世界会議により、王下七武海制度が廃止になった。そして、大事件が次々に起こった。海賊達は恐怖して、集団で暴力に対抗しようと四皇”千両道化のバギー”の元に集結し始めていた。
そんな中、 クライガナ島シッケアール王国に住む“鷹の目のミホーク”は、ワインを飲みながら世界経済新聞を読んでいた。時代が変わりつつある今、彼には・・・何の変化もなかった。
ここ数か月以内に発生した事件だけでもこれだ。まさに、世界の均衡がこの世の悪を浄化しようとしていた。
元・王下七武海”天夜叉”ドンキホーテ・ドフラミンゴの死亡。
元・王下七武海“海賊女帝”ボア・ハンコックの死亡。
元・王下七武海”死の外科医”トラファルガー・ローの死亡。
元・王下七武海”海侠のジンベエ”の死亡。
元・王下七武海”暴君"バーソロミュー・くまの実質死亡。
元・王下七武海”白ひげの息子"エドワード・ウィーブルは、逃亡中。
四皇”黒ひげ”の死亡。
四皇”百獣のカイドウ”の死亡。
海軍と王下七武海と四皇で世界のバランスが取れていたが、完全に崩壊し始めた。そして、それに加わるように"最悪の世代"と呼ばれていた者達は、"麦わらのルフィ"を残し全滅。一つの時代が終わった。
次に備えてミホークも準備を進めていた。いつ、自分の首が狙われるかわからない。だが、一向にその時は来なかった。だが、代わりに変化があった。
定期的に、この島には物資が漂流する。そこには、ミホークが好きなワインと植物の種。そして・・・非加盟国で食うに困った子供達だ。それも女の子だけ。だから、ミホークは女の子を連れて帰り世話をしながら、農作物を作っている。毎日、農業に勤しめば食うには困らない。
それが、全てソラの作戦だった。
世界最強の剣士をシッケアール王国にくぎ付けにして生涯を終わらせる。元々、好戦的な性格でもなく、単独存在だ。彼が一人で略奪を行ったとしても被害は常識の範囲内。破壊の限りを尽くす性格でもない。
ギリギリの食糧と医療物資を定期的に届ける軍事同盟の魚人部隊。化け物級のミホークを倒すための長期的な作戦だった。刀を握る時間より農具を握る時間を多くさせる。相手が作戦に気が付いても問題はない。
自己の意志で島から絶対に出さない作戦。海洋国家しかないこの世界では、それが出来てしまう。大小様々な国があるが、魚たちを味方につけている魚人に感づかれず出航する事は不可能。
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ミホークは、朝起きて食事を作り、農業に勤しみ、子供達の面倒を見る日々が続く。人の世話を焼くなど彼にとってなんて事はない。一時期は、ゾロやペローナだって住んでいた。その延長線でしかないと思っていた。
定期的に流れ着く物資の量をありがたく思っていた。だが、ある時、気が付いてしまった。
「これは、嵌められたな。なるほど、敵を殺すにはそういう方法もあるのか。勉強になる」
「ミホークおじさん。このかぼちゃ、私が育てたんだよ。すごいでしょう」
農作業を手伝う子供が、育てた野菜を自慢しに来る。ほほえましい光景だ。この子供達は、世界政府非加盟国で色々な事情で捨てられた子供達だ。基本的に碌に食えていない。ひもじい思いばかりしてきた連中で、愛にも飢えていた。
そして、この島には大人はミホークだけだ。彼の傍以外で安全な場所はない。凶暴な野生の獣たちが生息しており、女の子なんかは餌同然。
「あぁ、大きく育った良いかぼちゃだ。・・・俺もまだ、情という物があったんだな。こうなると、相手からの接触を待つしかあるまい」
「やったーー。ミホークおじさんに褒められた~、褒められた~」
ミホークが面倒を見る6人の子供。手が掛かる年頃であり、よく食べる。つまり、それだけ食料を作らないといけないし、刀を握る時間も減る。だが、抜け出せないループだ。
そして、次の物資がミホークの元に届いた。
そこにあったのは、初等教育の勉強道具だ。子供達に、学問を教える・・・この島で大人はミホークだけだ。ただですら、刀を握る時間が減っているのに次は勉強も見る必要が出てしまう。
だが、このまま馬鹿な大人に育っていいのか。世間知らずでいいのか。悪い大人に騙されてしまうかもしれない。労働時間が減れば、食料自給率が落ちる。誰がその分頑張るのか・・・ミホークだ。
それからも、ミホークの元に物資は届けられた。
女の子の衣服、化粧品など可愛らしい物なども色々と。そして、レディースコミックやピンクの液体が入った小瓶(意味深)なども紛れ込ませている。ミホークは何も知らずにそれを子供達に与えていった。
女は、男に比べて色を知る年齢も早い。そして、自分たちを守ってくれて、育ててくれて、教育してくれて、服や化粧品、娯楽まで提供してくれる。イケメンの世界最強の剣豪がいればどうなるか答えは簡単だ。
軍事同盟が選び抜いた非加盟国の孤児は、的確に相手の懐に飛び込む。性格診断テスト、異性への免疫、理想の男性像など様々なテストを突破した天性の才能を持つ孤児だ。同じタイプの女は用意せず、仲良く男を共有できそうな無自覚さも大事だ。
ミホークが飽きないようにしっかりと配慮された包囲網だ。
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島からも抜け出せず、毎日子育てに付き合わされたミホークの元に、電伝虫が一つ届けられる。いつも通り、物資と一緒に。だが今回はいつもと違っていた。保存食が非常に多く子供達だけで数か月は食っていける量だ。
プルルルと電伝虫がなり、ミホークが取った。
『要件を聞こうか』
『話が早くて助かります、ジュラキュール・ミホークさん。こちらは軍事同盟です。今お話しさせていただいております私は、ネロナ・ソラと言います。実は、お願いがあります。四皇”千両道化のバギー”達を一緒に殺しに行きませんか?』
相手の誘いに乗って逃げる事は出来る。この島さえ出てしまえば、後は何とでもなる。だが、ミホークは一枚の絵を見つめていた。それは、女の子からのプレゼント。子供達と農作業をするミホークが描かれていた。
『島を出る手段がない』
『我々の軍艦がお迎えに上がります』
ミホークは、遠くに軍艦の影を見つけた。
『お前達が送り込んだ子供達は、どうすればいい?』
『ご一緒に連れ出しても構いませんが、四皇との戦いで邪魔になってはいけません。我々軍事同盟の者が責任をもって守ります』
この島にいる野生動物に勝てる者を希望するミホーク。それを、相手は飲んだ。
『・・・いいだろう。報酬は?』
『二つご提供できます。一つ、貴方と子供達の身の安全。二つ、金銭と引き換えに貴方の島に望む物資を届けるサービスを提供します。下着一枚から海外旅行までお届けします。子供達との生活をより豊かにしたくはありませんか? 』
ミホークは、物資に同梱されていた通販雑誌を確認する。パンツ一枚から軍艦まで何でも金次第で揃えてくれるという。本来は、天竜人向けのサービスだ。
『ふっ、俺が言う事でもないが碌な死に方はしないぞ』
『天竜人をやっている時点で理解しています。海賊をやっているそちらも同じでしょう。精々、海賊を狩りつくしてから死んでください。私は、海賊は大嫌いなんです。だから、海賊を使って海賊を殺すんですよ』
ミホークは、一か月くらい前に天竜人になった双子の事を思い出した。世界経済新聞で海賊が大嫌いという記載があった。
『最後に、一つ聞いていいか。この通販雑誌にあるワンピースとはなんだ?詳細なしで値段が時価。サービス提供元が軍事同盟のソラとなっているぞ』
『本当に興味があるなら見積もりを出します。希望のサイズと女の子からの同意も忘れずに』
ミホークは、
これだけ揃えれば、バギーも殺せるだろうか。
まだ足りぬか。
優しいソラから、愛の籠ったプレゼントを受け取ったミホーク。
お前は、飼い殺しだ!!