ビッグ・マム海賊団の旗を掲げた傘下の海賊。四皇の名を借りられるだけあって、新世界でも十分活躍できる者達が揃っていた。船長の億超えは当然として、船員達も数千万クラスが揃っている。
彼等の任務は、魚人島を縄張りにすることだ。四皇”ビッグ・マム”の看板を貸すから、毎月10トンのお菓子を納めるというビジネス契約だ。看板が何処まで有効かが未知数である事と、お菓子がない場合には魚人島が滅亡するというデメリットは大きい。
今回、その任務を請け負ったのがビッグ・マムからの信頼を得ているタマゴ男爵、ペコムズの両名だ。二人合わせて7億を超える賞金首であり、見た目にそぐわぬ凶悪な海賊だ。だからこそ、選ばれた。
アラバスタの軍事同盟の話は、新世界にも伝わっている。魚人島も軍事同盟に加わっている為、下手な戦力では脅しにもならないと考えられていた。しかし過去にも国家間の軍事同盟という物は存在していたが、強力な海賊を前には無意味であり、すぐに瓦解した。今回も同じだとビッグ・マム海賊団は考えている。
3隻の大型海賊船に加え、面構えの悪い船員も乗船しており脅迫するには十分だ。これで首を縦に振らなかった国家はない。世界政府非加盟国の弱いところがモロに出ていた。金がないから自国の軍隊も弱い。軍事力を強化しようにも毎月10トンの極上のお菓子を納品する事で手一杯となる。
だが、彼等の最終目的地は魚人島。
気合を入れてビジネスに臨むタマゴ男爵、ペコムズ・・・突然の大爆発に巻き込まれた。快晴で海も荒れていない状況からの攻撃だ。周辺海域にはビッグ・マム海賊船以外には何もない。
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ソラとホタルは、対人レーダー役として同行していた。小舟に青いシートを被せた迷彩仕様になっており、遠目で発見する事は困難だ。イーロンとケイミーの二人が牽引してくれる為、海上で追いつけるのは同じ魚人か人魚だけだろう
ソラは、電伝虫で状況を連絡する。
『こちら、ソラ。アラバスタの新型爆弾・・・魚雷は素晴らしい。だが、船体の上部が潰し切れなかった。海中に落ちた残党狩り前にもう一発お見舞いする。次の爆発を合図に全員殺せ。海の藻屑となった海賊船もすべて回収』
次は、ホタルが電伝虫を使う。
『こちら、ホタル。船上部には生存者が30名程度。人ではなく船を狙いなさい、ペル。爆撃でトドメを』
アラバスタ王家は、貴重な戦力であるペルまで捻出してくれていた。空を飛べるという大きなメリットを活用し、空から爆弾を落として最後の仕上げをする。それで、残っていた船が本当に木っ端微塵となる。
空を浮遊する手段がない能力者は海に落ちて死ぬ。
上空からの爆弾が海賊船があった場所を明るく照らす。全てを焼き払う光だ。それに焼かれた海賊達は浄化される。
海中では、魚人や人魚達の兵士達が整列して撃水で海賊達を徹底的に処分する。死んだふりをしている可能性もあるので、五体満足の死体など残さない。そのおかげで、ソラとホタルの対人レーダーからも反応が目減りする。
そして、遂には直径五キロ圏内で生きているのが味方だけになった。
パーフェクトゲームと言ってよい勝利を収めた軍事同盟。当面は、この方法で新世界からの侵入には対抗できる。いずれは対策されるだろうが、このやり方がばれるまで時間が掛かる。
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それからも第二陣、第三陣のビッグ・マム海賊団がやってきた。
そして、遂に二か月すぎた頃に痺れを切らしたビッグ・マムは、自分の子供を向かわせる事にした。これで、今まで謎だった海難事故の真相もわかると期待している。魚人達のネットワークを使いその情報をいち早く入手したソラ達は作戦会議を行っていた。
これから、いよいよ第二回目の頂上決戦に向けた下準備が始まろうとしていた時・・・ソラ達に大事件が起こる。ホタルが真っ青な顔をして、台所に駆け込んでいた。
「おぉぉええぇぇ」
「ホタル!! 誰か、医者を!! 医者を呼んでくれ!!」
その言葉にルッチ達も颯爽と動く。彼等の師の一人であるホタルの身に異変があっては、心配するのも当たり前だ。カリファがホタルを支えてソファーに座らせる。ビビもすぐにやってきた。
ビビは、CP9から直々に指導を受けて三式まで使えるようになっている。その成果が今発揮されている。月歩と剃を使いアラバスタ王家の軍艦から女性の医師を首根っこ掴んで連れてきてホタルを診察させる。
そして、女医はホタルを問診し原因が判明した。何か悪い病気ではないだろうかとソラ達、ルッチ達も心配する。
女医が言いずらそうに口を開いた。とても言いにくそうに・・・そして、なぜかソラを睨みつける。
「妊娠三か月です。おそらく、悪阻でしょう・・・ソラさん、貴方はお兄さんでホタルさんとは同室で寝食を共にしておりましたね。どうしてなんですか!?」
「え、ちょ、おま!?」
女医は、完全にソラが犯人だと決めつけていた。いい年の双子が同じ部屋で寝食を共にしているが、疑われるとは思ってもみなかった双子たち。四六時中を共に過ごし、風呂も一緒に入っているのだから、あながち彼女の推理は間違ってない。ただ悪魔の実という常識外の要素が抜けてただけだ。
事情を知るソラ達とは異なり、ルッチ達はまだ知らなかった。
だからこそ、ソラを軽蔑した目で見る。覇気や能力の師と仰いだ二人が、まさか肉体関係まであったとは見損なう。双子の兄妹であり、あり得ないだろうというのが常識人の判断だ。
「最低だな。もう、お前の事は師とも思わん」
「最低じゃ、ワシも師とは呼ばん」
「待ちなさい、皆さん。最低だけじゃ足りません。セクハラを超えた最低の屑です」
ルッチ、カク、カリファの三人が言いたい放題だ。先ほどまで師と尊敬していたのに、この掌返しの早さは剃以上だ。ソラはホタルに手を出すような兄と思われていた事がショックで凹んでいる。
命より大事な妹にそんなことするわけないのに、こうなったらこいつ等にも過去を聞かせてやるとソラは本気で思った。どれほど妹を大事に思っているか、それが伝われば彼等も少しは考え直すだろうと。
「よもやよもや、最低でござる」
「全く、少しは自制しろ」
「口が堅いから安心。師が最低とは教えない」
「笑えねェよ。アンタの事を師だと思っていたのにこれかよ」
クマドリ、ブルーノ、フクロウ、ジャブラの四人までソラを責める。ビビだけが泣いてホタルを抱きしめるから更に信憑性が増す。
「(ごめん)」
ビビが口パクでソラに謝った。この状況の責任をすべて取れというお願いをされた。ソラは、夜の特別訓練で覚えてろよと思いつつ、腹をくくった。何より、ビビの魂胆がわかったので乗ってやる事にする。恨みや憎しみによる覇気や能力の強化・・・その対象になれとのことだ。
「いいだろう。文句がある奴は、纏めて相手になってやるよ。表に出ろ」
ルッチ達はこの二か月の訓練の成果を見せてやると気合を入れ、ソラをボコボコにしてホタルの前で土下座させるつもりだ。今までの訓練ではなかったほど気迫がこもっていた。
「儂も参加して構わんだろう。ソラ?」
「いいねぇ、僕も参加するよ」
ソラの仲間が誰も参加しなければ、ルッチ達も何かおかしいと早く気が付くだろうが、イーロンとワズキャンまで加われば違う。
魚人島の同盟拠点で壮絶な訓練が始まろうとしていた。ソラVSその他大勢という酷い戦力図だ。だが、ソラにも意地がある。
「ワンピースがいらない奴からかかってこい!!」
ソラのその啖呵は、ワンピース=命なのだと誤解されて軍事同盟内で語り継がれる。
今日の更新は本当におしまいです。