですか!? せめて、詫びを入れさせてください」

 

 錦えもんの申し入れに、モモの助はつらい顔をした。当然、今回の引き金を引いてしまったモモの助は真っ先に詫びにいった。裏切り者と罵られるならばマシだった。だが、心を閉ざしてしまったルフィにはどのような声も聞こえていない。

 

「だめじゃ、ルフィは・・・廃人になっておった。拙者を見ても何の反応もしめさん。裏切り者と罵られた方がどれだけマシだったことか。ルフィの事を忘れろとは言わぬ。だが、これからのワノ国の為、お主達の力を貸してくれ。拙者を支えて欲しい」

 

 その言葉に赤鞘達の全員が膝をついた。そして、「お任せください」と声を合わせる。過去ではなく未来を見る。確かに、カイドウとの戦いで不幸はあった。だが、どのような方法であれ悲願は成就された。

 

 どんな犠牲を払ってでもと、戦う前に誓った事を彼等は思い出した。

 

 

◇◆◇◆

 

 田舎の村にある一つの墓前で線香をあげ、両手を合わせるソラとホタル。ボロボロになっているハセガワ家の墓地を綺麗に掃除し、お供え物までしている。

 

「お返ししに来るのが遅くなりました。ハセガワ船長の最後はご立派でした。貴方の息子さんが居たから、私達が生きております。そして、ワノ国から海賊を根絶やしにできました」

 

「ハセガワ船長は、見ず知らずの兄様と私を乗船させてくれました。ご立派なご子息でした。ご恩、生涯忘れません。ありがとうございます」

 

 通りすがりの旅人として、ハセガワ船長の故郷を訪れた二人。彼等が村のお寺に二本の名刀を奉納する。嘗て、ハセガワ家が所有していた刀であり村の宝。寺の住職が二人の名を尋ねる。

 

「ネロナ・ソラ」

 

「ネロナ・ホタル」

 

 二人の名前は、刀が奉納されたお寺に刻まれる事になる。そして、その意味が理解できるものは決して、寺に対して悪い事をしないだろう。

 

・・・

・・

 

 ソラとホタルが花の都に戻ると、人通りが少ない道に狐の仮面を被った女性がいた。髪の色は緑で長身の女性だ。彼女の手には刀が握られている。刀の扱いに慣れていないのか、重さに苦労していた。

 

 ソラは、電伝虫を取り出しある所にかけた。

 

『モモの助君。今私の目の前に、緑色の髪をした長身の女性・・・天羽々斬を持って殺意むき出しだが、弁明を聞こうか?』

 

『緑髪?長身の女性・・・!!?? ひ、日和!? 待ってくれ、ソラ。これは何かの間違いだ。錦えもん!! 大至急、日和を探し出せ。部屋も開けて構わん。居なければ、花の都にいるソラ達の所に急げ、このままでは日和が死ぬ』

 

 ソラは、謎の女性と一定の距離を保つ。しかし、電話口でモモの助が襲われる可能性があるソラの心配ではなく、日和の心配をしている事が謎だった。常識的に考えて、無防備の子供であるソラとホタルを心配すべきだ。

 

 女の執念程恐ろしい物はない。何か秘策を持っている可能性もある。ソラとホタルを同時に相手にすることになるのに、戦闘力が皆無の女性一人で来るとはソラには思えなかった。

 

『モモの助君。万が一、目の前の女性が光月日和だった場合、私かホタルに危害をくわえるならば、軍事同盟とワノ国は開戦します。ですが、他人の空似ならば別。この世には、三人は同じ顔の人間がいると言います。それに、私にはこの状況がモモの助君の謀略なのか判断できません』

 

『拙者がお主達に対して謀略を働いて何になる。カイドウの一件は、全て終わった。赤鞘達にも納得してもらった。確かに、日和はゾロ十郎の事で色々思うところはあったんだろう。だが、今は一時の気の迷いだ。拙者たちが駆け付ける故、何もせずに待っていてくれ』

 

 花の都の城からピンクの竜とそれに乗った赤鞘達が急行してくる。

 

 何もせずにか・・・それでは、殺されてしまう。

 

「兄様、我々二人では赤鞘全員を相手にするのは些か厳しいかと。どちらかが死ぬ可能性が高いです。刀も奉納してきましたので」

 

「あぁ。なるほど。緑牛さんとビビは国土改善中。ルッチ達は出港準備で一時離れている。今ほど、私達を殺す機会はないという事ですか」

 

 ソラは、困った困ったと言い。モモの助との通信を切った。代わりにビビに連絡する。

 

『ビビ、この電伝虫の通信が途切れたら、ワノ国の裏切りで私は死んだと思ってください。無防備の私とホタルでは、完全武装の赤鞘では分が悪い。兄として、ホタルだけは逃がしてみせます・・・ビビ、子供の名前はユウカなんてどうでしょう?きっと、頭のいい子に育ちますよ』

 

『嘘でしょう!? 裏切るにしても、早すぎるわ。ソラ、ホタル生き残りなさいよ。とりあえず兎丼の方角に走りなさい。そこで合流するわ。ルッチ達にも連絡してすぐ向かわせるから』

 

 敵前逃亡。ソラとホタルは、回れ右をして全速力で兎丼に走る。こういう時、動物系(ゾオン)だったら有利だったのにとソラは思った。

 

 それを目撃したモモの助達は、必死に誤解を解こうと追いかける。だが、ソラ達は逃げ続ける。捕まれば殺されると思っているソラ。捕まえて誤解を解かねばワノ国の未来はないと思っているモモの助達。

 

 その競争は、兎丼まで続いた。

 

 無事に合流を果たした軍事同盟の者達とモモの助達は睨みあう結果になる。ソラ達を前に刀を抜いて立ちはだかったのは光月日和で間違いなく、ゾロのかたき討ちだったと判明した。女の恨み程この世で恐ろしい物はない。

 

 だが、この一件で信頼関係にヒビが入る。魚人島同様にワノ国への信頼は、完全になくなった。ワノ国との交渉は、今後電伝虫経由でのみ行われる事になる。

 

 この一件で軍事同盟は、国土改善を半ばにして引き上げる事をワノ国全体に周知した。約束と違うではないかと文句を言う人は誰もいない。光月家の長女による大事件だ。ソラ達としても、身の危険を我慢してまで他国の国土を改善してやる必要は何処にもない。

 

 命の危険を感じたソラ達は、即刻出港する。また本件に対して、何ら賠償を求めないソラ達。それは決して相手を許さないと言っているのと同義だ。

 

 そして、すれ違うようなタイミングで四皇”赤髪のシャンクス”がワノ国を訪れた。その際、モモの助はこれ以上海賊と関わりたくなかったため、即刻出て行ってくれと追放する。

 

 この時、万が一にも四皇”赤髪のシャンクス”の名義を借りて、国土を守ろうと考えたのならばモモの助の政権は長く続かなかっただろう。

 




ワノ国編はこれにて完了!!

世界情勢を挟んでから、存在しない話をやろうと思います。

主に、ヤマトとキャロットの現状、ビビの日常、ミホークの現状・・・そして、バギー編か「ONE PIECE FILM ABYSS」。

明日で休みも終わりなのが悲しい。
つまり投稿ペースも落ちてしまうのでご容赦ください。
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