ソラ達がシャボンディ諸島で暴れている頃、ルフィ達はスリラーバークで王下七武海ゲッコー・モリアを打ち負かした。クロコダイルに続き快挙と言える戦績に、世界政府が危険視するのも納得だ。
その為、王下七武海バーソロミュー・くまが追加戦力として投入されたが、それでも彼等は無事に生き残った。この豪運は、五老星すら予想できなかった。ルフィ達は、ゲッコー・モリアが貯めた財宝を根こそぎ奪って、このシャボンディ諸島に向かっている。
だが彼等は、ソラとの約束で半年以内に3億ベリー相当の海賊の首が必要だ。男同士の約束であり、仲間であるビビの信頼を裏切れない。なにより、ワンピースを取られている現状、約束を破る事にはそれ相応のリスクがある。約束時に不在だったメンバーは、ルフィ達とソラ達の間で交わされた契約を初めて知った。
「そんなの守る必要もね~だろ。相手がどんな野郎か知らないが、こんな条件は無効だ。無視してしまえ。何なら俺が相手を締め上げてやろうか」
「だがよ~、フランキー。俺は、約束しちまったんだ」
ロビンを救う為、ルフィはソラ達に無理な依頼をした。それに対して、ルフィも多少なりとも引け目はある。相手が要求を達成できなかったら、支払う義務もない。だが相手は約束を守って、ロビンを救う時間をしっかり稼いだ。
これに対して、ロビンは流石に口が出せない。救われた後で無理な要求は断ってもいいんじゃないとは、口が裂けても言えない。それは海賊としての仁義以前に、人としての価値に関わる。
ロビンは持ち前の頭脳で何とかできないかと考えたが、3億ベリーという大金を簡単に稼ぐ方法は浮かばない。何か手だてがないかと新聞を読んでいると面白い記事を見つけた。
「約束を守らない事はお勧めできないわ。ほら、彼女の事が朝刊に載ってるわよ」
ロビンから新聞を受け取ったナミは、見間違いじゃないかと何度も新聞を見返す。一字一句じっくりと見直した。ビビとの思い出を再確認し、この数か月の間にビビに一体どんな変化があったのだろうと考えた。
「ルフィ。ビビ一行がガープ中将と手合わせして引き分けたって信じられる?それに、今はシャボンディ諸島にいるらしいわ。そこで6つの海賊団を壊滅させ、合計獲得賞金額が間もなく10億に届く。億超えの”海鳴り”スクラッチメン・アプーを一人で圧倒する彼女の姿は、戦場の女神だって・・・これ、本当?」
「ナミさん、それは冗談に決まっているだろう。ビビちゃんは絵に描いたようなお淑やかなお姫様だぜ。アラバスタを思い出せ・・・あぁ、思い出の中のビビちゃんも最高に美しすぎる。この写真のビビちゃんも最高!! それにしても、良い蹴りだな。その足で俺も蹴り飛ばして欲しいくらいだ」
新聞の写真には、ビビが傷を負いながらも回し蹴りでスクラッチメン・アプーの首をへし折るベストショットが載っていた。サンジが賞賛するほどの蹴りと足だから、写真の彼女が本物だと誰もが認める。
ビビは遠い世界の住人になったのね・・・と、ナミは懐かしいビビとの思い出に浸る。だが、やっぱり、億超えの海賊を倒せるようなイメージは沸かなかった。どうせ傍にいる、あの双子が代わりにやったんだろうと思う・・・思いたかった。
「ルフィ。シャボンディ諸島には、億超えの海賊達が複数いるみたいよ。もう、半年で3億を稼ぐにはこれしかない!! ”キャプテン”キッドなら、一人でお釣りがくるわ!!」
「興味ね~なぁ。それより飯にしようぜ。もうすぐ、シャボンディ諸島だろう?飯も補充できるし、今のうちに食い切っておかないと」
ルフィは、ナミが指さす3億の首には興味はなかった。襲ってくる海賊なら倒すが、そうでないなら態々戦いに行くような事は彼はしない。海賊狩りを率先してやりたいわけではない。未知なる冒険こそが彼の目的だ。
そういう現実の冒険は、ソラの領分。
金は命より大事な時がある。それをよく知るナミは、約束の首が用意できない場合にどのようなペナルティが課せられるか、気が気でなかった。最悪、ゾロとサンジだけで億超えを狩らせようとも考えている。
・・・
・・
・
その翌日に、ルフィ達はシャボンディ諸島に到着する。幸か不幸か、ナミはアーロン一味で強制労働していた時に、魚人島付近の情報は魚人達から聞いていた。
ナミがこの地の特性や注意を彼等に伝えるが、無理だった。説明した事を覚えて守れるのならば、ここまで問題に巻き込まれる事はない。
ルフィ達がトラブルを起こさなくても、向こうからトラブルがやってくる事はある。彼等が停泊する為に来た港は、火に包まれていた。人間同士が殺し合いをしており、血と硝煙の匂いが風にのって海にまで届く。
「おもしれーとこだな。おーーい!!」
笑顔で手を振るルフィの頭を彼の仲間は殴りつけた。だが、ルフィの声は地上にもしっかりと届く。新世界への入場を懸けたバトルロワイヤルに巻き込まれた。
◆◇◆◇
ハートの海賊団船長であるトラファルガー・D・ワーテル・ロー。彼は、先日の不可解な人攫いの事件をいまだに調べていた。ケジメを付けに行けば全ては業火に燃やされて何も残っていない。
だから彼が調べたのは、何故か寝返った海賊達についてだ。洗脳系の悪魔の実だとしたら危険すぎる為、何かしらの条件があるはずだと。それを調べる事で対策が見えてくるはずだと信じていた。
死の外科医の異名を持つ彼は、外科的な知識もある。
よって海賊の死体を解剖する事から謎解きを始めるつもりだった。・・・しかし、想像以上に早く裏切りの原因につながる物的証拠を見つけてしまった。
「おぃ、冗談だろう。こいつら全員、チ〇コが付いてねーじゃないか。しかも、切られたとかそんなんじゃねェ。そこにあったはずの部位が綺麗に削り取られている」
この事態にローは、どんな悪魔の実か考える。この
この世に同じ悪魔の実は存在しない。類似した実であるとローは考えた。そう、
「これって、船長の技で切り取った後みたいだね」
「あぁ、そうだな。同系統の能力者の仕業か。くそ、面倒だ」
ハートの海賊団は、ローが今回の一件の被害者だと信じている。だが、他もそうだろうか。他の海賊団も当然、死体の調査くらいはするだろう。そして直ぐに、謎の切断面を持つ股間に気が付く。
そうなったら、真っ先に誰を疑うだろうか。
それに気が付いた時は、すでに手遅れだった。ハートの海賊団を取り囲むように海賊達が待ち構えている。その筆頭には、昨日まで同盟だった”キャプテン”キッドがいた。
「念のためだ。念のために確認してぇ事がある。海賊同盟を結成する為、声をかけて回ったのは誰だ?」
「俺だ」
ローは、下手な事を言うとそれが殺し合いの合図になると理解し、最低限の事だけ答えた。
「ボニー海賊団に最初に声を掛けたが、幹部たちが不在で交渉できなかったと言ったよな?」
「あぁ、そうだ」
ローが声を掛けに言った時には、既にピーターマンのアジトに向かった後だった。その結果、彼女は行方不明。だが、それを立証する事は出来ない。その時の海賊達は、賞金稼ぎ達に殺されている。
「海賊達の裏切りだが、確かに悪魔の実の能力だろう。・・・俺たちも調べたさ。そうしたら、海賊達の死体は全員、股間が消えてなくなってる」
「そうだな。おれもそれは確認した」
ローは、この時どうやって逃げるか考えていた。もはや話し合いは不可能だな、と。
「最後の質問だ。オペオペの実の能力で人体の一部を奪う事が出来る。そうだったよな!! ロォーーーー!! 死ね!!」
「犯人は!! 俺じゃねぇぇぇ!!」
全ての状況証拠が、ローが怪しいと言っている。結果、億超え海賊達の壮絶な殺し合いが勃発した。海賊だからこそ叩けば埃がでる。身の潔白など証明できない。
そして、運悪くこの場に来たのが、”麦わら一味”だ。
すみません。誤字適用を失敗した。
ロールバックで対応しております。
文章が二重になり涙目でした。