海賊として、凡そワンピース以外の全てを手に入れ、全てを失った”麦わらのルフィ”。その彼が航海に出て三年未満など信じられない、と言う海賊達も数多く存在する。中には26年以上も経過しているなど、存在しない記憶を持つ者も沢山いると言われている。
成し遂げた偉業から考えると数十年キャリアを積んだ大海賊でも厳しい。才能の差で片付けられるレベルを超越している。死んだ四皇達でもここまで短期間で同じ事は成し遂げていない。
世界経済新聞は、四皇”カイドウ”並びに百獣海賊団、”麦わらの一味”、”キッド海賊団”、”ハートの海賊団”が同時に滅んだと掲載していた。唯一の生存者と公式発表でなっている”麦わらのルフィ”は、軍事同盟の元で完全拘束されており、適切な処置をする準備が整うまでは、ある場所に幽閉される事が決定した。
その幽閉場所は、ソラが最大限警戒していたホビホビの実の能力者を隔離している深海10万メートルにある秘密の場所だ。活火山も近くにあり、魚人であっても近寄る事は難しい。
今回の作戦期間中は、軍事同盟の軍艦に用意されている海楼石製の檻にいる。百獣海賊団との戦いに備えて、大看板を収容しても十分な強度と設備が準備されていた。そこに隔離されたルフィ。
ガープが檻越しにルフィの前に座る。
ルフィは、海楼石製の椅子に固定され、海楼石製の手錠、指錠、首枷、足枷、口枷、全身拘束具で固められていた。栄養は、点滴で一般成人男性が必要な最低限のみ。血液を限界まで抜き取っており、常時貧血状態にさせている。
問題が発生すれば、ルフィの部屋ごと海中に隔離され、魚人部隊が溺死させる手はずになっている。ガープが面会する時でもその警戒は解かれない。むしろ、裏切って逃がす可能性があり要注意人物に指定されている。
「ルフィ、儂は何度もお前に強い海兵になれと言った。なぜ、儂の言う事をきかん。エースも、お前も・・・年寄りを置いて逝くのか。お前らバカ孫たちは、何処に行こうというんじゃ。海賊なんぞ、未来はない」
「・・・」
ルフィは一切の反応を示さない。生きる屍・・・廃人となっている。
命を削りエースを救出に向かったが失敗し、心が砕かれた時以上の衝撃をルフィは受けていた。失ったのは、ここまで航海をしてきた大事な仲間。誰一人救えていないと思っている。
「ルフィ・・・本来は教える気はなかったが、フランキーの脳殻とブルックは生きている。アレを生きているというならばな。だが、儂には救えん。儂には、お前しか救えんのだ。どんなに恨まれても儂はお前を生かす。安心しろ、ベガパンクの科学力は世界一じゃ」
「・・・」
ぴくぴく
ルフィは僅かに生存者がいる事に反応する。生きる意志がない者を生存させる事は困難。僅かの希望でもあれば、人は生きられる。その意志にガープは賭けていた。
「それにしても、この状態の息子に会いにも来ないドラゴンの奴は、薄情だな。何処で育て方を間違った事やら。ルフィ、安心しろ。全員は無理じゃが、回収できた
「・・・」
孫の為なら倫理観など糞くらえだと、考えるガープ。廃人となりこのまま死ぬくらいなら、ベガパンクの科学力でこの3年ほどの記憶を全て消し去り、やり直させる。航海に出るという本能までは抑えられない事はわかり切っているため、元・船員の遺伝子を使ったセラフィムを建造させ乗船させる計画になっている。
海賊ではなく、冒険家としてやり直させる。
「儂が、お前を冒険王にさせてやる。恨んでくれて構わんルフィ。爺ちゃんが死ぬその時まで付き合ってやる。爺ちゃんが副船長で、コビーが航海士じゃ。移動する海軍sword支部として予算も海軍からもぎり取ってやる」
「・・・っ」
祖父の思いが、凍り付いたルフィの心に染みる。だが、海賊へのロマンは簡単には消えない。嘗ての思い出がすべてリセットされる。ルフィの生存ルートはそれしか残されていなかった。別人として生きる。
これを酷いと言う者もいるかもしれない。だが、他に道はない。
五老星達はゴムゴムの実を確保したいと考えており、外に出さず幽閉しろと言われ続けた。だが、ドラゴンの隠し財産や知る限り全ての革命軍の情報をガープは話した。今までの働きと今回の働き・・・今後の働きも期待して、温情判決がでた。
記憶を消去し、ルフィの周りは海軍で固める事で航海も許される。セラフィムの船員、ガープ副船長、コビー航海士、他にも屈強な海兵で固める事になっている。ルフィが長生きできないなど、この時は誰もまだ想像していない。
・・・
・・
・
ソラは、ガープがルフィの監禁室から出てくるのを外で待っていた。その手に持つケースには、ガープの上着やズボン、ワンピースがある。厳重な管理体制で、ルフィとの面会者は、全員全裸となる決まりだった。ナニ一つ持ち込ませないという徹底した管理。
「ガープ中将。大看板”旱害のジャック”討伐の懸賞金は、後ほど個人口座に振り込まれる予定です。四皇”千両道化のバギー”含む傘下の目ぼしい懸賞金を資料に纏めておきましたので、ご参考にしてください」
「相変わらず用意がいいの。・・・ソラ、五老星に対してルフィの助命を交渉してくれたそうだな、感謝する。この手に入れた細い糸を手放すわけにはいかん。で、セラフィム一体幾らじゃったか」
ソラは、記憶を消され第二の人生を海軍の下で歩むルフィを見てみたかっただけだ。勿論、海賊は大嫌いだ。だからこそ、ルフィにとって屈辱的な第二の人生を許容した。
その結果、ガープの孫を救うという強い意志で海賊を根絶やしに出来るのならば、少しくらいは目をつぶる。死に行く命を最大限利用させてもらう考えだ。
「約35億ベリーだそうです。ガープ中将の個人資産とドラゴンの隠し財産でも足りてませんね。ですが、四皇”千両道化のバギー”の元には数千万クラスがゴロゴロいます」
「到着まで時間があるな。ソラ、お前の船にある訓練施設を借りるぞ。それと、医療チームによるアンチエイジングも率先して受け入れる。儂を可能な限り全盛期に近づけてくれ。その分の働きはする」
孫の人生をやり直させる為、ガープは誰よりも貪欲になる。
「えぇ、期待しております。ですが、”鷹の目のミホーク”には、手出しは無用でお願いしますね。私が個人的に使う戦力として呼び出しました。高すぎる懸賞金を狙うより、数千万クラスを大量に殺し、バギーを狙う事を勧めますよ。狩りやすいですから」
「そうさせてもらうわい」
着替え終えたガープ。つけなおされたワンピースの位置を戻しつつ、今後の戦いに備え始めた。
今日の投稿はここまで!!
明日からは平日になるので、投稿感覚があきます。
次は、ビビの日常~懺悔室~をお送り予定。