あと何話かかるか全くわからぬ。
世界を滅ぼす力と言われるグラグラの実。噂ではなく、真実であったと放送が告げていた。白ひげが能力を使っただけで、海軍本部があるマリンフォードが島ごと傾いた。それも、その海域全体が天変地異になる。
「世界最強と言われる男の能力は規格外です。世間では
「そうでしょうね。兄様と私が心血注いで鍛えたその力。世界最強の王女となる日も遠くないはずです。もしかしたら、今の時点でも世界最強の王女かもしれません」
ソラとホタルの言葉に、彼女を知る者達は頷いた。成長速度が異次元であり、まだまだ伸びしろがある。全盛期はまだ訪れていないのだから、本当に最強の王女になるだろう。
「そんな称号は欲しくはありません。それと気が付いたんですけど、王下七武海の人達って殆ど働いていませんよね。これじゃあ実力がわからないです・・・ただ、一つ言える事は、”鷹の目”とは戦いたくないです。たぶん、負けます」
「いい勘していますね、ビビ。映像越しとはいえ、気が付きましたか。”鷹の目”の実力は四皇に比肩します。彼は”赤髪”のライバルです。私も
ソラが含みを持たせてビビに伝える。当然、それを聞いたビビは、知りたくなかった。やめて欲しいという顔をする。これが世の中の真実だ。
「ソラ、会話の節々に不穏な言葉を混ぜ込まないでください。私は言いましたよね、頂上決戦が大事な場面だって。今後を左右するかもしれないんですよ」
「ビビ、今後とは具体的に何の今後なのですか? 兄様は、ビビが知っておいたほうが良い情報を伝えています。聞いていて損はありません。それに、背負ってくれるんでしょ?」
ホタルがビビの膝の上から彼女の顔を直視する。ビビの頬に手を添えツンツンと突く。ホタルの行動に、ビビはソラとホタルの髪を撫でて答える。
「ほら、ビビ見てください。海軍の人型兵器パシフィスタです。政府の天才科学者Dr.ベガパンクが開発した物です。元となった人間はバーソロミュー・くま。一体くらい回収して劣化コピーでも作れないですかね? アラバスタの科学力では、500年程度掛かりそうかな」
「ソラ、アラバスタの科学力を甘く見ないでください。500年どころか、1,000年くらいかかりそうです。ですが、私達の軍事同盟はそれなりの規模です。海軍も無視できないでしょうから、卸売りされる可能性はあります。正直、軍艦一隻の価格であの性能ならコストパフォーマンスは良いです」
世界政府との交渉次第では、十分買えるとソラは判断していた。
◆◇◆◇
リトルオーズJr.が白ひげの船を持ち上げて、マリンフォードの広間に突貫した。その一手は、白ひげ海賊団にとって大きな一歩だった。その代償として、リトルオーズJr.が潰えた。
ソラは、再び小声で話し始める。皆がスクリーンに集中しており船員達にはその声は届く事はなかった。精々聞こえるのは、ソラ達の傍に居るイーロンとワズキャンだけだ。だが、この二人は既に事情を知っている。
「白ひげ海賊団は、層が厚いから流石に奮戦しますね。そろそろ、休憩時間は終わりですかね。ビビ、私とホタルが悪魔の実を食べたところまでは説明しましたよね」
「その話、本当に今じゃなきゃダメなんですか?ルフィさんが、今も頑張っているんですけど・・・分かりました。話してください」
ルフィの頑張りは、評価できるだろう。だが、頑張ったからといって結果につなげられなければ意味がない。
「私とホタルが悪魔の実を食べた事で、フルティン聖のタマタマ計画に大幅な修正が必要になりました。当時のフルティン聖の年齢は70を超えており、肉体にもガタが来ておりましたので、死ぬ前に急ぐ必要があったんです」
「どうして、フルティン聖はソラの体をもっと早くに奪わなかったんですか?もしくは、他にも子供は居たでしょうから、一度他を経由してからでもよかったのではないですか?」
大きな力には、それなりの代償が伴う。
死んでから発動する悪魔の実もある事から、タマタマの実で肉体を乗っ取るにもフルティン聖しか知らない条件が存在していたとソラ達は考えていた。
「えぇ、私達もそう考えました。結果からの推測ですが、タマタマ計画はいつでも簡単に無限にできるわけではない。まぁ、だからこそフルティン聖の興味は、すぐに他に移りました。おそらく、過去にも似たような事があったんでしょうね。依り代が自害したなど」
「良かったじゃない。それで、ソラとホタルさんは解放されたんでしょ」
ビビの発言は実に前向きで良い。だが、天竜人は世界のゴミだ。解放されるなんてあるはずがない。
「無いですよ、ビビ。自らの子供であっても、興味がなくなれば天竜人にとっては、そこら辺のゴミと一緒です。フルティン聖は『殺されるか、お前等の子供を提供するか、売られるか選べ』と、優しい言葉をくれたんですよ。予備の依り代を使う事を決めたフルティン聖でしたが、私とホタルの才能を後継に引き継がせたいという気持ちはあったようです。ですが、簡単には従わないだろうとも理解していたようで、この提案があったのだと思います」
「兄様がどのような選択肢を選んでも受け入れる覚悟がありました。あの時、私の世界のすべては兄様ただ一人。私達を産んだ母は、心が弱かった。産んだ子供が、フルティン聖の依り代候補であり、孕み袋となる事を知り命を絶ちました・・・もう、あまり覚えていませんけどね」
ビビも母親が既に他界している身だから少しは共感できる部分もあった。だが、フルティン聖のインパクトやタマタマ計画とか真面目に言われると反応に困る。しかもこれを、頂上決戦を見ながら言ってくるのだから、頭に入らない部分もある。
「私もですよ、ホタル。話を戻すと、フルティン聖の人を見る目は確かでしたね。私とホタルが生きる望みを失う状況になれば、自害すると察していたようです。だから、私はフルティン聖の問いに対して、【売り物なら、私が買う】と啖呵を切ってやりました」
「兄様と私の二人セットで5億ベリー。フルティン聖は、兄様の性格を読んでいて選ばせたんでしょうね。ふふ、すごいでしょ。7歳の双子の子供が5億ベリーなんて」
5億ベリーという大金は、ビビでもポンと用意できない。王族の子供の身代金と言われれば、払えない額でもないが子供がそんな大金をどうやって稼ぐかとなる。
アーロンパークの一件で、ナミが1億ベリーを稼ぐのに掛かった年月は8年だ。当時10歳でアーロン一味に入ってから、死ぬ気で働いて貯めたのがこの金額だ。
「2年10か月。それだけの期間で5億ベリーという大金を集めて、フルティン聖から自分たちを買い上げました。勿論、金だけ奪われる可能性もありましたが・・・当時の
「太客? ソラ、それはまともな商売だったんですか?」
ホタルは、当時の事を思い出したくもなかった。7歳の子供がまっとうな商売で5億ベリーなんて稼げるなら世の中誰も苦労しない。
「ビビ、まっとうな方法で3年以内で5億ベリーなんて稼げるわけがありません。私は、この身体を使って、天竜人達のオモチャになる事で稼ぎ切ったんですよ。安心してください、ホタルは綺麗な身ですから・・・でも、ビビが手を付けちゃいましたね」
「ど、どうしてそんな事を平然と言うんですか!? 」
ビビは、辛そうな顔をして涙を流し始める。
天竜人達は、見方を変えれば金払いの良い太客だ。だからこそ、ソラは天竜人の血を引く高貴な身分と容姿を武器にして、望んでオモチャになった。なんでもありで客に気に入られるため、女装したり、媚びへつらったりと相手が望むような事をなんでもやった。
「天竜人達の高級サロンでは、似たような境遇の者も居ました。流石に、天竜人の直系は私以外いませんでした。ですが、地獄を乗り切ったおかげでホタルの幸せを実現できた。兄として、あの地獄から妹を無傷で生還させたことは私の誇りです」
「ソラ。そんな話を聞かされたら、ソラも幸せにするしかないでしょ!! 王女を甘く見ないでください。一人くらい増えたって支えてやります。女を舐めるな!!」
ビビ・・・天竜人のお膝元から逃げられた理由は分かったが、まだ厄ネタが残っているのを思い出した。この後、海賊関連の話が出てくるのかと、そろそろ涙も枯れそうになってくる。
この世界では、よくあるある!!
不自然な流れではないはずだ。