聖地マリージョアに向かう為、ニューマリンフォードの裏手にあるレッドポートにソラ達は寄港した。そこには、各国の王達が集まってきている。そして世界政府が用意したエキストラ含む大量の人員が彼らを歓迎する。現地民だけでは各国の国王達を歓迎するパレードなどはできないし、実施する計画すらない。
それどころか、王族に因縁をつけられるデメリットの方が大きいので息を潜めて嵐が通り過ぎるのを待つ人が殆どだ。
だが、今日に限っては別だった。世界三大美人の一人である魚人島のしらほし姫が今回の
そんな中、モルガンズと親密であるソラ達は、単独取材にも応じる。その対価は、世論操作や印象操作だ。こういう日頃の積み重ねが世界を動かす大事な方法だ。
特に、今回はしらほし姫の子供であるアリエルという次代を担う人魚姫の公開日だ。人妻子持ち王女様とか、性癖が破壊される。その子供のアリエルには、破天荒な未来が待っているだろう。例えば海難事故にあった他国の王子とラブロマンスを繰り広げるなど、今からでも未来が見えるような名前だ。
「ビビ様。ビビ様~、しらほしは寂しかったです」
「ごめんね。でも、いい子で待ってたのは偉いわ。しらほしがいるから、安心して外界にいけるのよ。アリエルとの時間もちゃんと作るからね」
しらほし姫とビビのやり取りに、ネプチューン王は既に諦めた。まさか、息子たちより先に一人娘が子供を持つ親になるとは想像の斜め上だ。その相手がビビであるなど世間に公表など出来ないので、しらほし姫は処女受胎した事になっている。
世界三大美人の一人だから、そのくらい出来ても不思議じゃないという事で、なぜか魚人島の者達が納得していた。リュウグウ王家としては、アラバスタと深いつながりもできたし、王家の未来も安泰だし、地上に住む場所もできたし、人間との関係もよくなったし・・・メリットが大きすぎた。
だが、国家同士の関係である以上、メリットばかり享受しては何れ破綻する。それに加え、リュウグウ王家は過去に海賊であるジンベエと王宮で無理やり対面させるという不義理を働いた。それ以降、ビビ一行は絶対にリュウグウ王家と個別会議の場を持たない。一度失った信頼を取り戻すのは並大抵の苦労ではない。
ネプチューン王の心中など知らないソラは、視線に気がつき振り返る。
「何か御用ですか、ネプチューン王。安心してください。軍事同盟の国王達は、我々の誰かが必ず一人はついております。しらほし姫にはビビが傍にいるので、まぁ問題ないでしょう」
「そうか、感謝する」
だが、護衛はソラ達だけではない。
そして、ソラ達の護衛の任務を請け負ったのが・・・ガープ中将と
禁煙中の中将は、どこぞの王女様がたしぎ大佐に渡した謎のピンクの小瓶が使用された結果、禁煙せざるをえなくなった。一年後には、
傷心した
「がははははは!! 相変わらず、馬鹿みたいな戦力を集めおって。少しは海軍に回せ。ソラ、ホタル」
「ガープ中将。お久しぶりです、引き抜かないでくださいよ。こちらは海軍と違って、ワールドワイドで戦力を強制徴収とかできないんですから。量より質で頑張っています」
ガープ中将の人柄は、ソラとホタルも好きだった。
底抜けの明るさがあり、海軍の中でも人望が高いのも納得だ。だが、血筋かわからないが、口が軽いから色々と教える事が出来ないのがつらいところだった。
「パンクハザード以来だったな・・・お前等、アレをたしぎに渡しただろう。ネタは上がってんだぞ。そのおかげで、俺は禁煙だ。ありがとよ、この馬鹿野郎ども」
「怒るかお礼を言うか、どちらかにしてください。後、子育てについて相談したいなら受けますよ。こちらが、直通の番号です」
しっかりと電話番号を受け取るスモーカー中将。彼も本当の意味で大人になった証拠だ。これが強化に繋がるか弱体化に繋がるかはまだ誰にも分らない。
周囲から大歓声が鳴り響く。しらほし姫の手のひらの上で、ビビが民衆に手を振っていた。
アラバスタ王家のビビ王女・・・彼女にも当然注目が集まる。それこそ、しらほし姫と同レベル以上だ。世界経済新聞の常連は伊達じゃない。美しさだけでなく、強さも兼ね備えた性癖以外は完璧な女性と言われる。
ソラとホタルは、ガープ中将にも是非子供を抱いて欲しく、抱きかかえていたラインハルトとアクアを預けた。
「ほほぅ、やはり赤子は可愛いの~。こっちは、ラインハルトと言ったかな。産まれながらにして、覇王色の覇気か。将来、末恐ろしいわ。こっちのアクアは、全く動じないのも大物になるな」
「二人とも親が優秀ですからね。後、誰の子供かは詮索しないでくださいね。予想通りなので」
ガープ中将の視線が、とある青い髪をした王族に向く。
「わかっとるわい。はぁ~、儂はひ孫を死ぬ前に抱けるかの~」
「無理じゃないですか。だって、貴方のお孫さん。女より食い気です。それに、海賊ですから」
海賊・・・それは、いつ殺されても文句が言えない職業。現在、海賊を殺しまくっているソラやホタルが言うと、信憑性がある。ガープ中将の試算でも、ソラ達の戦力で”麦わらの一味”を包囲殲滅する事もできると考えている。
能力を鍛え、覇気を鍛えて一騎当千になっても限界がある。戦略レベルで確実に殺しに来る相手と戦うには軍隊が必要だ。数名の戦力で何とか出来るようなものではない。
「孫が海賊を選んだ時点で覚悟している。だが、そうなれば儂は海兵ではなく、
「その時は、事前に連絡をください。私も軍事同盟としてではなく、一個人として受けて立ちます。海賊を根絶する事が、私達の目標です。例え、ガープ中将の孫であっても例外ではありません。今殺していないのは、優先順位の問題と使い道があるからです」
すでに、彼らのワンピースが手の内にある事は、教えない。
「もう、ゴンドラに着いた。海軍の見送りは、ここまでだ。後は、お前等だけで行け・・・ココからは独り言だ。聖地でフルティン聖とかいうイかれた名前の天竜人が誰かを待っているらしいぞ。儂は、お前達を確実に送り届ける為に選抜された一人だ。サカズキでも断れない程の上から命令だったらしいな」
「そうですか~、情報を感謝します。お礼に海賊が絡む場合に限定しますが、一度だけガープ中将に力を貸します。ビビ含む元・CP9が総力を挙げて無制限にです・・・言わば、軍事同盟版のバスターコールみたいなものです」
こんなものを使う機会はないだろうと思ったガープ中将だったが、貰えるものはもらっておく。使った日には、お礼どころか恩を着せられるのは目に見えていた。
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・・
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ソラとホタルは、聖地マリージョアでフルティン聖が待っている事を知ったので腹をくくる。向こうにばらされるより、自分達から伝えた方が幾分かダメージは少ない。
軍事同盟の国王たちがゴンドラで上へと上がる最中、集められる王たち。コブラ国王も真剣な顔をしており、これから何が始まるのかと皆がドキドキしていた。表向きはビビの付き人という立場であるソラとホタルだが、同盟各国の王たちは彼等がこの同盟の中核を担う存在の一人だと知っている。
軍事同盟参加にあたり、当然中核となる人物達の裏を調べる。だが、ソラとホタルだけは、ある時期から急に海賊狩りとして活動している所までは経歴を探れたが、出生などの情報は探れなかった。
その為、双子の彼等はコブラ国王の隠し子であるというのが同盟国の王たちの見解だ。勿論、その子供達がなぜかビビと親密で子供持ちだという事も聞かないでいる。世の中知らない方がよい真実もあるからだ。聞かない事で軍事同盟が平和ならそれでいい。
ソラが王たちの前で説明を始める。
「同盟各国の皆様、貴重なお時間をありがとうございます。おそらく、同盟参加に際し、私やホタルの身分調査もされたかと思います。調べきれたのならば、驚かないでしょうが・・・私とホタルの父親は、天竜人です。聖地マリージョアでその男が待っているとガープ中将から情報がありましたので、先にお伝えした所です」
鎮まる会議場。だが、想像より反応が悪いので、ソラも気になる。ざわめく様子もない。
幾名の王が、口を開いた。
「それだけなのかね?天竜人は、各国から奴隷を集め飽きれば捨てる。綺麗な女などは、妊娠したら地上に捨てられる事なんて珍しくもない。そういう子供は、大体海賊か犯罪者になっているという統計データもある。懸賞金付きが無駄に強い理由は、そこにもあるのだろうな・・・あいつらは、血筋だけはいいから」
「親は天竜人だが、子供は一般人の者なんて別に珍しくはない。我が国でも、そんな奴は一定数いる。気にする程でもあるまい」
「それに、ネフェルタリ家も元は天竜人の家系ではないか。何を今さらと驚く事がある。私は、コブラ国王の隠し子という説に賭けていたんだぞ。これで、帰りのマーメイドカフェ代金は、我が国も奢りではないか」
思っていた反応と大分違うなと、ソラとホタルは思っていた。
「大体、我々の力でも調べきれない経歴ならば、それがある意味答えでもある。まぁ一部知っていた連中もいるだろうが、一国の王であり
「我々は、海賊を根絶したいという軍事同盟の意志に賛同してこの場に集まっている。今さら、その中核が仮に天竜人であっても何ら変わる事はない。この二年間でお主達は行動でそれを示した」
コブラ国王が選び抜いた国王たちは、人間が出来ている者達ばかりだった。勿論、彼等も打算的な考えはある。メリットが大きいので、その程度の些細な事はどうでもいい。実際、天竜人も子捨て問題などを議論すれば、被害者が多すぎて天竜人を滅ぼすしかないだろうという結論にしかならないからだ。
「それはそうと、どの天竜人なんだ?一応、気にかけておかねばなるまい」
「『ネロナ』家のフルティン聖です」
ソラが父親の名を告げると聞いていた王たちが何時もの反応をする。
「「「「「「「「えっ!? フルチン聖 !!??」」」」」」」」
「違います。それは別の天竜人です。フルティンです。フルティン聖!! 一度聴いたら忘れない名でしょ」
普段、天竜人の事が嫌いな王達ですら、彼の名を聞いて一瞬だけ同情した。生きていく上で、その名はつらいな~と。表メディアに出る事を嫌うフルティン聖・・・歴史が長い割に知名度が低いのはこれが大半の理由を占めていた。
ここまで、自ら色々と教えたソラに対して各国の王は一つ聞きたいことがあった。それは国家存亡にも関わる大事なことだ。
「この際だから、ソラ君に聞きたい事がある。君たち双子が天竜人の血を引いている事より重要な事だ。うちの娘が懐妊した・・・そこでだ!? 君の
「それならば我が王家も是非!! うちのバカ娘は、お付きのメイドと・・・まぁそういう関係でな。結婚するくらいなら死んでやると言うくらいなんだ。恥ずかしい限りだが、もう王家存亡にはこれしかない」
「待つんだ!! 我が王家は、ソラ君とホタル君を王家に迎え入れても構わない。ちょうど、継承権が高い未婚の王子と王女がいる。君たちさえよければ、次代の我が国を任せてもいい」
各国の王たちも次代という悩みはつき物だ。名君の子供が名君であるとも限らない。そんな時、ビビの元に送り出した王女が懐妊したともなれば色々と調査もする。その結果、犯人として浮かび上がったのがソラだった。
なにより、軍事同盟のキーマンである二人との縁も彼等は大事にしたい思惑もある。天竜人の直系ともなれば、血筋は確かであり一石二鳥だった。
「ご存じだと思うのですが、私とホタルも既に子供がおります。そういう話は、お受けする事はできません。ですが、
最初に無理な要求をして目的の要求を通すドア・イン・ザ・フェイスに、ソラは引っかかった。王たちは
こうして、軍事同盟各国はより強固な関係となる。これこそ、