お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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71:IXA(イグザ)

 ここで場面が、ソラ達が戻ってくる少し前に時間が遡る。

 

 口約束だとは言え、約束は約束だ。ソラ達と”麦わらの一味”がウォーターセブンでロビンを救う為に交わした内容で未だに有効な物がある。その一つが、『死んでもビビとの関係を喋らない事』だ。

 

 ビビの立場は、約束した当時より遥かに高い。また、ルフィの立場はあの時より遥かに悪い。考え方によっては、その関係をバラされたくなかったら分かっているなと悪い方が脅せる。しかし、ルフィはそんな事をする性格ではない。

 

 一切の悪意なく、新たに同盟を組んだローに対して、口が滑ったという感じでビビが”麦わらの一味”の仲間である事をキノコを食いながらバラしてしまった。

 

「あっ!!?? コレやっぱ言っちゃまずかったやつか?」

 

「麦わら屋、お前は約束事を守らねェ男なのか。同盟を提案した身として不安しかねェぞ」

 

 こんな風に、祖父を彷彿させるような感じでローにバラしていた。これを聞かされたローの立場は、口封じに殺される可能性が追加された。海軍本部に移されるより最悪な展開だ。生きていれば未来はあるが、死んでしまえばそこでおしまいだ。

 

「あんたって奴はぁぁぁ!! その発言がビビに迷惑をかけるかもって少しは考えないの!?」

 

「そうだぞ、ナミさんの言う通りだ。ビビちゃんは、人妻子持ち王女様なんだぞ!! 俺たちとの関係がばれたら大変な事に・・・。人妻子持ち王女様との秘密の関係か、ちょっといいな、それ」

 

 ピンチをチャンスに変える為、ちょうど帰ってきたビビ達を前にローは啖呵を切った。口封じで殺される可能性もあるが、ここまで来たらやる事は全部やると。

 

・・・

・・

 

 ソラは、その話が誰にまで漏れたのかを気にした。特に、誰にどこまでという事が最重要だ。場合によっては、海兵を強制的にアラバスタの王国警備兵にでもリクルートして、永久に外部との連絡を断つ事も視野に入れる。

 

 ソラがローに問いただす。

 

「子供達の治療は終わっていますね?」

 

「いいや、数名を残してある。重症と言う程ではないが、俺が能力で助けなければ長い時間を掛けて薬物を抜く必要がある。年単位の治療だ。子供達には相当キツイものになるだろう」

 

 ローは、この場で全員の治療を終えた場合、即座に海楼石の手錠に繋がれる。だからこそ、逃げ切る為にも数名は残しておく算段だった。そして、逃げたらどこかの島で治療した子供を解放する気でいる。

 

 今回それに加えて、”麦わらの一味”との同盟も成立した。

 

「治療して殺されるか。今すぐ殺されるか、選んでください。知りすぎた貴方を生かす必要性を微塵も感じない」

 

「物騒だな~、ソラ。トラ男は、俺の命の恩人だぞ。きっと、口だって固いはず。お前は、俺たちから聞いた事絶対に漏らさねーよな?」

 

「あぁ、当たり前だ」

 

 海賊の言葉など、信じるに値しない。既に、ルフィは約束を破っている。ルフィの中では、同盟=仲間という方程式があり、仲間ならビビの事を伝えても良いと勘違いしているのではないかとソラは本気で思っていた。

 

 ソラの苛立ちを察したビビが止めに入る。結局この構図が出来上がってしまう。全ては、ローの計画通りだ。やはり、ネフェルタリ・ビビがこの二つの組織を結ぶカギであると。

 

「ルフィさん、流石の私も困ります。確かにルフィさん達には、アラバスタを救ってもらいました。今でも感謝しています。しかし、私の大事な者が危険になるのならば本気で敵対します」

 

「わりぃ、ビビ」

 

 喉元過ぎれば熱さを忘れる。まさに、それだった。約束した時は本気でビビの事は誰にも言わないつもりだった。だが、二年以上の歳月が過ぎ色々な事がありすぎて彼女との約束は記憶の奥底へと少しずつ埋もれていった。

 

「ルフィさん、謝るくらいなら最初から言わないでください。・・・ホタルさんの言葉を借りますが、痛くなければ覚えません。殺しはしません、これが最初で最後の警告です。次誰かに、貴方達の口から私達との関係が漏れた場合、殲滅します」

 

「甘いですね、ビビ。ですが、船長の方針には従いましょう。ルフィ、ゾロさん、サンジさん。是非、我々から色々と盗んで帰ってください。この先、貴方達が待つ世界は想像以上に大きいものです」

 

 ”麦わらの一味”とその同盟であるロー。『海賊狩りの王女』達から一方的な痛みを教えられる事になる。

 

 

◆◇◆◇

 

 ソラは心なしか興奮していた。”麦わらの一味”をこの手でぶん殴れる日が来るとは思ってなかった。ビビが”麦わらの一味”の仲間でもある為、今までずっと我慢していた。事あるごとに無理難題を押し付けられ、尻拭いさせられ、しまいには関係までバラされる。

 

 正直、よく我慢した方だとソラ自身も思っていた。

 

 待機組もその話を知って呆れるばかりだ。お灸をすえる必要がある。それに全員が納得する。よって、ビビも本気を出す。新世界でどんな化け物がこの先にいるか、その一端を知る事は今後の為にもなる。

 

 未来でカイドウを殺してもらう為にも、今彼等は負けておくべきだ。

 

 よって、ソラは商船に保管しているビビの武器を持ってきた。これを用意する為、軍事同盟の各国がその情報網で天才鍛冶師を集めて作り上げた一品。ビビの力に耐えられる武器がないなら作ればよいと、その理論で開発された。最上大業物にも引けを取らぬと自信を持って言える武器だ。

 

「あの~、ソラ。流石に、それを持ち出すのはやりすぎではないですか?」

 

「本気でやらねば相手にも失礼ですよ。手加減されて喜ぶような相手ですか? 違いますよね。それに、子供達が見ている前で無様な格好を見せるのですか? 母であり、父である貴方がそれではダメですよ」

 

 ソラは、ビビの武器に巻かれた布を解く。

 

 そこには、黒槍があった。デザインは西洋風のランスであり、金の模様で装飾されていた。武器から発せられる威圧感だけで、ハッキリと分かる。普通の武器ではないと。剣士のゾロはその武器を見て、異質だが出来栄えが大業物秋水を超えるのではないかと直感で理解した。

 

 ビビが武器を握ると覇王色の覇気が吸収される。

 

「すげーー!! カッコいいなビビのそれ!!」

 

「あげませんよ、ルフィさん。これは、IXA(イグザ)と言います。軍事同盟の皆さまが私の為に用意してくれた決戦兵器です」

 

 ソラ、ビビ、イーロン、ワズキャンとCP9達が勢ぞろいする。ホタルも後方から応援する。そんな一同を相手にする事になる”麦わらの一味”。

 

 ホタルと一緒に観戦する海軍たちは、早々に賭けが始める。”麦わらの一味”で誰が最後まで立っているか、という内容だ。

 

 覇王への道を歩み続けるビビの力を目の当たりにする”麦わらの一味”。この二年間で成長したのは、自分たちだけではなかったと知る事になる。

 

 ビビを成長させた力・・・それは、愛。愛ですよ。

 

 ルフィは、かつてシャボンディ諸島でパシフィスタや戦桃丸を相手にした苦い思い出を再び味わうことになる。絶対的な自信が完膚なきまで打ち砕かれる事を知る。ルフィは、遊びで海賊をやっているわけではない。だからこそ、人との約束事は本気で守るべきだった。

 

 いつまでも笑ってすまされるなんて事はない。裏切りには、高い代償をいつか支払う事になる。仏の顔も三度までとは言うが、人間は仏でもないので三回なんて甘い顔はしない。

 

 ソラより元・CP9達の顔がヤバい。とてつもない笑顔だ。いつぞやの恨みを晴らせると今から覚醒した姿になっていた。勢いあまって殺すのではないかという雰囲気だ。

 

 特にカクは、ゾロを相手にする為、名刀「桜十(おうとう)」と「木枯し(こがらし)」まで持ち出している。二年前にルフィ達が3億ベリーの賞金首の代わりに寄こした品の一つである名刀だ。

 

「ソラ、どの程度殺していいんだ?」

 

「物騒な事を聞きますね、カク。8割殺しまでなら認めます。手元が狂って残り2割もやってしまったら事故です。その程度で死ぬならこの先の海では死にますからご自由に。元からそういう契約です」

 

 凶悪な能力者集団・・・ソラ達が今現在それに該当する。

 

「ルフィさん達。貴方達も子供では、ありません。矜持がある海賊なら、組織同士の約束は守るべきです。体で覚えてください」

 

「ねぇ、ビビ。狙うなら、ルフィにしてよね。私はか弱い女の子だから」

 

 ビビは「大丈夫です。初めての女性相手でも優しいって評判なんですから。痛みも快楽にしてあげます」と、ナミに優しく言う。ナミは、生まれて初めて女性相手に貞操の危機を感じた。

 

・・・

・・

 

 圧倒するソラ達。その力を前にルフィは、かつてのシャボンディ諸島での苦い思い出がよみがえる。ソラ達は、弱い者から確実に潰していった。チョッパー、ウソップ、ナミの三人が開始して一分も経たずに潰された。

 

 ソラ達は、老若男女全て平等に全力で殴りつける。サンジ相手には、カリファが担当するなど、相性が良い相手を選ぶ。戦いに卑怯もくそもない。その上で、集団で殴り倒していく。

 

「どうした、麦わら。先ほどから動きが鈍いぞ。ギア2だかギア3だか知らないが、その程度では俺に勝てん。そうだな、ギア4かギア5まで頑張ってみればどうだ?そうすれば、勝てるかもしれないぞ」

 

「ルッチ。あまり、煽るな。そういう慢心が敗北につながる。今だって、絶好のチャンスなのに攻撃の手を止めている。なぜだ?どうしてだ?いつもならば、相手にこのようなチャンスは与えていない」

 

 ソラは、ルッチに勝利を目前にして攻撃の手を止めるなと言った。こう言う事をやるから負けるんだと。

 

「お前達、卑怯だぞ。ウソップを盾にするなんて・・・ゴホゴホ」

 

「卑怯だ? お前等は、軍事同盟を聖人君子か何かだと勘違いしているのか? 我々は、勝たねばならんから、最善の方法を使っているだけだ。ギア3とやらで、ウソップごと殴り飛ばせばいいだろう」

 

 いつもは丁寧語で喋るソラも気が高ぶって荒々しい口調になっている。そのソラの左手には、ウソップがいた。既に8割殺しにされ、意識がない。この状態で、ルフィのギア2やギア3の攻撃が直撃したらあの世に行くだろう。他も同じだ、ビビ以外は全員倒した相手を肉壁にしている。

 

 ただですら力の差があるのに、これでは一方的に殴られる。

 

 相手がその気ならとロビンは、海兵たちとこの戦いを観戦しているホタルを見た。彼女の手には二人の赤子が居る。ロビンの能力ならば、この場から赤子を攫って盾にも出来るだろう。攫う事が出来たならば。

 

「ミス・オールサンデー。貴方が越えてはいけないラインを越えるつもりなら、アラバスタの軍事同盟は、"麦わらの一味"を標的に全力を出します。今、子供達に一瞬でも能力を向けようとした事は、何かの間違いだという事にしてあげます。次は、ありません」

 

「あら、それはひどくない?貴方達は、私の仲間を肉壁にしているじゃない」

 

 この大海賊時代を生きている海賊と親の庇護がないと生きられない赤子を同レベルで語られてもビビも困る。そんなに仲間が大事なら、今からでも海賊を止めて旅人に転職すべきだ。

 

「なら、貴方もその肉壁にしてあげますよ。実は、私・・・貴方の事が嫌いだったんです。バロックワークス時代から。貴方が居たせいで私なんて悲劇のNTR王女なんて不名誉な称号をつけられたんですからね!!」

 

「あら、奇遇ね。私も貴方の事が嫌いだったのよ。貴方のおかげで、私の手配書なんて『NTRの悪魔』なんて言われているのよ」

 

 ヒエヒエの女同士の睨みあい。極寒の場所が更に寒くなる。

 

 ビビがIXAに覇王色の覇気を吸収させる。鼓動を打つかのように息を吹き返す黒槍・・・それをビビが振るうと雪が消し飛び、振るった先に発生した真空刃が氷山を切断した。切断面からは、殺人カビの”グリーン・ディ”が繁殖する。

 

 その威力を前にロビンの額から汗が流れる。今の攻撃は、避けなければ死んでいた。8割殺しという話は何処に行ったのだと文句が言いたかった。相手に触れる事が前提の能力となるロビンにとって、カビ人間のビビが相手では相性が最悪だった。

 

 新世界に入り早々に敗北の味を知る”麦わらの一味”。だが、彼等は運がよい。負けても失う物は何もない。それどころか、敗北から得る経験の方が多いほどだ。

 

 スモーカー中将は、この機会に8割殺しにされた”麦わらの一味”を捕まえようとした。しかし、いつものようにビビが庇って、海軍G-5支部の基地長ヴェルゴが犯罪に加担していた事を黙っている代わりに見逃すという取引を成立させる。だが、手ぶらでは帰れない海軍の為に、キノコ兵に集めさせた研究施設から奪い取った資料のコピーを渡した。

 

 毎度毎度、このような尻拭いをさせられるのならば、今後の関与方法も検討すべきだなとソラは本気で思った。カイドウより先にルフィ達を討伐するか悩むのであった。

 

 




ビビに似合いそうな武器を考えていたら、ランスがいいなと思い
クインケで有名なIXAを採用しました。
白ひげの遺品である最上大業物でもよかったんですが、いいかなと。

さて、島を爆破して、クザンさんを拾ってドレスローザに向かわねば。
同盟に参加したいという小さい人たちがいる。
是非お話を聞かねば。

メラメラの実・・・あれって、持っていればいい事あるのかな。
一つくらい予備の実があっていいよね。ワズキャンとか非能力者だし食えば強くなる。
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