ソラ達は、ビビと麦わらの一味の再会を邪魔しないように粛々と取引を行っていた。ルフィ達の船に運び込まれる大量のキノコ。マツタケからトリュフといった高級な物まで何でもある。
長年会っていなかった親友が出会ったかのように抱き合う姿は、感動のワンシーンだ。今朝までその手で、キノコ狩りをしていた手で抱きしめているとはナミは知らないだろう。ビビの手は、もう真っ白じゃない。
「ビビが無事で本当に良かったわ。新聞を見たわよ。『海賊狩りの女王』トータル獲得賞金額4億ベリーを超えたって。どうせ、あの双子が我が身可愛さにビビに上乗せしているんでしょ」
「えぇ・・・まぁ、そんなこともあったり、なかったり」
ナミからの答えにくい質問で目が泳ぐビビ。4億のうちの1億以上は、彼女が自ら殺して獲得した賞金だ。だがナミの中では、自分よりか弱い王女様としかビビの事を思っていない。この二か月で彼女は、徹底的に鍛え抜かれた。今では腹筋も割れ始めている。そのためか、肌が露出している扇情的なアラバスタ特有の服は着なくなった。
「ビビちゃ~ん。いつも美しいね。もし、あいつらに変な事をされていたら俺がぶち殺してくるから、安心してね」
「サンジさん。ありがとう。でも、変な事なんて・・・へんなこと・・・」
ナミに続き、サンジの問いにも、ビビは回答に悩む。悪魔の実を食べさせられた事は変な事なのか、痛くなければ覚えませんと言われて訓練でボコボコにされるのは変な事なのか、能力の訓練と言われてワンピースでキノコ栽培をさせられるのは変な事なのか。
「おぃ、まさか本当に変な事をされたのか!? 叩き切ってやるぞ」
「Mr.ブシドー違うのよ。大丈夫よ、あれはあの船じゃ普通の事だからね。本当に・・・。ソラにこんな体にされちゃったけど、必要なことだったのよ。ごめんなさい、お父様。国を守るために私が(悪魔の実の)犠牲になるしか。でも、大丈夫。野良犬にかまれたと思って忘れる事にするわ」
この二か月本当に良く生きたと、涙もろくなるビビ。
その様子を黙ってみているソラ。絶対に分かってやっているだろうと思っていた。これが無自覚ならより悪い。完全に誤解させるような事だ。そして、誰にも見えないようにビビが笑ったのをソラだけが見てしまう。
「ソラぁぁぁぁぁ!! お前はビビを泣かせたな!? 俺たちの仲間を!!」
「女を泣かす奴は、男の風上にも置けねぇな。ビビちゃんを泣かせた罪は、重いぜ」
「ちょうどいい。俺がどれだけ成長したか試させてもらおうか」
ルフィ、サンジ、ゾロの三人がソラと対峙する。全員がアラバスタにいた頃より強くなっている。今の三人なら当時のクロコダイルも苦労はするが大分楽に打倒できるだろう。
「空島で成長したのは理解できます。
「なんで、まだ話してもいないのにエネルの事まで知ってるのよ!! やっぱり、こいつ敵じゃない!! 怪しい、こんな男にビビを任せられないわ」
ナミの一言が余計な火種になる。
ルフィのゴムの連撃、ゾロの殺意がのった斬撃、サンジの内臓破壊の蹴り技。どれも素晴らしい威力だ。覇気で強化した肉体であってもソラに確実にダメージを蓄積させる。これ程の海賊が沢山いればさぞ良い訓練になっただろうと。
だからこそ、惜しい。後2年もすれば、覇気を鍛える事で勝負にもなる。
ソラは、攻撃が当たる箇所だけを瞬間的に覇気と鉄塊を集中させ防ぎきる。
「おかしいな。ソラのやつ、全然きいてねーぞ」
「どんな体してやがる。三代目鬼鉄を生身で受けるとか化け物かよ」
「人間を蹴った感覚じゃねーな。足の方が痛くなってきた」
まだ、遠いと理解しながらも頂きが見え始めた三人。確実に強くなっているという実感が彼らの成長を加速させる。
「ボーナスタイムは終わりです。同じレベルの反撃を食らうのは覚悟してくださいね。貴方達には価値があるから、殺しません。全員、歯を食いしばって腹に力を入れてください。これから、殴ります」
ソラが剃を使いルフィ達の合間を瞬く間に走り抜けた。助走をつけ、覇気を纏った拳で腹を殴りつける。単純だが強力な攻撃だ。覇気でのガードを知らない者達がこれを食らうと死ぬ程痛い。あのゾロでさえ一瞬意識が飛ぶほどだ。そして、後から来る内臓へのダメージで悶絶する。
・・・
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ビビがルフィ達に軽い遊びだったと謝罪した。ルフィ達からすれば、あの真面目なビビが変わったなという感じで終わる。しかし、ソラの不満は収まらない。全くの無実なのにこの扱い。
「久しぶりの再会だったと思いますので、これから来る海賊をあなた一人で殲滅する事で手打ちにします。教えたあれを使っていいですよ。能力をしっかりと把握しておくように」
「はい。ソラはいい人だって、ルフィさん達の誤解を解いてきますね。」
それから間もなくして、この地にフォクシー海賊団が現れる。彼等は目撃してしまう”麦わらの一味”と『海賊狩りの王女』が仲良く談笑し、キノコ料理を食べているところを。ただし、ビビだけはそのキノコ料理に一切口を付けていない事までには気付けなかった。
◇◆◇◆
フォクシー海賊団の巨大な船がルフィとソラ達の船の逃げ道を塞ぐ。そして、フォクシー船長がデービーバックファイトの申し込みをルフィ達にする。当然、そんな対決など一文の得にもならない。
フォクシー船長は、必勝の策があるので相手にはどうしても勝負を受けて欲しい。だから、相手の粗を探し、見つけてしまう。世界経済新聞の常連として、有名な一人の女性を。
「おんや~、そこにいるのは『海賊狩りの女王』ビビではないか。まさか、”麦わらの一味”と繋がっていたとは。これは、大ニュースだぁぁぁ!! モルガンズがこれを知ったら世界中が驚くだろう。だが、デービーバックファイトを受ければ見逃してやってもいい!!」
「おぃ、割れ頭!! ビビに迷惑をかけるのはやめろ。関係ないだろう!!」
ルフィは、文句があるなら真っ向から潰すつもりだった。デービーバックファイトなんて関係ない・・・と言いたいが、海賊の世界ではこれから逃げる事が恥となる。ソラが聞いたら頭をかしげるだろう。殺人、強盗、放火、強姦などこの世の罪を殆ど犯した存在もデービーバックファイトが神聖な勝負だと言っている。
「じゃあ、そこの『海賊狩りの女王』ビビは仲間ではないと?」
「ビビは、俺たちの仲間だ!! ふざけたことを言うな!!」
フォクシー船長は、掛かったと内心笑った。今の仲間だという発言は、フォクシー海賊団の全員が聞いた。この情報は高値で売れる。それどころか、”麦わらの一味”と『海賊狩りの王女』を顎で使う事も夢じゃないと、儚い夢を見始めた。
「フェッフェッフェッ。いい事を聞いたぜ。今、仲間と言ったな?聞いたよな、皆の者~!! デービーバックファイトを受けろ。そうすれば、聞かなかった事にしてやる」
死人に口なしを実行しないルフィには、これを受けてビビの安全を守る必要があった。そして、仲間を勝負の景品にするデービーバックファイトを受けてしまう。勝てばよかろう。彼は今まですべての勝負に勝ってきたのだから。
デービーバックファイト編ってアニオリみたいで不人気だと知った。
実は黙ってましたが…「チ〇チ〇の実」と「ムラムラの実」の能力の参考元は、ノロノロの実だったんです。