お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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85:タイプじゃないだぇ

 世界会議(レヴェリー)に参加する王たちを遠くから眺めていた一人の天竜人・・・その名もロズワード・チャルロス。欲しい物を手に入れる為ならば努力を惜しまない男として、彼は周囲から一定の評価を得ていた。

 

 実際、その戦歴を聞くだけで並の天竜人達なら震えあがる。

 

 過去7回も大海賊の本気の攻撃をノーガードで喰らって生き残る。倒れる度に耐久度や回復力が増している。その為、誰も彼を止める事は出来ない。その男がリュウグウ王家のしらほし姫を奴隷にする為、出陣するのを見送るしかなかったのはそれが原因だ。

 

 五老星からは、世界会議(レヴェリー)開催に際し、王族や付き添いには手を出すなと厳重注意が全天竜人に厳命されているが、それに従わないのがチャルロス聖だ。まさに、自由を体現した海賊より海賊らしい天竜人だ。

 

人魚(しらほし姫)をこの手で捕まえるだぇ。あれが手に入れば、皆に自慢して回るだぇ」

 

「兄上様、何を見ていらっしゃるアマスか?」

 

 チャルロス聖の妹であるシャルリア宮が双眼鏡で何を覗いているか問いかけた。

 

 彼女は、双眼鏡を借りて遠くに居る王族達を確認した。そして納得する。しかし、天竜人の最上位の権限を持つ五老星からの厳命に逆らえば、ペナルティも考えられる。その為、さりげなく兄を止めようと思ったシャルリア宮だが・・・ある存在を見つけてしまった。

 

「兄上様!! あれは、何者アマスか!?」

 

「あれは、人魚のしらほし姫だェ。これから、奴隷にしにいくので一緒にくるかぇ?」

 

 シャルリア宮は、しらほし姫など眼中になかった。むしろ、その集団が何なのかが一番知りたい情報だ。そこで、シャルリア宮はお付きの者に視線を送る。天竜人のお付きの者ともなれば、情報通でなければ生き残れない。すぐに、目標を確認して答えを伝えた。

 

「シャルリア宮。彼等は、アラバスタの軍事同盟に参加しております王族一行でございます。元・CP9達も参加しており、偉大なる航路(グランドライン)の前半の海でかなり幅を利かせております」

 

「そんな事はどうでもいいアマス!! それより、あの最前列の方に居る金髪の男について、すぐに調べるアマス。あれは、まさか・・・・・・」

 

 シャルリア宮の指示で、ソラの素性を調べる事になった付き人達。その様子に、何が起こったかわからず、チャルロス聖はオロオロしていた。妹が今までに見たことないくらい真剣な顔をしている。

 

 そこでチャルロス聖は兄として、ソラを奴隷にしてプレゼントするべきではないかと考えた。発想には問題があるが、こんな見た目でも家族には一定以上の親愛の感情を持っている。

 

◇◆◇◆

 

 世界会議(レヴェリー)を前にして、パンゲア城の社交の広場が王族たちに解放されている。こういう時でもなければ、直接顔を合わせる事もない。それに、この場で子供の婚約者を決める事も多々ある。

 

 ビビとしらほし姫は、とにかく目立つ。それこそ、人妻だろうが、子持ちだろうが関係なく結婚したいと思う連中は多く、男たちのハートをつかみ取る。だが、誰の求婚にも応える事はなかった。

 

「ごめんなさい、タイプじゃないんです~。ビビ様、みたいな人じゃないと嫌なんです」

 

 しらほし姫の一言で男性陣営は、ヒソヒソと「処女受胎とか嘘だろう。多分、アラバスタの王女だよな」とか色々と言われている。むしろ、ここまでくるとビビ王女がビビ王子だった説まで流れるが・・・王女らしい服装をしており、これで男性は無理があると首をかしげる連中が増えた。

 

 しらほし姫への求婚対応よりも、いつどこからフルティン聖が現れるのかソラ達は警戒していた。そんな警戒する最中、二人の天竜人が堂々と接近してきた。各国の王たちも彼等に注目する。それもそのはず、社交の場は五老星から正式にこの場を使ってよいと言われており、ここで問題を起こせば天竜人とて無事には済まないからだ。

 

 近づいてくる男性天竜人の頭部には、ご立派なワンピースを模した髪型をしており、誰もが彼こそがフルティン聖だと考えた。控え目に言ってもソラとホタルと同じ血が流れているとは思えない程に容姿がかけ離れており、王たちは何度も容姿を見比べた。

 

 ソラが誤解を解く。

 

「違います。チャルロス聖と・・・シャルリア宮ですね。これは、まずい」

 

 王たちは、よくよく思い出せば天竜人の大半が男性器を模した髪型をしているのだから、フルティン聖の名前も変じゃないのではないかと錯覚し始める。

 

「よし、しらほし姫を捕らえるだぇ。さぁ、やれ奴隷」

 

「いやです。だれか助けてください。ビビ様~」

 

 チャルロス聖が連れてきた半巨人位ある巨大な奴隷がしらほし姫を捕らえようとする。だが、そのような暴挙を許すほど軍事同盟は甘くはない。しかし、表立って攻撃すればそれこそ海軍と全面戦争だ。

 

 ソラとホタルは、この場を監視しているCP達を確認した。CP0の職員が2名・・・彼等の眼を掻い潜っての攻撃は不可能。

 

「ルッチ、カク・・・元・ご同輩の視線を2秒塞げますか?」

 

「任せておけ」

 

「2秒?10秒は楽勝じゃ」

 

 ルッチとカクが注意を引いた瞬間、ソラとホタルが刀の鯉口を切る。

 

「”チ〇チ〇ビームソード”」

「”ムラムラビームソード”」

 

 神速の抜刀術・・・CP0並に鍛えられた者でなければ刀を抜いた事すら見えない。二人の能力の刃で切断されたチャルロス聖。彼は、この瞬間から性癖が反転してしまい女性を見ても二度と性的興奮もしないし、性欲もわかない体にされてしまった。代わりに、同性に対して異常なまでに欲情するモンスターと化す。

 

 絶対的な物理耐性を持つチャルロス聖だが、特殊能力への防御が甘かった。

 

「・・・待つェ、奴隷!! よく見ると、しらほし姫は、あまりタイプじゃないだぇ。それどころか、魚臭いし、めんどくさそうな性格をしてるだぇ」

 

「そんなあんまりです。しらほしは、そんな面倒くさい女じゃありません。それにタイプじゃないのは、私のセリフです」

 

 何が起こったのか王達には理解できなかったが、ソラとホタルが何かやったと確信する。

 

「奴隷。よく見ると、お前いい感じだぇ・・・今日から、部屋で飼ってやるだぇ」

 

 来たばかりのチャルロス聖が、なぜか満足げな顔で奴隷の背中に跨り悦に浸って帰っていく。置き去りにされてしまったシャルリア宮。しかし、彼女は何故かチャルロス聖ではなくソラの事を見ていた。

 

 それどころか、近づいてくる。何かを察してか、ビビが割り込む。

 

「シャルリア宮。私の(・・)ソラに何かご用ですか?彼に用事がある場合は、私を通してください」

 

「わらわは、天竜人アマス。下々がわらわに命令するなどおこがましい。それより、そなた・・・今の名は、ソラと言うのか。Club Gardenでは、ソーラという名で働いて居ただろう。わらわの事を覚えているアマスか?」

 

 回答に詰まるソラ。当然、シャルリア宮の事は知っている。会員制クラブで源氏名ソーラが体を売っていた当時の太客だ。年齢も同じという事で、色々と教える事もしていた。より金を引き出すため、そりゃバター犬のごとく媚を売った。そして、ドはまり依存症紛いにさせた過去がある。全ての行いを全肯定して、優しく気持ちいい事を教える可愛い男の娘を演じてやっていたのだ・・・性癖を捻じ曲げたという自信はソラにはあった。

 

 だがソラにとって、ホタルやビビには知られたくない過去だ。彼女たちも、ソラにその事だけは聞かないでいたが、まさか教えたくない過去が向こうからやってくるなどソラも想像していなかった。

 

「勿論です。シャルリア様、久方ぶりです。本当にお綺麗になられましたね」

 

「当然であろう。ところで、Club Gardenには復職するアマスか?それなら、わらわの友を連れて貸し切りにして祝うアマス」

 

 容姿が整った天竜人は、まともであるという謎の理論がある。シャルリア宮は、それに漏れなかった。高圧的な態度や物言いではあるが、チャルロス聖の何百倍もまともだ。奴隷は抱えているが、その扱いは普通。彼女に買われた奴隷は、基本的に容姿が優れており一定年齢になると解放され、地上ではシャルリア宮の元で培った女に媚を売る方法を使ってホストとして生き抜いている。

 

 その原因は、ソラが彼女の性癖を捻じ曲げて人間にした事だった。

 

 ビビがソラの手を引っ張り抱き寄せる。ソラが手に抱くアクアを指さして、とどめを刺す。

 

「申し訳ありません。私達は、切っても切れない関係ですのでお引き取り下さい。ソラの過去に何があったかは知りませんが・・・今は、わ・た・し・のなんです」

 

「ソーラ。お主、本当に大丈夫なんだな? この女、わらわと同じ天竜人と似たような空気が漂っている。Club Gardenで働いていた時は、妹の為と言っていたアマス。それなのに、わらわと年齢の差もないようなお主の妹が赤子を抱いているではないか!? まさか、その女に弱みを握られているのではないか」

 

 頭天竜人にも罪悪感があった。確かに、ホタルを押し倒して色々やってしまった。それに、ソラに対しても本当に色々やっている。天竜人より天竜人をやっているこの状況は、シャルリア宮よりひどい扱いをしているのではないかという一抹の不安がビビにもある。

 

「シャルリア様。私は、今が幸せです。Club Gardenに居た時期は、本当にお世話になりました。妹を早く解放する事が出来たのは、貴方のおかげです。今でもそのご恩は忘れておりません。今や、私とシャルリア様の道が交わる事はないと思いますが、私は貴方の幸せを祈っております」

 

 ソラの回答を聞いた、シャルリア宮。ソラとホタルの幸せそうな雰囲気から一応理解はするが納得はできていなかった。どう考えても、ソラとホタルに手を出しているのが頭天竜人のビビであることから、酷い事をされていないかと心配する。

 

「まぁ、よい。気が変われば、いつでも戻ってくるとよい。力ずくでどうこうするつもりはないアマス。・・・それと、兄上様の事は見なかった事にしておくから、後で戻しておくアマス」

 

 その発言に、ソラ達一行は驚いた。美しさを保つ為には、鍛えるのが一番だとソラが教えた事を今まで実践していた天竜人がそこにはいた。やはり、天竜人の血筋は鍛えれば強くなれるポテンシャルがあるのだとソラは理解する。

 

 しかし、想像より遥かにまともな天竜人など理解を超える存在のおかげで、軍事同盟の各国の王たちは全員が催眠術にかかったのではないかと本気で思った程だ。

 

 だが、シャルリア宮と入れ替わるようにもう一人、天竜人が現れた。その片手には、重量100kgを越えそうなこん棒が握られている。それを担いで走ってくるとは、並の鍛え方ではなかった。

 

「チャルロス聖がここに向かったと聞いてきたが・・・いないのか。ネプチューン王!?」

 

「あぁ、また天竜人か。なんか濃い連中が多いな。お主!? もしや」

 

 三人目の天竜人・・・彼の名は、ドンキホーテ・ミョスガルド。かつて、魚人島に難破事故で流れ着き、人魚姫オトヒメによって人間の心を得た男だ。その度重なる天竜人の到来に、軍事同盟所属の王族達は周囲から煙たがれた。

 

 本命の天竜人であるフルティン聖がいつ現れるか、ソラ達は不安で仕方がない。しかし、チャルロス聖、シャルリア宮、ミョスガルド聖と来たのだから、四人目が来たとしてもインパクトは薄い。それどころか、やっと来たかという感じになるだろう。

 

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