ソラ達は、ドレスローザの観光名所の一つであるコリーダコロシアムに到着する。
ソラと行動を共にする者は、商船の男軍団。ソラ、イーロン、ワズキャンと元・CP9の男達だ。トンタッタ王国との交渉から帰ってきたホタルと行動を共にするのが、ビビ、ケイミー、カリファの四人だ。女性組の方にも海の専門家が居ないと不安だったので、人魚のケイミーが行動を共にする。
非能力者が最低一人は必要だ。万が一の場合に、何もできなくなるから当然の配慮だ。
コリーダコロシアムの入口を監視するソラ達は、参加する出場者達を調べる。大半が海賊だったり、犯罪者だったりと経歴に傷がある奴ばかりだ。集まった全員が、コロシアムで優勝すればメラメラの実が手に入ると、夢とロマンを懸けている。
コリーダコロシアムにソラ達が参加すると聞いた兵隊人形は「レベッカという娘だけは傷つけないでくれ!!」と頭を下げて懇願してきた。「レベッカなる人物が分からない」と言ったら「紹介するから!!」と、眼がマジだった。
「あそこの鉄格子の傍にいるピンクの髪の女の子がレベッカだ。見えるか?」
「見えるけど、ピンクの髪よりあの格好は何なんだ!? 娼婦だってあんな変態的な衣装着ないと思う。股関節あたりが丸見えって事は、パンツを履いてる・・・よね? 貴方の娘だろう。なんて格好をさせてるんだ。同じ父親として言わせてもらうけど、女の子にあんな格好をさせたら父親として終わりだよ。コロシアムより大事な事があるだろう。年頃の女性がやっていい服装じゃない。父親として恥を知れ!!」
ソラの声で、男達が彼女を注視した。その信じられないような格好に誰もが驚く。ドレスローザは愛と情熱の国と言われているが、あれはない。あれがこの国の民族衣装なら、国民全体の民度がヤバい。
コロシアムのような男ばかりいる戦場では、視線誘導兵器として役に立つだろう。これが生き残る為に考え出された作戦だというのならば、覚悟が決まっていると賞賛できる。
だが、男たちの中でただ一人だけ。意見が異なる人物がいた。魚人族のイーロンからすれば、着衣している方がエロく見える服装なんて普通だ。
「何を言っている。あの程度、魚人島じゃ普通だっただろう。人魚達の方がよっぽど面積が少ない服を着とるぞ」
「あぁ、そうだ。そうだったね。ケイミーが厚着だから勘違いしてたよ。人魚の服装は、しらほし姫が基準値だもんね。兵隊人形さん、申し訳なかった。貴方の娘さんの服装は、我々軍事同盟では普通の服装だ」
ソラは、真摯に謝罪した。
人様の娘を娼婦呼ばわりするなんて、恥ずかしいにもほどがある。立場が逆なら相手をボコボコにしていただろう。だが、その様子を見たルッチ達はここぞとばかりにソラを責める。先ほどまで「レベッカの服装はないわ」とか言っていたのに掌返しは早かった。
ソラは、ルッチから衝撃的な事実を教えられる。
「軍事同盟のトップの一人として、他国の民族衣装にケチをつけるのは良くないだろう。ソラは知らないだろうが、我々の様に下着を必ず着用している連中は思いの他少ない。”麦わらの一味”を思い出してみろ。『泥棒猫』や『NTRの悪魔』が下着を付けているように見えたか?」
「ま、まさか!? 私は信じないぞ!! 良い大人が下着すら着用せずキワドイ服装をしているなんて・・・」
ソラは記憶を漁るが、やはり下着を見た記憶はない。
ソラが最初に思い浮かべたのはナミだ。彼女は、パンツの端があるべき場所に下着のかけらも見えなかった。つまり、本当に履いてない可能性がある。紐パンという可能性もあるが、それでも紐が見えないのはおかしい。
続いて、ロビンを思い浮かべた。超ミニスカートに加え、ブラジャーの紐が見えない服・・・やはり、下着を着用する習慣が存在しないとしか思えない。
「ソラ、いい加減負けを認めろ。トドメに教えてやる。エニエス・ロビーで俺たちは、ニコ・ロビンを捕らえたのは知っているな。捕らえたなら当然、身体検査を行う・・・つまり、そういう事だ」
「知りたくない真実を教えられた気分だよ、ルッチ。そうなるとレベッカという貴方の娘は、これからNo下着で国中に放送されるコロシアムで、お嫁に行けなくなるような姿を晒す事になるんだが・・・どうしたい?」
冷静に考えると、実の娘をあんな露出狂まがいな格好でコロシアムに出場させている親は心が痛いだろう。死にたい思いに違いない。今からでも、下着の一つでも届けてやるのが親心という物だ。
「待ってろぉぉぉ!! レベッカ、今お父さんがお前の下着を買ってくるからな~!!」
「一体、彼はどうやって届けるつもりなんだろうか? 兵隊人形から女性物の下着一式を渡される彼女がどんな顔をするかちょっと見てみたいが・・・イーロンの出場登録もあるし、行きましょう。我々は観客席で、じっくり観戦させてもらいます。後で皆殺しにする顔を覚えていないといけないので」
ソラ達は、兵隊人形の帰りを待たずにコリーダコロシアムへと入場する。イーロンは、Bブロックでの出場が決まった。
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それから数刻後に、兵隊人形はレベッカの元に女性物の下着を携えてやってきた。そして彼女にそれを渡す。息切れしているのだが、レベッカからしたら興奮しているようにも見えてしまう。
「へ、兵隊さん。これを私に着けて欲しいの?」
「あぁ、そうだ。これは、君が着けるべき物だ。はぁはぁ」
という、やり取りが鉄格子越しに行われていた。
「ど、どうしても着けた姿が見たい?」
「あぁ、どうしてもだ」
ヘイタイさん改めヘンタイさんからもらった下着を彼女は受け取った。
その日、レベッカはコロシアム参加する際に初めて下着を付けた。腰巻の裾からはみ出る純白の布地は光輝いて見える。それに目を奪われたコロシアムの男たちは、前かがみになり敗北するだろう。その光景が、間もなく放送される。
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観客席に付いたソラ達は、新世界に居る名だたるゴミ屑たちを観察していた。新世界で生き残っているだけの事はあり、一定水準を超える者達ばかり。当然のように覇気を扱っている。
特に、Aブロックの優勝者となった四皇〝黒ひげ海賊団〟の一番船船長を務めるジーザス・バージェスは群を抜いて強かった。Aブロックの中では強かった・・・そこまでだ。今アレを殺せば、四皇の戦力を削れるだけでなく全ての責任をドフラミンゴに押し付けられるなんて最高だ。
「さて、次はイーロンの出番だ」
ソラがイーロンに手を振る。
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ドフラミンゴは、コリーダコロシアムから緊急の連絡を受けていた。この会場に、要注意人物達が来場している事を部下から聞いていた。映像電伝虫で現地を確認すると、客席には元・CP9達とビビ王女の付き人がいた。
その様子をドフラミンゴとトレーボルが見ていた。
「どういうことだ。なぜ、今日になって『海賊狩りの王女』の仲間がコロシアムに来ている。あいつらを招待した覚えはないぞ。メラメラの実が目当てなのか・・・」
「ドフィ~。どうする~?やっちゃう~? 」
ドフラミンゴは、殺すという一手を考えた。幸いなことにドフラミンゴ・ファミリーの土俵であるドレスローザだ。一般兵、幹部、最高幹部まで全員が揃っている。切り札であるシュガーという特級の能力者もいる事から負ける要素はない。
だが、”麦わらの一味”もドレスローザに到着している事をドフラミンゴは知っていたので、下手な戦力分散は兵力を無駄に浪費するだけだと理解している。最悪、失うのはメラメラの実一つで済むなら悪くないと彼は判断した。
「いや、今はやめておけ。”麦わらの一味”とローが上陸しているはずだ。そっちを優先する。ローの事だ・・・『海賊狩りの王女』をドレスローザに呼びつけて俺と戦わせようって魂胆なんだろう。だから、パンクハザードの一件も『海賊狩りの王女』の仕業なんて言ったんだな。俺が先に手を出すように。くっくっく、そうはいかねェ」
「そうなの~。でも、やばかったらシュガーでオモチャにしちゃうからいつでも呼んでね」
ドフラミンゴの中で、ローの評価が再び上昇する。
どのような方法で『海賊狩りの王女』をドレスローザまで呼びつけたのか気になっていた。そして、ドフラミンゴは、またローに電伝虫を掛ける。昨日から、後で掛けると言ったきりで音沙汰もない。
いい加減、気の長いドフラミンゴでも我慢の限界だった。シーザーの件、『海賊狩りの王女』の件など聞きたい事が山ほど出てきていた。