仲間になった途端に人使いが荒くなったビビの為、ソラ達は仕事を達成する。アルバーナに設置されていた爆弾は、無人地帯に捨ててきた。これで被害が出たとしても僅かだ。その爆発の威力は、アルバーナにまで衝撃が届く。
これが街中で爆発すれば、確実に消滅していただろう。
それを見届けてアルバーナに戻ったソラ達は、空飛ぶクロコダイルを目撃する。未来の4皇の手によって、ボコボコにされた王下七武海の哀れな末路。何度もルフィを殺せるチャンスがあったが、優しい事にとどめを刺さなかった男。麦わらのルフィを一方的に何度も成長させたアラバスタの功績者だ。
アラバスタの功績者・・・本当にその通りだ。今の彼は、アラバスタを救った英雄。その彼が、どこぞの海賊にボコボコにされたとなれば王国軍達がクロコダイルを守ってしまう。今がその状況だった。瀕死のクロコダイルを捕らえようとする海軍兵士達。雨が降り続く今ならば、クロコダイルの能力も無力化され、簡単に捕らえる事が出来る。
「海軍が今さら何の用事だ!! クロコダイル様は、我々アラバスタの英雄だぞ!!」
「そうだそうだ!! お前達は反乱軍がいるのに何も手を出さずにこのタイミングで現れてクロコダイル様を逮捕とか!! 彼が一体何をしたっていうんだ!!」
「アラバスタを海賊から守っていたのも、アラバスタの反乱軍を鎮圧したのも全部彼じゃないか!! それを、彼が弱り切ったタイミングで反抗できない時に現れて逮捕するなど、世界政府が許しても俺たちアラバスタ王国軍は許さねーーー!!」
と、言った感じで海軍と一触即発だ。
アラバスタの国民視点でいえば、王家よりクロコダイルの方が様々な実績があるのは認める。それに、この場にいる誰もが、クロコダイルこそビビ王女の結婚相手であり未来の国王だと信じて疑わない。
実績だけで考えれば、たしぎ曹長含む海兵達だって同意したくなる。だが、全てが水面下で行われた事であり、どの書類を調べてもクロコダイルが犯人と決定付ける証拠はない。スモーカー大佐が聞いた事とビビ王女の言葉だけを頼りにした、いわば状況証拠での逮捕だ。
「たしぎ曹長。やはり、今クロコダイルを逮捕するのは分が悪いですって」
「何を言っているんですか。今こそ逮捕するときです。彼が力を取り戻したら、それこそ我々では手出しができません」
口論が続く、海軍と王国軍。
その様子を見ているソラは、生ぬるいと思った。有無言わさず、クロコダイルの首を落とせば全てが終わる。今のクロコダイルの地位と権力を考えれば、後始末は大変になるだろう。だが、今、殺しておかねばクロコダイルは更に強くなる。覇気を習得する一歩手前におり、能力の覚醒まで見え始めていた。
走り抜ける際にクロコダイルの首だけを切り落とす。そして、その場を立ち去れば誰にも犯人はわからない。足には気を集中し、狙いを定めるソラ。
「待って!! 待って、ソラ。今、クロコダイルは殺せない」
はぁはぁと息を気わせながらビビが走ってくる。
今までクロコダイルに苦い思いをさせられたビビだったが、彼を殺せないという。今が一番のチャンスだ。例え、懸賞金がなくても関係はない。
「ビビ、どうして止めるのですか?今がクロコダイルを殺す絶好のチャンスです。私ならば、あの集団の中でも誰の目にも留まらず、クロコダイルの首を奪えます。憎いんでしょう?殺したいんでしょう?だったら、その手を放してください」
「そんなことは、分かってるわよ!! クロコダイルを殺したいほど憎いのよ。でも、あの男はアラバスタの英雄となっているのよ。今、死ねば海軍とアラバスタ王国軍が衝突してしまう!!」
海軍と国家が戦争する事はあるにはある。天上金の問題が主だが、払えないから国家を海軍で殲滅した事もある。
「でも、彼が死なないとビビ王女はクロコダイルとの結婚生活が待っているのでは?耐えられますか?」
「えぇ、どこかの誰かさんのおかげでね」
ビビが美しい顔で笑う。流石の彼女も、アルバーナの状況を兵士達から聞いて理解した。しかも、英雄クロコダイルの特集がすでに組まれており、再放送までされている。それを視聴したビビが今この場に来ていた。
「約束は、守りました。被害を最小限に押さえました。爆弾処理も完璧だったはずです」
「その通りね。本当に完璧な仕事をしてくれた。あれ以上の成果を無理だと言えるくらいにね。あの反乱軍には、私の幼馴染もいたの。最悪な形で彼を見てしまったのよ。一体、どんな顔して彼に会えばいいの?」
ビビがソラを掴む手に力を入れる。ビビの手が黒く染まる。最悪な形で幼馴染をテレビで見つけてしまった彼女の怒り。クロコダイルとソラへと向けられる。
「何も知らない顔で会ってやればいい、そのくらいの優しさは見せてやるべきだ。全ては、バロックワークスが悪い。彼等が居なければ、このような事態にはならなかった。アラバスタ王家がこの状況を作る事を許可した事実があってもビビは悪くない。仲間の私が保証する」
「誰もそこまで許可なんて!? 違ったわ。全て、バロックワークスが悪い。クロコダイルは、そのうち死んでもらうけど、今じゃない。だから、海軍に逮捕してもらい死んでもらう。インペルダウンに収監されて死んだとなれば、なんとかなるはず。それまでに、アラバスタの国をなんとかすることで結婚を回避してみせる。でもね、物には限度ってものがるのよソラぁぁぁぁぁぁ!!」
ビビの目が真っ赤に染まる。彼女から発せられる覇王色の覇気は、凄まじいものだった。幼馴染を白く染め上げられ、色々な物を失った彼女の怒り。それがこの世界に一人の覇王を誕生させる。
「兄様の言う通り、ビビには『王の資質』がありましたね。これならば、期待できそうです。ビビ、私も兄様も貴方を歓迎します」
「こりゃ凄いな。ソラが惚れこむのも無理がないか」
「だろう?彼女は、これからもっと活躍する。平和の海の象徴になってもらう。ビビ、手始めにクロコダイルへのちょっとした復讐から始めよう」
ソラが”(ラブホ)ROOM”にクロコダイルを取り込み、ワンピースを奪い取った。
ビビは、床に転がるワンピースがナニか一瞬理解できていないようだったが、よく観察してそれがナニか理解した。ソラがそれを指さし、クロコダイルと言う。
◇◆◇◆
クロコダイルが目を覚ますと、インペルダウンに向かう軍艦の中だった。海楼石の手錠に海楼石の牢屋。能力者であるクロコダイルには手も足もでない。だが、なぜか丁重な扱いを受けている。
水も食料もしっかりと用意され、希望すればタバコまで手配される。
「ちっ、気味が
ネフェルタリ・ビビ直筆の手紙。その中身は、検閲されておらず囚人であるクロコダイルへと届けられた。王家の蝋印と女性と思われるような綺麗な字で「愛するクロコダイルへ」と掛かれていた。
手紙を見たクロコダイル本人ですら、何かの間違いや催眠術にかかっているのではないかと疑う。気になり手紙を開けてみると、一言こう書かれていた。
『お前のONE PIECEは、預かった!』
byネフェルタリ・ビビ と。
その真の意味に気が付いたのは、クロコダイルが用を足しに行った時だ。海楼石で力が発揮できないはずなのに、暴れ狂うクロコダイルに海兵達が必死に抑え込む。
だれもが恋焦がれた王女と離れる事が嫌なのだと勘違いし、ビビ王女はお前の事を愛しているはずだから大丈夫だとか、クロコダイルの神経を逆なでするようなことばかり言う。
海賊狩りの女王様・・・。
できれば悪魔の実もつけたいところだ。原作だと彼女が海に入る描写ってない気がするんだよね。怪しい。
カビカビの実とか登場させたい。アラバスタ王女が育てたご立派なキノコを販売する王室御用達の商人。その裏の顔は・・・。