お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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40:大将襲来

 ソラは、ビビに傷つけられた首の治療を行うためワンピース保管庫に向かっていた。自然系(ロギア)で覚醒した数少ない例となったビビ。彼女の能力がソラを絞め殺す事の一点のみに注ぎ込まれた。

 

 覇気の防御でも防ぎきれない。それこそ、カイドウにもダメージが通せる。血肉は腐り落ち、変色し始めていた。ビビの治療を受けた際は、ソラが必死でそれを隠し通した。全覇気を集中し、抑え込んでいた。だが、有限の力である覇気が切れると傷口がどんどん悪化する。

 

 ソラは、ホタルの肩を借りて船の最下層に向かっている。途中、倒れそうになり壁に手をつく。”グリーン・ディ”は、解除されているにも関わらず残した傷跡が大きすぎた。首から垂れる血が床を汚す。

 

 自然系(ロギア)の恐ろしいところは、能力の傷跡が残せる事だ。例えば、スナスナの実で水分を吸い上げた後に解除しても水分は戻らない。それと同じで、”グリーン・ディ”によって、浸食された血肉は能力が解除されても回復しない。覇気で事前にガードするなど対抗策を持っていなければ大惨事になる。死ぬまで覇気で押さえ続けられる程の力があるなら別だが、現実的ではない。

 

「これは、きついな・・・痛い。ビビを止められなかったら本当に死んでいたかな」

 

「そうでしたね。兄様、あと少しで保管庫です、頑張ってください。しかし、覚醒した自然系(ロギア)がここまでとは、想像していませんでした」

 

 ソラは、ワンピース保管庫に辿り着き倒れこんだ。普段は防護服を着てから入室する場所だが、そんな余裕は彼にはない。この壁にある無数のワンピース達に能力で受けたダメージを移し替える。腐り落ちたはずの首の肉が徐々に回復を始めた。

 

 10個、20個、30個と凄まじい勢いでワンピース達が腐り落ちていく。その度に遠くの海では海賊達が謎の怪死を遂げる。100個程のワンピースが腐りきった頃、ソラはようやく自分で立てるまでに回復する。

 

 有象無象のワンピースではなく、船長クラスのワンピース達も回復として使う事にした。10個ほど使い切ると、ソラの顔色は良くなりいつも通りとなる。

 

「ふぅ~、これで一安心。とりあえず、体を洗ってくるからホタルは先に戻っておいて。後、ビビにはこの事は言わないように。しばらくは、ビビのメンタルが心配なので寝食を共にして欲しい」

 

「分かりました、兄様。それと、減ったワンピースを補充に向かいましょう。天竜人を半殺しにした”麦わらの一味”がこの島にいるんです。大将が来るのは、そう遅くはないでしょう」

 

 ビビとの能力的な修行を請け負っているソラにとって、残機となるワンピースの確保は急務だ。今後の修行では、覇気を抜かれる場面も出てくるだろう。そうなった時に備えて、ソラはワンピースを背負って指導する事になる。

 

 ソラは、泣きたい気持ちになりつつ、船大工に携帯用ワンピース保管庫の制作を依頼する。世間体や恥なんて物は捨てた。実用性重視で行くのが大事だ。

 

・・・

・・

 

 ルフィ達は、ソラ達の紹介でレイリーがコーティングをする事になったが三日という時間は今の彼等には長すぎた。半殺しにした後に、あのゴミが天竜人だと知り、弱気な海賊達は一斉に逃げて行った。

 

 この島にいる事の方が危険だと理解し、進んできた航路を戻り始める。それは、一つの選択肢としてありだった。だが、『海賊狩りの王女』一行は、それを見逃さない。イーロンが船底に穴をあけたり、ケイミーが海に逃げた海賊にピラニアをけしかけたりと遠ざかるゴミを一切逃がさなかった。

 

 命からがらシャボンディ諸島の岸まで逃げて来た海賊達。彼等を陸上で迎え撃つ悪魔は、ビビ、ソラ、ホタル、ワズキャンの四人だ。陸に上がれば化け物に殺され、海に逃げれば化け物に殺されるという。

 

 だが、相手は四人。起死回生をかけた海賊達が一斉に陸に上がると、ソラ達が笑顔で虐殺する。賞金首は、頭部だけになりそれ以外は全員魚のえさだ。魚人や人魚を甘く見た連中にはふさわしい末路。

 

 その様子を見た連中は、海に逃げず、陸にも上がらず、シャボンディ諸島の中へと泳いで逃げていく。その方が生き残る可能性が高かったからだ。そういう連中に狙いを定めたソラ。

 

「”(ラブホ)ROOM”、”チ〇ブルズ”」

 

 シュピンという謎の効果音と共に、地面に山積みされる海賊達のワンピース。王女に献上される品物みたいに綺麗な積み方に若干ビビはイラっとしていた。

 

 陸地に上がってソラ達と戦う覚悟をしていた海賊達は、親の顔より見たワンピースを前に理解力が足りずに脳がフリーズする。今話題となっている、ワンピース強奪事件の犯人と言われているハートの海賊団のローがこれをやるなら理解できた。だが、『海賊狩りの王女』であるビビの手下が犯人だったとは、誰が想像しただろうか。

 

「あ、悪趣味が過ぎるぜ。その綺麗な顔の王女様が、とんだド変態だったとは」

 

「そうだ、そうだ。そんなにワンピースが欲しいなら俺が抱いてやってもいいぜ」

 

 下衆の勘繰りをする海賊達。このやり取りも今までで飽きるほどあった。いつも通りの流れだ。

 

「兄様の素晴らしい能力が理解できないなんて可哀そうに」

 

「この状況は、どう考えてもソラの悪魔の実なのになんで私が奪ったように言われるんですか。解せないんですけど」

 

 それは、簡単だ。そのドスケベな体が原因だ。発育が良すぎるので、海賊達にそう思われるのも仕方がない。そもそも、バロックワークス時代に、”魅惑のメマーイダンス”という腰ふりダンスをしていたのだから疑いようもない事実だろう。己の肉体に視線誘導し催眠術に陥れる卑劣な術だ。

 

「ワズキャン。ケイミーの医療技術向上に何人か生け捕りにするから、自由に使ってくれ」

 

「それは助かるね。でも、みんな忘れているけど僕の本職はコックだよ」

 

 コックのワズキャンを想像するが、どうしてもできなかった。これには、ビビも無理があるんじゃないかなと思っている。どう見てもコックの顔じゃない。声だけは、”麦わらの一味”のサンジとそっくりだが、漂う雰囲気が異質すぎた。

 

 海賊達の悲鳴が響き渡る。この世には、勝てない存在がいる事を肌で感じただろう。

 

 シャボンディ諸島の内陸へ逃げて行った海賊達は、逃げた先で億超えの海賊であるハートの海賊団船長ローとすれ違った。双方とも逃げる身である為、関わらずにいたが・・・大事なワンピースがいつの間にか消えている事実を海賊は後で知る事になる。

 

 そして、疑いの信憑性は更に増してしまう。いつしか、人はローの事を見るだけで股間を隠すようになる。

 

 

◆◇◆◇

 

 ソラ達が海賊狩りから帰ると船の前に、正義のコートを羽織った黄色いスーツの男がいた。ソラ達も流石にその男が誰だか知っている。海軍で三人しかいないトップの一人海軍大将黄猿。ピカピカの能力者でビビと同じく自然系(ロギア)だ。

 

 黄猿は、今帰ってきたビビ達を見て納得した顔をする。

 

「おんや~、『海賊狩りの王女』で良かったかな~?これは、想像以上でコワいねぇ・・・。王女もそうだけど、他も相当だね。10億を稼ぐのも納得でしょう」

 

「これは、海軍大将黄猿さんですね。お初にお目にかかります。アラバスタ王家のネフェルタリ・ビビです。商船に何か御用ですか?」

 

 ビビは、先日のチャルロス聖関連の話だと推測する。ルフィ達が天竜人に手を出した。それも、商船の前でだ。当然疑われる事もある。実際に、”麦わらの一味”との関係もずぶずぶだ。

 

「ワシは、センゴクさんからこれをアンタに渡してくれと頼まれた。知っての通り、”火拳のエース”の公開処刑が決まった。だけど、相手は白ひげだからね~。海軍は、猫の手も借りたい実情がある。だから、世界政府はクロコダイルの身柄と交換で『海賊狩りの王女』に参加を要請している」

 

「お断りします」

 

 黄猿は、ビビが即答するので困惑した。

 

 世間では、悲劇のNTR王女と呼ばれる女性だ。世界経済新聞のトップニュースを飾る事も多く、アラバスタの国民の誰もがクロコダイルとの結婚を望む状況であるのに、この回答は想定していなかった。

 

「今回の事が片付けば、”NTRの悪魔”ニコ・ロビンを海軍が総力を挙げて捕まえるという確約もサカズキから貰っているよ。クロコダイル釈放後は、クロコダイルの王下七武海入りも約束するし、天竜人との結婚も破棄させる。だから夫婦揃って海軍に協力して欲しいな~」

 

「黄猿さん。今、私は冷静さを欠こうとしています。書簡は受け取りますので、早く帰ってください」

 

 思い出したくもない世間の誤解を海軍がほじくり返してくる。制御できない程の怒りで、黄猿に手を出さないようにするだけでビビは精一杯だった。

 

 一つ目の仕事を達成したとして、黄猿は次の任務にうつる。天竜人を殴り飛ばした海賊の殲滅だ。そのために、頂上決戦用に準備したパシフィスタまで連れてきていた。




いつも誤字脱字のご指摘修正本当にありがとうございます。
この投稿ペースは、できるだけ頑張ります。


次くらいでシャボンティ諸島編は終わりです。

コブラ国王にもそろそろ事情を説明しないとな・・・信じて送り出した娘が、悪魔の実の能力者にされ、海軍中将ガープと引き分け、ウォーターセブンと友好関係を結び、わずか数か月で獲得賞金10億をこえ、天竜人と成婚する。控え目に言っておかしいな。


女ヶ島アマゾン・リリー編は、ルフィの独壇場だからなしの予定です。
インペルダウン編か頂上決戦編になります。
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