73:トンタッタ王国
ソラ達は軍事同盟への参加を希望する者に会うため、ドレスローザを目指していた。ドレスローザと言えば、10年前に王下七武海”天夜叉”ドフラミンゴ・ドン・キホーテが悪逆非道のリク王から国民を守った事で有名だ。そして、ドフラミンゴはそのまま王座に就いた。国王でありながら王下七武海でもある為・・・割とよくいる存在だ。
当然、ソラ達はドレスローザの国王であるドフラミンゴに会いに行くわけではない。国王であっても海賊である以上、ソラ達の殲滅対象だ。だが、ドフラミンゴは王下七武海で手札が多いという点で最強に近い。その証拠に、元・天竜人で未だにそのコネクションがある為、色々と無理ができる存在だ。
これからの予定を再確認し、ソラの話を聞いた誰もが思ったことがある。アラバスタの一件を知っているならば当然誰もが同じ認識になる。裏事情をすべて知っている元・CP9達ですら同じ答えに辿り着く。
ビビが、ソラの方を見て確認を取る。
「ねぇ、ソラ。ドレスローザってもしかしなくても、アラバスタと同じ状況で国盗りされたって事よね?」
「ビビ、10年前だと私は7歳の子供ですよ? 当時の事など知りません。ですが、話を聞くに同じ状況でしょうね。海賊がゴミである事。コブラ国王と同じく善政を行っていたリク国王が、人が変わったかの様に悪逆非道の限りを尽くした事。その時、偶然にもドフラミンゴ・ファミリーが窮地を救うのはやりすぎでしょう。自作自演を疑わない国民はバカなんでしょうか」
疑ってもドフラミンゴに勝てる存在は、当時のドレスローザには誰も居なかった。用意周到に乗っ取りをされては、ドレスローザの王国軍に勝ち目はない。
「兄様より、ビビの方が詳しいのではないですか?アラバスタ王家でも他国の情報は仕入れていたでしょう?」
「そうなのですが、お父様に確認しても要領を得ませんでした。リク国王とは世界会議でも面識があったそうで、そのような事をする人ではないと言っていました。お父様の人を見る目は確かなので間違いありません。今でも、当時の真相は不明だそうです」
海軍もこのバカげた状況を調査したかった。だが、王下七武海のすべての犯罪は世界政府の名の下で許される。よって、どのような場合でも無罪で海軍が来ることはない。
「そうでしょうね。それより、例の件はわからずじまいですか? ビビ」
「はい。トンタッタ王国の同盟参加にあたり交渉人の行方どころか、送ったのかさえ不明なんです」
軍事同盟参加にあたり、色々な調整が必要だ。それこそ、既に軍事同盟が成立して、ある程度の成果を上げ始めてからの参加だ。うまい汁だけ吸う腹積もりの国家ならお断りされる。
ビビの手元の資料には、今まで送り込まれた交渉人の名前が書かれた資料だけがある。だが、後から何度確認してもそんな人物は知らないと返答される。よって、今回はビビ達が直接交渉に行くことになった。
「ビビ、どうせこのような不可解な事象は悪魔の実ですよ。もう、大分忘れましたが・・・変な能力者が居たはずです。触れた相手を大人のオモチャにする能力だったかな。たしか、そんな能力のはず。触れられたら、人々の記憶から消される感じだったはずです」
「ソラ、何でそんなことを知っているんですか? でも悪魔の実の能力なんて何でもありですからね。洗脳系、記憶操作系、若返り系、時間移動系など・・・やっぱり、悪魔の実はおかしいですね」
つまり、そういう前提で動けば問題ないという事だ。だが、どのような原理であれ、圧倒的な覇気で防げば対処できる。覇気は全てを凌駕する。人と接触する部分をすべて覇気でガードすれば良い。
「そのような危険があろうとも、我々はトンタッタ王国を仲間にしたい。幸いな事に相手からの同盟参加依頼です。こちらから依頼したならば多少の譲歩が必要ですが、参加依頼なら違います。ドレスローザにいるドフラミンゴと戦う事になっても利益は大きい。ビビもコブラ国王から是が非でもと言われているよね? 彼等の能力は、アラバスタからしたら喉から手が出るほど欲しいでしょう」
「えぇ。同盟にかかる費用負担は「全額、アラバスタ王国が負担してもよい」とまでお父様は言っていたわ。手のひらサイズの小人族なのに、人間以上に屈強な戦士で覇気まで扱える。その上、植物栽培に長けた能力を持つ。おまけに、人を疑う事を知らない程の善人ときたら・・・悪意ある者に渡ればダメでしょう」
小人族なのに、その素早さは覇気を覚えているゾロですら見失うほどだ。海の覇者魚人族、陸の覇者トンタッタ族と言えるだろうとソラは思っていた。この両者が味方になれば怖いものなしだ。
遠くにドレスローザが見え始めた。あの島がドレスローザの全てである事から、アラバスタ王国がどれだけ広大な領土を持っていたか改めて実感する。その次期王女様でありビビ・・・そんな彼女をソラは美しいと思った。
「どうしたんですか?ソラ」
「いや、綺麗だなと思っただけです。最近、特にそう思います。ホタルもそう思いますよね?」
「はい、兄様。ビビ、貴方と会えた事が私達にとって最高の幸せです」
ビビは、何も言わずに子供を抱きしめているソラとホタルをそのまま寝室に連れ込んだ。
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ドレスローザでは、
名だたる海賊ともなれば、数千万の懸賞金は当たり前だ。億越えも多数いる。
更に景品であるメラメラの実は、コックであるワズキャンにプレゼントしたいと思っているソラ達。料理とは火力であり、美味しい食事の為にも手に入れる価値はある。それに加え、メラメラの実があれば暖房代も浮くし、火力発電にも使える。メラメラの実一つで得られる副次的な効果は計り知れない。
小島グリーンビットに辿り着いたソラ達。この島の周辺にいた闘魚は、イーロンとケイミーによって適切に処理され、ケイミーの下僕と化した。ケイミーもこの二年間でイーロンの元で空手を学び、ホタルの元で厳しい修行を乗り越えた。
ホタルがビビに妊娠させられた事実を知り、ケイミーは脳が焼かれた。それが原因で、彼女は何かとビビに勝負を挑み続け、負け続けては強くなっている。ビビもわざとホタルとイチャつくところを見せつけたり、営みを見せつけたりと彼女の脳を焼き続けた。その結果、ケイミーの実力は、今は亡き覚醒したホーディ・ジョーンズといい勝負ができるレベルにまで達している。
ビビ、ホタルの二名がトンタッタ王国の使者についていく。他は万が一に備えて待機し、彼女たちの帰りを待つ。女二人でどうかと思われるが、この船で最強の二人。戦力的なバランスは取れている。
二人の帰りを待つ間、ソラは残った者達に提案する。
「この中で、コロシアムに出場してメラメラの実を持ち帰れる人~」
元・CP9達は当然として、イーロン、ワズキャン、ケイミーまで手をあげる。出場する連中の大半は犯罪者か海賊だ。皆殺しにしてよいのだから、正直誰でも行けるだろうとソラは思っている。
しかし、景品はあのメラメラの実だ。二年前に死んだ”火拳のエース”の実が復活した物であり、簡単に手に入る代物ではない。だからこそ、こういう考えが出る。
「儂は、その実が本物かわからん。そこらへんは、どうなんだ?優勝しても悪魔の実が偽物だったでは無駄におわるぞ」
「天竜人から落ちた身分とはいえ、プライドだけはエベレスト級のドフラミンゴです。偽物の実を興業の景品にするとは思えません。本物で間違いないはずです・・・まぁ、本物ならば、仲間に食べさせない意味が分からないんですけどね」
ソラの発言に誰もが頷いた。
「じゃあ、イーロン・・・頼んだよ。海賊や犯罪者は皆殺しで」
「任せておけ。ワズキャンは、大人しく待っとれ。怪我でもしたら、皆の飯がなくなるからな」
これから始まるドレスローザ崩壊RTAを前に、ドフラミンゴは何も知らないまま崩壊前夜を寝て過ごした。
トンタッタ族に嘘をついて近づく長鼻がいたら、許さない!!
後で事実になればいいとか、その場しのぎで彼等をだます存在はちょっとね。