お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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70:海賊狩り屋

 ソラ達がシーザー含めた研究所を完全掌握する為、ローの付近から居なくなった。この瞬間、ローは本気で今なら逃亡できるんじゃないかと考えてしまう。この状況で逃げてしまえば研究所崩壊は確実であり、間違いなくジョーカーことドフラミンゴのターゲットは『海賊狩りの王女』ネフェルタリ・ビビになる。

 

 それと同時に、ドフラミンゴのバックにいる四皇カイドウが激怒したとしてもローに被害は来ない。それどころか、『海賊狩りの王女』と四皇カイドウが争う事で、自らが手を出さずとも勝手に弱体化してくれる。うまくいけば、勝手に四皇の座から引きずり下ろせるかもしれない。

 

「・・・ないな。それじゃ、俺が海賊やっている意味がない」

 

「おぃ、さっさとガキどもの治療をしろ。後が(つか)えているだろう。お前が能力を併用して治せると言うから、海楼石を着けないでやっている。もし、子供達の治療を放置して逃げてみろ。どんな手段を使っても必ず殺す。絶対にだ」

 

 スモーカー中将の圧が凄まじい。ローの能力を考えれば海楼石で能力を封じるべきだが、子供達の治療を優先した。それを裏切るならば、”麦わらの一味”であるナミ達でも容赦しない。例え、この場にいないルフィの命の恩人であっても、行きつく先は地獄だろう。

 

「分かっている。子供達の治療は(・・・・・・・)、約束通り完遂する。俺にだって、海賊として、医者としての矜持がある」

 

 その矜持とやらは、目の前で子供達が薬漬けにされても、死ぬ事が分かっていても黙認する程度の物だ。”麦わらの一味”や『海賊狩りの王女』が来なければ、己の目標を優先して見殺しにしていた。

 

 それから、ローは海軍と”麦わらの一味”に監視され、黙々と子供達の治療を行った。治療を終えた子供達は、念のためチョッパーが診察する。チョッパーも名医である為、治療を受けた殆どの者が一命をとりとめた。

 

 だが、それでも完璧ではない。子供達に使われたドラッグの成分が分からない為、あと一歩届かない。この施設に長くいるローは、シーザーの研究資料のある場所も把握しており案内できる。

 

 それを提案するローだが、全員一致で却下する。この場において、ローを信頼する奴なんて誰もいない。そう、今までは居なかった。

 

 『ドドド』と凄まじい足音を立てて近づく巨大な下半身がワニで上半身が人間の海賊・・・茶ひげに乗って、ルフィ達が現れた。彼等は、パンクハザードの火の側から侵入し、ここまでの道中で様々なトラブルに会いやってきた。

 

「おぉーーーい!! トラ男じゃねーーーか。久しぶりだな。何でここにいるんだよ。それに、ナミ達もいるじゃねーか。海軍もいるし、どうなってんだよ」

 

「ちっ、麦わら屋。来るのがおせーよ。後、10分早く来やがれ。いや、いけるか。ちょっと、話がある」

 

 全ての計画がご破算になったかと思ったローにとって、今のルフィは希望の光だ。頂上戦争の時に、危険を顧みずに命を助けておいて本当に良かったと思っている。ルフィを経由すれば、”麦わらの一味”や『海賊狩りの王女』一行との関係を取り持ってもらえる。海軍本部行きも逃れられる可能性が大だ。

 

 ローは、治療の手を止めないまま四皇カイドウを引きずり下ろす作戦をルフィに提案した。もう、この場にいる誰もが知っている情報だから一切包み隠さず教える。近くにいたルフィの仲間達は、止めようとしたがそれで止まる男でないのがルフィだ。

 

「よし、同盟組もうぜ!! その方が楽しそうだしな。ところでよ~、この船があるってことはビビ達も居るってことか?」

 

「ルフィ!! アンタってやつはぁぁぁぁ、どうして勝手に同盟なんて組むのよ。分かっているの?相手は四皇なのよ。馬鹿なのアンタ !!」

 

 ナミがルフィの頭部を殴りつける。ゴム人間の彼に打撃技で明確なダメージを与えられるナミは、この二年間で武装色の覇気を高いレベルで身に着けている。

 

 ルフィの破天荒な行動は今に始まった事ではないので、一味である以上諦めるしかない。それを受け入れて進む事が出来なければ、脱退した方がいいだろう。

 

・・・

・・

 

 ルフィは、居なかった間で起こった事件について、話を聞かされる。巨人みたいな子供達がシーザーという科学者の人体実験の結果誕生した者であり、治療しなければ余命が数年だという事。

 

「許せねぇな。ビビ達に加勢に行くぞ、お前等」

 

「構わねーけどよ、ルフィ・・・多分、この先死体しかないぜ。血の匂いが濃すぎる」

 

 ゾロの剣士としての嗅覚が濃厚な死を察知した。ビビ率いる軍事同盟はルフィ達と違い、海賊達をぶっ飛ばしただけで許すとかしない。確実に息の根を止める事こそ、軍事同盟の基本だ。逮捕がしたいなら海軍に行けばいいし、綺麗なお金が欲しけりゃ賞金稼ぎになればいいし、海賊から略奪したいなら海賊をすればいい。

 

 その時、キノコ兵が子供を連れて入口まで戻ってきた。そのシュールな光景にルフィは注目する。ルフィもビビが能力者になったとナミ達から聞かされており、カビで満たされた空間を作ったのが彼女だと理解している。

 

 食欲魔人のルフィは、能力で作られたキノコであっても食えないのかと一瞬考える。気が付けば、本能のままキノコを丸かじりして、食いちぎった。

 

「意外とうめぇーな。食いごたえもある」

 

「馬鹿か、てめぇ。普通、そんな気色悪いキノコなんて食うかよ」

 

 そのルフィの行動により、自立歩行するキノコ兵が新たな敵対勢力を認識する。ビビの意志でキノコ兵達は制御されていたが、無抵抗に殺されてやる程優しくはない。仲間であってもそういう行動を取られると自己保存モードになる。

 

 周辺のカビから続々とキノコが生え巨大化する。産み落とされるキノコ兵達が集結した。キノコ兵は死の恐怖など感じず、統一された意識で行動する完璧な兵士だ。

 

 ビビ達の加勢に行くどころか邪魔をしてしまう、ルフィ達。

 

「おいルフィ、こいつらはビビちゃんのキノコだ。それを食うとはどういう神経してんだよ。ビビちゃんのご立派なキノコが、どんどん増えてる。完全に敵として見なされたじゃねーか」

 

「おぃおぃ、どうすんだよ。これじゃあ、俺たち敵として見られたんじゃねーか。死ぬぅーー!! 死にたくない!! だが、相手はキノコだよな。それなら、火薬星!!」

 

 ルフィがキノコを捕食した事、ウソップがキノコを焼却した事、これらがトリガーとなりキノコ兵達は、”麦わらの一味”から自己を保存する為に抹消する動きを見せる。

 

 

◇◆◇◆

 

 ビビは、シーザーと対峙する最中、施設の入り口で”麦わらの一味”がキノコ兵達と争っている事を察知していた。ナミ達は事情を察しているのに、どうしてこうなったのかと彼女は内心疑問に思う。

 

 キノコ兵達の強さを考えれば、ルフィ達が負ける事はないので一旦は放置する。キノコ兵達が彼等に倒されるたびに、世代交代して進化していく。特に、覇気を伴わないナミの雷やウソップの謎弾丸の攻撃による被害は、より強い耐性を得るうえで最高だった。

 

「よそ見をするなぁぁぁぁ!! ガスタネット!! ガスタネット!! ガスタネット!! これもおまけでガスタネット!!」

 

 ガスガスを使った大爆発。その威力一発一発は、軍艦の砲撃にも匹敵する。それを簡単に連発できるガスガスの実は、素晴らしい。自然系(ロギア)の中でも中堅以上の性能だ。

 

 研究所への被害など度外視した威力でビビの抹殺を考えるシーザー。これで死ぬ事は無いと思っているが、十分なけん制になったと慢心している。どちらも自然系(ロギア)である以上、覇気を通した攻撃か弱点を突かなければノーダメージだ。

 

 シーザーは、この隙に部下を使って海楼石の手錠をつけさせようとしていた。シーザー本人は、ビビの注意をそらすために大技を連発していたにすぎない。

 

 爆発の煙が晴れた中に平然と立っている女性。衣服まで真っ黒に染まり全身を覇気で固めていた。ビビは覇気での攻撃に備えていたが、無駄に終わる。シーザーは覇気を纏った爆発を起こせない。それどころか、覇気のレベルは最低限であり、自然系(ロギア)相手に通用するレベルではない。

 

「同じ自然系(ロギア)だというのに、随分となめられました。覇気を通していない攻撃では、意味はありませんよ。それこそ、対爆耐性は習得済みです。後、貴方の部下程度の海賊が、私に手錠をかけられるとでも思っているのですか? 本当になめすぎですよ・・・”グリーン・ディ”!!」

 

 研究所内に張り巡らせたカビ。そのカビによって、ターゲットの選定は既に終えられていた。ビビが能力を使う事で殺人カビがターゲットを殺す。例え、ベガパンク製の防具服であっても、ガラス部分や酸素ボンベ部分を溶解して潜入する。

 

 シーザーは、ベガパンク製の防具服の性能を知っている。シーザーの毒ガスであっても、それを突破する事ができない。それを突き破るバカげた性能に顔が青くなる。このカビに対して、シーザー本人にも有効な手立てがないからだ。

 

「嘘だろぉ!! ベガパンク製の防具服だぞ!! こうなりゃ、燃やし尽くしてやる!! “青炎剣(ブルーソード)”!!」

 

「へぇ、やっぱりガスガスの実は、いい能力ですね。ソラなら喜びそうな能力です。貴方自身がソラやホタル程鍛錬を積んでいたら、いい勝負ができたでしょう。誰が言った名言か知りませんが、無敵と勘違いした自然系(ロギア)の寿命は短い。自然系(ロギア)を殺すには、こうやって覇気を込めた攻撃をするんですよ・・・嵐脚”凱鳥”!!」

 

 シーザーの非実体剣である青炎剣(ブルーソード)。大量の酸素を使ったガスバーナーみたいなものだ。その程度の武器では、六式を極めたビビが覇気を込めた嵐脚を防ぐ事は叶わない。

 

 ビビの一撃はシーザーの身体を左右にすっぱりと分ける。その切れ味は凄まじく、シーザーは視界がずれるまで自分が死んだことに気付けなかった。ずるりずるりと視界がずれる事で死を意識し始めたシーザーは命乞いを始める。

 

「嫌だぁぁ!! こんなところで死にたくない!! 俺は!! 天才科学者なんだぞ!! 俺が死ねば未来の損失だ!! 誰か!! 俺を助けろぉぉぉぉ!!」

 

「貴方は天才でしょう。それは認めてもいいですよ。人格面やその他を差し引けば、科学者として世界を牽引できる一人だと私も思います。ですが、悪事に加担したのが運の尽きです。これからの世界、私の子供たちが平和で暮らす未来にゴミはいらないんです。私の世代で全てを掃除します」

 

 ビビがゴミに対して、”グリーン・ディ”を使う。こういう手合いは、生き残って強くなり復活する事がある。それを無くすためにも死体を完璧に消去する事を、ビビはソラから強く教わっていた。

 

 パンクハザードの非人道的な研究に加担していたゴミ達を抹消しつくしたビビ。ビビが仕事を終えると、彼女のいる場所にソラとルッチも合流する。”グリーン・ディ”に巻き込まれたら痛い目を見る為、終わるまで観戦していた。加勢せずともこの程度のゴミに彼女が負ける事はないという信頼の証だ。

 

「お疲れ様です。ビビ、ルッチ。先ほど、入口にモモの助君を届けた時に海賊(ロー)から聞いたのですが、やはり自爆装置があるみたいなので吹き飛ばして帰りましょうか」

 

「賛成だな。それじゃあ、この首もここに捨ててっていいか?自然系(ロギア)の雪女を殺した後に遭遇したヴェルゴとかいう海軍中将だ。覇気使いで程ほどに楽しめた。傷を負ったのは久しぶりだ」

 

 ソラは、床に落ちている青炎剣(ブルーソード)の柄を見た。ビビのサブウェポンとして使えるかと思ったが、原理的にはライターと同じであり希少性は全くなかった。もしかしたら、特殊機構があるロマン兵器かもと期待していたソラは少し残念に思う。

 

 ビビはキノコ兵達に命令し、ベガパンク製の防具服の残骸や研究資料を根こそぎ集めて持ち帰る事にする。彼女たちが研究施設入口に戻ると、キノコ兵達を焼いてキノコパーティーをしている狂気の集団を目撃する。

 

 その集団の一人にローが混ざっており、彼が最初にビビ達に向けて放った言葉は・・・。

 

「わりぃな。俺は、”麦わらの一味”と同盟を組んだ。アラバスタじゃビビ王女もお仲間だったそうじゃないか。海賊狩り屋・・・仲良くしようぜ。可愛い後輩ができたんだ、喜べ」

 

 ローは、一世一代の生き残りを賭けた勝負に出る。負ければ死ぬ、勝てば逃げられる。




週末は、仕事で更新ができなくなります。
執筆投稿が少し止まってしまい申し訳ない。

あと数話でパンクハザード編は終わりの予感。
クザンさんの就職先に海賊狩りを提案しなければいけませんよね。
あのレベルの人材は勿体ない。

だらけきった正義?大いに歓迎です。それを通せるだけの実力がある彼ならソラ達も受け入れますよ。
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