お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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63:頂上戦争おかわり(4)

 頂上戦争おかわり。その最前線では、センゴクの言う通り膠着状態になっていた。ビッグ・マム海賊団の最高幹部であるスイート4将星の実力が高いため、王下七武海が一人一人を受け持っていた。

 

 特に、スイート4将星の中でも実力が飛びぬけているカタクリの相手は、”鷹の眼”が一人で担当していた。世界最強の剣士として名高い彼なら任せられるとの判断だ。残ったスイート4将星は、それぞれドフラミンゴ・ファミリーと九蛇海賊団が担当する。その他大勢のビッグ・マムの子供で高額賞金首達は、残った王下七武海が担当する。

 

 単身での強者は当然目立つが、今回の王下七武海の中で最も多くの部下を連れてきた"千両道化"バギー。千を超える部下を引き連れた彼は、一大勢力として数えられていた。部下達の殆どは、元インペルダウンの囚人。LEVEL1~3の囚人とはいえ、数千万クラスがゴロゴロいる。

 

 豪運を持つバギーは、そのカリスマ性で部下たちを鼓舞して、その力を最大限に発揮させていた。

 

「お前達、このバギー様の威光がある限りお前達は無敵だ!! 俺様の力がある限り、お前達が敗北する事はない。その証拠を見せてやろう!! この新特製バギー玉の力・・・これが王の力だ!!」

 

 バギーが万が一に備えて製造していた新特製バギー玉。王下七武海になった事で潤沢な資金をつぎ込んで開発した新兵器。その威力は従来の特製バギー玉の5倍だ。この混戦となっている場所では、どこに打ち込んでも敵に当たる。

 

 ビッグ・マム本人を狙うなんて真似はしない。この新バギー玉の威力を以て(もって)しても、あの化け物を殺せる気が全くしなかった。それに、下手に攻撃でもして目を付けられるのも嫌なバギーは、最低限のノルマをこなしてバスターコールを回避したいだけだ。

 

 よって、出来るだけ主力でなく後ろ側にいる船を狙う。

 

「バギー船長!! いつでも撃てます。指示をお願いします」

 

「よーーし、そうだな。後方の船に濃い青髪の長身の女がいるだろう。顔に傷があって、手に鏡を持っている奴。あれを狙え。撃てぇぇぇぇぇーーー!!」

 

 バギーが狙うように指示したのは、シャーロット・ブリュレ。間違いなくビッグ・マムの子供の一人だ。彼女を狙った理由は、浅い。海軍から提供を受けた資料の中で比較的に弱そうな奴に目星をつけていた。その対象が攻撃の届く範囲に居ただけだ。

 

 バギー海賊船から放たれた新特製バギー玉の威力は、軍艦数隻を吹き飛ばす程の威力がある。その直撃を真横から受けたシャーロット・ブリュレは、鏡の世界に逃げる事すらできずに全身が黒焦げになり致命傷を負った。

 

 即死しなかったのは、シャーロット・ブリュレにも受け継がれた資質によるもの。彼女もビッグ・マムの子供であるため耐久力が抜きん出ていたからだ。彼女が乗っていた船は消し炭になり、彼女諸共そのまま海に沈んでいったので、助かることはないだろう。この砲撃の威力に誰もが唖然とする。咄嗟に救助に向かおうとした者もいたが、二発目を警戒して動くことはできなかった。誰もがバギーの次の行動に注目していた。

 

 ビッグ・マム海賊団は後悔していた。支援に特化した者達を後方に集めていた事が仇となった。まさか、海賊船を複数貫いてシャーロット・ブリュレが居る船を消し飛ばすとは考えられなかったからだ。

 

「ギャハハハ! 見たか! 俺様が最強だ! さ~て、これでノルマも達成したし帰るか」

 

「流石は、バギー船長。俺たちにできない事を平然とやってのける。そこに痺れる。憧れる~!!」

 

「まさか、本当に殺っちまうなんて。海賊の中の海賊だぜ、バギー船長は。俺は思わずブルっちまう」

 

 海軍戦力側で、初めてビッグ・マム海賊団の幹部を殺したのがバギーだった。その雄姿は、世界に放送される。臆する事なく、ビッグ・マムの子供を焼き殺すなど常人のできる事じゃない。ロジャー海賊団に所属し、四皇”赤髪”とも親交が厚く、インペルダウンからも脱獄し、元・四皇”白ひげ”にも啖呵が切れ、四皇”ビッグ・マム”の子供を躊躇いもなく殺す。

 

 海賊視点で言えば、最悪の世代より遥かに恐ろしい存在に思えてしまう。

 

 誰がどう見ても頭がおかしいレベルのバギー。彼がシャーロット・ブリュレに致命傷を与えた事が、ビッグ・マム海賊団の崩壊の一手となった。シャーロット・スナックを救う為に来たのに、まさか他が犠牲になるとは・・・これでは、白ひげ海賊団の二の舞だと。

 

・・・

・・

 

 ソラ達は、ビッグ・マム海賊団の背後を襲うために接近した所で、新バギー玉によるシャーロット・ブリュレ殺害現場を目撃した。まさか、海賊船をごぼう抜きして、隠れていた海賊船を狙い撃つとは恐ろしい。

 

 それが引き金となり、ビッグ・マム海賊団は総崩れとなる。立ち直ったのは海軍戦力側が早かった。最高幹部であるスイート4将星の一瞬の隙を王下七武海が見過ごすはずもなく、彼等を捕縛する。無傷とは言えないが、バギーが作った隙は大きく活用された。

 

「ふーん。本当は、私が隙を作ろうかと思ったけど・・・じゃあ、あれはもう不要か。赤犬、青キジ、黄猿の攻撃タイミングに合わせて首を落とすか。さようなら、シャーロット・スナック。君の役目は、もう終わりだよ」

 

 ビッグ・マム本人とは、元帥と大将二人が正面から戦っている。ビッグ・マムの化け物っぷりを考えれば最善の策だ。三対一が卑怯などと言う事はない。悪と正義の戦いだ・・・勝てば官軍負ければ賊軍。

 

 よって、子供が死んだ隙を利用する海軍は、正しいやり方だ。

 

 ソラは、シャーロット・ブリュレの死を目撃したシャーロット・スナックに対して「(まが)れ」と、何の躊躇もなくワンピースを攻撃する。大事な妹の死を目撃して叫びたいのを我慢した彼だったが、前兆もなくワンピースがへし折れる攻撃には耐えられなかった。咥えていたギロチンのロープを離してしまい公開処刑時刻前に自らの首を絶った。

 

◇◆◇◆

 

 シャーロット・ブリュレとシャーロット・スナックの死に続き、最高幹部達が次々に海軍に打ち取られていく。後続から来るはずの第二波の支援は来ない。ビッグ・マムも大将格を同時に三人も相手にしていると流石に傷を負うし、覇気も体力も目減りする。

 

「お前等!! お前等ぁぁぁぁぁ!! よくも、よくも、可愛い子供達を!!」

 

 ぶち切れて覇気を撒き散らす。だが、それで意識を失うような大将格はいない。むしろ、無駄に消費してくれてラッキーとすら思っている。

 

「何を言うちょるんじゃ。それは、お前ら海賊が言っていいセリフじゃないのう。一体、今までどれだけの民を苦しめてきたんじゃ!」

 

「そうだな。早く終わらせて昼寝がしたい」

 

「お~、怖い怖い。年寄りの癇癪は怖いね~」

 

 火傷、凍傷といったダメージもビッグ・マムのソルソルの実の能力で寿命と引き換えに回復する。持久戦において、今まで貯めた寿命を使う事で三人を同時に相手しても耐えられていた。

 

 だが、その拮抗を崩す一手が更に追加される。

 

 海軍本部から離れた場所にある軍艦からガープ中将が単独で飛んだ。赤い雷鳴を帯びた覇気が空を駆ける。その姿を見たソラ達、CP9達は思わずマジかよと口にした。伝説であり、英雄であるガープ中将の底知れぬ力を見た。これが老いて全盛期を過ぎた男の力だ。

 

「お前等、何を遊んでいる!! 攻撃とは、こうやるんじゃーーーー!!〝拳骨唐竹割(ギャラクシーディバイド)〟!!」

 

 ガープ中将の拳がビッグ・マムの顔面にクリーンヒットする。彼女は吹き飛ばされ、海軍本部を貫き、広場の地面にクレーターを作る。ビッグ・マムであっても甚大なダメージを受けてしまう。ギリギリで意識を保っているが、気を失ってもおかしくない状況。

 

 敗北を認めるわけではないが、一時戦略的撤退すら彼女の脳裏を横切った。ソルソルの実の能力で集めた寿命を使って回復をしても貯蓄には限界がある。しかし、ここで引いても状況は改善しない。既に、傘下の海賊は全滅。最高幹部の子供達も次々に捕らえられていった。

 

 ここでビッグ・マムが単独でも勝利しなければ、海賊団は崩壊だ。

 

「ふざけるんじゃないよ!! おれは、四皇”ビッグ・マム”だよ!!?? この何十年と新世界で海賊をやってるんだ!! こんなピンチ程度何度だって乗り越えてきた!!」

 

 気合を入れなおすビッグ・マム。海賊団を支える大黒柱として、彼女は奮い立つ。

 

 その瞬間、彼女の背後に異次元のゲートが開く。ドアドアの実の力でソラ達が、海軍たちより先に到着した。電伝虫で撮影されてない場所へとガープ中将が殴り飛ばしてくれたので、これ幸いと襲撃をかけることにしたのだ。

 

「そうですか、じゃあ頑張って勝利を収めてください。手負いの獣は手ごわいと言いますが、既に折れた左手が修復できないほどのダメージを負っています。殺すなら今ですね」

 

「誰だぁ!? ガキがいっちょまえな事を言いやがる!!」

 

 だが、その異空間からビビ、ソラ、イーロン、ワズキャン、CP9達が出てくると流石にビッグ・マムも多少危機感を覚えた。今の状態でこいつ等全員を相手にする事がどれだけ厳しいか、彼女の眼には分かっていた。

 

「四皇”ビッグ・マム”は、海軍の英雄ガープ中将の一撃で死亡。カイドウに目を付けられるのは御免ですからね・・・海軍には、まだまだ役に立って貰います。それでは、さようなら、シャーロット・リンリン」

 

 ソラ達、CP9達は、全員が短期決戦の構えで、後の事を考えずに覇気を最大限まで消費する。ソラは、"チ〇霊箱"を消費する前提で肉壁となり隙を作る。まさかの不死性にビッグ・マムも驚いた隙に、全員が同時に六王銃を直撃させシャーロット・リンリンの脳を完全に破壊した。

 

・・・

・・

 

 それから少し後に、海軍たちも到着した。そこには頭部が粉砕された四皇”ビッグ・マム”の遺体が残っており、ガープ中将の一撃が強すぎたため、頭部が消し飛んだという結論になる。

 

 ガープ中将は、手ごたえからビッグ・マムの生存を確信していた。だが、到着時には死亡していた事と、ソラ達がなぜか満身創痍になっていた事から、こいつら何かやったなと確信を得ていた。

 

 この日、四皇の一角”ビッグ・マム”が落ちる。そして、新たな四皇として"千両道化"バギーがその座に就いた。彼の残虐性と人脈、カリスマ性が高く評価された事が大きい。カイドウは、この一件をリアルタイムで視聴しており、バギーという存在を強く認識した。こいつが居なければ、リンリンは死ななかった可能性が高いと考え、早く会いたいと思うようになる。




2D3Y編も落ち着いた・・・かな。
二年後に突入予定!!

シャボンディ諸島に集合・・・"麦わらの一味"が集まるんだから、当然ビビもいかないとね。
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