お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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56:海侠のジンベエ

 海賊達のワンピースを背負って戦うソラの不死性を突破する事は、イーロン、ワズキャン、CP9の連合でも不可能だった。覇気で下半身を覆えないCP9達は、ソラにとって餌食でしかない。

 

 ”チ〇霊箱”という能力で、ソラに奪われたワンピースにダメージを押し付けられて悶え苦しむ彼等は、己の不甲斐なさを感じたろう。弱い者は死に方も選べない。まさに、その通りだ。

 

 だが、男の死の一歩手前を経験したCP9達は、成長を見せ始めた。停滞していた能力が目に見えて向上する。特に悪魔の実への理解度が深まり、あと数か月もあれば覚醒に至れるほどだ。

 

 当初は、この成長速度を維持するために、真実は黙っておこうと思った。だが、我々が不仲では全体の士気にも関わる。それこそ、集まった兵士達への教導に関わる重大な問題だ。

 

 そこで、ソラは真実を知らないCP9達を集めた。ホタルは、ビビの子供を妊娠していると伝えたのだが、更に白い目で見られる。

 

「人の事を馬鹿にしているのか、ソラ。 じゃあ、あれか。世界経済新聞が面白ネタで掲載している『同盟の美姫達を集めているのは、実はビビ王女が男で毎晩酒池肉林を楽しむためだ』という記事が実話だとでも言うのか?」

 

「ルッチの言う事は、半分程度は正しい。その~、あれだ。ビビは、色々と複雑な事情を抱えていて・・・女性でありながら、生殖器をだね。・・・まぁ、そういう事なんだ」

 

 ビビの事を最大限にフォローした為、歯切れが悪くなるソラ。

 

 人物観察において人の数倍優れているCP9達なら、先ほどの訓練前のように怒りで冷静さを失ってなければ、それが嘘をついていない事が見抜ける。だが、そうなったら複雑どころの事情ではない。あの容姿でご立派なナニを備えているとなれば、僅か数か月で強くなるのも納得だ。

 

 やはり、この世界は男が強い事が多い為、説得力が増す。

 

「カリファ、これからビビ王女とは一定の距離感を大事にしておけ」

 

「あら、ルッチが心配してくれるなんて明日は雨でも降るのかしら」

 

 CP9達も納得してくれた。だが、そうなるとソラとしては先ほどまでの掌返しについて謝罪の一つも欲しいところだ。

 

「じゃあ、毎晩おぬし等兄妹が王女の部屋に呼ばれているのはそういう事(意味深)でいいんだな?」

 

「えぇ、カク。ビビと私達は、特別(訓練をするよう)な関係です。覗いたらダメですよ」

 

 諜報機関として、調査対象にそういう連中もいたなと思い出した彼等は、王族にはよくある趣味だと理解する。

 

・・・

・・

 

 軍事同盟は順調だった。エリートから更に突出した者達は、既に六式の一部を習得し始めていた。流石は、国家が選び抜いたスペシャルな人材だ。それに恥じないレベルだとCP9達も褒める。

 

 みるみる成果が出るお陰で、彼等のヤる気もうなぎ登りだ。

 

 物は試しに、シャボンディ諸島側からやってきた海賊相手に戦わせたら想像以上の成果だった。六式の一つ鉄塊を最初に教えているため、海賊達の攻撃を無効にして一方的に殺せた。今まで、海賊達に殺されるだけの立場だった彼等が上回った瞬間だ。

 

 こうなると次に出る問題が、兵士たちの増長や慢心だが・・・ビビの”腐界降臨”で呼び出される無限リポップするキノコ兵士を前に強大な力の前ではまだまだ無力だと悟る。井底の蛙と知る事は大事だ。身の丈にあった戦い方ができる。

 

 そのような充実した日々だったが、ビッグ・マム海賊団の第四波が迫って来たという情報があり同盟内部でも緊張が走る。先遣部隊の報告でビッグ・マムの実子の誰かが出てきたとソラ達も知る。

 

 ネプチューン王に呼び出されたのもその事だと思ったソラ達とCP9達だが、酷い裏切りにあう。ネプチューン王との謁見の場には、見覚えのある魚人が居る。

 

 同盟の規約的には完全にダメな奴だ。国土が広い場合には、知らない場所に海賊が停泊してしまう事もあるだろう。だが、国王が謁見の場に海賊を招いているなど、これは利敵行為に等しい。

 

 同盟における魚人島は重要な拠点であり、魚人や人魚といった戦力は必要不可欠。それが同盟内部にも周知された途端にこれでは、やり方が汚いにも程があった。しかも王宮は水中にあり、空気を抜かれて海水に満たされれば、ソラ達とCP達はほぼ能力者で構成されているため無力化されてしまう。

 

 このまま嵌められて殺される事を恐れ、ソラは映像電伝虫を使い、軍事同盟の首脳陣営に映像を流す。

 

「ネプチューン王、我々を罠に嵌めたな。失礼ですが、軍事同盟を裏切る気だと理解しててよろしいですか?」

 

「違う!! ジンベエは、旧知の仲だ。確かに、タイヨウの海賊団であり元・王下七武海だったのは認める。しかし、彼とお主達を引き合わせたのには理由がある。事前に連絡すべきだったのは、悪かった。だが、伝えたところでお主は会わぬだろう。それどころか、殺そうとする」

 

 海賊の根絶は、同盟の重要事項であるため当然だ。元・王下七武海であろうとも変わる事はない。

 

 お腹の子供事情で産休扱いのホタルを除き、ソラ達はビビ含めて勢ぞろいしている。この軍事同盟を潰すならば最高の機会だ。ネプチューン王は人間との融和政策を推進していたから、ソラも油断してしまった。

 

 ソラは、イーロンにビビだけでもこの場から連れ出すように指示をする。海中であってもシャボンを使えば一人くらい魚人島に送り届ける事はできる。

 

 万が一の場合は、魚人島の500万人をビビが道連れにする。

 

 ネプチューン王が止めるより早く、イーロンとビビはこの場を離脱した。兵士達が唖然とするが既に間に合わない。

 

「事前の連絡なしでは、こうなる可能性があった。()()()()()だな、儂はジンベエ。ネプチューン王が言っていた通り、海賊だ。今日は無理を言ってお主達と話す場を用意してもらった」

 

「こちらに用事はない・・・だが、魚人島の戦力は今や軍事同盟に不可欠。その王であるネプチューン王の頼みだからこそ聞く。軍事同盟である我々が海賊の話を聞くメリットを提示しろ。まずはそれからだ」

 

 インペルダウンの疫病による大量死の真実を知る唯一の生存者。頂上決戦以降は、行方が分からなかったが、死んでいないと思っていた、ソラ。だが、まさか会いに来るとは想像していなかった。今の魚人島の状況的に海賊死すべし、殺すべしという軍事同盟の者達がいるのだから、普通は来ない。

 

 しかし、何の報告もなく辿り着けたという事は、情報網に穴があるか・・・裏切り者の存在だ。軍事同盟への報告より先にネプチューン王へ報告して、情報が隠ぺいされた。これは見直すべき部分がある事を示唆している。

 

「二年・・・ルフィ君が復帰するまでの間、おぬし等の言う事をなんでも聞く」

 

「・・・デメリットは?」

 

 元・王下七武海であり”海侠のジンベエ”。その実力は、魚人の中でも最上位だ。知名度もあり、使い方次第では活用できる。だが、同時に軍事同盟としては海賊を活用する事はデメリットを抱える事になる。

 

 デメリットがメリットを上回らない限り、意味はない。

 

「ルフィ君の船が魚人島に来た場合、素通りさせて欲しい」

 

「革命家ドラゴンの実子で、インペルダウンの囚人脱獄事件に関与し、マリンフォードで白ひげ達と共闘して海軍と敵対した麦わらのルフィを素通りさせろと? 流石に無理があるでしょう。その要求が通るなら、誰でも素通りできる事になる。”聖地マリージョアルート”でしたらご自由にどうぞ」

 

 軍事同盟の実行役は、確かに現場の者達だ。キーマンもソラ達で間違いはない。だが、国家間の軍事同盟であるため、このような大きな問題を決める権利はそもそもソラにはない。だから、この緊急放送を見ている同盟各国の判断を待っていた。

 

 勘の良いコブラ国王にソラは期待している。

 

 コブラ国王には、ソラは伝えていた。頂上決戦おかわり計画で主犯となってくれる第二の黒ひげが欲しい事を!!

 

『まぁ、落ち着きなさいソラ君。こういう事は、先を見据えて考えるべきだ。目の前の事だけ見るとは、まだまだ若い。元・王下七武海が二年間ただ働きしてくれるのならばいいじゃないか。”麦わらの一味”だけが偶然網を抜けてしまい新世界にたどり着いても・・・私は、賛成だよ』

 

 コブラ国王の鶴の一声。軍事同盟に参加している国家たちは、コブラ国王が言ったからという責任逃れができるようになった。それで皆が賛成に票を投じる。これが大人の社会だ。

 

「恩に着る」

 

「上の方針が決まりましたので、貴方への指令は私が出します。海の森なら人目にも付かないでしょうから、待機しててください。やってもらいたい事は山ほどあります。そして、ネプチューン王・・・私は、これでも人間と魚人と人魚の共存共栄を信じています。貴方の尻拭いを私にさせた事を忘れないでください」

 

「あぁ、すまなかった」

 

 ソラ達とCP9達は、王宮を後にする。

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