お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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80:判断が早い

 トンタッタ族は善性の塊のような者達だ。だからこそ、小人族でありながら人間より強くても、暴力で物事を解決する事は滅多にない。勿論、彼自身も力に自信がないわけではない。決戦の日の為に鍛えた戦士ともなれば、並の兵士10人は軽く倒せる。

 

 だが、今彼等が目の前で見せられている物はなんだと息を飲んだ。

 

「”グリーン・ディ”」

 

「”六王銃”!!」

 

「”流れ星”」

 

「「”打ち水”」」

 

 地下労働をしていたドフラミンゴ・ファミリーの者達が消し炭にされていった。この場に武器の取引に来ていた海賊や犯罪者達も纏めて沈められる。停泊していた船は、原形をとどめない程に突き飛ばされ、中身の人間ごとプレスされた。

 

「これは、一体なにを見せられているんれすか!?」

 

「なんだ。貴様らは、自分達がどんな組織と契約したのか知らないのか。我々は、軍事同盟だ。それもとびっきりのな」

 

 レオの疑問にルッチが答える。

 

 後の憂いを残さない為に敵対勢力を根絶する事で平和を維持する。ドレスローザにいる海賊達の手によって、トンタッタ王国の国民が泣いている。王女まで捕らえられた。その報いをドレスローザにいる海賊達は受けるべきだ。

 

「大人間たちは、こんなにも強いのれすか?」

 

「さぁ、どうだろうな。一般的な強さではないだろう。だが、我々の中ではこの位強くなければ生き残れない。そういう事だ・・・お前達もこれからは、我々の一員となり国の平和の為、同盟国の為、働く事になる。安心しろ、お前達のような得意技能持ちは、後方支援だ。よほどの状況でない限り、前線にはでない」

 

 海賊達の悲鳴や鳴き声、崩れ落ちる海賊船。トンタッタ族は、ここまでやるつもりはなかった。最低限の犠牲だけしか考えていない・・・それもその最低限は、敵側だ。ここまで心が優しすぎるのも問題だ。

 

 シュガーを気絶させて、オモチャたちを解放すればドレスローザが解放されるなど夢を見すぎだ。王下七武海を決して甘く見てはいけない。

 

「分かりました!! ですが、これは僕たちの戦いれす。せめて、シュガーだけでも」

 

「あぁ、あの中央塔にいるという幹部か・・・軽くノックしてやる。離れていろ」

 

 ルッチが近くにあったコンテナを持ち上げる。それを投げつける。まるで野球ボールを投げるかのように軽やかなフォームでコンテナがぶっ飛び、中央塔に刺さった。オモチャたちの呪いが解除されていない事から、この程度では死んでいないと判断できる。

 

 さすがに騒ぎが大きくなり、最高幹部の一人トレーボルがやってきた。彼はシュガーを守っている。シュガーこそ、ドフラミンゴ・ファミリーのカギとも言える存在。その希少性が高い能力は重宝されている。

 

「ぬぉぉぉ~、一体何がおこっているの~!? しゅ、襲撃されているじゃないか~。何処のどいつだ。ファミリーにたてつく馬鹿は。なんだぁ?くそ、ムラムラするな・・・このガキどもが原因か」

 

「兄様。子供もいる私達をガキというこの人は、どれほど子沢山なんでしょうか?」

 

「ドンキホーテ・ファミリーの幹部以上は、妻子が人質に取られると困るからという理由で童貞と処女しか採用していないって聞いたな。でも、逃げるどころか向こうから来てくれた事に感謝しよう。それとホタル、こいつはなんか汚いから近づいたらダメだ。変な病気がうつりそう」

 

 流石は、王下七武海の最高幹部・・・覇気を使う事でソラとホタルのビームを少し緩和している。おかげで、汚い息子が大きくなっているのが分かる程度で済んでいた。

 

「な、なんだとぉぉぉ!? ドンキホーテ・ファミリー最高幹部に向かってぇ!! 喰らえ、”ベトベトチェーン”!!」

 

「ホタルお姉様にその汚い鼻水を向けるなんて、死ねぇぇぇぇぇ!! 魚人空手”海流一本背負い”!!」

 

 水辺のある場所で魚人や人魚を相手にするなど、実力に格差がないと厳しい。しかも、この場に流れ込んでいるのは海水。ケイミーが放った水の砲撃が、”ベトベトチェーン”を消し飛ばした。

 

「ありがとう、ケイミー。いい子ね~。でも、兄様の事も守るのよ」

 

「はい、ホタルお姉様」

 

 猫の様にすり寄るケイミーを撫でて可愛がるホタル。脳が焼かれて真っ白になった髪の色が少しずつ本来の色を取り戻していった。

 

「ケイミー、兄様と私は双子です。つまり、兄様と私は同じです・・・そう思いますよね」

 

「確かに!! ソラお義兄様、私があいつを殺したらホタルお姉様の服を着て褒めてくださいね。ビビにしているように」

 

 ここまで性癖をこじらせては貰い手が居ないだろう、とソラは心の中で彼女の両親に謝った。これも、ビビの性癖を捻じ曲げたソラとホタルが悪い。イーロンが必死に守っていた姪っ子ケイミーの貞操も時間の問題かもしれない。ソラはイーロンに「すまぬ」と小声で謝罪する。

 

「別に、その程度なら構わ・・・」

 

「ダメですよ、ソラ。ケイミーも欲張りすぎはダメです。見せてあげているんだから、それで我慢してください。()()ホタルとソラは、誰にも渡しません。それに、いつも言っているでしょ。ビビじゃなくて、ビビさんかビビ王女と呼んでくださいって」

 

 ビビとケイミーが睨みあっている。いつものやり取りだ・・・この二人、普段は仲が悪くないが、ホタルが絡むとどうしても意見が対立する。まぁ、ビビがやる事やっているのが原因だから何も言えない。

 

「じゃあ、どっちがあのゴミを先に掃除できるかで決めましょう。私が勝ったら、ソラお義兄様にホタルお姉様の服を着せて、ビビの前であーんな事やこーんな事をやってやります」

 

「生娘なのにいい度胸ね。母であり父でもある私が負けるとでも思っているの? それにね、ソラの協力がなければワンピースはないのよ。貴方がどんなに頑張ってもホタルと結ばれる事はない。私が勝ったら、また脳を焦げ付くほど焼いてあげるわ」

 

 この二人は恥ずかしくないのだろうか? 既に慣れた船員達ですら、またかと思っているが、敵の最高幹部は首をかしげている。流石に意味不明な会話に聞こえるだろう。

 

 だが、彼はこれからビビとケイミーのターゲットになる。

 

「ねぇ、ホタル。最近思うんだけど、私の同意なく景品にさせられる事が増えていると思うんだ」

 

「そうですね、兄様。でも、私も同じです。兄様に服をお貸しするのはいいのですが・・・カピカピにされてばかりです」

 

 ビビのIXAに覇王色の覇気が集まる。ケイミーも精神統一し、武装色の覇気で肉体を強化していた。高まる覇気が周囲にまで影響する。地響きがするレベルにまで高められた二人の覇気を前に、トレーボルは我を取り戻す。

 

「うなぁぁぁぁぁ!! こいつは、『海賊狩りの王女』!? なんでこんなところに!! ドフィーーー!! 敵襲だよ~!! ドフィーーー!!」

 

 能力者として、トレーボルは優秀。だが肉体の鍛錬を怠ったのが致命的な弱点だ。

 

 

◆◇◆◇

 

 いつもの様に何事もない日だと思っていたシュガー。これは、悪夢だと自分に言い聞かせていた。おもちゃの工場が崩壊し、地下にいた海賊やドンキホーテ・ファミリーは皆殺しにされている。シュガーの護衛をしていたトレーボルですら、物言わぬカビにされた。

 

「ごぼぼぼぼぼぼ。ぷっはーーー!? あ、あんた達!! こんな事をしてただで済まないわよ!!」

 

「まだ、しゃべる元気があるようだ。次は、60秒間水につけてください」

 

 シュガーの能力であっても、海楼石相手では触れてもオモチャにできなかった。イーロンが彼女をつかみ上げ優しく気絶するまで水責めをする。殺すのなら、イーロンがあと少し力を入れれば頭が砕け散る。

 

 トンタッタ族がこの日の為に用意した唐辛子玉もあったが、下手したら死人が出る辛さであり、長生きしてもらわないといけないシュガーには使えなかった。そのくらい彼女の扱いは慎重を極める。

 

・・・

・・

 

 それから、五分ほど水責めしながら指を一本ずつへし折ってシュガーの心を折った。

 

「もう、許して。ごめんなさい。助けてください」

 

「ホビホビの能力発動条件を教えれば、考えてやる」

 

 ソラが優しい提案をする。

 

 やはり、このご時世水責めなんて拷問をしたら世間になんて言われるかわからない。きっと、生ぬるいと言われるだろう。

 

「・・・手で触れるだけよ」

 

「よし、次は気絶するまで沈めてください。水責め中に指の爪を剥がして今度こそ気絶させます」

 

 優しい顔をして平然と鬼畜な事を言うソラに、シュガーが絶望する。

 

「助けてくれるって言ったじゃん」

 

「考えてやると言っただけです。それに、助けるわけないでしょ。あなた、犯罪者ですから」

 

 因果応報。

 

 その報いをこれからシュガーは受け続ける。死ぬまで孤独で・・・その始まりの一歩が気絶。これから始まるシュガーの絶望的な人生が幕を開けた。

 

・・・

・・

 

 ドレスローザの各地でオモチャ達が解放される。この想定外の事態にドフラミンゴはまたも頭を痛めた。10年という歳月をかけて集めたなんでもいう事を聞く労働力が、全て解放された。

 

 当然、解放されればドフラミンゴに牙をむく。誰もオモチャにされて感謝する人物などいない。この恨み晴らさでおくべきか、と各地で騒ぎが大きくなる。

 

「シュガーがやられたか。護衛のトレーボルもか・・・フフフフフ。おぃおぃ、本当にどうなってんだ。今日は、厄日か何かなのか。なぁ、ロー。お前もそう思うだろう」

 

「いいや、最高の日だ。それにしても王宮の警備も幹部も少ない。よほど、切羽詰まった事態になっているらしいな」

 

 ”麦わらの一味”とローの海賊同盟が、ドレスローザの王宮にたどり着いていた。最高幹部のディアマンテとトレーボルは、ビビ達に殺された。ピーカ含む幹部連中は、地上で海軍の相手で手一杯。

 

 王宮に残された警備は本当に少なくなっていた。

 

「一体、どんな手品を使ったんだ。もう、俺も後には引けねーー・・・”鳥カゴ”を使う」

 

「判断が早すぎるぞ、ドフラミンゴ!! もう少し待て、チャンスがあるかもしれないだろう。それを使ったらこの国全部が終わるんだ。自棄になるな」

 

 オモチャから解放された海賊達が集まってくれば、ドフラミンゴは更に不利な状況になる。一人も取り逃さない為には、今この場で”鳥カゴ”に押しとどめて全てを抹消するのが最善だった。

 

「なぁ、もうミンゴをぶっ飛ばしていいか?ロー」

 

「いいんじゃねーか。俺も早くこいつを斬りたくてウズウズしてる」

 

 一刻も早くこの悪夢を終わらせたいドフラミンゴは、最初からフルスロットルだ。

 




ドレスローザ編もそろそろ終盤。

次は、ゾウ編・・・飛ばして世界会議かもしれない。
アニメ見るのが追い付かない。
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