ルフィ達と行動を共にするローの元にドフラミンゴからの電伝虫が鳴る。ロー自身は、色々と計画がご破算になった事で今後の対応を悩んでいた。当初は、シーザーを捕らえる事で、ドフラミンゴとの交渉材料にしようとしていたが、何一つ成果がない。
いっそのこと、ドフラミンゴに全てを暴露して『海賊狩りの王女』と潰し合わせようと考えた。バカげたレベルの能力者集団だから、ドフラミンゴ・ファミリーと正面から衝突しても十分勝機はあると考えたのだ。
実際に、パンクハザードを潰したのも、シーザーを殺したのも『海賊狩りの王女』一行だ。なのに、ドフラミンゴにはローの仕業だと勘違いされてしまうだろう。だったら、その責任を最後まで取ってもらおうとするのも当然のこと。
決意したローは、ドフラミンゴからの電伝虫を取った。
『くっくっく、随分と待たせてくれるじゃねェか。あまりに遅いから、こちらから掛けてやったぞ。お前が無事だという事は、やはり
『好きに判断しろ。俺が言いたい事は分かっているよな? パンクハザードの状況を知らないとは言わせない。どうせ、部下から連絡を貰っているんだろう』
ヴェルゴが来た時点で、パンクハザードの情報は確実にドフラミンゴに漏れていると判断した、ロー。色々と大事な事が正確に伝わっていない。ドフラミンゴが唯一正確に分かっている事は、施設は完全崩壊し、現地での生き残りは誰もいない事だけ。
『ロー、お前は一体何がしたいんだ。パンクハザードを崩壊させて、シーザーまで攫った』
『待て、ドフラミンゴ。お前は、何を勘違いしている。パンクハザードを崩壊させたのも、シーザーを殺したのも『海賊狩りの王女』一行だ。俺は何もしてねェ』
『海賊狩りの王女』については、ドフラミンゴの情報網でも把握している。
だが、その連中はなぜか新世界に入ってこない事で有名だ。それがこのタイミングでなんてドフラミンゴには考えられなかった。それに、そのような情報は入っていない。
『お前こそどうしたんだ、ロー。なぜ、いきなり『海賊狩りの王女』の話が出てくる。あの連中は、新世界に来ない事で有名だ。実力はあるだろうが、所詮その程度の連中だ。自分がやった事を人様に押し付けるような男だったとは教育が足りなかったか』
『だから、事実だって言ってんだろ。『海賊狩りの王女』が海軍と手を組んでパンクハザードを崩壊させたんだ。信じろよ。その程度の情報は、お前の元に届いているだろう』
裏切り者の元部下に対して、ドフラミンゴは苛立つ。自分の尻も拭けない軟弱者どころか、責任を女に押し付けるなどプライドはないのかと。
『そこまで、シラを切られるとな。じゃあ、これを聞いても同じ事がお前に言えるのか?・・・「海軍がパンクハザードにやってきて、”麦わらの一味”が連れ出した薬漬けの子供をローが治療している」「キノコが!! ご立派なキノコがぁぁぁ!! 『海賊狩りの
『おぃぃぃ!! なんだその絶妙に編集されたかのような録音は、ぶっ殺すぞ!! ロー、邪魔するな!! 俺の沽券にかかわる大事な話だ!!
『落ち着け、マリモ。お前の股間・・・じゃかった。沽券なんぞどうでもいい。ドフラミンゴ、悪いが後でかけなおす』
ドフラミンゴは、”麦わらの一味”とローが同盟を組んだ事が知れれば、それで十分だった。やはり、シーザーはまだ生存している可能性が高いと踏んだ。だが、一応『海賊狩りの王女』一行がドレスローザに来ていないか部下たちに調べさせる。
◆◇◆◇
ビビとホタルは、招かれたトンタッタ王国を前に巨人になった気分だった。本当にこれ程までに小さい人類が存在するのだろうかと思ってしまう。手乗りの小動物みたいで非常に可愛らしく、素直で強い。
トンタッタ王国
交渉の場には、片足のないブリキの兵隊人形もいる。彼こそが、
当然その場では、映像電伝虫で軍事同盟各国の国王たちが勢ぞろいしている。軍事同盟成立後に初めて参加する国家だ。しかも、アラバスタの肝いりともなれば注目度は非常に高い。
「この度の軍事同盟への参加承認、誠に感謝する。それどころか、明日の決戦に備えて武器弾薬の無償提供に加え、御自ら参戦し戦力提供まで。なぜ、ここまで軍事同盟がトンタッタ王国に加担するのか教えてもらえないだろうか。ビビ王女」
「未来の子供達の為、祖国アラバスタの為です。海賊というゴミが存在する限り、平和は遠のきます。私は、我が子達の為・・・いつかではなく、今立ち上がりました。必ず、私の世代で海賊を根絶させるという強い意志があります。海賊根絶の為、未来の為、トンタッタ族の力が我々には必要です」
この場に集まっているトンタッタ族、兵隊人形もビビが本気だと理解した。これぞ、真の王だという強い意志が伝わる。ビビから漏れ出す覇王色の覇気に、トンタッタ族は平和な未来を見た。
兵隊人形は改めて、軍事同盟の重要事項にある海賊の根絶について理解する。そして、共感した。海賊が居なければ、この国は平和だった。海賊が居なければ、大事な者を失う事はなかった。そして、海賊が存在するから、また大事な者を失うかもしれないのだ。
底知れぬ恐怖と憎悪が兵隊人形を襲う。
「あぁ、そうだ。海賊は、悪だ。私も・・・ビビ王女と同じく、子を持つ親だ。だから、あなたの気持ちはよくわかる。我が子のため、私も今立ち上がるべきだという事が!!」
「えぇ。兵隊人形の貴方の本当の姿は知りませんが、名のある武人だと思います。どうか、その姿から解放された際には、我々と共に平和のために頑張りましょう」
ビビは、兵隊人形と強く握手を交わす。そして、同席したトンタッタ族からも拍手喝采だ。これで、ドンキホーテ・ファミリーに囚われた仲間を救出できる。武器も弾薬も作戦も全てが揃う。
だが、兵隊人形には一つだけ不安要素があった。目に入れても痛くない、命に代えても守りたい人がいるからこそ、譲れない所がある。
この時、ビビの第六感が働いた。即座にすべての電伝虫の回線を切断する。
「ビビ王女。一つお願いがある。私が軍事同盟の為、死ぬ気で働く。だから、レベッカだけは許してやってくれ!! 世界経済新聞を読んでいるから知っている。貴方が、どちらでもイケると。軍事同盟参加の各国から美姫を集めているという事もだ!!」
「なんでちゅと!! じゃあ、マンシェリーの事も!? どうか、我々トンタッタ族が貴方の為に働くから、マンシェリーは許してくれでゅ!! 好きな人がいるんでちゅ!!」
兵隊人形の発言に
「皆さん、私を何だと思っているんですか?
「その割には、私や兄様にまで手を出しましたよね? 後、しらほし姫に・・・同盟各国の美姫にも。王家の責務という免罪符があるからと言って、言い訳できませんよ。でも、最後に私達の隣に居てくれるなら許してあげます。そのくらいの許容は持っていますから」
身に覚えがありすぎるビビ。
同盟を結んだ後でこんな爆弾を出されては、トンタッタ王国も困るだろう。だが、同盟参加はメリットがでかすぎる為、王女一人の体で清算できるなら安い。ビビが世界経済新聞の常連から脱せないのはこういうことが原因だ。
それからビビは、誤解を解くのに数時間を費やした。ビビとホタルは軍事同盟の参加国の為に、明日の決戦に彼らと参加する。別動隊で、ソラ達がドレスローザより進軍する事になる。