アラバスタの歴史上で最悪の大惨事。ルフィ達の尽力があり、クロコダイルが計画していた国家転覆は回避された。更に、古代兵器プルトンの情報がクロコダイルの手に渡る事が無くなり一安心するアラバスタのコブラ国王。
だが、事は簡単ではない。クロコダイルの名声が高すぎる。海軍に捕まり、インペルダウンに収監されると告知されても、彼の安否を心配する国民が大勢いる。これで真実を発表したら、国民の暴動で国家崩壊の可能性がある。民衆の心はクロコダイルに傾いている。どうしてこのような事になったのかを、後から知らされたコブラ国王も頭が痛い。
コブラ国王は、ルフィに助けられた。彼が命を懸けてクロコダイルを打倒する瞬間を目撃した生きた証人だ。娘であるビビの為、本当に良くしてくれた彼に対して、国王という立場があるにも関わらず頭を下げて麦わらのルフィ一味に感謝を告げた。
そして、麦わらのルフィ一味が回復するまで王宮に匿う事を決め彼等を歓迎する。だが、クロコダイルを討伐したルフィ一味は、海軍に目を付けられている。その結果、軍艦が何隻もアラバスタに来る事が決定した。
これは、仕方がない。懸賞金3,000万ベリーの”麦わらのルフィ”であり、その彼が王下七武海のクロコダイルを打ち取った。これは、世界政府が考えるパワーバランスを崩す行為だ。完全に包囲される前に、彼等が次の航路に乗れる事をコブラ王は祈るばかり。
だが、コブラ王の苦難は、終わらない。
生きて海軍に捕縛されたクロコダイルをどうするかだ。既にアラバスタの国中からクロコダイルへの恩赦を募る署名が始まっていた。その数は、数日で10万人を超える。最終的にはアラバスタの国民の半数近くが署名することになる。
コブラ国王は、ビビと側近達を集め、これからの事について会議をする。
「ビビよ。例の放送は偽物であり、クロコダイルがお前と結婚して国家を乗っ取るという計画は本当に存在しないのだな?後、クロコダイルと結婚するという意志は僅かでもあるか?」
「お父様。例の放送は、私の仲間が反乱軍を最小の犠牲で止めるためにやった事です。そして、私の退路を断つために。それに、クロコダイルとの結婚なんて冗談じゃありません。アレと結婚するなら死んだ方がマシです」
王家の責務として、結婚して跡継ぎを残すのは義務だ。だからこそ、国民が望むクロコダイルとビビの結婚はどちらかが死ぬまで可能性は残る。コブラ国王とて、アラバスタ王家を断絶させるわけにはいかない。一人娘のビビが嫁入りするか、婿を取らねば王家の血筋は途絶えてしまう。コブラ国王が子沢山でなかった事が原因でこのような状態になっていた。
「そうだろうな。正直言えば、私は迷っている。お前にどの道を薦めるべきか。国民の多くが望むクロコダイルとの結婚など認めたくないが、国を思えばこれが一番の理想だろう。もしくは、”麦わらのルフィ”一味と共に旅を続けさせるのもありかもしれない。彼等は、見ず知らずのお前に助力し、クロコダイルを倒した程だ。もしくは、ソラとホタルと名乗る双子の船に乗って海賊狩りをするのもよいだろう。彼等は、お前の為に三つの願いを本当に叶えた」
どの選択肢であっても娘の選ぶ道を尊重するコブラ国王。王として、人として、優れた人格者である。
ペルは、ルフィ達と海賊になる事を薦める。ルフィ達ならば、ビビ王女を必ず守り抜く事が出来ると信じているからだ。王家の身分とて、バロックワークスに潜入した実績があるので、変装して誤魔化す事はできる。何より、海賊でありながら困っている人を助ける彼らの人柄に惹かれたところが大きい。
イガラムは、ソラ達と共に海賊狩りになる事を薦める。アラバスタ王家に連なる者として、海賊と深い繋がりがあるのは不味い。海賊狩り兼商人であるならば、その地位をアラバスタが後方から支援もできる。王家御用達という事で王女が堂々と乗船も可能だ。
会議は踊るが、誰一人もクロコダイルとの結婚を薦めない。
「というか、イガラム。貴方は、クビにしたはずよ。私は、あの時の貴方のセリフは忘れないわ。はぁ~、海賊か海賊狩りか・・・究極の選択よね。お父様は、ルフィさん達には会っていましたが、ソラさん達には会いましたか?」
「あぁ、この会議の前にな。ビビの事をべた褒めしていたぞ。お前が欲しいとな。アラバスタ王家とビビとの直通電伝虫の設置。更には、有事の際にはアラバスタ王国軍に雇われると条件提示もあった。アラバスタ王家御用達の看板を背負って、
アラバスタ王家のビビ王女が率いる商船なんて、海賊達からすれば物資強奪だけでなく身代金も取れるし捨てる所がないくらい美味しい餌だ。多少、腕に覚えのある海賊達ならば狙わない手はない。アラバスタに引き込もっているならば海賊達も手を出せないが、海の上に出てしまえば海賊達の領域だ。
ネフェルタリ・ビビを餌にして海賊達を集め、彼等を使って海賊を狩り尽くそうというソラの壮大な計画。実力とは、実戦の中でこそ磨く事ができる。ソラは、ビビに覇王色の覇気を極めさせるつもりだった。目指すは、カイドウに膝をつかせる一撃を入れられるレベルだ。
「絶対に裏があるやつですね。ルフィさん達についていけば、想像できないような大冒険が待っているでしょう。それこそ、毎日が驚きの連続です。苦難の連続で海軍や海賊達から狙われる未来が見えます。逆に、ソラさん達についていけば、知りたくもない現実を突きつけられるような大冒険が待っているでしょう。きっと彼等は、私を鍛えてクロコダイルを倒せるレベルにでもする気でしょう」
違います。打倒カイドウの切り札として、活用される予定になっています。
ルフィ達と未知の大冒険か。
ソラ達と現実の大冒険か。
そして、ビビは心を決めた。
・・・
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覚悟を決めたビビは、ルフィ達に付いていけない旨を説明した。自分の意志で、考え決断したと。そして、これからの仲間と呼んでくれますかと感動のシーンをソラ達は見せつけられる。アラバスタの王宮内では、その様子に感動して涙を流す者達が多数いる。
「おぃ、お前。ビビを泣かしたら許さねーからな」
「勿論です。後、たぶん覚えていないと思うので自己紹介しておきますね。ルフィさん、私はソラです。年齢も近いのですから覚えておいてください。最後に私からの餞別です・・・貴方達の船がナノハナで海軍に拿捕されそうだったので、仲間のイーロンにお願いして東の港町まで移動させておきました」
ルフィ達は、船を無人で放置するなど常識では考えられない行動をしている。無人の海賊船など、どうぞ盗んでくださいと言っているのと同じだ。船員が少ないから、居残り組を選別するのが難しいのかもしれないが、そのうち船を失いかねない。
「ソラはいい奴だな。俺、覚えたぞ」
「世話になったな。次に会う時は、俺はもっと強くなる。お前達が使うその技術もなんとなくわかってきた」
「男なら妹とビビちゃんを死んでも守れよ。何かあったら俺がお前を殺しにいくからな」
「船の件、ありがとうね、ソラ、ホタル。それとバロックワークス達を引き渡したお金を早く頂戴よ。出発しないといけないんだから」
ビビとの別れができた事でルフィ達も踏ん切りがついた。今生の別れではない。どうせ、換金の度に会えるのだから、短い別れだ。
「ナミさん。4070.4万ベリーでしたら、イーロンが貴方達の船に積み込んでおります。事後確認になりますが、ここから重たい荷物を持っては向かえないでしょう」
合計賞金額が1億2,720万ベリーになる。これの
世界は、知る事になる。新たに誕生した『海賊狩りの王女』を。
空島編は、厳しいので・・・デービーバックファイト編かウォーターセブン編をやりたい。
閑話をはさみつつ。