仲間に誘った手前、ソラ達はビビ王女の言葉に誠実な対応をもって回答する必要がある。新規加入した仲間であっても、見捨てるという選択肢はない。仲間が困っており、助けを求めるなら手を貸すのがあるべき姿だ。
今までも、ソラ達はそうやって仲間の信頼に応えてきた。
ビビ王女は、ルフィ達だけの仲間であれば有償対応、これからは仲間なので無償対応。人を見る目があるビビ王女は、ソラとホタルをどうすれば扱えるか直感的に理解し始めていた。
「ビビ王女・・・いいや、仲間になったのだからビビで良いですか。少し前までなら、自力で何とかしようとしていたのが、仲間を頼るという事を理解し適切に運用できるまで成長した事は、私達にとってもありがたい事です。貴方が仲間に救いを求めるなら、我々は応えるまでです」
「ありがとう、ソラさん。教えてください、ルフィさんは無事ですか?貴方の仲間ならレインディナーズでクロコダイルと戦ったルフィさんがどうなったかご存じゃないかと」
ビビ王女は、自分が無茶ぶりをしている実感を持っている。全力で戦争回避に努めたソラ達が、はるか遠くの地にあるレインディナーズでの戦闘結果など知るすべはない。だが、商船のクルーの誰かが現場に残っており、知っている可能性はあると。
「私でも、どうなったかまでは知りません。ただし、分かる事実が二つあります。クロコダイルがアルバーナに現着した事。そして、”麦わらのルフィ”のワンピースは、まだ息がある事です」
「良かったですね、ビビ。兄様の能力のおかげで、生存が確定しました」
奪われたワンピースによって、ルフィの生存が確認できたナミ達。ワンピースには、無限の可能性がある。その一端を理解したナミは、これなら緊急時に男達のワンピースを使ってリアルタイム通信ができるんじゃないかと思い始めた。ルフィ達の緊急事態をワンピースで連絡。ビビを経由して、ソラ達に連絡する事で無料で助けてもらえる可能性もある。
航海士ナミは、美しい女性だ。脱げば男のワンピース位反応させられる。サンジなどは顕著に現れる。つまり、盗聴の心配すらなくソラ達から物資も買えるし、ビビ王女にも会えるという手段が新しく開拓された。
その名もワンピース・ネットワーク。ナミは、遠い将来ルフィが大海賊になった時に男たちのワンピースを使った通信ネットワークを考え始めた。ワンピースがない男達は、海賊をする女性達にとっても身の心配がないのでありがたい事だ。
「ルフィさんが無事で本当によかった。悪いけど、王宮まで付いてきてもらうわよ。真実を知っているお父様の事だから、仲間内だけでクロコダイルを止める気でいるはずよ」
「ビビ、仲間になったのだから確認しておく。私とホタル、ワズキャンの三人が居れば
今、アラバスタ王家をソラ達が救う事は、これから先の海へ進むルフィ達が苦労する事になる。戦いの中で成長し続ける事ができる彼らにとって、今回の命を懸けた戦いはそれだけ重要だ。
それにソラにとっても、これからルフィ達には海賊達をどんどん捕まえて出荷してもらわないといけない。商船の運営資金にもなっているし、効率よく海を平和にするためにも、今のクロコダイルへの処遇をどうするかは今後を左右しかねない。
「それは、そうだけど。でも、それだとアラバスタが」
「分かりました、ビビ。では、兄様とワズキャンと私の三人が後詰めで待機します。万が一、”麦わらのルフィ”達が負けそうになれば後を引き継いで確実に処理します。これでどうですか?」
死亡保険的な奴だ。万が一の場合には、弱った敵をしっかりとソラ達が処分する。これで、アラバスタが最悪の未来をたどる事はなくなる。
二つの勢力の仲間となったビビ。当然、片方だけの勢力を頼られるのは、良い気はしない男たちがいる。ロロノア・ゾロとサンジだ。
「お前達の出番なんてあるかよ。俺が全員ぶった切ってやる」
「珍しく気が合うな。俺も同意だ。ビビちゃんの為なら俺はあのワニ野郎だって蹴り飛ばしてやる」
未来の4皇の幹部海賊は、この段階からその片鱗を見せ始めた。早い段階からソラとホタルが使う覇気という物を見る事で、その核心を掴みつつある。誰に教わる事もなく見よう見まねで出来るのは、本当に才能だ。
「Mr.ブシドー、サンジさん。そうよね、ありがとう・・・バロックワークスとの問題は、何とかして見せるわ」
「分かりました。では、我々はここから5キロ離れた場所で見守っております。後、海軍のたしぎ曹長達がアルバーナを目指しているようです。なんでも、クロコダイルの策謀をスモーカー大佐から連絡を受けて正義感に燃えているとか」
「兄様、大事な事を伝え忘れています。Mr.2が尋問の末吐いたのですが、アルバーナに直径5キロを吹き飛ばす爆弾が仕掛けられているそうです。その為、オフィサーエージェント達は4時半に必ず範囲外に撤退する事を厳命されています」
白い目で見られるソラ達。
今から数時間後にアルバーナが地図から消えるとなれば、そういう反応にもなる。本当なら、ソラはこの爆弾を手に入れたかった。だが、止める方法も製造方法もわからないので諦めている。下手に触って爆発されても困るので放置していた。
クロコダイルの目的は古代兵器プルトンである。だからこそ、ソラは疑問に思った。直径5kmを消し飛ばすような爆弾は既に古代兵器プルトンを超越しているのではないかと。こんな爆弾が量産できるなら、世界を牛耳る事も可能だ。
直径5kmを消し飛ばすとなると原子爆弾に匹敵する。これを複数個製造すれば、4皇のカイドウやビックマムすら跡形も残らないだろう。しかも、核ではなくクリーンな爆弾だという事も恐ろしさに拍車をかけている。
「そんな話を私に聞かせといて、ソラさん達は帰れると思っているんですか?いいですか、爆弾を探して処理するのは貴方達に任せます。ここから南東に進んだ場所は、過酷な環境故に無人地帯です。爆発の被害も最小限に抑えられます」
「諦めた方がいいよソラ、ホタル。僕は、爆弾処理には賛成だ。この王女様は思っていたよりじゃじゃ馬だよ」
こういう爆弾処理は、
・・・
・・
・
ソラは、バロックワークスが仕掛けた爆弾を前に考え込む。アルバーナの時計台の上に隠された、町一つを消滅させる事できる過去に類を見ない威力。バロックワークスにこの製造技術があるならば、是が非でも回収したい。海賊達が集まる島を丸ごと消し飛ばす事に使えば役に立つ。
「で、ワズキャン。そいつらは、何か吐きましたか?」
「ダメだね、爆弾を守っていたが仕入先や製造方法は何も知らないみたい」
オフィサーエージェントのMr.7とミス・ファーザーズデーが壮絶な拷問を受けても何も話さなかった。これもクロコダイルが万が一に備えての対策だ。仕入れから準備まで別々の担当者が行っており、そこから爆弾の出所をつかむことはできない。
「では、この方達は用無しです。後は、この爆弾を運び出すだけですが・・・どうやって運び入れたんですかね、兄様」
「爆弾のサイズ的にここで組み立てたか、時計台を開けて外から入れたのか・・・全く、アルバーナの治安はどうなっているんでしょうか。ホタル、これを一緒に運び出します」
ソラとホタルが爆弾を持ち出す。時計台を開けて目指すべき方角を確認した。一人では、これを担いで月歩で運ぶのは厳しい。だが、双子の息があった二人三脚なら可能だ。
アルバーナからみるみる遠ざかるクロコダイルの切り札の爆弾。彼が知らぬ間に、その爆弾は誰もいない無人地帯へと運ばれた。
クロコダイルの現在の賞金額は0だけど、"チ〇霊箱"としての活用はできますね。
将来は、懸賞金が20億近い・・・この額になると10倍の懸賞金を集めるのってどれだけ苦労するんだろうか。4皇を一人で全員殺し切るくらい必要なのかな。