お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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64:新世界へ

 四皇”ビッグ・マム”が落ちてから一年と少しが経過した。あれから、世界は目まぐるしく動いた。海軍は、王下七武海である"千両道化"バギーを即刻追放した。バギーの注目度が高まりすぎており、カイドウのターゲットにされているとの噂もあった。その為、バギーが在籍しているだけで頂上戦争おかわり自由になる可能性がある。

 

 使うだけ使ってポイ捨てにされたバギーは、身の安全を確保する為に四皇”ビッグ・マム”の後釜を名乗る。本来なら受け入れられないように思われるが、それだけの実績と戦果があった。

 

 今や、新世界でカイドウ、シャンクス、黒ひげの何処もが受け入れ拒否した海賊の最後の砦となっていた。来るものを拒まない姿勢で、配下の数だけは四皇を名乗るのにふさわしい。

 

 嘗ての敵が大出世しているなど露ほども知らないルフィは、二年という修行の時間を経て仲間が再集合する。その場所は、シャボンディ諸島。だが、二年という歳月は、決して短くない。特に、偉大なる航路(グランドライン)前半の海におけるアラバスタの軍事同盟のおかげで、海賊という人種は億超えでも簡単には生き残れない過酷な環境になっていた。

 

 生きてシャボンディ諸島まで来れれば、新世界でも通用すると言われる程だ。

 

 その世界情勢を把握せず、素顔でシャボンディ諸島を歩くルフィ。二年という歳月で人々の記憶から存在を忘れられていなければ、シャボンディ諸島の住民がすぐに海軍へ通報しただろう。

 

「それにしても、ココはいつ来てもおもしれぇーー。みんなも元気にしてっかな~」

 

 これからの旅に備えて食事を確保しようとするルフィの前に、フードを被った女性が気配なく現れる。そこにいるはずなのに、ルフィですら集中しないと見失いそうになる。見聞色の練度が足りていない証拠だ。

 

 ギア2で足りるかな?とルフィは構えた。上陸して早々にこれでは、仲間達も困るだろうと短期決戦するつもりだった。

 

「お久しぶりです、ルフィさん。ビビです・・・覚えていますよね?」

 

「ビビ!? ビビじゃねーーか。何で、こんな所に居るんだ」

 

 想定外の再会にルフィは喜んだ。2年越しに再会する予定の仲間とは違ったが、ビビも”麦わらの一味”の仲間だ。あの日から二年後の今日、この場にいても不思議じゃない。もしかしたら、新世界の旅にビビも来てくれるのかとルフィは嬉しくてたまらない。

 

 ルフィは、ビビの事を女ヶ島で修行していた際にレイリーから又聞きした程度だ。軍事同盟を創設して、海の平和を守っているといった程度の知識レベル。つまり、一般人の子供程度の情報しか持ち合わせていない。

 

「覚えてくれていて、良かった。ルフィさん達は、二年間全く活動をしていなかったので知名度は下がりましたが、億超えの懸賞金は今も有効です。立場上、私が一緒に居る場を見つかると色々と面倒なので、一緒に来てください。ゾロさん、サンジさん、ナミさんもお待ちしています」

 

「よくわかんねーけど、いいぞ。何処に行けばいいんだ」

 

 具体的な再会の場所までは決めていなかったため、既に”麦わらの一味”の一部を集めてくれているのならば、ルフィは構わずその話に乗った。ビビが嘘をつくような性格でない事はよく知っていたからだ。それに、”麦わらの一味”の仲間であり、ルフィはそれを疑うような事はしない。

 

 ドアドアの実で異次元の扉が開かれた。ビビが先に入り、ルフィを手招きする。CP9である彼との戦闘経験があるルフィは、状況が呑み込めないでいた。だが、昨日の敵が今日の友なんて事は、ルフィの旅路でよくある事だ。

 

・・・

・・

 

 ルフィは、ビビに案内されて謎空間を進む。その先には、体育館程ありそうな広い空間があった。そこには、ソファーやテーブルといった家財が置かれており、その一角でナミ達が休んでいる。ビビは、鬼の形相でサンジを睨みつけていた。

 

「サンジさん。煙草を咥えるのは構いませんが火を付けたら怒りますよ」

 

「そうよ、サンジ君。子供に煙草は悪影響なんだからね。あ、ルフィ!! 久しぶり」

 

 ルフィであっても、ナミが抱える赤子()を見て一瞬緊張してしまう。二年という歳月があったんだ、そういう事の可能性がある事を彼は考慮していなかった。ナミとサンジの子供なのか・・・それとも別の可能性なのか。

 

 さすがに新世界への旅に赤子を連れていけるとも思っていなかった。航海士とコックの代役なんて、そうそう見つかる者ではない。それこそ、この二人と同レベルとなれば、それこそ四皇お抱えの海賊でも奪う必要がある。

 

 だが、それも色々と聞きたいがこの空間にいるメンバーがどうしてこうなっているのか、ルフィは一番知りたかった。ビビが居た事からソラ達がいるのまでは、納得している。だが、エニエス・ロビーで戦ったCP9達までいるのはどうしてだと。

 

「なんで、お前らまでいるんだ?」

 

「あぁ、ルッチさん達ですね。ルフィさんは、世界経済新聞を読んで・・・ないですよね。ルッチさん達は、元・CP9ですが今ではアラバスタの王族直轄部隊であり軍事同盟の大事な戦力です」

 

 この数年で世界政府の対応は色々と変わった。その一つがCP9達の扱いだ。世界政府とアラバスタの軍事同盟は、深い繋がりがあり協力関係である事をアピールする為、エニエス・ロビー一件の冤罪まがいの罪を全て無かった事にした。全責任は、長官であったスパンダムにあると掌返しをしている。

 

 CP9達は、その気になればいつでも世界政府に戻れるが、軍事同盟側の居心地が良すぎて長期契約となった。コブラ国王の采配もあり、良家の美女との縁談話も進んでいたりもする。

 

「へぇ~、そうなんだ。ルッチだったっけ? ビビの事をよろしく頼んだぞ」

 

「どこまでもふざけた野郎だ。言っておくが、”麦わらの一味”との因縁は、俺たちの自由にしてよいという契約になっている。この場で全員を皆殺しにしてもいいんだが・・・子供の前だから見逃してやる」

 

 随分と丸くなったと思うルフィ。ルフィは、ビビの傍にいるソラを見て手を振った。ソラは、手を振り返す。だが、それまでだ。

 

「ナミさん、そろそろ子供達を返して貰ってもいいですか?」

 

「あっ、ごめんね。それにしても、子供ってヤッパリ可愛いわね。またね、ラインハルト君。アクアちゃん」

 

 ネフェルタリ・D・ラインハルト(ビビがホタルに産ませた子供)ネフェルタリ・D・アクア(ビビが産んだソラの子供)。アラバスタ王家の未来を支える二人の兄妹。母も父も違えど・・・その遺伝子は間違いなくビビとソラ達の物だ。

 

 ソラがアクアを抱き、ホタルがラインハルトを抱いた。ビビが子供二人の頭をなでると嬉しそうな表情に変わる。これが母性だった。その様子を見たサンジも心が洗われていた。流石に、人妻子持ち美人に邪な感情を抱く程、彼は落ちぶれていない。

 

「ビビちゃんに毒牙をかけたクソ野郎に正義の鉄槌を喰らわせてやりたかったが、幸せそうだから許してやる。幸せにしろよ、ソラ」

 

「言われるまでもないですよ、サンジさん。男として、ビビと子供を必ず幸せにします。そろそろ、他のメンバーも集まり出したので、集めた理由を説明します。ビビ、お願いします」

 

 ソラは、子供達の出生については教えない事にしている。ビビが産ませたとか、産んだとか、複雑な性事情が絡んでいる。アラバスタ王家でも専門家チームが立ち上げられて、法改正や子供たちにどう伝えるべきか頭の痛い議題となっていた。

 

 あと一つ、ソラはビビの名誉のために黙っている事がある。毒牙にかけられたのはソラだ。女の大丈夫な日は信じてはいけない。それが、例え仲間であってもだ。

 

・・・

・・

 

 ビビは、再集結した”麦わらの一味”に対して、今の世界情勢を説明した。特に、軍事同盟が”魚人島ルート”を完全封鎖しており、唯一通過したのは白ひげ海賊団残党のみだと伝える。その為、本来であれば、”麦わらの一味”であっても海中撃破となるが・・・”海侠のジンベエ”が二年間、仁義を通したことで秘密裏に通過が許可された事を教えた。それはジンベエが、軍事同盟の為に文句ひとつ言わずに馬車馬のごとく働く事で得られた対価だ。

 

 世界政府は、魚人島ルートの海賊の通過率がほぼ0%であり、”聖地マリージョアルート”も海賊へ条件付きで解放している。トータル懸賞金額と同じ金額を支払う事で通過を許していた。これで、魚人島へ無理やり来ようとする海賊が減り、治安が向上する・・・はずもなかった。

 

 海賊の規模が大きい程に支払額が跳ね上がる為、払いきれる海賊は居なかった。世界政府は、確かに頂上戦争おかわりでも追加契約を守った。だが、海軍がいくら努力してもこれが限界だったそうだ。

 

 一部海賊は、商船や旅人という体裁で密航している事実もあるが黙認されている。例えば、四皇”赤髪”がその実例の一つだ。

 

「それじゃあ、魚人島での観光はできるのか?ソラ」

 

「無理です。魚人島の手前で記録指針(ログポーズ)を渡す。それからは、”海侠のジンベエ”の案内で新世界側へと抜けてもらう。アラバスタの軍事同盟は、海賊の根絶を目標に掲げている。無理やり突破とか考えない方がいいですよ。その手のやり口は、何度も経験して既に慣れています。死にますよ」

 

 悩むルフィ。冒険の一環として、魚人島には是非立ち寄りたいと思っていた。だが、それを絶対に許さない構えのソラ達を前に悩む。

 

「なぁ、ビビ。俺たちが魚人島に行ったら困るんだよな?」

 

「はい。魚人島には、軍事同盟の重要拠点があります。魚人も人魚も基本的に海賊が嫌いです。人間に対しての感情は、この数年の軍事同盟の活躍で大分緩和されましたがルフィさん達だけを特別に入れるわけにはいきません」

 

 トラブルを呼び込む天才であるルフィを魚人島に入国させた瞬間に、カイドウが攻めてくるとかもあるとビビは思っていた。この二年間は、ルフィを主体とする大きな事件がなかったのは彼が大人しく修行に明け暮れてたからだと確信を持っている。

 

「わかった。それじゃあ、俺らは魚人島には寄らねぇ。ジンベエが俺たちを通過させるために頑張ってくれてたんだから、無下にはできない。それに、仲間が無理だって言ってんだ、船長として聞くしかないだろう」

 

 これで課題はクリアしたと、安堵する。だが、絶対に気を抜いてはいけない。油断したら、なぜか魚人島に辿り着いたなんてミラクルを起こすのが”麦わらの一味”だ。彼らが、新世界側に抜けるまでは、ソラ達が付き添う。

 

「助かります。私達も新世界側に用事があるので、ルフィさんたちと途中までは一緒です。新世界から軍事同盟に参加したいという国がありまして、お話を聞きに行くんです。なんでも、王下七武海が国に来てから色々とおかしくなったとかで・・・本当に、どこかで聞いた事があるような話ですよね」

 

「そうなのか!? なら、そのうち、また会えるかもしれねーな」

 

 ソラは、絶対に会うだろうと予想していた。ドレスローザには、ドフラミンゴがいる。間違いなくあの41歳童貞が絡んでいるだろうと思っていた。だが、その道中にはパンクハザードもある。

 

 今、”麦わらの一味”と関わった事で、再び運命に巻き込まれたと感じるソラ達だった。




パンクハザードかドレスローザ・・・どちらか迷う。
世界会議編では、コブラ国王と一緒に参加予定です。


子供たちの将来イメージは、
ラインハルトは、dies iraeのラインハルトです。
アクアは、このすばの女神様です。
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