お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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38:真の仲間

 シャワーで汗を流すソラとホタル。訓練は実力の近い者同士で行うのが一番効率的だ。そして、真剣勝負で更に伸びる。一時期停滞していた実力が確実に向上し始めた事を二人は肌で実感していた。

 

 技の模倣や小手先の技術を磨くだけでは限界もあった。だが、ソラ達の実力は僅か数か月で、今や四皇幹部を打ち取れるほどになった。以前は全員で戦いに挑んでも”火拳のエース”一人相手に命懸けだった。だが、今は違う。集団で挑めば勝率が100%と言い切れるほどだ。

 

「兄様。やはり、ビビの影響ですか?」

 

「間違いない。ビビが我々に良い影響を与えている。考えてみれば、たった数か月の特訓でビビのレベルは異常を通り越している。今の彼女ならアラバスタを一人で滅ぼせる程だ」

 

 ビビは、”麦わらの一味”の仲間だ。そして、ソラ達はビビの仲間という構図がある。間接的にだが、その影響を受けていた。運命力とも言える力の奔流がソラ達にも及んでいる。そうでなければ、ソラとホタルもビビとの訓練は厳しい物になってきていただろう。

 

「兄様、そちらのシャンプーを頂いても。しかし、そうなるとビビの武器の調達も急がないといけませんね。彼女の力に耐えられる物は、然う然うありません」

 

「はい、シャンプー。そうだな~、大業物・・・できれば、最上大業物が欲しい。自然系(ロギア)の特性を利用すれば面白い事ができる。ホタル、楽しいな。世界最強をこの手で作り上げるのは、最高の気持ちだ」

 

 ソラとホタルは、自分が最強になれないと分かっている。だが、最強になれなくても最強になれる人物を見つけ、育て上げる事はできる。ビビこそ、ソラが見つけた最高の逸材だ。数か月前までは海賊一人倒すのも苦労していた彼女だが、今では億超えを一人で圧倒する。

 

 ソラとホタルが血反吐を吐くほど壮絶な修行をさせても乗り越えて、覇気の特訓も順調そのものだ。今では継続時間が10分を超えている。早すぎる成長であり、ソラとホタルも内心褒めちぎっているが口には出さない。調子に乗るからだ。

 

「アラバスタ王家なら大業物程度を所有していてほしいですね。兄様、”麦わらの一味”がシャボンディ諸島に上陸しましたね。それも、厄介な場所に」

 

「そのようだね。全く、どうして今このタイミングでそこに行くのかな」

 

 二人のレーダーの感知範囲に入ったルフィ達。今現在、一番ホットな場所に自ら行くとかバカじゃないかと思うばかりだった。身体を洗い終わった二人は、バスタオルでしっかりと拭いた。

 

 服を着て身だしなみを整えた二人は脱衣所をでる。ソラが何処で寝泊りをしているか・・・それは、ホタルと同じ部屋だ。双子だし、ある意味当然だ。その事をビビは、まだ知らなかった。

 

・・・

・・

 

 ソラは本腰を入れてイーロンと話をする事にした。その席にはホタルとケイミーも同席する。ケイミーはホタルの膝の上に頭を乗せて撫でられている。まるで猫のようだ・・・人魚なのに。

 

「ホタルお姉様~」

 

「はいはい、少し静かにしてなさいケイミー」

 

 その様子を見たイーロンは、どうしてこうなったのかと頭を悩ませていた。それに対してソラは、イーロンの離脱という悩みが解消されて嬉しそうな顔だ。年頃の可愛い顔に見えるが、その下から邪悪な気配が漏れ出している。

 

「イーロン。今まで苦労ばかり掛けてきたと思っている。海中戦において、魚人族であるイーロンはまさに最強だ。鬼に金棒もいいところだ。沈めた海賊船からの物資回収、夜襲の手伝いと、本当に感謝しかない」

 

「別に構わん。儂もお前達には感謝している。捕まった時に助けて貰わなかったら今頃は売り飛ばされていたからな」

 

 今では懐かしい思い出だとイーロンも思った。人間の子供に助け出されて、彼等の元で海賊狩りをするなんて思ってもみなかった。

 

「魚人島に来るまで色々世話になりっぱなしだった。だが、遅くなったが・・・遂に、この商船にも新しい海の仲間が増える事になった。これで、海中作業の労力が多少楽になるだろう。紹介しよう、新人の人魚のケイミーだ。さぁ、ご挨拶をしてください」

 

「イーロン叔父さん。私、この船で働く事にしたの。ホタルお姉様みたいに強く、かっこよくなります!!」

 

 ただですら青い顔が真っ青になるイーロン。大事な姪っ子が、海賊絶対殺す船団に就職とか止めたくなる。この船は、ブラックを通り越して真っ赤だ。それも海賊の血で染まりすぎて真っ赤だ。

 

 しかし、ケイミーが一人で海に出かけて知らぬ間に売り飛ばされるようなことだけは発生しない。そこだけは安心して任せられる。

 

「イーロン。魚人島に帰りたかったのは、なんでも姪っ子が心配だったからと聞きましたよ。そうですよね、分かりますよ。姪っ子も家族ですからね」

 

「ぐぬぬぬぬ」

 

 魚人族の立場は、実に微妙だ。力ある魚人が一族の為、家族の為、島を守るという強い心意気は良い事だ。海中でイーロンに勝てる海賊など、ほぼいない。特に能力者なんて、やり方次第で幾らでも海の藻屑にできる。覇権種族の魚人は伊達じゃない。

 

 それなのに魚人族の立場が異様に低いのは、これもすべて政治力のなさのせいだ。

 

「ケイミー、貴方は私と一緒に旅をしたいのよね。イーロンほどじゃないけど、私が魚人空手も教えてあげるわ」

 

「ホタルお姉様は、魚人空手も使えるなんて。素敵すぎです!!」

 

 イーロンは、姪のケイミーはもう駄目だと理解した。完全に手玉に取られており、魚人島に帰島させるなんて出来ないだろうと察する。力ずくで連れ戻せば、脱走して更に状況が悪化しかねない。

 

「イーロン、魚人島は白ひげ海賊団の縄張りになっている。だが、彼等が攫われ続ける魚人達を助けてくれたか? 来ないだろう? それに、白ひげ海賊団は後一か月もしないで終わる」

 

「”火拳のエース”の公開処刑じゃったか。この戦争の勝敗に関わらず、白ひげの戦力低下は確実か。特に海軍本部近くの影響力はなくなると考えた方がいい・・・そう言いたいのだろう?」

 

 ソラは、頷いた。一応、白ひげ海賊団の縄張りという名目があっても魚人族や人魚族の被害は大きい。では、どうすればいいかだ。他の4皇達の縄張りにしてもらうのは、白ひげより条件が悪化する事は間違いない。

 

「名義貸し状態の白ひげを頼ってどうする。イーロン、私達は仲間だろう。アラバスタ王家のネフェルタリ・ビビ王女は、修行と海賊狩りと特別訓練ばかりしているバカではない。ちゃんと外交もしている」

 

「知っとる。儂も心が汚れてしまったな。だから分かってしまう。今こそ、自分が一番高く売れる時だと。分かった・・・ソラ、儂が死ぬまで付き合ってやる。だから、ビビに・・・アラバスタ王家のネフェルタリ・ビビ王女に魚人島を守って欲しいと一緒に頼んでくれ」

 

 ビビは、外交でウォーターセブンのアイスバーグと色々と契約を交わしている。沈みゆく島の移住先として住民達を受け入れる事や、技術交流という名目の造船技術獲得をしていた。他にもビビを中心とした軍事同盟もアラバスタでは検討されている。

 

 ここに魚人島も同盟に加わる流れになる。

 

 1,000万人の国民を抱える大国アラバスタの王女様が作り上げる最強国家の誕生は、そう遠くないだろう。王国軍の誰もが覇気や六式を習得し、対能力者相手の戦闘のプロが量産される日が来る。

 

「勿論だよ、イーロン。私達、生まれも種族も違えど志を同じくする仲間だろう。これからも末永くよろしくね。あぁ、ケイミーだが船員になったら当然海賊狩りには参加してもらう。この商船で殺しの経験が無い者は、お荷物だからね。彼女の指導はワズキャンにお願いするつもりだ。イーロンは、身内に甘そうだからね。ヤれるね、ケイミー」

 

「・・・が、頑張ります。ホタルお姉様が褒めてくれるなら、頑張れます」

 

 イーロンは逃げられないだろうと思っていたが、本当に逃げられなかった。大事な姪っ子の為、故郷である魚人島の為、人攫いから姪っ子を助けてくれた恩義を返す為、ソラと再び握手を交わす。

 

 こうして、ビビが居ない所で全てが進んでいた。彼女は今起きたばかりで、部屋の換気と掃除をしている真っ最中だ。朝食の場で、イーロン残留、ケイミー加入、魚人島を守ってほしいという話を聞かされる事になる。朝から情報で殴ってくるソラ達に、ビビは疲れ切っていた。




チャルロス聖は、自分で獲物を狩る天才だ。
自分で狩ればタダだからね!!

後、シャルリア宮って美人だよね。結構好き。
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