空島にあるウェザリア。そこには、”麦わらの一味”であるナミが住んでいた。彼女は、シャボンディ諸島からバーソロミュー・くまによって、ここに飛ばされていた。この地こそ、彼女が成長するに相応しい。
新世界での天候は常識では計り知れず、この地でナミが学んだ知識が”麦わらの一味”の役に立つ。また、新しい力を得るのにふさわしい場所でもあった。唯一の問題があるとすれば、外界との接触が極めて少なく、情報源の殆どが世界経済新聞ということだ。
「はぁぁぁぁぁ!! ビビが軍事同盟の軍事部門トップ !?」
ナミがその記事を見て思わず大きな声をあげた。
そこには、アラバスタの軍事同盟について様々な情報が載っている。一国では無理でも複数の国家が力を合わせる事で巨悪に立ち向かう構想は素晴らしい。アラバスタは、王下七武海クロコダイルが原因で国家崩壊の一歩手前だった。だからこその発想だ・・・と、普通なら考える。
しかし、ナミはビビの傍にいるソラとホタルという双子を知っている。海賊絶対殺すという危険な考えを持つ子供だ。そのくせ、馬鹿みたいに強いルフィでも彼等と戦えば命がけになるだろうと思っていた。
ナミは、裏で糸を引いているのもこいつ等だろうとも予想しているが、争っても一文の得にもならない。”麦わらの一味”の初期メンバーのワンピースがすべて彼等の手の内にある。エニエスロビーの一件でも相当無理な頼みをした事実があった。
彼女が驚いていると、居候先の家主であるハレダスがやってきた。彼は気候科学者であり、ナミに様々な事を教えている師みたいなポジションの老人だ。
「おぃおぃ、もっと静かにできんのかい」
「ごめんね、おじいちゃん。仲間が新聞にでてたから。それにしても、恐ろしいほど世間が騒がしいわね。インペルダウンの疫病事件、マリンフォードの頂上戦争、アラバスタの軍事同盟、王下七武海の入れ替え・・・頂上戦争予兆、次は四皇"ビッグ・マム"か!?」
ナミが驚いて記事をしっかりと確認する。頂上戦争と言えば、ルフィの兄にあたるエースが死んだ壮絶な戦いだ。海軍も戦力を結集して、何とか勝利した。それをこの短期間で再度やるなど狂気の沙汰だ。
「なんだ、つまらん記事だな。ビビちゃんに関するビッグニュースはないのか。年寄りの楽しみは美人のニュースだけだというのに、なっとらんの」
「おじいちゃんって、ビビのファンなの?」
世界経済新聞の常連であるビビ。彼女の人気が高すぎるせいか、色々と良くない噂も飛び交っている。仲間であるナミとしては悲しい現実だった。
ビビが、夜に女船員を特別訓練と称して人には言えない指導をしているとか、実は男で年下の可愛い子供を狙っているロリコンだとか、傍にいる双子はビビの〇処理道具だとか、魚人島の王族であるしらほし姫を手籠めにしているとか、酷い噂ばかりだ。
「そうじゃよ。最近見る事が無いレベルで逞しい女性じゃ。特に、眼が違う。彼女の眼には・・・そうだな~、守るべき家族がいる男の目だ」
「おじいちゃん、ビビは女よ!! 私達の仲間なんだから、変な事を言うと怒るわよ。ビビは、本当にいい子なんだからね」
ナミは思い出にふける。
ビビが居なければ、ロビンを救うために交わした約束が守れなかった事で大きなペナルティを課されていただろう。それなのに、"半年で3億ベリー分の海賊の首"という条件を『悪魔の実』一つと『刀二本』で相殺した。"麦わらの一味"は、金獅子のシキを誤って殺した時に偶然近くにあった『悪魔の実』と足に刺さっていた汚い刀という、元手がタダの品物をソラ達に渡していた。
◇◆◇◆
新世界にある海軍本部では、連日会議が行われる。その議題は、シャーロット・スナックの公開処刑についてだ。”火拳のエース”は、公開処刑にしたのに同じ四皇幹部のシャーロット・スナックを公開処刑にしないなどできない。
海軍内部では、不慮の事故でシャーロット・スナックを脱走させようなどという弱気な意見もある。だが、そんな弱気な意見を言った海兵は、翌日世界経済新聞社に情報を抜かれてしまった。
その為、海軍への不信感が日に日に募っている。このままでは、世界政府にもいい加減にしろと小言を言われるのは目に見えていた。腹をくくった海軍は、シャーロット・スナックの公開処刑を二週間後に決定し、王下七武海も結集させる。
"天夜叉"ドンキホーテ・ドフラミンゴ
"暴君"バーソロミュー・くま
"海賊女帝"ボア・ハンコック
"海侠"ジンベエ
"千両道化"バギー
"白ひげの息子"エドワード・ウィーブル
"鷹の目"ジュラキュール・ミホーク
この王下七武海は部下たちも連れてきての参戦であり、一定以上の成果がない場合には王下七武海の権限はく奪となる。そして、海軍は追加の一手として、アラバスタの軍事同盟・・・ビビを筆頭とする戦力にも参加を促した。その対価として、パシフィスタの販売を約束する。
パシフィスタといえば、軍艦一隻分のお値段がするが性能は埒外だ。億超えの海賊を倒してもお釣りがくる。数体居れば、それこそ国家安定に十分寄与できる。何より、その高度な技術を解析する事で自国の為になる。
コブラ国王はこれを聞いて、海軍を本気にさせすぎたと後悔する。派遣を希望された戦力には、ホタルも含まれている。色々と事情はあるが、全員参加が条件でパシフィスタの購入権利が手に入る。
世界政府は、神の騎士団や五老星といった特級戦力をまだ隠し持っている。その隠し玉は今使うべきではないと判断し、アラバスタの軍事同盟に目を付けた。海軍の立場を奪いかねない、軍事同盟を頼るなど本末転倒だ。
だが、海賊の根絶を掲げている軍事同盟が四皇”ビッグ・マム”を討伐する頂上戦争に来ないのはどうなんだと、サカズキ元帥自らクレームを言ってきた。海軍の仕事なのに、天上金も貰っていない軍事同盟にそれを言うかと誰もが思ったが、それほどまでに元帥も追い詰められている証拠だ。
そんなビビのイライラを鎮める為、ソラは昼間にも関わらずビビの部屋を訪れていた。妊娠中のホタルを参加させるなど拒否したいが・・・全体的な事を考えるとそれもできない。だから、そのイライラをソラにぶつけていた。
ソラは、昔の仕事着である女性物のスクール水着を着用している。非常に薄い生地で色々と透けているので、こんな水着どこで売っているんだとビビは首をかしげたがイライラは止まらなかった。
「
これが数年で5億ベリーという大金を天竜人から巻き上げた男娼のやり口だと理解してても、ビビは逆らえない。これが妹の為、全てを投げ捨てた男のやり方だ。妊娠中の妹ホタルの為、誠心誠意ビビの欲望をその身で受けていた。
ソラは、恥ずかしそうに綺麗な口を開け・・・ビビを待っていた。
「せ、責任取るから。ソラもホタルも二人纏めて!!」
ビビは、理解した。ワンピースとは、人繋ぎの大秘宝(意味深)だった。もう、色々な意味で後には引けなくなるビビ王女。悪い男に引っ掛かる特殊事例として、アラバスタ王家ではビビの事が教材として未来永劫引き継がれる。
原作にないオリジナル編になったから、特別訓練事情も少しだけ。
頂上戦争おかわり がんばるぞ。