お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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46:海底一万メートル

 公開処刑される予定の”火拳のエース”を救うため、ルフィは動き出していた。彼は天に愛されている。シャボンディ諸島で海軍に襲われた際、王下七武海バーソロミュー・くまに結果的に助けられた。くまの能力で”麦わらの一味”は全員がバラバラになったが、別の島へ飛ばされた。そしてルフィは三日三晩かけて女ヶ島に飛ばされていた。

 

 そこで意識を回復したルフィは、ひと悶着起こした末に島を収める女帝の心を射止める。本来、チ〇コミュニケーションで仲良くなるはずだったが、ルフィの化け物級のコミュ力で女帝である王下七武海ボア・ハンコックを堕とした。

 

 惚れた弱みとは、男でなく女にも適用される言葉であると誰もが思う程、ハンコックはルフィに入れ込んでしまう。ルフィがその気になっていれば永遠に女ヶ島で暮らせただろう。

 

 だが、ルフィは世の中の事情を知ってしまう。

 

 女ヶ島でエースの公開処刑を知る事になり、ルフィはエースを救うためハンコックに頼み込んだ。彼女の協力を得て、ルフィはエースが収監されている大監獄インペルダウンへと辿り着く事に成功する。

 

 本当にギリギリのタイミングだ。ハンコックもルフィの潜入を助けたとなれば、王下七武海の称号をはく奪されて女ヶ島ごと地図から消されるかもしれない。

 

 だが、辿り着いても問題は山積みだ。数日前に大監獄インペルダウンは疫病が大流行した事で、"火拳のエース"が後数時間で海軍本部のマリンフォードに護送される事になっていた。救い出すチャンスはこれが最初で最後だ。このニュースはハンコックも初めて知ったので驚いていた。

 

 大監獄インペルダウンは、王下七武海ボア・ハンコックであっても身体検査は必須。頂上決戦で対白ひげ海賊団と戦うという条件で特例としてエースとの面会が許された。本来ではありえない対応だが、僅かでも戦力が欲しい海軍は彼女の望みを飲んだ。

 

 ルフィは、ゴムの体を利用してハンコックに巻きついて潜入していた。ハンコックは、身体検査を行う看守から情報を聞き出そうとする。

 

「そうか。インペルダウンでそのような事があったとは知らんかった。”火拳のエース”は、生きているんだな?」

 

「はい。本来は、LEVEL6に収監している囚人です。今、死なれては海軍も困るので、一時的にLEVEL3にて厳重管理をしております。同室だった”海侠のジンベエ”も同じくフロアに収監しています」

 

 原因不明の病原菌という可能性もあり、”火拳のエース”は護送までの期間を特別にLEVEL3で管理されている。24時間監視付きというおまけ付きだが、二度と無いような好機だ。

 

 ハンコックは、海楼石の手錠を嵌められる間に全員を石にしてルフィの願いを叶える事を一瞬考えた。やろうと思えばできた。王下七武海の地位を捨て、女ヶ島を捨てる覚悟があればエースを救えた可能性は十分にある。所長マゼランですら、ハンコックの虜にできるのだから。

 

 惚れた男の為とはいえ、今まで何十年も一緒だった全てを捨てる事は彼女にもできない。だから、最大限の協力までだ。その心はルフィも理解しており、それ以上は求めていない。これからやろうとしている事は正義ではないと、彼自身もよくわかっている。

 

 

 こうして、ルフィのエース救出大作戦が始まる。時期を同じくして道化のバギーがLEVEL1で脱獄計画を実行に移した。異能生存体であるバギーの運命を引きずり出すルフィの天運は、相手にしたら悪夢そのものだ。

 

 一方LEVEL5.5では政府の徹底調査が実行される前に逃げ出す事が決まる。LEVEL5.5の住人にとっては、頂上決戦が終わるまでの期間しか逃げる事は出来ない。それ以降になったら食料も足りなくなり、じり貧になる。

 

 

◇◆◇◆

 

 海底1万メートルの位置にある魚人島。魚人や人魚はその空間で普通に生活できるが、人類にとっては過酷を通り越した環境だ。生存不可能な場所。そう考えれば、この地で暮らす人魚に法外な値段がつくのもある意味納得だ。希少価値が高すぎる。

 

 魚人島まで辿り着ける海賊が少ない事にも、それだけの理由があるとソラは納得した。

 

 今、ソラ達は魚人島の入口で入国審査待ちをしている。その為、暇だった。アラバスタ王家の旗を掲げ、魚人と人魚を仲間にしており、犯罪歴もない綺麗な集団だ。いくらでもやってくる海賊と違って、魚人島に来るのは珍しい部類の客人となる。

 

「イーロン、ケイミー・・・仲間に魚人族か人魚族がいないと魚人島まで着くのも大変だし、海王類に殺されそうになるし酷い環境だ。正直さ、魚人島に向かう海賊船とか問答無用で魚人達が船を潰すとかしたら守れるでしょ?アラバスタが守る必要ないと思う」

 

「兄様に同意です。別に、魚人も人魚も外界と接触せず引きこもっていればすべて解決するのではないでしょうか?幸い、海中はどこまでも広がっています。わざわざ陸地に上がらなくてもいいのでは?」

 

 ソラとホタルは魚人島にアラバスタが必要か疑問だった。ここに来るまでの過酷な環境に、天然の難攻不落の要塞を前に、世界各国を相手にしても負ける要素が全くない。ハッキリ言えば、同盟はいらない。

 

 万が一、ソラやホタルみたいな人物が魚人島の王族だったら、10年で世界の覇権を握っただろう。それ程までに無敵だ。なんせ世界を相手にしても負ける未来がまるで見えない。

 

「イーロン。海賊達をこの世からいち早く殲滅する方法が思いついたんだが、聞いてくれないかい?」

 

「別に構わんぞ。海賊達が死滅するなら魚人島も平和になるからな。で、どんな方法だ?」

 

 ビビも聞き耳を立てていた。

 

「まず、私が魚人島の王になるだろう。それから、魚人島に来る海賊達は道中で全て皆殺しにする。海を航海している海賊も船底に穴を開けて全て沈没させる。停泊中の海賊船も全て破壊し、島に閉じ込める。最後に、アラバスタ王家で密造してもらっている直径5kmを吹き飛ばす爆弾を投げまくって島ごと消し飛ばすのさ」

 

「素晴らしいです、兄様。しらほし姫に私の能力を使って兄様と一緒に密室に放り込めば全て解決します。ビビ、協力してください」

 

「え、嫌ですけど。今の話を聞いて、なぜ協力すると思ったんですか?」

 

 首をかしげるソラとホタル。最速RTA並に海賊が滅ぼせるのに、なぜ嫌がるの、と。そこでソラは、理解した。あの噂(男より女が好き)は真実だったと。

 

「分かりました、ビビにその大役を譲りましょう。確かに、異性である私がしらほし姫と密室状態になれるとは思えません。ですが、ビビなら同じ女性で王女です。私の能力で生やしておくので、任せました。安心してください・・・政略結婚なんて王族にはよくある事です」

 

「ソラ、いつまでも私に勝てると思わないでね。力関係が逆転した時が、貴方の運の尽きよ」

 

「全く、お前達は子供だな。儂は、ソラが魚人島の王というのは意外とありだと思っている。この力こそ正義の大海賊時代を生き残るのには、今の王家は心もとない。だが、市民目線でいえば魚人島の王に人間は無理だな。国民感情が付いていかないから、ソラが考えているような海賊を滅ぼす事なんて夢物語だ」

 

 魚人としての意見をイーロンが述べる。だが、その通りだ。逆を言えば、アラバスタの国王がいきなり魚人になったら誰も認めないだろう。それと同じという事だ。

 

「じゃあ、イーロン。王になる気はない?後押しするよ。陸は、ビビが覇権を握る。海は、イーロンが覇権を握る。海上は、私とホタルとワズキャンで何とかしよう」

 

「儂は、魚人島の為に海賊狩りは続けるが、王になる気などないわ。気を使う仕事なんて儂ができると思うな」

 

 魚人島の入国審査の場所でトンデモナイ会話をしているソラ達。もし警備の兵士にでも聞かれたら、逮捕されてしまうだろう。

 

・・・

・・

 

 ソラ達は入国審査を通過した。アラバスタ王家のネフェルタリ・ビビがいる事もあり、簡単な検査に終わる。事前にイーロンが話を通してくれていたことも大きかった。そして、案内された停泊施設が・・・大海賊集団がいる真横だ。

 

 もうちょっと場所を選べよ、とソラは思った。掲げられている海賊旗は白ひげ海賊団の物だ。ソラ達は『海賊狩りの王女』で名が売れているのに、この場所は誰のセンスだと苦情の一つも言いたくなる。白ひげ海賊団の者達は慌ただしく物資の補給とコーティングの最終確認をしていた。これから頂上決戦に向かうのだろう。

 

 四皇最強と言われる白ひげ海賊団。そのメンバーが一同にそろっており、壮観というほかない。ソラ、ホタル、ビビ、イーロン、ワズキャン・・・彼等は無意識に一点を見つめてしまう。

 

 視線の先にいるのは、モビー・ディック号にいるエドワード・ニューゲートだった。齢72歳とは思えない程に鍛えられた身体・・・だが、だからこそわかる。この男の全盛期は既に終わっている。後30年早ければ、これから向かう頂上決戦において敵なしだっただろうと。

 

 なぜか、ビビが釣られてか一歩前に出る。覇王色の覇気を白ひげ海賊団に放ちそうになった。

 

「ビビ!! やめなさい。世界の頂点に挑むには、まだ足りません。我々数名で、あの海賊団全員を相手にするのは不可能ですよ。うぬぼれてはいけません」

 

「・・・っ!! ごめんなさい、なぜか白ひげを見て、気が抑えられなくて」

 

 だが、世の中、ごめんで済んだら海賊や海軍はいらない。ピリピリしている白ひげ海賊団相手に覇王色の覇気をぶつけ様とした愚か者(ビビ)が居るのだ。当然、相手だって気が付く。未遂であっても許してはくれないだろう。

 

 すでに船を囲むように隊長格が4人。逃げ場がないように包囲していた。追加で二名・・・最初にソラ達の船に乗り込んで来たのは、パイナップルヘアーの一番隊隊長の”不死鳥のマルコ”、そして五番隊隊長の”花剣のビスタ”だ。

 

「お前等、何者だよい」

 

「私はアラバスタ王家のネフェルタリ・ビビです。彼らは私の仲間です。この商船に何かご用事ですか? 白ひげ海賊団の一番隊隊長”不死鳥のマルコ”さん」

 

 マルコがその場にいるメンバーを確認する。商船にしては血なまぐさい連中ばかりだ。相当数の人間を殺している事がマルコには分かった。

 

 だが、ネフェルタリ・ビビという名前は新世界にいる彼等も当然知っている。世界経済新聞の常連であり、いつも話題の中心だ。獲得賞金額10億を超える超大物の海賊狩り・・・その称号に偽りがないと肌で感じ取っていた。

 

「こちらは、知っての通り忙しい。だから、『海賊狩りの王女』の相手をする気はないよい。戦えば負けないが、今戦力低下は避けたいよい」

 

「それには、こちらも同意です。私達はアラバスタと魚人島の友好関係を築きにきました。それなのに、ここで争っては水の泡です」

 

「じゃあ、お互い不干渉で。ところで、さっきの覇王色の覇気は誰だよい?」

 

「私です」

 

 マルコは、まるで化け物を見るような目を一瞬していた。新聞情報では僅か数か月で力を付けたと書かれていたが、覇王色の覇気までその短い期間で習得しているとか化け物級だ。覇気の難易度がわかるからこそ、彼等はビビを見る目を変えた。

 

 あれは、王女の皮を被った覇王だと。

 

 お互い戦う気が無いと分かると、マルコ達は帰ろうとする。それもそうだ、このクソ忙しい時に化け物を相手にする必要などない。しかし、帰ろうとするマルコをソラは引き留める。

 

「”不死鳥のマルコ”。こちらの無礼を見逃してくれたお礼です。”D”の人からの預かり物・・・ダビングですが、白ひげに渡してください」

 

「これは、カセットテープかよい」

 

 怪訝な顔をするマルコ。当然の反応だ。初対面の連中から、なぜかカセットテープを渡され、白ひげに渡して欲しいなど意味が理解できない。事前にマルコが確認するだろうから、それはそれで問題ないと思っていた。

 

 エースの肉声を聞けば白ひげにも渡る。だが、マルコがそのテープを聞いたのは魚人島を出立した後であり、このテープの入手経路など一切を知る事が出来なかった。




大監獄インペルダウンは、難易度が半分以下に落ちて始まります。
流石に、あの状況のレベル6でエースは収監できないでしょうから。
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