お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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25:船長命令

 デービーバックファイトなんて、糞ほどの興味もないソラ達。だが、取引先のルフィ達がそれを受諾した事で巻き添えを食らった。本当なら、ビビが能力を全開放してフォクシー海賊団達が海の藻屑になっていたはずなのに、無駄な時間の浪費だ。

 

 しかも、まだルフィ達から商品の代金を貰ってない。勝負が終わってから払うとか言い出す始末だ。

 

 ホタルもビビの行動に、苛立ちを覚えていた。そもそも、彼女が変にルフィ達を煽ってソラに迷惑をかけなければ、この事態になる前に会場のゴミ掃除を終わらせていた。そのような失態だけでなく、大勢の海賊達に”麦わらの一味”の仲間だと知られた。

 

 誰一人とて生きて帰すつもりはないが、常にムラムラレーダとチ〇チ〇レーダーで警戒をしないといけなくなった。蟻の一匹逃がせない。情報とは知る者が多い程、漏洩する。

 

「ビビ。二か月も経ったのに兄様のレッスン1(覇気の継続30分)すらクリアできていない。私が手伝ってあげるから楽しみにしていてください。今日で安眠もおしまいです」

 

「ホタルさん。それはどういう意味で・・・。後でちゃんと責任取りますから、許してください」

 

 自分の不始末は、自分で片づける。船長という立場があるビビには、責任と実行する能力が備わっていた。今も彼女は、こっそりと胞子をバラまいており後始末の準備をしている。自然系(ロギア)であっても隠密に能力を使う事が出来るのは良い事だった。

 

 隠れた地味な攻撃。こういうのが一番いやらしい。

 

 ホタルに叱られるビビ。そんなやり取りを眺めていたら、フォクシー海賊団達に何名か魚人がいる事に気が付いた。偉大なる航路(グランドライン)だから居て不思議じゃないが、魚人の有能さに目を付けている船長は褒められる。

 

 だが、その魚人も海賊だ。ソラは、イーロンの親戚だったら死に方くらいは選ばせてあげる心があるので、確認を怠らない。

 

「イーロン。海の覇権種族の魚人が、あんなゴミみたいな海賊の下っ端で働いている。アーロン一味のように、トップを張れとは言わないが・・・あれは、ないと思う。顔見知りだったりする?」

 

「ソラ。誰もおらん。魚人島の外に出てまでやっている事が海賊の下っ端とは、同胞として泣けてくる。儂が責任をもって、介錯してやる」

 

 ソラも魚人には残念に思う。フリーで犯罪歴が無い綺麗な魚人がどこかにいないかと本気で思っている。前々からイーロンは、魚人島に着いたら実家に帰ると言っており、代わりの要員を切望していた。この際、魚人でなくても人魚でも構わないとすら思っている。戦える戦力はビビで補う事が出来た。水中が得意な船員がどうしても欲しい。

 

 イーロンの知人とか幼馴染の女の子とかが、海賊かヒューマンショップに捕まっていて助けられたりしないかなと思い始める。魚人は、義理人情に厚い。その恩義でイーロンを連れて海賊達が消えてなくなるまで旅をしたい。

 

「じゃあ、とりあえず海賊船で逃げられないように舵を壊しておいて。このイベントごとであの海賊船付近は無人だよ。あいつ等、バカじゃないのかな」

 

「自分たちの船をほぼ無人で放置とか、バカなんじゃないか。ソラもこんな茶番に付き合わずに、ビビにやらせれば一瞬だろう?」

 

 ソラだってそうしたい。だけど、ビビはルフィの仲間でもある。それをソラは許容した。茶番が終わるまでは泣く泣く付き合ってやる予定だった。クロコダイルを倒し、エネルすら倒したルフィ達がこんなくだらない勝負で負けるはずがない。誰もがそう思っていた。

 

・・・

・・

 

 くだらないボートレース。それに、ルフィ達は敗北する。外部からの支援ありで、フォクシー船長のノロノロの実の能力でスローにされた。その結果敗北しましたとか、油断大敵だ。

 

 これで、ルフィの仲間が一人取られる。ソラ達は身から出た錆だとしか思っていない。

これを教訓に勝負するより、殴って白黒つけた方がいいと彼等も学んだはずだ。

 

「フェッフェッフェッ。俺達が選ぶお前の仲間は・・・・・・『海賊狩りの王女』ビビだ。4億ベリー以上稼ぐ本物の王女様だ。これからは、うちの海賊団で稼いでくれよ」

 

「えぇぇぇ、私ですか!? さっきまで、チョッパーさんを見ていたじゃないですか!?」

 

「気が変わった。俺達は大所帯だからな。お前が居れば稼いでもらえるし、アラバスタ王家からも定期収入がガッポガッポよ。噂じゃ、お前の商船はアラバスタ王家の支援もあるそうじゃねーか」

 

 ソラ、ホタル、イーロン、ワズキャンは今、目の前で起こった事に理解が追い付かない。仲間を懸けた勝負であるデービーバックファイト。その結果、ルフィ達はビビを取られる。

 

 この事はルフィ達も納得できない。だが、もっと納得できない連中がいた。ソラ達は、船長をルフィ達の不手際で取られた。

 

「今すぐ皆殺しだ。デービーバックファイトなんて、糞くらえだ。イーロン、魚人を海に取り逃がしたら厄介だ。初手は、全員で魚人狙い。後は、好きに殺して回れ」

 

「兄様、お供します」

 

「バカな海賊達だ。儂らは海賊じゃないからな。付き合う必要もあるまい」

 

「それには、僕も同意だね。船長を取られて黙っているほど優しくないよ」

 

 この祭りを台無しにするソラ達の前に、ルフィ達が道を塞ぐ。今度は、ロビンやチョッパー、ウソップまでいる。全員で進路を妨害していた。

 

「ルフィ、貴方の失敗で私達の船長が奪われました。後はこちらで責任をもって処理します。お引き取りを」

 

「あぁ、そうだな。俺たちの責任だ。だから俺たちで取り戻す。お前たちは、そこで黙ってみてろ!! 俺たちの仲間が取られたんだ。中途半端で終われるか!!」

 

 どちらの味方だとソラは思った。

 

 どうせこれからの試合も相手にとって有利な物だ。必勝の作戦があるに決まっている。それをねじ伏せる事がルフィにできるのかと、ソラは疑問に思う。

 

「ソラ、ホタルさん、イーロンさん、ワズキャンさん。船長命令です。ルフィさん達を信じられなくても、私を信じて待っていてください」

 

「船長命令ね~。この二か月で初めて聞いた。最初の命令がこれですか。・・・・・・分かった。フォクシー海賊団、ビビに指一本でも触れたら苦しめて殺す。これは、脅しではない。その汚いマスクを近づけるな」

 

「”麦わらの一味”の皆さん。ビビの信頼を裏切ったら、兄様が許しても私は許さない。二度と異性を愛せない体にするから」

 

 ホタルの言葉を冗談だと思っているサンジ。だが、ホタルは本気だった。ホタルの能力をもってすれば、サンジ×ゾロなんて事も実現できてしまう。女が好きな奴ほど、男が好きになるそういう事ができる能力だ。

 

「ははは、冗談キツイぜホタルちゃん。あれか、俺がこの野郎に惚れちゃうってか。考えただけで死にたくなるぜ」

 

「サンジさん、試してあげましょうか?ナミさんの事がゾロさんみたいに嫌いになり、ゾロさんをナミさんみたいに好きにできる。私は、そういう能力者です。二試合目は、ちょうどお二人ですね。負けたら、分かってますよね」

 

 煙草に火をつけるサンジの手が震えている。ホタルが冗談ではなく、本気の本気だと理解した。次の試合、負ければ人生が終わる。そんな性癖を抱えて、この先の海を進む自信はサンジにはない。

 

「おれは、糞コックと違って問題ねーな。男も女も別に興味ねーし」

 

「たしぎ曹長(ぼそり)」

 

 ホタルの小さな一言に対して、ゾロは脂汗を流す。女に興味がないという嘘がバレていた。それどころか、幼馴染の女性にそっくりなたしぎ曹長の事を言われてはゾロも恐怖する。もし、彼女への思いが今のサンジと同じレベルにされたらと思うと、ゾロにも焦りが生じる。

 

「クソ剣士。背に腹は代えられね・・・次の試合、協力するぞ。勝たないと俺らは破滅だ」

 

「クソコック。俺らはじゃね、お前が破滅だ。だが、協力してやる。俺も負けられない理由ができた」

 

 次の試合は、相手を殺してでも勝つ。それ程の気迫が男二人にはあった。

 

 

◇◆◇◆

 

 ビビがアラバスタを旅立って、二か月が経過したころアラバスタ王家はクロコダイルが残した傷跡を直すため大忙しだ。例の放送のおかげで、反乱軍の求心力は消えてなくなる。それどころか、反乱軍の連中はヤバすぎるというレッテルが張られて煙たがられる。

 

 これにより、反乱軍は瓦解する。コブラ国王は、今回の一件に対して反乱軍達に恩赦を与えた。国民への配慮が足りなかった王の責任として。

 

 だが、反乱軍より問題だったのがビビ王女の一件だ。表向きには、クロコダイルの保釈金を稼ぐため、偉大なる航路(グランドライン)に旅だったとされている。その後、定期的に彼女の情報はアラバスタに入ってきていた。

 

「世界経済新聞というのは、面白半分でネタを書いているのがよくわかる。だが、真相を知らない者達からすれば、これが真実か。しかし、ビビの元気な顔を見れるのだけは評価できる」

 

 コブラ国王は、届けられた新聞に載るビビを見て安心していた。声だけは、いつでも聞くことができる。一人の父親として、娘の愚痴を聞く良い機会だ。メディアに露出が増えたからか、ビビに対して求婚をする他国の王族が出てきたことも事実だった。

 

 クロコダイルとの恋仲であっても構わないと。アラバスタ王家と強いつながりを持つ事で両国の未来を明るくしたいと言うやつだ。インペルダウンにクロコダイルが収監されているからこそ、ビビ王女を狙うなら今という考えだ。

 

 彼が釈放されたなら、おいそれと近づけない。それに、収監されている囚人なら複数の王家が力を合わせれば権力の元で事故死もできる。

 

 王家の責務の事もあるので、コブラ国王は一応ビビの意向を確認する。こういう時に直通の電伝虫は便利だなと改めて実感する。

 

・・・

・・

 

『ビビよ。新聞を見たぞ、また海賊を捕らえたようだな。海賊に囚われた市民を解放したと記事にあった。ソラ君達との旅は順調か?』

 

『えぇ、お父様順調よ。みんなとってもいい人たちよ。ルフィさん達と一緒では、味わえなかった現実の大冒険を知りました。本当に、知りたくもない現実を。ですが、これが私が選んだ道です。後悔はありません』

 

『そうか。ソラ君達は、そういう人種の集まりだったからな。ところで、ビビ・・・お前に縁談の話があるんだが、会ってみる気はないか?クロコダイルの一件も権力で処理すると内々に確約がある』

 

『お断りします。私は、この船の船長ですよ。ソラ(・・)が私を手放すとは思えません。クロコダイルの一件は、ソラも気にしてくれていますので確実に処理しますから気にしないでください。王家の責務・・・跡継ぎに関しては、たぶん何とかなりそう(・・・・・・・・・・)かな』

 

 コブラ国王は、アラバスタ王家が存続できるとビビが明言するならと信じる事にした。ビビも若いので、これから先に色々な出会いがあるだろう。

 

 王家の責務をソラ達も理解している。その上で、この問題解決をする為にソラとホタルに解決を求めれば行けるとビビは思っていた。

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