お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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52:白ひげ海賊団の末路

 赤犬サカズキの煽りに反応しなければ、逃げ切る事が可能だったかもしれない”火拳のエース”。だが彼は、白ひげが敗北者と言われたことに腹を立てて止まってしまう。その結果、白ひげが死んでも助けたかった彼が死んだ。

 

 弟の命を守る為、致命傷を負った。

 

「これで白ひげ海賊団は崩れた。後は海軍による残党狩りが始まる。この瞬間、黒ひげだけが配下を連れて王下七武海の仕事をこなしたので、海軍からノーマークになっている。これで油断するなというほうが難しいが、結果的に海軍は黒ひげに最悪(グラグラ)の能力まで奪われる」

 

「兄様、悪魔の実を二つも宿す事は可能なのですか?」

 

 黒ひげが白ひげから奪ったグラグラの実を披露する。現在の立場は王下七武海だから、海軍たちは彼の行動を賞賛した。その恐ろしい能力が、海賊に使われるのならば大歓迎だと。

 

「普通ならば無理です。よく知らないのですが、彼は頭部が三つあったとか無かったとか・・・だから、最大三つまで悪魔の実の能力が搭載できる可能性があります。また、悪魔の実のリポップ条件も理解しているのでしょう」

 

「なにそれ!? そんなことができるなら黒ひげは最強じゃない!!」

 

 ビビが驚く。相性が良い自然系(ロギア)を三つ搭載とかできれば無敵になれるとビビでも思うほどだ。だが、能力の習熟度を上げる事に三倍の時間がかかるというデメリットもある。

 

「使いこなせれば、最強でしょう。ビビは自然系(ロギア)ですが、超人系(パラミシア)動物系(ゾオン)などの悪魔の実を同時に使いこなす事が出来ると思いますか?」

 

「難しいかもしれないわ。カビカビの実だって、まだまだ奥が深いって思っているわ。全く異なる特性の悪魔の実を習熟させるのにはどうしても足を引っ張るわ」

 

 スクリーン映像には、"道化のバギー"が映し出されていた。あの戦火の中にいて生き残れる強運は、本当にすごいとしか言えない。

 

「兄様。あの赤鼻の海賊は、ローグタウンで狙っていた”道化のバギー”ですか?囚人服を着ているという事は、インペルダウンからここまで何をしに来たんですか? どう見ても場違いの雑魚です」

 

「ホタルの気持ちは分かる。だが、あぁいう手合いが実は一番厄介なんだよ。”道化のバギー”は、経歴だけはすごい。”海賊王”の元船員で、四皇”赤髪”とは旧知の仲だ。噂ですが、彼の本名は・・・ネフェルタリ・D・バギーだとか。ビビ、そこらへん何か知っていますか?」

 

「初耳です。ちょっと、後でお父様を問いただします。もし、お母様がいるのに浮気をしていたとかだったら、お父様のワンピースを奪っていいわよ。私が許します」

 

 アラバスタでビビを止められるような存在は誰もいない。コブラ国王とて、今のビビを見たら理解するだろう。既に、コブラ国王が知っているビビ王女は過去のものだ。

 

『この戦争を 終わらせに来た!!』

 

 その時、流れる映像から四皇の”赤髪”シャンクスがいきなり登場して名言が響く。だが、この名言は、二番煎じだ。全世界に向けた放送でクロコダイルが反乱軍を前に同じセリフを既に使っている。

 

 なぜ、クロコダイルの名言を四皇がオマージュしているのかと映像を見ている者達は思っただろう。

 

「ねぇ、ソラ。今のシャンクスさんのセリフって聞き覚えがあります。クロコダイルに変装させたMr.2に言わせたものと同じよね。もしかして、アラバスタ王家に対しての何かのメッセージかしら?クロコダイルを殺したのは知っている、とか・・・まさかね」

 

「あり得ないとは言えないのが、この世界の怖いところです。偶然だと思いたいです・・・さて、この戦争も終わりを迎えます。時代が動きます」

 

「いつでも準備はできております、兄様。白ひげ海賊団の縄張りとしての効力は、この時点で消えてなくなりました。軍事同盟の最初の成果として、白ひげ海賊団の残党には礎になってもらいましょう。白ひげという存在が消えた今、彼等が今後もピースメインで活動する保証はありません。強い海賊の傘下に入るか、自らがトップに立ち暴れるかです」

 

 白ひげ海賊団残党達は、”魚人島ルート”で新世界に戻るか。偉大なる航路(グランドライン)の前半の海でやり過ごすかだ。だが、彼等は間違いなく新世界に戻ろうとする。この地の底にある魚人島で補給をして体制を整えるつもりだ。

 

 ソラ達の商船には、ネプチューン王から緊急で対策会議を設けたいと伝達が届く。

 

・・・

・・

 

 ネプチューン王達も当然、今回の頂上決戦は確認していた。白ひげの敗北と”火拳のエース”の公開処刑。さらには、海軍の軍事力の再確認など色々だ。

 

 ネプチューン王も既に腹は決まっている。調印式を終えた今、進む道はビビ王女と共にある。魚人島には500万人も住人がいる。それを守る為にも、動くしかない。

 

「ネプチューン王、これから白ひげ海賊団の残党が間違いなくここを通過しようとします。今は軍事同盟があり、当然それは許容できません。彼等を海の藻屑にする事で異論はありませんか?」

 

「縄張りであったことで一応は救われた恩はある。最初で最後でいい。一度だけ警告を許して欲しい。それを無視するなら、軍事同盟に従い軍の精鋭達と海獣達で沈めよう」

 

 ビビは、ソラ達の方を見た。ソラは、首を縦に振った。世間的にも軍事同盟の話は広まってはいない。だから、最初の一度の警告程度なら構わないと判断。

 

 本来ならば、軍事同盟が白ひげ海賊団の残党を殲滅したという華々しいスタートを切りたい所だが・・・海の主力となる魚人族や人魚族の方たちの気持ちを最大限に汲み取ることにしたのだ。

 

 

◆◇◆◇

 

 白ひげを失い、”火拳のエース”まで失った白ひげ海賊団。その為、暫定的に組織をまとめ上げているのが一番隊隊長の”不死鳥のマルコ”だ。実力的にも立場的にも誰もそれに異を唱えなかった。

 

 彼が抱える問題は山積みだ。大黒柱を失った海賊団は、新世界に戻ると半分は自然消滅するだろうと予想していた。散った仲間は、廃業するか別の海賊団に向かうか色々だろう。次に会ったときは敵同士かもしれない。

 

「とりあえずは、魚人島で補給をしてすぐに新世界に戻るよい。軍艦のコーティングは時間がかかるから逃げ切れる」

 

「マルコ!! 前方にリュウグウ王国軍が迎えに来てくれたぞ。ネプチューン王もいる」

 

 白ひげ海賊団の残党達は、ここまで迎えに来てくれたのかと思った。王まで出てきたとなれば、それなりの立場の者があいさつせねば失礼というもの。マルコが代表として立つことになる。

 

 だが、マルコ含めて歴戦の猛者である隊長格達は気が付いた。どう見ても、迎え入れてくれる様子ではない事を。

 

「止まれぇぇぇぇ!! 白ひげ海賊団!! 我々リュウグウ王国は、魚人族人魚族の未来の為にアラバスタの軍事同盟に参加した!! ここから先には魚人島がある!! 無理に進むというならば、同盟の規約”海賊の根絶”の為、おぬし等を船ごと沈める!!」

 

「今まで、白ひげの名前で守られていたのに今さら掌返しとは、魚人は冷たいよい」

 

 守られていた。それについては、この場にいるリュウグウ王国軍の者達も首をかしげる。守られていた割には海賊の往来は止まらないし、無法者の略奪もあるし、白ひげ海賊団の誰も助けに来ないし、魚人や人魚はいつまでも人権を獲得できないし・・・踏んだり蹴ったりだ。

 

 だが、アラバスタの軍事同盟は違う。

 

 地上での生活場所や人権、仕事といった生きる上で必要な物は全て揃えてくれる。

 

「我々にも立場がある。今までの恩返しとして、記録指針(ログポーズ)と水先案内人はつけよう。受けるか?」

 

 ネプチューン王の提案は、白ひげ海賊団側としては受け入れたくもない物だ。船員達の治療もあり、物資補給もかねて魚人島には期待をしていた。むしろ、追手である海軍への嫌がらせを期待していたほどだ。

 

 だが、待っていたのは屈強な魚人の精鋭達。深海で多方面から攻撃されては、コーティングが持たず死ぬ。

 

 その様子をソラ達は、当然監視している。モルガンズのマスゴミもこれをニュースにさせる為に乗船させていた。リュウグウ王国軍が白ひげ海賊団の残党達を退けるという事が海軍の勝利ニュースと一緒に飛び交う。

 

 そして、アラバスタの軍事同盟が強力であることを世界に示した。こういう時、マスゴミの力は便利だ。




各地に散った"麦わらの一味"がビビの状況を知ったエネル顔でもやろうかな。

ビビ王女、処女受胎!? 真相に迫る世界経済新聞社。アラバスタ王宮に潜入試みた記者達は、今どこに。
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