ソラは、インペルダウンで上層にあるLEVEL5を目指す途中でチ〇チ〇レーダーに違和感を覚えた。それは、階層の中間地点くらいに無数の男根が集まっている。足を止めたソラ、そしてホタルもムラムラレーダーの反応に気が付いた。
コンコンと壁を叩くソラ。ホタルも同じく壁を叩き始めた。
「この先に空間があるな。待機室にしては、数が多い」
「そのようですね、兄様。このインペルダウン程の建造物ならば、隠れた施設もあるでしょう・・・行きますか?」
「ソラ、ホタルさん。二人の感覚が誤っているとは思いません。何かしらの手段でこのインペルダウンの牢屋から逃げた者達でしょう。ですが、我々の当初の目的は多くの犯罪者のはずです。先を行くべきです」
ビビの言う通りだ。今、このタイミングでも我々の行動がインペルダウン側に露見する可能性がある。監視カメラとして使われている映像電伝虫の交尾にも限界がある。一時間程度が精々だろう。それ以上の場合は、看守たちが目視確認に来るはずだ。
「それもそうですね。急ぎましょう。このインペルダウンのマゼラン所長は、
「もちろんです、兄様」
そうして、ソラ達が辿り着いた先にあったのは白銀の世界だ。インペルダウンという建造物の中で、どうして吹雪まで再現できているのか。謎すぎる技術。もはや、ここが古代兵器なのではないかと思うほどだ。
・・・
・・
・
この環境は、ソラ達にとっては望ましくなかった。
「ソラ、この寒さではカビの浸食が進みません。でも視界に入る範囲なら狙い撃ちは可能です」
「
二組に分かれたソラ達が行動を開始する。牢屋の中にいる囚人など、カモを撃つより簡単に殺せる。この環境下で長期間いる連中だ。それこそ、生きるのが精一杯でいつ死んでもおかしくない。
雪が溶けた水をイーロンが銃弾の速度で打ち出す。檻の中で逃げ場所がない囚人は、閉鎖空間でショットガンみたいな弾を避ける事も出来ず死に絶える。仮に生きていたとしても、傷の手当てもされないので長生きはできない。
ソラのチ〇チ〇レーダーには、今まであったはずの反応がどんどん減っていく。
◇◆◇◆
インペルダウンの異変にいち早く気が付いたのは、看守たちではなかった。人様の目を一番気にして隠れ住んでいる
そこで映像電伝虫の異常に気が付き、LEVEL6に足を踏み入れたら生きた人の気配がなくなっていた。人だったと思われる者には、人間の原型を留めていない何かになっていた。新手の伝染病か何かだと思い、LEVEL5.5の住人たちは防護服を着こんで原因を探っていた。
そして、LEVEL5で収監されている犯罪者達を殺して回っている謎の集団を発見する。その一報がLEVEL5.5のリーダーであるエンポリオ・イワンコフに届けられた。彼はこのインペルダウンにおいて、カリスマ性や治癒能力でその地位を確立した者だ。重症の患者を治療し仲間に引き入れる事もしており、言い換えれば悪のカリスマを持つ。
「ど、どういう事よ!! LEVEL6といえば、世界的な犯罪者達がいるのよ。それを皆殺しにするなんて、ありえナッシブル。ヴァナタ、これは本当なのかしら」
「勿論です。また、犯人と思われる集団が今はLEVEL5で囚人たちを殺して回っています。インペルダウン側に通報しますか?」
そんな馬鹿な事が出来るはずもない。
「インペルダウンでも前代未聞の大事件よ。これだけの事態だから、向こうが気が付くのも時間の問題よ。嵐が過ぎ去るのを待つのよ。今は、情報取集に徹底するっしブル」
「分かりました」
例え、嵐が過ぎ去ったとしても
他にも、ここの食糧事情の問題にも直結する。
「イナズマ。ヴァナタならあの集団を監視できるかしら」
「イワ様、無理です。どのような方法を使っているか分かりませんが、あの広いLEVEL5で的確に囚人たちを殺して回っています。それに、六式を使っている所を見ると政府関係者の可能性が高い。噂のCPが”火拳のエース”を裏で殺害して、戦争を有耶無耶にする気ではないでしょうか」
それが一番無難な答えだった。
「だが、そんな事をしたら白ひげだって黙ってないわよ。ま、まさか・・・あの集団、ヴァターシたちの事を知っていて見逃しているんじゃなっシブル。この場で、LEVEL6にいる囚人が死んで疑われるのって私達じゃない」
「イワ様は、革命軍の幹部で、
イワンコフは、状況のまずさに気が付いた。
あの集団の目的は不明だが、このまま囚人を殺させては徹底調査が入る。その結果、ここがばれたら全ての計画が破綻する。その前に接触して、目的を確認する必要がでてきた。
「た、大変ですイワンコフさん。例の集団がもうLEVEL4へ向かいました」
「あり得ないっシブル。中央エレベーターは使えないのよ!! 一体どうやったのよ!?」
LEVEL5とLEVEL4を行き来するには、階段には巨大な鉄の扉がある。機械式で制御室の操作なくして開閉されない。力ずくで開ければ即座に警報が鳴り響き、マゼランを筆頭に看守たちが下りてくる。
鉄の扉は、鋭利な刃物で切断されたかのように四角くくり抜かれた。チョキチョキの実をもつイナズマなら同じような事が出来てしまう。状況証拠が積みあがってしまう。
「緊急事態よ!! この際、手段を選んでられないわ。LEVEL4の囚人をわざと開放して警報を鳴らすわ。そうすればインペルダウンもこの事態に気が付くはず。急ぎなさい」
イワンコフ達は、将来的にインペルダウンを脱獄して革命軍に合流する目的がある。その為にも、戦力となる囚人を少しづつ集めてカリスマ性で洗脳まがいな事をしていた。地獄に仏という事で、イワンコフを崇拝するようになった囚人たちは将来の革命軍兵士となる。
だが、その中には元・凶悪犯罪者も多数含まれている。革命軍とは聞こえはいいが、犯罪者を集めた囚人部隊とか、そんな連中に革命されては後々地獄しか待っていないように思える。
イワンコフは、ソラ達を止めるべく選び抜いた20名程の精鋭をLEVEL4に向かわせた。囚人を意図的に解放して、彼等を止める為に。
・・・
・・
・
そんなイワンコフの事情などソラ達は知る由もなかった。手を出してこないなら他を優先して処理していたが、邪魔をするならそうもいかない。ソラ達だって、リスクを負ってこの大監獄インペルダウンで世界の為にゴミ掃除をしている。
それを止めるという事は、つまり敵だという事だ。
「イーロン、この先はLEVEL4焦熱地獄で看守室もある。ビビ、ホタル、私の三名でこのフロアを掃除するからここで退路を確保しておいてください。下からお客さんも来るみたいなので」
「分かった。看守以外なら皆殺しで構わんのだろう」
迫ってくる足音。イーロンもお客様が来たことに気が付いた。そもそも、看守部屋はLEVEL4にある。下から上がってくる足音というのは、取りこぼした囚人たちしかありえなかった。
「えぇ、手を出されては仕方がありません。誰だかわかるように顔面は潰さないでください」
「イーロンさん、5分で戻ります。それまでお願いします」
ビビがイーロンに5分退路を確保するように依頼した。彼女は、LEVEL5 極寒地獄が相性的にカビを広げられなかったがLEVEL4 焦熱地獄なら行けると判断した。気温は高いが、蒸気で湿度はある。
「ビビ。看守室、調理場、牢屋の外の看守たちも外すようにしてください。我々は無差別殺人がしたいわけではありません」
「意外と注文が多いですよ、ソラ。まぁ、できますけど。”グリーン・ディ”」
ビビの殺人カビがこのフロアに広がっていく。5分もすれば天井まで含めて隅から隅まで広がり囚人たちが死に絶える。だが、3フロア目の掃除に入ると同時にソラ達の潜入がインペルダウン中にばれる。
けたたましい警告音が鳴り響いた。
「ビビは、そのまま”グリーン・ディ”で囚人を処理してなさい。兄様と私で貴方を守ります。それに、マゼランと思われる反応はトイレに籠っております。聞いた話では日に10時間はトイレに籠るらしいので5分程度大丈夫です」
大監獄インペルダウンの看守たちは、長い歴史上でほぼ聞く事がない侵入者警報を聞いた。そして看守たちは大慌てで監視カメラを確認するが、どのカメラにも映像電伝虫の交尾が映し出されている。
無事だったLEVEL1~3を重点的に確認するが何の異常も見つからず、当初は誤報だと思われた。海上にも船舶は見つからない。だが、副所長であるハンニャバルは嫌な予感がしたため、便所に籠っている所長マゼランに確認せず武装した職員をLEVEL4へと向かわせた。
彼等が到着した時には、フロアにいた囚人たちが見るも無残に殺されていた。誰かが脱獄した可能性も否定できず、看守たちは大急ぎで生存者の確認や遺体の確認を始める。犯人と思われる人物達は影も形もない。
唯一手がかりとして残っていたのは、LEVEL4とLEVEL5を繋ぐ階段に、インペルダウン内部で行方不明になっていた囚人の真新しい死体があった事だけだ。
世界経済新聞を騒がす大ニュースとなる!!
大監獄インペルダウンで伝染病による死者多数と。