”道化のバギー”、”金棒のアルビダ”。両名とも
また、立ち上がる度に強くなり戻ってくる。どこぞの戦闘民族みたいな異能生存体だ。この海賊二人がタッグを組む事で、”麦わらのルフィ”を殺す一歩手前まで追い込んでいたが、ルフィが持つ運命はその上をいく。処刑台で首が切断される直前まで追い込まれたが、落雷により九死に一生を得る。
その様子を見守っていた海軍達は、漁夫の利を狙う作戦が裏目に出る。賞金首が誰も減らないどころか、海賊の仲間も全員揃った状態だ。圧倒的に海軍が有利な状況だったのに、乱戦状態に持ち込まれる。海軍本部付きの海兵だというのに、スベスベの実を食べたアルビダの美貌に充てられて雑魚になっていた。
様子を見守るスモーカー大佐も、これには苦笑いを通り越している。住民の避難は完了して、周囲も包囲した。射線上には海賊しかいない。この状態から銃撃戦をしても、押しとどめるどころか負けそうな勢い。
「どうなってやがる。いつものあいつ等ならもう少しマシな戦いが出来ていたはずだ。手を抜いてやがるのか」
思わず愚痴を言いたくなるスモーカー大佐。当然だ、今までローグタウンにやってきた海賊達を相手にした時には、ここまでの失態はなかった。だが、今日、この時に限って、全ての不調が出ているかの如く、海兵が弱っていた。
「スモーカー大佐。このままでは、包囲網が突破されます」
「わかった、俺がやる」
階級詐欺と言われるスモーカー大佐の実力は、准将以上だ。
この時、スモーカー大佐はある種の嫌な予感があった。海賊狩り達も多くいるローグタウンだ。なぜ、今この時に限って誰もこの場にいない。
何故いないのだ、と。
「どうされましたか?スモーカー大佐。包囲網がそろそろ限界です」
「おかしい。これ程の事態だというのに、フル・T・兄妹すら来ない。あいつ等は、まだ港に停泊していたはずだな」
二人の事を知るスモーカー大佐は、『来ない』ではなく『来られない』という事態になっているのではと考えた。この急激な天候異変。落雷で九死に一生を得た”麦わらのルフィ”という存在。無関係ではないと確信を得た。
スモーカー大佐は、海軍本部に状況を連絡する。ローグタウンに手に余る存在が来た事と海賊達を幇助している組織がいる。グランドライン入口側に海軍を派遣してほしいと。
・・・
・・
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その頃、ソラとホタルはフードを被った怪しい男と対峙していた。油断も隙もない男に、二人とも本気を出そうとしている。
「この先に行かれては困るのでな」
「えっ!? その声は!!」
ソラは、怪しい男の声を聞いて震えあがりそうになった。この渋い声。発せられる圧力から、大物である事は間違いない。歴戦の猛者を肌で感じる。これが新世界でも通用する猛者のレベルだと。
「兄様は、彼が誰だか知っているのですか?」
「この渋い声・・・間違いない。大総統閣下だ。軍事大国のトップをしつつ、裏では国民全員を生贄にした錬金術という黒魔術的な事を計画している悪人だ。更に、不死を体現した男で、複数回殺さないと死なない」
「誰と勘違いしているか知らないが、私はそんな得体の知れない人物じゃない。君達にお願いをしに来ただけだよ。実力者が若い芽を摘む事ばかりに精を注ぐのは目に余るので控えるようにと」
ソラは、冗談にも対応できる話が分かる男だと印象をもった。だが、一介の海賊狩りよりスモーカー大佐の方に行くべきではないのかと文句の一つも言いたかった。
「それは、父親として息子の未来を案じての行為と理解してよいのですか?モンキー・D・ドラゴンさん。貴方のお父上であるガープ中将からお話は聞いた事がありましたが、このような場面でお会いするとは思いませんでしたよ」
「海軍の英雄、革命軍、海賊。やはり、兄様の行動は正しかったのですね。英雄の子供が英雄とは限らない。摘める芽は、早めに摘まないといけません。兄様、ここは私が時間を稼ぎます」
親の才能を受け継いだ子孫が、徐々に犯罪者側に落ちていく。英雄の血筋であってもこれだ。だからこそ、才能開花して芽が息吹くまえに潰す。
「それをさせてくれるほど優しくはないだろうね。それに、彼の種も今狩るべきだと私は思っている。起きろ、ナイチンゲール。今度は、”世界最悪の犯罪者”の未来を食わせてやる」
「兄様が本気なら、私も本気を出します。二度と人間に情欲を抱かないようにしてあげる。力を貸して、アマノムラムラ雲」
「お前達は、ここに数分いるだけで構わない。我々が戦えば周囲への被害は甚大になるぞ」
ルフィ達が逃げる時間を稼ごうとするドラゴン。だが、親が子供の犯罪を幇助する事はいけない事だ。止めるならまだしも、率先して背中を押すなど許せる行為ではない。それに、革命軍とは聞こえはいいが、正義側からしたらテロリスト集団だ。
正義側に本当の正義があるかは別問題だが。
「だったら、その道を私達に開けてくださいね。”チ〇チ〇ビームソード!!”」
「人の道を踏み外した犯罪者。もっと、踏み外させてあげるわ。”ムラムラビームソード!!”」
ムラムラビームソード。正直、この残念な技名だ。しかも、この能力で切られてもダメージは発生しない。ただ性欲の対象を反転させるだけだ。女が好きなら男に。男が好きなら女に。実に単純明快な能力だ。
ドラゴンは、高いレベルの覇気が使える。だからこそ、この二人のバカみたいな名前の能力を嘲笑う事はなかった。それどころか、何なんだこいつ等というレベルで驚愕している。覇気で防がなければ、人生終了みたいな攻撃だ。
しかも、攻撃されても本当の意味での危険に気がつかない悪質極まりない能力だ。
フードを捨ててドラゴンもマジモードになる。
「平和的な解決を望んだのだが、難しかったようだ。その力は、革命軍崩壊に繋がる可能性がある。すこし、分からせてあげよう」
「革命軍と物理的に繋がるのはお前の方だ。仮に、私達が死んでもお前の未来だけは絶対に奪ってやる。”ポジションチェンジ”」
「平和のため、死んでください。”リビドー”」
ソラがドラゴンの息子の位置ずれを起こさせる。ホタルがドラゴンのムラムラを高めて思考力を奪う。理論上、戦闘力は6割程度下がる。だが、相手は同じく覇気使いで、能力者との戦闘経験はかなりの物だ。数字通りには弱くはならなかった。
ドラゴンは、持ち前の精神力と覇気でこれらの攻撃をしのぐ。息子が操作されるならば、覇気でガチガチにすればいい。ポジションが変わらなければ、ソラの攻撃に意味はない。
「小手先の技術だけでは、新世界では通じない」
「そんなの分かっている。だから、鍛えているんだ。技を駆使するんだよ・・・”
メリメリと万力を使って硬い棒を曲げるかのような力が加わる。想定しない謎のパワーに、ドラゴンの顔が一瞬歪む。だが、それも一瞬だ。ガープ中将と同じく、フン!!とか気合を入れて悪魔の実のパワーを吹き飛ばす。
「訂正しよう。お前等の能力は、新世界でも通用する」
「兄様。フォローします」
ホタルがドラゴンに刀を振った。彼女の斬撃は、ドラゴンの回避先を読んでの攻撃。雨風を切断して真空刃すら発生させた。
ドラゴンは己の肉体を武装色で硬化させて、それを防ぐ。同じ武装色を使う者同士でも力量の差があると、ダメージは通らない。ダメージが通らないという事は、ムラムラビームソードの特性も植えつけられない。
だが、それでいい。
ソラのナイチンゲールから伸びたチ〇チ〇ビームソードが妹の体を貫通して、ドラゴンに迫る。対男性用の能力であるため、女性には無意味。その特性を使う。妹の体を盾にして死角から、ドラゴンの未来を摘む。
「取った!!」
「一瞬、油断したな。潰れろ!!」
彼の一言で、周辺の気圧が一瞬にして変化した。人間は、急激な気圧の変化には耐えられない。覇気で肉体を固めていても、急激に酸素が減った事による呼吸困難に耐えられない。
ドラゴンは相手の実の能力がどの系統に属しているか見極めた。そして、相手の実力も加味して、余力をもって制圧する。対能力者との戦闘経験の差がここまで大きいとは、フル・T・兄妹が身をもって実感する。
意識を失い倒れた二人を見たドラゴン。しれっと、股間に手を伸ばしてポジションを直していた。雨風に濡れるこの場に子供二人を放置するわけにもいかないドラゴンは、建物の下に二人を運び自らのローブを掛ける。
「ルフィは、スモーカーに捕まったか。手が焼ける」
ドラゴンは、息子の旅立ちを手助けしに向かう。
そのあと、暫くしてフル・T・兄妹はたしぎによって保護される。外傷こそ少ないが、急激な気圧の変化による内臓へのダメージはそれなりにあった。覇気使いたるもの、外側だけでなく内側まで鍛える必要があると理解した二人は、リベンジに向けて牙を研ぐ。
◇◆◇◆
ローグタウンで発生した大事件。
スモーカー大佐が”道化のバギー”、”金棒のアルビダ”、”麦わらのルフィ”を見逃してしまう。更には、”世界最悪の犯罪者ドラゴン”も見逃してしまったという噂が流れる。だが、ローグタウンに駐在する戦力でこれら全部を一人で抑え込むなど不可能だ。
海軍の病室にいるソラとホタルは、調書作成のため尋問を受けていた。”世界最悪の犯罪者ドラゴン”と対峙して、生き残った事で彼らの仲間だと疑われている。
「ホタル。ドラゴンの覇気の使い方は、学習できましたか?」
「勿論です。流石は、新世界でも通用するレベルの人でした。私達と違い肉体の内部にまで覇気を巡らせていました。私や兄様と比較しても密度は、数倍だったと思います」
六式の鉄塊と覇気を組み合わせたような方法を思いつく兄妹。やはり、六式と覇気というのは相性が良い組み合わせだ。どのような方法で用いても応用ができる。
・・・
・・
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退院の際に、スモーカー大佐が二人の元を訪ねる。彼の口から、取り逃がした者達を追うためスモーカー大佐自身が
「そうですか。向こうで会ったら、またよろしくお願いしますね。沢山の首を換金にいきますので」
「首は、こまめに持ってこい。向こうの賞金額はこっちとは比較にならねぇ。多すぎると手続きが面倒になるぞ」
支払う側としても、金の問題もある。潤沢な資金がある海軍本部ならまだしも、違う場所なら限界もあった。支払う側にも配慮しろというありがたいお言葉だった。
「スモーカー大佐。兄様の指示でバギーやアルビダの海賊船は、潰しておいたのですが彼らはどうやって逃げたのですか?」
「お前達が換金に持ってきた、文字通り汚い海賊船で逃げて行った」
男達の体液、尻に死傷を負った海賊の死体などが満載された悪臭漂う海賊船で出港した者達は、
「スモーカー大佐。綺麗な海賊船があるみたいじゃないですか。訂正してください」
「そうだな、すごく汚い海賊船で逃げて行った。これでいいか」
ソラとホタルは、自分達の船に戻り
アラバスタ編・・・どこから参入しようかしら。
ビビさんって美人だから結構好きなんだよね。