お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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少し時間が戻ります。


53:元・CP9任務外報告

 時はさかのぼり、ソラ達がインペルダウンで囚人たちをこの世から殺菌していた頃。・・・アラバスタ王家であるコブラ国王は、今回の軍事同盟を実現する為、昼夜大忙しだった。同盟の大枠は決まっていたが、細かい調整がどうしても必要になる。その為、初期から賛同して参加してくれる王家達と連日会議をしていたのだ。

 

 その中で当然出てくるのが、軍事同盟の費用や戦力に関する問題。この同盟には、ガープ中将と引き分ける事ができるビビ一行の戦力と、海の覇者である魚人達の戦力が期待されている。それでも不安が残るのは事実だ。

 

 だが、コブラ国王には秘策があった。勿論、参加国全ての要望を満たす事など到底不可能だが、自衛する事が可能なだけの力を付ける特訓をさせる事はできる。その教導管として相応しい人物にも心当たりがあった。

 

 その彼等をスカウトする為、コブラ国王はペルをセント・ポプラに向かわせていた。ペルの使命は、その地に居ると思われるCP9達の勧誘だ。彼等はエニエス・ロビーの一件以来、世界政府に帰還していない。

 

 それも当然。世界政府に帰還すれば、事の責任をすべて押し付けられる。運が良ければインペルダウン行き、悪ければ公開処刑だ。CP9達もその事がわかっており、世界政府から逃げる事を選択した。ルッチがルフィとの激闘で重傷を負っており治療が必要である為、CP9達は放浪の旅をする事すら難しい。弱っているところを狙うのは交渉の鉄則だ。ペルならば一本釣りを成し遂げられると信じている。

 

 そして時は戻り、現在。仕事を終えたコブラ国王は、私室で休んでいた。

 

「ソラ君も無理を言ってくれるな。CP9を無断でスカウトしたとなれば、世界政府から文句の一つも言われる。だがそれも未来のアラバスタの為、そしてビビの為だ。・・・・・・しかし、ソラ君は、いつ私に挨拶しにくるのだろうか。彼の性格からしたらすぐにでも挨拶にきそうなものだが」

 

 コブラ国王は、ビビからの電伝虫との会話を思い出した。ここ最近の話題で多いのは、子供の名前の付け方や育て方。昔の自分はどうだったのかなどだ。察しの良いコブラ国王は、そういう事かと納得する。

 

 確かに、王家の責務について宛てはあると言っていた。コブラ国王としては、早くそのことを世間に公表したい。軍事同盟の本格始動を前に、各国からビビへの求婚が鳴りやまない。ガープ中将と引き分けるとか、コブラ国王の世代からしたら一大事だ。

 

 察しの良いコブラ国王だったが、ビビのご立派でソラの妹であるホタルに子供を産ませようとしていたなんて、想像の遥か斜め上は想像出来ていない。その場合、ソラが挨拶に来るのではなく、コブラ国王自身がご挨拶に行く事になる・・・頭を下げに。

 

・・・

・・

 

 一方その頃。コブラ国王の勅命でCP9達を探しているペルは、ようやくセント・ポプラに到着したところだ。空を飛べるペルだけならばもっと早く移動できたが、勧誘したCP9達を連れ帰るためアラバスタ王家の軍艦で移動したから時間がかかったのだ。

 

「国王陛下の命令とはいえ、本当にこの地にCP9の方々は居るのでしょうかね。情報提供元はビビ様達だという話ですが・・・どうして、そんなことまで知っているんでしょうか?」

 

 セント・ポプラは「春の女王の町」と呼ばれるが、町なのにそれなりに広く人口も多い。ペルがCP9を探している事は、すぐに彼等にも伝わった。ペルの実力ではCP9に勝てず、逆に拉致されてしまう。だが、これもコブラ国王の計画の内だ。

 

 CP9とは、無差別の殺人集団ではない。だからこそ、一度は捕まり情報を吐かされると予想していた。

 

 

◇◆◇◆

 

 CP9のカリファは、セント・ポプラでルッチの治療費をどうしようか考えていた。彼等の実力ならば、犯罪に手を染めれば一瞬で稼げる額。だが、正義の集団だ。そんなことはしない。

 

 ルッチの治療費を稼ぐ為にCP9が総出でアルバイトを始めている。その中で、どう見てもアラバスタの有名人がCP9を探しているとなれば目立つ。穏便な話し合いをする為、ペルは廃墟に連れてこられていた。

 

「君たちがCP9か。私は、アラバスタ王国護衛隊副官ペルと言います」

 

「ご丁寧に。CP9のカリファよ。貴方の事は既に調べさせてもらったわ。世にも珍しい飛行系の能力者だとはね。私達の事を嗅ぎまわっていたけど、何用かしら?」

 

 ペルを囲むCP9達。下手な行動をすれば、暫く歩けない体にされるだろうと思っていた。だが、そこまでだ。殺されることはない。

 

「単刀直入に言おう。君たちのスカウトだ。アラバスタのコブラ国王の勅命で、君たちCP9全員を雇い入れたい。私が持ってきたケースに、契約金2億ベリーとコブラ国王サイン済みの雇用契約書がある」

 

「ブルーノ、確認して」

 

 ペルが首からかけていた鍵を彼等に渡す。そのカギで開けたスーツケースには、金と雇用契約書があった。その契約書には、嘘偽りなどない。CP9として様々な任務に従事してきた彼等の知識は深い。

 

 ほかのCP9達も契約書を隅々まで確認するが、どこにも不備はない。だからこそ、分からない事があった。エニエス・ロビーの一件では、スパンダムの政治力の高さからCP9達に全責任が押し付けられている。その彼らを受け入れるという事はリスクが伴う。

 

「君たちが疑問に思うのも当然だ。だが、我々はそのリスクを負う覚悟でここにきている。君たちCP9のような才能を失うのは惜しい。ぜひ、その力を正義のために貸して欲しい。コブラ国王からも君たちと直接話がしたいと電伝虫も用意してある」

 

「一国の国王が私達に直接会話?」

 

 カリファは疑問に思った。CP9として諜報機関の立場があるので、本来知りえない情報も多数持っている。それを手に入れる為に無理をするのかと。だが、今の彼等の立場は危ない。アラバスタのこの話は、渡りに船だ。

 

「相談が必要ならば、納得がいくまでやってくれ。コブラ国王は寛大なお方だ。貴方達がアラバスタに来てくれるのだったら必ず恩には報いる。後、契約してから言われるのは卑怯だとならない為に、伝えておく。世間一般で言われているクロコダイル事件の真相を・・・」

 

 ペルは、CP9達がどこまで真実を知っているか分からない。

 

 だが、公正で公平な取引である事を示すため、アラバスタで起こったクロコダイルによる国家転覆事件の真相を全て伝える。その解決に”麦わらの一味”が関わっている。解決されるまでの間、ネフェルタリ・ビビ王女が彼らと行動を共にしていた事を伝える。流石に、守秘義務の契約を結ぶまでは"麦わらの一味"の仲間の一人だとは言わないが、彼等も流れから察していた。

 

 CP9と”麦わらの一味”の因縁を知ったうえでの誘いだという事を伝える。

 

「・・・少し、考える時間を頂戴」

 

「あぁ、話を纏めてくれ。契約内容を一部変更したい場合は、コブラ国王と直接話を付けてくれ。準備ができ次第、繋ごう」

 

 二時間にわたるCP9達の会議。世界情勢的に、今は見逃されているCP9達だ。だが、エースの公開処刑後まで世界政府が見て見ぬふりはしない。白ひげ海賊団の残党狩りが終われば次は自分達だろう。エニエス・ロビーの一件での責任所在をはっきりさせ、しかるべき処置をすると確信していた。

 

 下手をすれば賞金首にされる可能性もある。それを突っぱねる程の力が必要となれば、彼らが頼れる場所は少ない。

 

 アラバスタ王家のようにCP9が底値となった今、彼らを買い上げようとしている連中は他にもいた。それは海賊団などの犯罪集団だ。それではルッチが言う”闇の正義”ではなくなり、ただの闇となる。

 

 それらを総合的に考えて、CP9はコブラ国王と直接雇用を結ぶ事にした。ただし、ルッチが目覚めた時には雇用契約の見直しも可能という信じられないような内容だ。CP9達は、アラバスタ王家の軍艦に乗船し、最高の医療を受けながらセント・ポプラを後にする。連れていかれる先がアラバスタだと思ったら、魚人島だと気が付いたのは暫く後だった。

 

 ルッチ回復後の初任務が対ビッグ・マム海賊団となる事を、彼らはまだ知らない。

 




存在しない3D2Y編の始まりになるのか・・・。
初手のビックマムの縄張り事件さえ凌げば、平和になるはず!!

しかし、ビックマム海賊団って誰が縄張り宣言しにきたんだろう。
調べてみたらペコムズとタマゴ男爵だったけど、最初の贄です。
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