痺れを切らしたビッグ・マム海賊団が魚人島に派遣したのは、シャーロット・スナック。シャーロット・スナックは、スイート4将星と呼ばれる幹部で懸賞金6億ベリーという超大物だ。普通なら、
彼が率いる船団は、過去にない規模だった。5隻の海賊船と傘下の海賊団を引き連れての大行進。これ以上、謎の海難事故で兵力を無駄に減らさない為、万全の体制だ。そして、魚人島にて軍事拠点を築いているアラバスタの軍事同盟を相手にするのには、最低限この程度は必要だというビッグ・マムの見解だった。
魚人島の状況は、世界経済新聞でビッグ・マム達も知っている。トータル賞金獲得額10億を超える『海賊狩りの王女』ネフェルタリ・ビビという存在に加え、その配下の者達を警戒するのは当然だった。だが、最新情報にはCP9達は紹介されておらず、本気で魚人島を潰すならば、スイート4将星を全員派遣すべきだった。
慢心も油断もないシャーロット・スナック率いる海賊団。だが、それでも防げない攻撃という物は存在している。
夜の海に紛れてやってくるワンピースの支配者ソラ。
「ホタルが産休で不在という事実だけで、彼等は一生分の運を使い切った。チ〇チ〇とムラムラのコラボレーション技を体験せずに死ねるのだからね。イーロン、後300m程前進、射程距離に全海賊を収める」
「分かった。だが、気を付けろ。相手は6億ベリーの賞金首だ。油断も慢心も・・・ないな。相手が可哀そうになる程の戦力じゃ」
ソラ達とCP9達が勢ぞろいしていた。そこにジンベエまで揃っている。これからビッグ・マム海賊団を強襲するにしても過剰戦力だ。海中にはリュウグウ王国の兵士たちも待機している。海賊達が海難事故で落とした物資を残さず回収する為だ。
「ジンベエ、我々の戦い方や能力は秘密です。ワンピースをねじ切っても構わないでしょう・・・"
この時、ソラの仲間であっても男性陣営は股間がねじ切れないか心配する。無意識に左手で股間が曲がらないように力強く支えていた。ワンピースに刻み込まれた恐怖の体験は、簡単には消えない。
ビッグ・マム海賊団から男性の絶叫が鳴りやまない。喉が張り裂けるほどの悲鳴をあげてのたうち回り、助けを求めて必死に声をあげる。海賊団の船に乗船している僅かな女性は、何が起こったのか理解できず、困惑するばかりだ。
敵襲にしても、ほぼ全ての男性船員がうずくまり股間のあたりから出血している。船体への被害は何もないのに、謎の現象だ。悪魔の実だと疑うが、どのような能力か見当もつかなかった。
「あれ、痛いんですよね。ソラの仕事は終わりました。予定通り、シャーロット・スナック以外は皆殺しです。私が生き残った船員を支配しますので、覇気で抵抗した者から処分してください。ジンベエさんは傘下の海賊船を潰して、海賊は皆殺しです。できますよね?」
「あぁ、分かった。全て従おう。そういう契約だ」
ジンベエは、早々に仕事に取り掛かる。シャーロット・スナック本人でもなければ、ジンベエを止められる奴などいない。
「じゃあ、俺たちとビビ王女でシャーロット・スナックを狩れば良いんだな。数か月の特訓の成果を見せてやる」
「えぇ、期待していますよ。ルッチさん達」
CP9達は、ビビの「あれ、痛いんですよね。」という発言が頭から離れなかった。あの痛みを知るのは、本来男性だけだ。つまり、この容姿でナニが付いているんだと本人の口から確証を得てしまう。
さすがに、ソラが一国の王女にワンピースを生やしているなど誰も思わない。
「じゃあ、私はココからワンピースを操作して的確なタイミングで支援する。元々、後衛よりの能力だしね」
「いや、ソラも来てくださいよ。どうして王女である私が現場で戦うのに、男性の貴方が後方支援なんですか? 女に守られて恥ずかしくないんですか?」
ソラは、ビビとワズキャン、CP9達がいるのだから過剰戦力だと判断する。負ける要素が見当たらない。それこそ、ビビが初手で”インスタンス・ドミネーション”を使う事が決まっている。ビビの覇王色の覇気に耐えられる海賊がどれだけいるだろうか。
「恥ずかしいもなにも、私はこの場で最年少です。それに、後方支援も大事な仕事です。いつどこから攻撃されるか分からないワンピースを守りながら戦う恐ろしさを考えてみてください。まさか、遥か離れた海上から攻撃されているとは思わないでしょう」
その恐怖を知る者達は、頭を縦に振った。その中にビビも含まれている。
カリファ以外は納得したようで、全員が月歩を使い海賊船に乗り込んだ。そして、ビビの覇王色の覇気が周囲を真っ赤に染めるほどの輝きを見せる。日に日に成長するビビの覇気継続時間は一時間を超えている。もう、一流の覇気使いを名乗れるレベルだ。後は、六式との組み合わせなど、応用の問題だけだ。
「イーロンは、行かないのか?」
「儂が行ったら、ソラが溺れた時に助けられないだろう。あっちには、ワズキャンがいる。ジンベエもいるから儂の代役には過剰すぎる」
それもそうだと思い、ソラはこの位置からシャーロット・スナックだと思われる男に対して、”
船の上では、激しい爆発音や船の船体がきしむ様な音が響く。だが、数分もすればその音も止んだ。6億ベリーの賞金首でも、ソラとホタルが鍛えた能力者集団を同時に何人も相手にできなかった。
最後には、ビビが喉と肺をカビで潰してしゃべれなくする。彼に感染した”グリーン・ディ”が手足の神経を食いつぶしていった。しゃべれず、指も動かせない。半殺しにされた彼から、ビビ達の情報が漏れる事は決してない。
◆◇◆◇
頂上戦争でマリンフォードが壊滅的な被害を受けた為、海軍は新世界側にあったG-1支部に海軍本部機能を移した。頂上戦争から約三か月経過した今、形になってきて業務も回り始めている。元通りとはいかないが、海軍の力も回復傾向にある。
頂上戦争で生き残った海兵たちは、それがきっかけで強くなった。海兵の人数は減ったが、平均レベルが向上している。その兵士たちが元居た職場に戻る事で、その成長は周囲にも波及する。
平和とは言い切れないが、海軍全体を見れば今は安定期ともいえる時期だ。だが、そのわずかな平穏も終わりを迎える。
新しい海軍本部に海賊が、超大物の首をもって王下七武海入りを申し込んできた。今現在、王下七武海の枠は開いている。海軍としても、早々にパワーバランスを調整したい為、この穴埋めは常に検討していた。
その凶報は、サカズキ元帥に耳に届く。
「今、何と言った?もう一度、聞かせぇ」
「それが、元・王下七武海のジンベエ氏がシャーロット・スナックを捕らえてきました。その成果で再び王下七武海入りを望んでいます」
報告に来た海兵を思わず威嚇したサカズキ。だが、威嚇したところで結果は変わらない。6億ベリーの超大物であり、王下七武海入りを認めるには十分な成果だ。実際に、黒ひげはこの方法で王下七武海入りしている。
サカズキは、現状分析をした。だが、どう考えてもメリットが薄い。それどころか、デメリットしかない提案だ。これなら、賞金の倍額を渡すから帰れと言った方が幾分もマシだ。
しかし、そうは問屋が卸さない。既に、海軍本部にはモルガンズが待機しておりこの世紀の大ニュースを取材している。全ては、計画された通りに事は進んでいた。
『元・王下七武海のジンベエ氏が再び王下七武海に!?』
『絶対正義海軍。海軍元帥サカズキ氏、かつて大海賊時代に終止符を打つと言った。シャーロット・スナックを公開処刑確定か!? 』
『高い天上金を世界政府に渡している国家としては、四皇一つや二つ程度潰してもらわないと困るという声が高まる。新世界に移設した海軍本部の力の見せ所!!』
そのニュースが既に飛び交っており、リアルタイムでジンベエがインタビューに答えていた。もはや世界の流れは止まらない。知らぬ存ぜぬは通せない状況で、断れば海軍のメンツ丸つぶれだ。
海軍は、ジンベエの王下七武海への再加入を認めて、頂上戦争おかわりをやるしかなかった。