お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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49:ノーコメント

 生きた心地がしないビビ。

 

 頂上決戦が映し出されるスクリーンの特別席で、ビビの横に座るソラ。ホタルと同じくビビの膝枕で観戦を始めた。美少年、美少女を侍らす傾国の王女ビビ。その姿は、しっかりと世界経済新聞社に撮影される。

 

 頂上決戦の結果次第では、明日の朝刊の一面を彼女が飾るだろう。

 

『エース!! お前の父親の名を言ってみろ!!』

 

『おれの親父は”白ひげ”だ!!』

 

 という、名シーンが流れていた。業を煮やしたセンゴク元帥の口からエースの素性が明らかになる。彼は海賊王の息子である。つまり、この大海賊時代を到来させた大戦犯の子供だった。

 

「兄様、ネームバリューの割に”火拳のエース”はパッとしませんね。カイドウが実の息子という方が納得感があります」

 

「気持ちは理解できる。海賊王を父に持ち、自然系(ロギア)に加えて、覇王色の覇気もあるが・・・二番隊隊長で白ひげを海賊王にしたいという志程度しかないからね」

 

 ソラ達の商船では、海賊王の息子と驚く連中も多くいた。だが、イーロン、ワズキャンも既にソラからその情報を聞いており特別驚く事はなかった。むしろ、海賊王の息子があの程度かというのが正直な感想だ。

 

「万全な迎撃体制を整えている海軍相手に、白ひげ海賊団がどこまでやれるか見物です。ちょうどルフィも到着したみたいです・・・なんで死んでないんでしょうね? Mr.2やMr.3、クロコダイルまでしっかりと始末しているのに」

 

「ルフィさん満身創痍じゃないですか!? ソラ、ルフィさんのワンピースに治癒能力があるカビを寄生させてもいいですか? 少しは役に立ちたいです」

 

 自然系(ロギア)の覚醒者であるビビが、全力で治癒カビに力を注ぐ事になる。その程度の援護が無ければ、本当に死にそうだった。包帯を巻いた状態で頂上決戦に来るとは想定外だ。

 

 イワンコフ含む革命軍とバギーや囚人たちもいる。やはり、天は彼等をここに導く。だが問題は、どうやって来たかだ。所長マゼランがいる限り、悪くて全滅。良くても、ルフィだけだとソラは思っていた。

 

 さすがに囚人の数は少ない。ここに来るまで消耗品のごとく扱われたのだろう。

 

「えぇ、構いませんよ。ただし、力加減を間違わないようにしてください。それと観戦しながら聞いてください。本当は頂上決戦が終わってから話そうと思っていたのですが、事前に説明する時間がありませんでした・・・。事が終われば、勝っても負けても彼らは逃げ帰るでしょう。その時、魚人島を通過する白ひげ海賊団を始末します。その後は魚人島を狙っているビックマム海賊団との対峙が待っています」

 

「私の安寧の時間はないんですか」

 

 ビビの安寧の時間は・・・夜の特別訓練だけだ。

 

 

◇◆◇◆

 

 ソラとホタルは、ビビの膝枕を堪能しつつ真剣な顔をしている。ビビも覚悟を決める。王家の責務・・・その結果、生んだ事態だ。全ては自分に責任があると納得している。ソラとホタルの過去がどのような物でも覚悟している。

 

 ソラとホタルは、周りを気にしつつ小声で伝える。その会話を聞いてるのはソラ、ホタル、イーロン、ワズキャン・・・そして、ビビの5人だけ。他の皆はスクリーンに夢中だ。

 

「私は、起きてしまった事に対して、ビビを責める気はありません。ホタルが貴方を選んだというなら、それを祝福する。それが、兄として妹にできる最大限の事だと思っています。ビビ、ホタルの事をお願いしますね。こう見えて、なかなか世間知らずなところがあります」

 

「勿論よ、ソラ。ところで、私の胃が痛くなる話はこれから?」

 

 ビビは、これだけで終わるはずはないと思っていた。

 

 ソラとホタルは、天竜人の血を引いていると聞いた。それも、フルティン聖と言う一度聴いたら忘れないような名前だ。双子の名前がフル・T・と言うのも今さらながら納得した。まさか、天竜人の名前をそのまま使っているとは誰が思うだろうか。

 

「兄様、まるで私が世間知らずみたいに聞こえてしまいます。ビビよりマシですよ」

 

「そういう事にしていきます、ホタル。では、本題に入りましょうか。ビビ、以前にも伝えましたが、私達の父親はフルティン聖で聖地マリージョアに住んでいる天竜人です。ですが、母方の父親もフルティン聖です。祖母の父もフルティン聖です。曾祖母の夫も・・・」

 

 ビビは、ソラが真面目な顔をして冗談でも言っているかと思ってしまう。何度フルティン聖と言えば気が済むのだと。だが、少し冷静になり、ソラが言ったことを紙に書くと信じられない事実が浮かび上がる。

 

 ソラとホタルの父親、祖父、曾祖父の全てがフルティン聖。天竜人だからこそ、襲名性という可能性がある。ビビは、そうであって欲しいと望んだ。だが、ソラとホタルがクズだと言う程だから、そんな甘くはないだろうとビビは考えた。

 

 そして、いくつかの答えを考えた。そのどれもが、最低最悪だ。

 

 そんなビビの様子を確認したソラは、次のヒントを出す。

 

「フルティン聖は、800年前に”世界政府”という巨大組織を作り上げた最初の20名の王の()です。恐ろしい事に、今の今まで生き続けている天竜人です」

 

「長寿・・・いいえ、違うわ。それなら子供を作る必要がない。それに、ソラ達の言葉が本当なら、自分の子供に自分の子供を産ませている。・・・っ!? まさか、嘘よね!?」

 

 ビビの脳裏に横切る嫌な可能性。それを否定したくてビビは器用に小声で叫ぶ。

 

 ソラとホタルは、天竜人の血を引いている割には見た目が抜群に良い。それこそ、長い年月かけて品種改良された芸術品のような出来栄えだ。この上、才能まで極上である。

 

「ビビの想像の通りよ。私と兄様は、フルティン聖の次代の肉体としてこの世に生を受けたの。私は、孕み袋として。兄様は、フルティン聖の新しい依り代として。フルティン聖は、自分の血を後世に残すため、代々の女性に必ず自分の血を入れてきた」

 

「な、何なのよそれ!? そんな事をやる人間がこの世に存在するはずが・・・・・・」

 

 ビビは、いないと言いかけたが、言い切れなかった。

 

 この世には、似たような事をやっている奴が存在する。方向性は違うが、あらゆる種族と子供を作っているビックマム。どこぞの王族でもクローン人間を製造し絶対服従の理想的な軍隊を作ったりもしていた。

 

「いますよね。世界の権力者たちは、本当に様々な方法で地位を求めたり、権力を求めたり、力を求めたり・・・不老不死を求めたりします。フルティン聖は、老いる身体を乗り換える事で、その全てを実現しました」

 

「悪魔の実の能力なのよね、ソラ。だから、子供の中から若く、才能があり、容姿が優れたものを選び、今まで乗り換えてきた。天竜人だからって、頭がいかれているわ!! そんな事がまかり通っていいの!?」

 

 普通なら無理だと言える。そこまで倫理観が崩壊する事などそうそうにない。それに、事が露見すれば、乗り換え前に世間体が死に、誰かに殺される可能性もある。

 

「天竜人の中でも特に権力を持っているフルティン聖ならできます。あの男の悪魔の実は、超人系(パラミシア)タマタマの実です。自分の血を引く者を依り代に・・・って、聞いてますか、ビビ? 今、大事なところを話していますよ」

 

「聞いているから、聞き間違いじゃないかと整理しているんです。ソラの悪魔の実は、なんでしたっけ?」

 

 毎晩お世話になっている悪魔の実の能力を忘れてしまうとは情けない。若年性アルツハイマーが発症するまで追い込んでしまったのかと、ソラは不安に思う。これから妹を託す女性の脳細胞をここまで破壊してしまったのかと、心苦しいばかりだった。

 

「チ〇チ〇の実です」

 

「うんうん、そうでしたよね。じゃあ、ホタルさんの悪魔の実は何でしたっけ?」

 

「ムラムラの実ですよ。どうしましたビビ?今さら、そんなことを聞いて」

 

 チ〇チ〇の実、ムラムラの実、タマタマの実・・・この勢ぞろいしたようなイロモノの悪魔の実。前半二つの実の能力を知っているからこそ、このタマタマの実でどうやって身体を入れ替えているのか悩む。

 

「チ〇チ〇の実の下位互換みたいな悪魔の実で、どうやって身体を乗っ取ったのかな、と。それがわかればソラ達の身も安全になるんじゃないかと思って」

 

「あの~、ビビ。タマタマと言っても、ワンピースのタマタマじゃなくて、魂のタマタマです。いい加減、下ネタから離れてくれませんか?淫乱NTRドスケベ王女様。人が真面目につらい過去の話をしている時に、ふざけないでもらえませんか?」

 

「そうです、ビビ。もう少し、真剣に話を聞いてください」

 

 納得がいかないビビ。

 

 頑張って話を理解して、ソラ達の境遇を理解しようとしていた。だが、タマタマの実は反則だと言いたい。

 

「じゃあ、続けますね。今代の依り代に選ばれたのが、私だったんです。そして、その配偶者にはホタル。双子ですからね、後継を産ませるのは最適だったんでしょう。その為、私とホタルはフルティン聖の元で徹底した教育を受けさせられました。しかし、何もできず人としての死を待つしかなかった私達。天には見捨てられましたが、悪魔は見捨てなかった」

 

「兄様の食事には、チ〇チ〇の実。私の食事に、ムラムラの実が現れました。悪魔の実は、二つを宿すことはできません。つまり、タマタマの実に対しての最高の防御策になりえます」

 

 ビビが知ったのはソラとホタルの過去の一端だが、想像以上に重かった。しかし、まだ最初に過ぎない。この話では天竜人を恨むのは納得だ。だが、海賊を根絶したい理由が出てきていない。さらには、どうやって天竜人のお膝元から逃げ出したのかも。

 

「ソラ、ホタルさん。大事な話をしてもらっていて本当に申し訳ないんですけど、頂上決戦を見ませんか?本当に大事なところなんですよ」

 

 映像には、白ひげが仲間からずぶりと刺された瞬間が写っていた。

 

「確かに大事なシーンでしたね。組織のボスを刺す(意味深)とか最低ですよね、ビビ」

 

「・・・ノーコメントで」

 

 ソラの発言にビビは何も言い返せなかった。

 




頂上決戦の話がまるでないのは、こんなノリで進んでいきます。
映画鑑賞している気分で遠くから見ている感じだと思ってください。

サクサク進ませます!!
超大作のワンピースはまだ先が長いよ~。

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