お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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87:革命の狼煙

 天竜人とは、諦めが悪い人種である。それは、フルティン聖にも言えた。彼が簡単に引いたのには理由がある。取引が成立するならばそれでよかった、だが不成立となった場合には強硬手段も考えていた。それこそ、武力行使だ。

 

 だが、武力行使する相手が自分以上に強ければどうだろうか、敗北してしまう。それでは意味がない。よって、フルティン聖は奇襲を計画する。実力から鑑みても、子供一人くらいなら誘拐して逃げるだけの事は可能だ。

 

 幸いな事にフルティン聖の情報網に、聖地マリージョアに革命軍が潜入しているという確かな情報がある。革命軍のNo.2であるサボは、ドレスローザのコリーダコロシアムでソラ達一行とひと悶着あった。更に、革命軍にはアラバスタで反乱軍を率いていたコーザなるリーダーも加入しており、アラバスタ王家に恨みがある事も明白だ。

 

 つまり、フルティン聖は取引に応じなかったので、全ての罪を革命軍に擦り付けてソラかホタルか、その子供達のいずれか一人を拉致るつもりだ。それに必要なCP0も手配していた。

 

 似た者同士、行きつく発想は同じだった。

 

 だが、人数比はあちらの方が多いから、軍事同盟参加の国王たちが宿泊する場所や社交の広場など、人が良く集まる場所にも爆薬を仕掛けて事件を発生させるつもりでいる。事が大きくなればなるほど、動きやすい。それに合わせて、一部の奴隷たちも解き放って騒ぎを大きくする算段まで立てていた。

 

・・・

・・

 

 一方、ソラ達もフルティン聖宅を襲撃すべく準備を進めていた。

 

 ソラは、ドレスローザで押収した爆薬を使用する。その設置先は、天竜人が住まう通称神々の地だ。ドアドアの能力があれば爆薬だけを天井裏に設置する事など容易い事だ。どの程度吹き飛ばすかは迷ったが、天竜人の住宅100個の天上裏に爆薬を仕掛け終えた。死にはしないが天井落下で怪我くらいはする。

 

 だが、フルティン宅だけは天井裏に限界まで爆弾を積み上げた。その威力は、住宅が5回は軽く消し飛ぶ量だ。能力者でも怪我を負う程の爆薬であり、過剰なほどの殺意が見えてしまう。

 

 そして、ソラ達とフルティン聖は、革命軍の動きを待った。革命軍に全ての責任を擦り付ける為には、行動に同調する必要がある。その時こそ、フルティン聖とソラ達が雌雄を決する。

 

「ブルーノの異空間でホタルと子供達は待機。護衛にワズキャン、ケイミー、カク、ジャブラ、フクロウ。CP9であった事は向こうも知っているから能力は割れている。だからこそ、メタを張った能力者を連れてくるかもしれないので注意を」

 

「でも、相手の能力が割れているのはこちらも同じでしょ、ソラ。フルティン聖は、タマタマの実の能力者なんだから。こちらもメタを張ればいいのよ」

 

 お互いある程度手の内が割れていると戦いにくい。質では絶対に負けていないとソラは自信を持って言える。フルティン聖と対面した事で相手の実力も割れた。一対一では、勝率は50%・・・仲間が居れば100%勝てると言い切れる。

 

 相手がどの程度人数を割いてくるかわからないが、CP0という特級戦力にも限りはある。元・CP9のメンバーからCP0は多くても10人に満たないという答えもある。その全員をフルティン聖が使う事は出来ない。それこそ、彼等は世界中で任務を行っているのだから、世界会議であっても全員集結はまずありえない。

 

 こうして、ソラ達とフルティン聖達は各々目的を達成する為に着々と準備を進めていった。当然、革命軍も秘密裏に動いており、革命の時を伺っていた。

 

 

◆◇◆◇

 

 世界会議の大きな議題として、今回上がってきたのが王下七武海制度の廃止だ。王下七武海の制度は、四皇や海賊達に対しての抑止力となるべく世界政府が海賊行為を許した存在。それなのに、昨今では彼等の横暴が目立つ。

 

 直近でいえば、ドレスローザを根城にしていたドフラミンゴだ。彼の悪行は海軍大将藤虎も認めており、映像電伝虫を前に土下座して謝罪した事で世間を騒がせた。その数年前には、英雄クロコダイルによるアラバスタの国家転覆事件も発生。一回目の頂上戦争では、王下七武海は碌に働かなかった。

 

 これでは何の為の制度だ、と誰もが文句を言う。国盗りまで合法にされては許せるはずもない。しかも、合法だから海軍は助けに来ないなど、天上金を納めている側からしたら何のための制度なのかと訴えるのも当然だ。

 

 この議題の提出は、リク国王とコブラ国王が連名で出している。

 

「世間では、我が国での英雄はクロコダイルと言われているが、その真相は酷い物だ。手元に配った資料が海軍に提出した資料の原本だ。よく見てくれ。これらの事はどの国でも起こりえる」

 

「そうだ!! ドフラミンゴのせいで国民を苦しめてしまった。同じような苦しみを味わって欲しくない。だからこそ、この議題を持ってきた」

 

 一国の国王たちにとって、確かに頭の痛い問題だ。王下七武海が居る事で海賊に対して抑止力になるのは事実だ。だが、その海賊に国を乗っ取られては本末転倒だ。

 

 海軍が頼りになればそれでいいのだが、海軍の兵力も戦力も無限ではない。しかし、二年前に比べて海賊が激減した事もあり、よほどの大物海賊でもない限り国家戦力で何とかなる可能性も僅かにあった。

 

 偉大なる航路(グランドライン)の前半の海で、ほぼ完ぺきに海賊を殺しつくしている軍事同盟のおかげで、海賊にあこがれるようなバカは減ってきていた。海賊なんて自殺しにいく様な職業だと言われる。

 

 今では、四つの海にいる海賊の方が多いくらいになってきた。

 

 王下七武海制度以外にも、国家間の摩擦を減らすために輸入課税問題や領土問題、海洋資源問題など様々な事が議論される。連日遅くまで会議が続いた。

 

 その間、コブラ国王の傍には、ソラとビビが付きっきりで護衛する。会議場には入れないが、その外で待機する事は問題ない。パンゲア城の上空ではペルが警戒に当たっており、いざとなればコブラ国王一人を抱えて国に戻る手はずにもなっていた。

 

 各国の王達から賛成の票を手に入れるのは、非常に難しい。それこそ、賛成が欲しければ何かを譲れという事など日常茶飯事。コブラ国王の席の横に座るエリザベローII世は、コッソリと「イーロンとメラメラの実の能力者を雇いたい」など手紙を渡すほどだ。

 

 コリーダコロシアムの覇者イーロンの事は、当然彼も調べた。そして、社交の広場で彼を目撃した時から、取引を持ち掛けようと機を伺っていた。アラバスタの王の頼みともなれば、渡りをつけてくれると期待していた。

 

 だが、イーロンを移籍させるなどコブラ国王の頼みであっても無理だ。確かに、ビビ達一行はアラバスタの軍事同盟における最高戦力だ。そのすべてが、ソラ、ホタル、ビビが個人的に集めた者達であり勝手に貸し出すなど不可能。

 

 よって、それをコブラ国王が断ると・・・次なる議題のターゲットとなる。その議題をあげたのは、エリザベローII世だ。

 

「アラバスタの軍事同盟についてだ。軍事同盟の戦力は、些か以上に強大すぎる。それこそ近隣の国家を脅かす程だ。かく言う私は、それを身をもって実感した。ドレスローザではメラメラの実を賭けたコロシアムに参加し、軍事同盟の一人に惨敗した。その戦士と同レベルの存在が複数人もいるとなれば、脅威と言うほかあるまい」

 

「我が国の軍事同盟より、個人で四皇を沈めると言われるキング・パンチを使える貴方の方が脅威ではないのかね。日に一人四皇を倒せるような存在がそれを言う権利はあるまい。それに、ドレスローザではその脅威と言っていた者達に助けられたのは何処の誰だったかな。まさか、知らないとでも思っているのかね?」

 

 現状、軍事同盟は各国にとってもデメリットよりメリットが多い。

 

 海賊達を率先して殲滅してくれるのだから、感謝すれど責める事はない。しかし、コブラ国王としても過剰戦力になりつつある不安はあった。特に、実の娘であるビビがこの二年で異次元な強さを手にしており、まだ成長するのかと・・・。

 

 重箱の隅を楊枝でほじくるような粗探しを始められては、議論が進まないので議長が早々にその話を終わりにする。メラメラの実の個人的な恨みをここで言われても意味がない。国家間の重要な話し合いには不適切だ。

 

・・・

・・

 

 世界会議が後半に入り、革命軍も遂に動く時が来た。この日の為、既に下準備は終えた。聖地マリージョアの地図も作成して、食糧庫や発電施設も調べ終わった。

 

 一つでかい花火をあげて、混乱に乗じて奴隷たちを解放。聖地マリージョアのシンボルを破壊して、革命軍からの意志を伝える。そして、世界政府と天竜人の不正義を世界に知らしめ、革命を促す事が目的だ。

 

「サボ、爆弾の設置は終わっているな」

 

「あぁ、どでかい花火が上がるようにしてある。これが俺たちの、革命軍の意志だと世界政府に伝えてやる。・・・声明を出した後に一斉起爆して、混乱に乗じてくまを必ず救い出す」

 

 配信の準備を終える革命軍。電伝虫を使い全世界に向けてメッセージを届ける。

 

『世界政府、そして天竜人に告ぐ。我々革命軍は、長きにわたり人々を苦しめてきた不正と圧政に終止符を打つため、貴様たちに対し正式に宣戦布告する。我々の目的は、自由と平等を取り戻すことであり、そのために必要な手段を惜しまない。天竜人の特権と支配構造を打ち壊し、真の正義を取り戻すため、我々は全力で戦う。この宣言は、すべての抑圧された人々の声を代弁するものである。我々は自由のために立ち上がり、貴様たちの不正を暴露し、そして打倒する。革命の火は消えない。我々は進み続ける。これが革命の狼煙である』

 

 彼は、世界政府宛てに声明をだした。そして、起爆ボタンを押した直後・・・聖地マリージョア全土(・・)が業火に包まれた。その凄まじい革命の狼煙に革命軍達も驚きを隠せない。

 

 その日から、サボは炎帝の異名で呼ばれる。

 

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