メラメラの実を懸けた大事な試合を観戦していたドフラミンゴだが、それより重要な案件が飛び込んできた。「人造悪魔の実SMILEが海軍に情報漏洩し、強制査察が実行」「アラバスタの軍事同盟にトンタッタ王国が参加」この2大案件だ。
人造悪魔の実SMILEの一件では、既に海軍大将がドレスローザに到着しており、ドフラミンゴはその対応に追われていた。事実無根で帰らせなければ王下七武海としての権限はく奪に加え、バスターコール待ったなし。
軍事同盟の一件では、アラバスタの軍事同盟からトンタッタ族及び王女を即座に解放しない場合、武力行使も行うと最後通達が来ていた。その上で、強制労働の損害賠償なども多額の費用請求・・・その額は100億ベリー。
どちらも受け入れられるはずがない。片方を認めれば、もう片方も認める事になる。知らぬ存ぜぬで突き通す以外にドフラミンゴが権力を保つ事は出来なくなっていた。
「これがローの作戦だったのか。あいつ、SMILEの一件を海軍に売り渡しやがった。トンタッタ族についても奴の差し金か。くっくっく、単純な武力じゃなくて知恵が回る奴は嫌いだ」
だが、それでもドフラミンゴは焦らない。それこそ、ホビホビの能力がある限り、存在をこの世から抹消すれば挽回できる。だが、ドフラミンゴの苦労はこれで終わる事はなかった。
「た、大変です!! ドフラミンゴ様!! ディアマンテ様が革命軍No.2サボに殺害されました!! コロシアムは大混乱です!! そして、そのサボですが・・・麦わらのルフィの義兄だという情報も!!」
「なんだと!?」
最高幹部のディアマンテは、ドフラミンゴが信頼する数少ない部下だ。それを殺害し逃亡など、仲間思いの彼には許せない事だ。ローと”麦わらの一味”は同盟関係である。つまり、これで全ての線が繋がる。
パンクハザードの崩壊、シーザー・クラウンの誘拐、海軍大将の来訪、軍事同盟の最終通達、最高幹部の殺害、革命軍・・・これがたった一人の男が原因だったとは、ドフラミンゴの想像の斜め上を行く。
「どういたしますか、ドフラミンゴ様」
「くっくっく、怒りを通り越して笑っちまうとはこの事だ。幹部たちを全員、王宮に集めろ・・・もはや、俺に退路はなくなった。全面戦争だ!! この国から誰一人生きて出さねぇ!!」
これ以上、上がる事がないと思っていたローの評価が天元突破する。王下七武海であってもここまで世界を動かせる事はそうそうにない。これが、ローが持っている縁の力かと察する。あるいは、オペオペの実の究極の技・・・不老の術を世界政府にでも売ったのかと勘ぐった。
それならば、全てが納得できる。世界政府、特に天竜人はその手の事が大好きだ。手に入るなら、ドレスローザ一国をドフラミンゴ・ファミリーごと消滅させるだろう。
◇◆◇◆
ソラ達がメラメラの実を回収している頃、ビビ達はトンタッタ族と行動を共にしていた。既に、最後通達を行い返答時間を過ぎている。よって、軍事同盟の規定に則りビビ達が武力行使しても問題なくなった。
組織の規模が大きくなるほど、この手のしがらみが増えるが仕方がない。
SOP作戦というトンタッタ族が計画した、ドフラミンゴ・ファミリーの幹部の一人であるシュガーを討伐する事で人形となっている者達を解放する作戦だ。この作戦こそが今回の反抗作戦の要でもある。
だが、ビビ達はそのSOP作戦よりもっと簡単に人形となった人を解放する作戦を用意した。その名もSZK作戦。
しかし、この作戦には一つだけ大きな問題がある。ホビホビの実のような世界改変系の悪魔の実がどこかで再臨した場合、誰の手に渡るかだ。今以上に凶悪な存在に渡れば手が付けられない。
所在が分かる今こそ、生け捕りにして死ぬまで幽閉すべきではないか。能力面で最強に近いビビでも危険な能力だからこそ、この作戦実行前に一度ソラに相談が持ち掛けられた。
『正直に言えば、どのような手を使っても殺したい・・・だけど、悪魔の実が再臨する事を考えれば、生け捕りにしなければ後々面倒になります。好みではありませんが、手足を切断し目と耳を潰して、海楼石の首輪、海楼石の牢屋、死ぬまで栄養を与え続けて延命させましょう。場所は、魚人島近くにあった火山地帯に特設します。海底一万メートルにあれば、地上よりは安全でしょう』
『仕方ありませんね。10万人以上の人間を人形に代えて酷使していた張本人ですもの・・・それで、ソラ達はこれから合流しますか?こちらは、ちょうどコロシアムの真下にいます』
死ぬ事も出来ないシュガーの未来が決定された瞬間だ。仮に、彼女が死こそ最悪な不幸だという考えならば、実に運が良い。人間の限界まで生存させられ、最高の医療と最高の管理体制で天寿を全うできるのだから。
『ブルーノに出口を作ってもらって合流する。トンタッタ族がその地で強制労働させられている可能性がある場所は、我々が潰すに値します。幹部の一人はいるでしょうからSMILE工場の場所を教えてもらいます』
『えぇ、じゃあ待っているわ』
ビビが電伝虫をきった。
同行していたトンタッタ族は、ビビが呼んだ仲間がどうやってここまで来るのか疑問に思った。正規ルートでは、ドフラミンゴ・ファミリーに入口が抑えられており騒ぎになる。トンタッタ族が掘った秘密地下通路を使うにしても、コロシアムからは遠い。
「ビビ王女。貴方の仲間を待っている時間はありません。作戦は刻一刻と進んでいるのれす」
「分かっているわ、レオさん。だから、すぐに来るわ・・・ほら」
ビビ達がいる場所に異次元の扉が開く。そこから、ぞろぞろと登場したのがソラと行動を共にしていた男集団だ。ビビ一行の能力者集団が勢ぞろいする。この地下では、各国の犯罪組織がドレスローザ製の武器を購入する場であり、沢山の海賊船が停泊している。
ビビの仲間の能力を見た兵隊人形。彼は移動系悪魔の実の能力を見せられ、作戦の変更も視野に入れ始めた。この能力があればドレスローザの王宮まで一発で移動できるのではないか、シュガーを倒す作戦を優先し、それから送ってもらえば確実ではないかと。
それに、生物をオモチャにする能力は、オモチャをオモチャにする能力ではない。兵隊人形こそ、シュガーのキラーユニットになりえる。
「ビビ王女!! シュガーを倒した後に私を王宮まで届けてくれないか!! 彼の能力ならば王宮まで誰にも気づかれることなく潜入できる!! 代わりに、シュガーを倒すためにここに残ろう!!」
「いいえ、それはできません。我々は、軍事同盟参加国のトンタッタ王国の為に戦っています。トンタッタ族でない貴方のドレスローザ国王討伐に手を貸してしまえば、我々は犯罪集団になってしまいます。この意味をご理解ください」
軍事同盟の目的は、侵略ではない。
確かに、シュガー相手にオモチャというキラーユニットと成り得る戦力は大きいだろう。だが、相手の能力が分かっている状態だ。その上で、ビビ達を止められるだけの能力者であるとは考えにくい。
フルアーマー・イーロンの弾丸タックルを初手でぶつければ大体解決する。万が一、海楼石の上からオモチャにされても物理法則までは消されない。弾丸と化した海楼石が対象を押し潰す。
「そうか、そうだったな。分かった、ココは任せた。私は、作戦通り先に行く!! 必ず、ドフラミンゴをこの手で討つ!! そして、因縁のディアマンテもだ!!」
「兵隊人形さん。申し訳ありませんが、ディアマンテというドンキホーテ・ファミリーの大幹部なら、先ほどイーロンがコロシアムで殺しましたよ。まずかったですか?」
ソラの発言に兵隊人形が口を開いて停止した。
この手で殺したかったドンキホーテ・ファミリーの一人・・・そして、彼の亡き妻を殺した張本人が既に他人の手で殺されていたとなれば衝撃は大きい。だが、ドレスローザをリク王の手に返すという最終目標を達成する為には、些細な事でもある。
「そうか。ディアマンテは死んだのか・・・。この手で殺したかった・・・この手で!! だが、問題ない。今は、優先すべき事がある!!」
「問題ないのでしたら良かった。それと片足がないと不便でしょう。ビビ、キノコ兵の要領で彼の片足を」
これは実験だった。仮にオモチャになった人間が能力から解放された時、欠損部位が完全回復するならホビホビの実には更なる可能性がある。例え失敗してもソラ達にリスクはない。
ビビの能力でキノコの足が生えた兵隊人形。これで体のバランスが戻り、本来あるべき力に多少近づく。彼は、感謝してドフラミンゴが待つ王宮へと向かった。
「ソラ。ルフィさん達も王宮に向かっているようですが、大丈夫ですかね」
「悪運は強いですから死なないでしょう。なんせ、
ビビ達がSMILE工場を担当し、ドフラミンゴをルフィ達が担当するという構図が出来上がってしまう。
このオモチャ工場で作戦指揮を執るのがトンタッタ族のレオだ。
「ビビ王女、敵は多いれす。期待してよいのれすか?」
「お任せください。軍事同盟参加国であるトンタッタ族を救うために、私達はいるのですから・・・むしろ、どうやって負けるのかが想像できません」
IXAを解放するビビ、ソラとホタルが先手でチ〇チ〇ビームとムラムラビームで敵を絶望のどん底に落とす、フルアーマー・イーロンとワズキャン、昨晩グリーンビットでビビのワンピースでホタルをカピカピにする営みを見せられ脳を焼かれたケイミー。元・CP9達が勢ぞろいで覚醒状態。四皇"カイドウ"の幹部が総動員でもされない限り止められる様な戦力ではない。
地下は、アラバスタの軍事同盟。地上は、海軍大将含む海兵たち。王宮には”麦わらの一味”とロー・・・ドフラミンゴは、この世のあらゆる不幸が詰まった日をこれから体験する事になる。
これも全て、間接的にでも”麦わらの一味”に関わった事が原因だった。