朝日が昇り、軍事同盟のオペレーション・アマテラスの後半戦が始まる。四皇の三人目となる”千両道化のバギー”と傘下の海賊達を完全消滅させるべく、行動を開始する。圧倒的なアウトレンジからの艦砲射撃に加え、直径5kmを吹き飛ばす爆弾での範囲殲滅。海域の近くには無人島すらなく、泳いで助かる道などない。
”黒ひげ”の根城だったハチノスのような動かない標的ではない為、軍事同盟の艦砲射撃でも海賊船に直撃させることは難しい。だが、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる作戦を実行していた。数に物を言わせればいい。海賊船一隻潰すだけでも、敵兵力が100名は削れる。
軍事同盟の大艦隊が誇る艦砲射撃が始まる。だが、それだけでは終わらない。爆弾を持って飛び立つペル。イーロンとケイミーが筆頭になり、魚人の海賊達を皆殺しにする部隊も出撃する。魚人の風上にもおけない馬鹿達を海王類の餌にする部隊だ。
そして、軍事同盟に参加している特別ゲスト達の出番がやってきた。
長い黒刀を持つ世界最強の剣士“鷹の目のミホーク”。
海軍の伝説の英雄ガープ中将。
「壮観ですね。お二人が共にいる戦場など、早々見られるものではありません。お二人にもお伝えしておりますが、同士討ちはご法度ですよ。そんな事でお金を稼ぐより、海賊を一人でも多く殺した方が金になりますからね。大丈夫です、懸賞金につきましては、天竜人の名において保障します。存分にそのお力を振るってください」
「それで構わん。もし、俺が死んだ時は、懸賞金を子供達に渡しておけ」
ミホークは、島に残してきた孤児たちを気に入っている。当の本人も、ソラ達の術中に嵌められている事は理解しているが、抜け出せない。世界最強の剣士相手に、武力で挑まず搦め手・・・しかも、女の子を使った光源氏計画をミホークに無自覚でやらせる手腕。世の中には、色々なタイプの敵がいると知った。
「儂の方のカウントも忘れるでないぞ。今日の儂は、ゴットバレー以来の絶好調じゃ。海軍の正義などはない。儂の正義でやらせてもらう」
防刀ベスト、急所ガード、チユチユの回復剤を携えていた。軍事同盟からブレードナックルなども渡しており、敵を殺す事だけを考えた武装をしている。ガープの身体から迸る覇気だけで、気が弱い者なら気絶してしまう程だ。
「えぇ、勿論です。では、接敵するまで船内でお待ちください。ある程度距離が近づけば、我々も特記戦力を投入して皆殺しを始めます。大事な事ですが、確実に殺してください。心臓をつぶす、首を落とす、真っ二つにするとかでお願いしますね」
ソラ達も対バギー戦に向けて、最終確認を始める。
◇◆◇◆
一切の警告がないまま、艦砲射撃の的にされた四皇”千両道化のバギー”率いる大海賊団。昨晩の大地震に伴う津波の影響で何隻もの船を失い、何百人もの海賊達が海の藻屑になった。
謎の腹痛に加え、謎の精神汚染も治らない状態もあり、踏んだり蹴ったりだ。そこに、敵の砲撃が撃ち込まれる。海賊船どころか水平線上には、軍艦の影もない。だが、バギーはこれが軍事同盟の攻撃だと確信を持っていた。
裏社会の住人達からの情報で、軍事同盟の軍艦のスペックに関する情報は伝わっている。射程距離3万メートルという規格外。
「早い、早すぎだろう。どんなに早くても明日の朝って話じゃなかったのかよ。エルバフを目前にして、こんなのねーよ。野郎ども!! 生き残りたかったら戦え!! 相手に捕捉されているんだ。逃げるとか甘い事言っていると後ろから撃たれると思え」
「バギー。私はこの船への直撃だけは防いでやる。スベスベの身体を使えば、軌道くらいはそらせるからな」
アルビダ。スベスベの能力を使う事で銃弾すら無効化する。覇気が込められていない攻撃であれば、
そのような弾丸が降り注ぐ。
・・・
・・
・
死の三時間。軍事同盟が艦砲射撃を続けながら接近し、海賊船を一方的に沈めていった。海の藻屑となり、海中にいた魚人海賊が死滅したころに本当の戦いが始まる。バギー達は、軍事同盟の弾切れかと安堵した所、前方より急接近してくる戦艦に気づく。
バギーは迫りくる船の先頭に立つ二人を見て、エネル顔になっていた。
「アイエェェェェェ!! ガープ!? ミホーク!? 何であいつ等まで居やがるんだ!! 軍事同盟に海軍?元・王下七武海? おかしいだろう!! 海軍はまだわかるがミホークは海賊だろう!! お前は絶対にそっちじゃなくてこっち側の人間だろう!!」
「バギー、分が悪いってレベルじゃないぜ。あまり想像したくはないんだが、四皇”赤髪のシャンクス”、王下七武海”鷹の目のミホーク”が二人とも世界政府か海軍か軍事同盟とグルだったって事じゃないか」
アルビダの冴えたひと言は、核心をついている。
ミホークと言えば、”赤髪のシャンクス”のライバル的存在だ。実は、ファッション海賊で、裏では政府と繋がっている。海兵狩りをしていた過去は有名だが・・・それ以上に、王下七武海になり、暇つぶしに海賊を狩っていた事もある。
シャンクスとミホークの共通点は、民間人への被害がほぼない事だ。
「海賊を遊びでやってやがったのか。あいつ等ぁぁぁぁぁぁ!! 海賊ってのはな、遊びじゃねーんだ。命を賭けてワンピースを目指す。そういうやつらの事を言うんだ。ふざけやがって!! 超特製バギー玉を準備しろ。俺様の本気をあいつらに見せてやる」
潤沢な資金をつぎ込んで作成した超特製バギー玉。その威力は、海軍の軍艦であっても5隻を一度に吹き飛ばせる程の物。バギーの旗艦にある10個の砲門には、それが搭載されている。全て同時に放つことで理論上、軍事同盟の全艦隊を一度に吹き飛ばせる威力があった。
バギーの号令で、接近してくる軍事同盟の旗艦ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング号に標準が合わさる。
準備ができた事をバギーに報告する部下。だが、その部下からある報告がなされる。
「バギー船長!! 船首に頭天竜人が、何やら不思議な構えをしています」
「問題ねー。超特製バギー玉なら、船もろとも木っ端みじんに・・・だが、一応確認しておくか。もしかしたら、白旗あげているかもしれねーからな。どれどれ、へぇ~、なんか白ひげがグラグラの能力を使うみたいな構えじゃねーか。いやいやいや!! ないないない!! だって、頭天竜人の能力はカビカビの実だろう。そんなの許されるはずねーーだろう。撃て!! 撃ちまくれ!! 絶対に相手に能力を使わせるんじゃねぇぇぇぇぇ」
超特製バギー玉を完全粉砕し、グラグラの実のパワーが海賊達を襲う。新世界で生きていた海賊達なら誰でも知っている程の能力。グラグラの実の力が軍事同盟にある事を知り、海賊達は恐怖する。
そう、だが地獄はここでは終わらない。今まで散々人様に迷惑をかけ、略奪、人身売買などを好き勝手やってきた連中だ。命乞いなどして許されるレベルはとうに越えていた。
海賊数万に対して、四千人程度しかいない軍事同盟。勝つためには、一人一殺では足りない。一人十殺が最低限のノルマとなっている。百獣海賊団との戦争で生き残った強者たちは面構えも心構えも違う。
これだけのゴミを掃除すれば、どれだけ世界平和に近づける事か。その崇高な意志が軍事同盟にはあった。