お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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39:天竜人

 シャボンディ諸島は、新世界入りを目指す海賊達が集まる。その為、ヒューマンショップも大繁盛しており、連日沢山の売買が成立する。海賊達からの払い下げの商品、人攫い達が攫ってきた戦利品、賞金稼ぎ達が勝ち取った戦利品など様々なルートがあった。

 

 だが、ここ数日で入荷ルートの殆どが機能しなくなる。全ての原因だった人攫いチーム”ハウンドペッツ”は、攫った海賊達と業火に包まれて全滅した。だが、問題はそれだけで終わらない。

 

 新世界入りを前に減った船員を補充する為、海賊達はヒューマンショップで航海歴のある者達を買い漁る。だが、それでも人員不足が解消されない。そうなると後は他の船から奪う以外に道はない。

 

 海賊が海賊だけを襲うなら良かった。だが、聖地マリージョアルートの順番待ちをしていた一般人達にも被害が出る。確かに、戦う力はないが航海の知識はある連中は、海賊達にはねらい目だ。だが、海軍の駐屯所や海軍本部が目の前にあるこの場所では諸刃の剣だ。

 

 シャボンディ諸島の各地で、血で血を洗う争いが勃発する。海賊同士で戦えば少ない船員が更に減る。だから更に戦う事で船員を得ようとする、終わらない悪循環だ。

 

 こんな大暴動の日には、シャボンディ諸島の住人は嵐が過ぎ去るのを待つしかない。だが、この嵐を気にしない処か、歓迎するような存在もいた。

 

 天竜人の中でもキング・オブ・クズの称号を持つ男。その名はチャルロス聖。

 

「ちょうどいいだえ~。今月のお小遣いは、使い切ったえ。だから、狩りに行くえ~」

 

 彼は、SPを引き連れて今一番ホットなコーティング屋が集まる場所に来ていた。ヒューマンショップで目ぼしい商品がないから、暇つぶしに狩りに来ている。天竜人には、非加盟国でヒューマン狩りをするという貴族の行事もある。

 

 それに向けて、彼は自主的な訓練をする。

 

 学が無い海賊達でも天竜人に手を出さないのは暗黙の了解だ。手を出せば最後、試合に勝っても勝負に負ける。必ず報復で海軍大将が出てくる。そこで、海賊人生が終わる。

 

 チャルロス聖がコーティング屋が集まる場所を歩くと、海賊達も殺し合いを止めて膝をついた。いちゃもんを付けられたら面倒だからだ。それは億超えの海賊達であっても同じ。この状況は天竜人にとって当たり前だった。

 

 パーン、パーンと銃声がなる。相手が反抗できない事などお構いなしに、チャルロス聖は海賊達の手足を撃ちぬいた。殺してしまう事が目的ではない、奴隷として使う事が目的だ。だから、殺さない。

 

「簡単すぎてつまらないえ。・・・おぃ、お前。あの船は誰のだえ?」

 

 この戦火の中で、なぜか無傷の一隻の船をチャルロス聖が見つけてしまう。その船にはアラバスタの国旗が掲げられているが、その程度の事を気にするような男ならキング・オブ・クズの称号は得られない。

 

 すぐに、お付きのSPは船を確認した。有名な海賊旗は全て暗記しておりSPに抜かりはなかった。だが、世界政府加盟国の国旗を掲げる船の詳細を教えるか迷ったが、命が惜しいSPは素直に答えた。

 

「あの船は、『海賊狩りの王女』の物です。アラバスタ王家のネフェルタリ・ビビ王女が所有者となっております。商船で登録されており、新世界を目指しているようです」

 

「美人だぇか?」

 

 鼻くそをほじりながら、足を止めたチャルロス聖。一年以上長持ちしているSPは、雇い主が何を考えているかすぐに分かった。だから、彼が望む情報を渡す。そこに写っているのは、ビビ王女の美しい姿だった。

 

「もちろんでございます」

 

「・・・・・・・よし、妻にしてやるえ」

 

 知らない所で成婚してしまう、ビビ。天竜人の発言は世界政府公認である為、今後彼女が知らぬ間に捨てられたとしてもバツイチの称号を得る。そして、天竜人の妻という負の称号も得てしまった。

 

「では、”第13夫人”として聖地へお迎えする手続きを・・・」

 

「あァ・・・1番から5番の妻はもう飽きたから下々民に戻すぞえ」

 

 同じ人間であってもここまで腐れるのは、ある意味才能だ。しかも、本気でそれが相手にとっても幸せだと信じて疑わない。チャルロス聖は馬代わりにしている奴隷の背に乗って、新しい妻を迎えに向かう。

 

・・・

・・

 

 ソラは甲板から戦火を眺めていた事が功を奏し、天竜人の到来にいち早く気が付いた。常識的に考えて、海賊達が絶賛殺し合いをするホットな場所に来るとはソラの想像の斜め上を行っている。

 

 だが、同時にこの場に素晴らしいタイミングで来たルフィ達も見つけた。天竜人のおかげで海賊同士の殺し合いが止まったので、堂々と歩いてくる。ルフィ達の目的はソラ達だ。食料の補給や例の契約に関する交渉が主な目的だ。

 

「私達との関係性をバラさないという契約なのに、なぜ変装もしないで来るかな。まぁ、今回だけは許そう」

 

 このままいけば、タイミング的にチャルロス聖とかち合う。素晴らしい、実に素晴らしい。ソラは本気でそう思っていた。

 

 天竜人がいるのに、ルフィ達は堂々と歩いている。そして、商船の前でチャルロス聖と合流してしまった。当然、チャルロス聖はひれ伏さない海賊に驚き、銃の引き金を引いた。天竜人のエベレストより高いプライドがルフィ達を許さなかった。

 

 ゴム人間に銃弾など無効。ルフィにダメージは無かったが、海賊は舐められたら終わりだ。こちらも抜かねば無作法というもの。ゾロのその殺気に、海賊達はやめろと叫びそうになった。

 

「先に手を出したのはてめーだ。”一刀流 三十六煩悩鳳”」

 

「ぎょえぇぇぇぇぇ!!」

 

 ゾロの剣で見事に切られ、血を流しながら空を舞う天竜人。そこに、ルフィに撃ち込んだ銃弾がおまけで返礼された。その弾丸は、肺と足と腹部に命中する。

 

 天竜人の実物を知らない”麦わらの一味”。天竜人という名前から屈強な男・・・具体的には、カイドウみたいな人物を想像していた。だからこそ、こんなゴミが悪名高い天竜人とは微塵も思っていなかった。良くて、地域の豪商程度だろうと。

 

 チャルロス聖は、ビビに天竜人の妻という一生消えない傷を残すと同時に、”麦わらの一味”から一生消えない傷を物理的に負わされる。因果応報だ。

 

 

◇◆◇◆

 

 怒りというのは時として、人間の限界を突破させる凄まじい原動力になる。そう、ビビは今、怒りにより我を忘れていた。その怒りの矛先は、ソラに向かっている。彼を地面に押し倒して首をへし折ろうとしていた。

 

 ビビの体から湧き上がる覇王色の覇気の重圧。そして、圧倒的なパワーと”グリーン・ディ”の浸食によりソラに命の危険が迫っていた。

 

「覚醒した!? すごいわビビ。兄様を押し負かすなんて。あと二年は掛かると思っていたのに」

 

「素晴らしい。やはり、私の目に狂いはなかった。ですが、そろそろ放してもらえませんか?」

 

「ソラ。私は慈悲深い王女ですから、大概の事は許してあげています。一国の王女に対して敬意が無い事も含めてです。ですが、限度という物があります。・・・私がチャルロス聖の妻とか、どうせ貴方が原因なんでしょ!! こ・ろ・す!!」

 

 ビビの明確な殺意がソラにも伝わってくる。確実に殺す気だと。今のソラは、ビビにとってクロコダイル以上に憎い存在へと昇格していた。今、目の前にいるのだから殺さずにはいられない。

 

 殺意の波動で能力を覚醒させ次のステージに進んだ、ビビ。

 

「兄様がビビを天竜人の妻に仕立てたというのですか? ビビ、確かに兄様は貴方を強くするために限界までおちょくる事はあります。しかし、冗談で済む範囲を超える事はありません。落ち着きなさい」

 

「儂も同感だ。ビビ、それ以上は洒落にならないからやめろ。儂らも加勢して無理やり止める事になるぞ」

 

 ホタルとイーロンが、ビビに怒りを鎮めるように忠告する。

 

 ホタルがビビの肩に手を置く。そして、落ち着くように言う。ゆっくりと深呼吸をさせる。ソラの首を絞める手が緩まったが、彼の首元はビビが絞めた跡がくっきり残る。”グリーン・ディ”による浸食もあったので、傷が残る可能性は高かった。

 

「ソラ。今回の一件は、あなたが原因であってますか?」

 

「違います。色々と前科があるのは認めます。しかし、私はあなたが本当に嫌がる事は決してしません」

 

 夜の特別訓練は、本当に嫌がる事に入っていないから実行されている。その裏付けでもあった。

 

「・・・確かに、そうでしたよね。じゃあ、ソラは、私が天竜人と無理やり結婚されられそうになったら助けてくれるんですか?世界を敵に回す覚悟は、あるんですか?」

 

「ある。仲間を見捨てるような事はしない。具体的にはホタルの力で、男好きに性癖を改造する。そして、直ぐにでも解放されるように策を尽くす。だから信じて欲しい。今回の一件、私は無関係だ」

 

 ソラの目を見て、態度を見て、雰囲気を感じ取る。カビカビの実の能力者であるビビは、人体に付着しているカビから情報を抜き取る事ができるまでに進化を遂げた。ソラの体に付着しているカビが、彼の言葉が真実だと告げている。

 

「ごめんなさい。ソラ・・・今すぐ手当をします。本当に、ごめんなさい。仲間を疑うなんて最低な事をしてしまって」

 

 涙を流して謝るビビ。あと一歩でソラを殺していた可能性もあった。歩く災害みたいな天竜人はまだ生きており、これからもソラ達を悩ます事になる。




これで黄猿到着できそうだ。

インペルダウン編・・・Mr.2とMr.3といったバロックワークスメンツがいない状態で生き残る手段が思いつかない。

この際、最終手段として頂上決戦にカイドウ、赤髪、ドラゴンを呼び集めて真の頂上決戦にしてやるかな。

赤髪のカイドウ足止めを妨害したら、白ひげが現地到着、カイドウも現地到着、追いかけて赤髪が現地到着、ドラゴンは革命のチャンスだと現地到着、・・・完璧な作戦だ。

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