83:頭天竜人
四年に一度、聖地マリージョアで開催される
今回、アラバスタの軍事同盟結成後の初の
ソラ達は、軍事同盟の参加国の為、彼等の護衛につく。当然、各国の国王たちも自慢の護衛を連れてきている。元・CP9達の元で厳しい訓練に耐えて六式を学び、自国では教導官をするにまで至った連中だ。海軍中佐レベルの力はあるような連中が揃っているため、それを狙うアホな海賊は早々いない。
魚人島で各国の国王たちと合流する事になっており、軍事同盟の参加の者達がココから一斉に上を目指す手はずとなっていた。魚人島という海の神秘が詰まった場所を、各国の王から観光したいという強い要望があった。
そのおかげでマーメイドカフェは、連日王たちの二次会で貸し切り状態。一次会にあたるのが、軍事同盟参加の国王たちがリアルで初めて顔合わせする
他にも、軍事同盟としての今後の方針決めも大事な事だ。マンシェリー姫のチユチユの実の能力で抽出した回復力の分配、ビビ王女のカビから生成したペニシリンの分配など会議は、
夜になりマーメイドカフェでの二次会で王たちは懇親を深める。
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ソラ、ホタル、ビビ、コブラ国王の四人が揃う。魚人島に来て、初めて孫をその手に抱きしめたコブラ国王は涙を流しながら喜んでいた。そして、「ビビが色々と迷惑をかけた」と一国の王が土下座までしたのはソラの記憶にも新しい。
「それで、ソラ君。大事な話とは何の事かい。まさか、ビビがまたホタル君を妊娠させてしまったとか・・・流石にないな。この大事な時期だ。それに、ラインハルトもアクアもまだ小さいのにな~。はっはっは、いや、冗談で言ったんだから笑ってくれていいぞ」
「そのまさかですよ。もしかして、既にビビかホタルから聞かされてました?」
コブラ国王が流れるような動作で床に額を擦り付けた。なんと美しい土下座なんだろうと、一流の国王は土下座まで完璧だったのかと尊敬してしまいそうになる。
ホタルがコブラ国王に手を差し出して立ち上がらす。
「コブラ国王・・・いいえ、コブラお義父様。私は、ビビの事を愛しています。だから、謝らないでください。この子の事もどうか祝ってください」
「すまぬ。こんな私をお義父様と呼んでくれるのか。すまぬ、そしてありがとうホタル君。うちの馬鹿娘をどうか見捨てないでやってくれ。昔からやんちゃで、王族なのに王宮の外に大冒険に行くわ、バロックワークスに潜入するわ、王下七武海相手に喧嘩を売るわ、海賊と手を組んで国を救おうとするわ・・・問題ばかり起こしおって」
コブラ国王がホタルを実の娘の様に思い始めた。2年前とは印象もがらりと変わり、ビビの暴走を止める大事な愛娘へと昇格してしまった。それもそのはず・・・この数年、コブラ国王はビビが王家の責務と称して王女達に種をバラまいた事件の後始末でどれほど大変だったか。その結果、白髪も増えてしまい一気に老け込んでしまった。
そんな時に娘の子供を産んでくれた可愛い女の子がお義父さんと呼んでくれるのだから、実の娘より地位が高くなる。
「いいのですか、ビビ。今、娘の立場をホタルに奪われましたよ」
「お父様には、苦労を一杯かけたので今だけは見なかったことにします。それで、ソラが私達を集めたのって何か理由があるんですよね?そろそろ、本題に入りましょう」
ソラは、ここまでビビと関わらなければコブラ国王が死ぬ事を放置していた。コブラ国王は、名君であり世界を導ける人の一人だ。そして、子供と孫に囲まれて天寿を全うするまで元気でいて欲しいとソラは本気で思っていた。
なにより、ソラは義理の父親を見捨てるような人間になったつもりもなかった。
「コブラ国王、正直に答えてください。
「どうして、ソラ君がそんな事を知っている!? 確かに、私は今回の
悪魔の実の能力を使って、記憶でも読まれたのかとコブラ国王は疑った。だが、今さらソラやホタルがそのような行動に出ると思えない故に、何かしら別の理由があると察した。
「コブラ国王。好奇心は猫をも殺すという諺があります。天竜人達が空白の100年の詮索を執拗に嫌うように、長い歴史を持つアラバスタ王家が古い書物を読み漁らないと分からない事を彼等に聞くことは死を意味します。どうか、控えてください。ビビの為、ホタルの為、ラインハルトの為、アクアの為、これから生まれてくるホタルの子の為。代わりに、私が答えられる事は全て答えます、どうかコブラ国王・・・いいえ、コブラお義父様」
「ソラ君。歴史を知るという事はそこまで罪な事なのか。それこそ、我が子や孫にまで・・・いいや、それで済むはずもない。アラバスタの存亡にまで関わる事なのか」
深く頭を下げるソラを見てコブラ国王も理解した。自分がどれほど危ない行為をしようとしていたのか。過去の歴史と今を生きる王家及びアラバスタの全国民をどちらが大事かを天秤にかければ答えはおのずと出る。
「えぇ、それ程までの事です」
「ソラ君は、ホタル君より物知りのようだ。一体、何を知っているんだ。二人の生家である『ネロナ家』が関係しているのか?それとも、ネロナ・フルティン聖から聞いたことなのか?」
コブラ国王の歴史への探究心は止まらなかった。ソラにならば聞いてもよいと判断して、遠慮がなくなるコブラ国王。答えられる事ならなんでも答えると教えたソラは、知っている事をぶちまけて巻き込んだ。
五老星の上に居るイム様という存在、世界政府創設時から生存している可能性、オペオペの実の究極の技で不老となっている可能性、”D”という最初に20人の王との敵対勢力の呼称についてなど・・・知っている事をすべてばらした。
嘘の可能性もあるが、人を見る目があるコブラ国王やビビはソラが言う事を信じた。
「ソラ君、世界政府の五老星が何を恐れているかさっぱり理解できん。その程度の可能性を提示しただけで殺しに来るほど彼らは探られるのが嫌いなのか。数百年掛けて築いた今の基盤がその程度で崩壊するはずもなかろうに」
「それには同感です。コブラお義父様、ご満足いただけましたか」
コブラ国王の死亡フラグを完全にへし折る。
「わかった。私もまだ死ねないからな。娘の結婚式も見てないし、孫たちの結婚式をみてひ孫を抱くまで長生きしてやるぞ」
「結婚式。そうよね。女の子は一度は憧れるわよね~。ねぇ、ソラはどっちを着たい?」
「ビビ、男物に決まっているでしょ」
そのやり取りにコブラ国王が首をかしげる。実の娘であるビビが何を言っているか、一国の国王であり父親である彼には想像できなかった。しかし、有能なコブラ国王の頭脳が、会話から答えを導きだそうとする。
この二年で変わり果てたビビの夜の事情を・・・その片鱗に触れたコブラ国王は、ソラの過去から一つの可能性を想像してソラを見た。だが、ソラが視線をそらした事でコブラ国王は知ってしまう。
「び、ビビ。お前はいつから頭天竜人になったんだ。お前というやつは!! ソラ君とホタル君にどれだけ、どれだけ・・・くぅぅぅ。済まぬ、こんな娘ではなかったんだ。何処で教育を間違ったんだ」
「頭天竜人って、お父様!? それは、実の娘に対して酷すぎるわ!! それに、違うわよ。全部ソラとホタルが原因なんだから。私のせいじゃないわ」
毎晩の特別訓練で覇気と一緒に鍛えられた性癖・・・それが全ての原因だ。だが、そんな事情などコブラ国王は知らない。知っていたとしても、許す事はないだろう。
「済まない、ソラ君。ビビに一般道徳の講義が必要なようだ。さぁ、来なさい」
「まって、お父様!! お父様あああぁぁぁぁぁ」
マジカルワンピースを生やしたまま、ビビはコブラ国王に首をつかまれて引きずられていった。父親の愛の力は、
「兄様。聖地マリージョアでフルティン聖は何かしてくるでしょうか?」
「フルティン聖の性格的に、顔を見せに来るでしょう」
翌朝、徹夜で道徳の講義を受けたビビ。彼女も父親や教師陣営のイガラムやペルを前にマジカルワンピースを大暴発させられる程人間が終わってないため、覇気で抑えきる。解放されたビビは、真っ先にホタルとソラの手を引っ張り二人の部屋へ乱暴に押し入った。
それから二時間後、ビビはスッキリした顔をして各国の王たちと聖地マリージョアへと向かう。ソラとホタルは、魚人島から地上に着くまでの間、立ち上がる事すらできなかった。
世界会議編始まりです。
この世のバグであるチャルロス聖も登場予定。