ソラとホタル・・・彼等が天竜人になった事は、まず船員達に報告された。長年付き添ってきてくれた者達からは、戸惑いながらも受け入れてくれた。秘密にされていた事に対しては、多少思うところもあったのだろうが今までの行動が功をなしていた。
しかし、そうなるとビビは双子の天竜人を情婦の様に扱っている事になる。立場的にビビが知らないはずもないと全員確信しており、性癖以外は完ぺきな女性だな~とある意味尊敬される。絶対にまねできないと。
性癖以外完璧な女性であるビビの行動は、早かった。
「ソラ、ホタル。今から結婚式を挙げるわよ。世界に貴方達二人が私の王配だという事を知らしめるの!! 拒否権はないわよ。これは、国を揺るがす大事態なの」
「それには私も賛成だ。ソラ君、ホタル君。君たちの立場を考えて、他の天竜人達もすぐに唾を付けに来るだろう。人を悪く言う気はないが、天竜人の中でも君達は容姿が整いすぎている。血が狙われるのは間違いない」
コブラ国王も賛成する。何より、運よくこの場には沢山の王族もいるし、軍事同盟の世話になっている天竜人達もいる。この状況でソラとホタルの結婚を祝わなければ、明日の飯の量にも関わってくる。
これ以上ないタイミングでの挙式だ。
別に、ソラも否定はしない。既に子供がいるのだから責任を取るべきだ。だが、ソラはビビに一つだけ苦情をいう。
「ビビ、気持ちは分かりました。ですが、その手に持っているウエディングドレスはサイズ的に誰のですか?あの~ですね、そういうのは夜だけにしてください。後で着てあげますから」
「えぇ、勿論そのつもりよ。だから、本物を仕立てておくんじゃない。ちゃんと、男物も用意させているから安心して。ちなみに、ホタルには男物も用意しているわ。きっと似合うわよ・・・どちらもいけるって、やっぱりいいわよね」
ソラは、義父であるコブラ国王を見た。一体、どんな教育をすればこんな娘に育つのだろうか。ビビは横で泣き崩れる父親が居ないかの如く、ウエディングドレスをソラに着せようとした。
ビビが計画している結婚式の予定表を確認する。緻密なスケジュールが組まれており、流石は完璧な女だ。だが、そのスケジュールをみてソラは疑問に思う。
「ビビ・・・私とビビ、ホタルとビビの結婚式を午前、午後の二回に分けて一気に行うとか正気ですか?」
「えぇ、正気よ。一日に纏めた方が色々と楽なのよ。大丈夫よ、モルガンズも協力を取り付けたから当日のカメラマンとしてこき使うわ。あぁ、もしかして神父役が不安だったのかしら。大丈夫よ、
ソラの心配はそこではない。ソラとビビの結婚式に関しては、男と女の組み合わせならばノーマルだろう。だが、同日に女と女の組み合わせの結婚式を決行する。昨今、世間が多様性を求める事に対して何もアラバスタ王家が率先して実践する必要はあるのだろうか。
「えっ!? ピーター聖が神父やるの? よく取り付けましたね・・・仮にもあの人は五老星の一人ですよ」
「開催場所が聖地マリージョアです。高い権威がある天竜人をお呼びしないと面倒じゃありませんか。それに、彼方の要望を断るなんて事は、現状が続いている限りできませんよ。復旧まで一か月以上かかりそうですし、それまで色々な物資は、私達の能力で提供しているんです」
結婚式は豪華な晩餐も用意されるとの事で、天竜人達も食事目当てで多数参加が決まっていた。また、知名度が低いネロナ・ソラ聖とネロナ・ホタル宮のお披露目でもある。そこでピーター聖が後見役という事も示す事も出来る為、決して悪い話でもなかった。
その結婚式の為、一番酷使されているのがブルーノだった。
地上と聖地マリージョアを行き来して物資を運搬させられている。キノコ食に飽きてきた各国の王族達も喜んで祝福する・・・当然、お目当ては豪華な食事だ。
「ビビ、コブラ国王・・・ブルーノさんに誰か良い人を紹介してあげてください。それと、給与面や休暇に関しても全力で。あれほどの能力者は二度と出会えないレベルですよ」
「分かった。早急に用意しよう・・・ソラ君、ホタル君。
亡国のお姫様とかが用意できる時点でアラバスタ王家の権力の高さがうかがえる。そんな簡単にお姫様を用意できる日には、誰とは言わないが性癖以外完璧な女性の餌食にならないか不安でいっぱいだ。
「ルッチ達にも確認を取りますので、お待ちください。まぁ、年齢的に腰を落ち着けて欲しいので、全員Goサインを出すとは思っていますが・・・」
コブラ国王を善良な統治者だが、やる事はしっかりやる男だ。だからこそ、善政をしけるとも言える。一度狙われたら逃げる事は簡単ではなかった。元・CP9の誰も世界政府に戻らずアラバスタ所属になっている。
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聖地マリージョアのパンゲア城が、ビビの結婚式の為に解放された。普段は飯にうるさい天竜人達も、流石に五老星達が勢ぞろいする場では大人しい。五老星達の目的も食事だ。いい加減、キノコ以外の物を食べたいと思っており良い機会だった。五人しかいないのに、なぜか人数分以上の食事が要望され、どこぞに運ばれていた。
美しいウエディングドレスに身を包むビビ・・・バージンロードをコブラ国王と一緒に歩く姿は実に絵になっていた。コブラ国王が泣きすぎて顔がすごい事になっている。
ピーター聖が誓いの言葉を言う。
「この先どんなことがあってもこの人を愛し、尊敬し、慰め、助け、生涯を通してその誓約を守ることを誓いますか?」
ソラは気が付いてしまった。この誓いをビビは数時間後に破るんだなと。午後にあるホタルとの結婚式がある為、それまでの時間なんだと。王家が神に誓った事を破るRTAがあれば世界記録だろう。
ネロナ・ソラ聖とネフェルタリ・ビビの結婚式が執り行われた。
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そして、午後になる。長時間の結婚式となっていたので、これから何が行われるか知らない者も多かった。だが、再び教会に連れてこられた参列者は、目を疑う事になる。正直、今目の前で何が行われているか正しく理解できる者は少ないだろう。
ネフェルタリ・ビビ王女が男装している。更に、バージンロードにはネロナ・ホタル宮がウエディングドレスを着ており、父親の代わりに午前の新郎ネロナ・ソラ聖が妹の晴れ姿に涙を流していた。
その光景に参加者の心情を代弁したのがチャルロス聖だった。
「わちしは、今、性癖以外完璧な女の恐ろしさをほんのちょっぴりだが体験しただェ。
い…いや…体験したというよりはまったく理解を超えていたェ……。
あ…ありのまま、今、起こった事を話すェ!
午前中に天竜人と結婚したはずの新婦が新郎として立っているだぇ…。
な…何を言ってるのかわからないと思うがわちしも何をされたのかわからなかったェ…。
妹をNTRされた新郎が哀れ過ぎて、頭がどうにかなりそうだったェ…。
催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ、断じてないェ…。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったェ…」
だが、式はそのまま進行する。ピーター聖も事前に聞かされていたが、正気なのかと聞くレベルだった。当然、天竜人達でもここまでおかしい結婚式はなかった。
ピーター聖が苦笑をこらえつつ、誓いの言葉を言う。午前中に愛を誓った相手の妹と午後に結婚するとか、どうかしているだろう。前代未聞もいいところだ。
「この先どんなことがあってもこの人を愛し、尊敬し、慰め、助け、生涯を通してその誓約を守ることを誓いますか?」
ビビは、一瞬席に座っているケイミーに視線を送った。そして、そして見せつけるようにホタルの唇に舌をねじり込み濃厚なキスシーンを見せつけた。
パシャパシャとモルガンズがカメラが壊れる勢いでシャッターを切りまくる。明日の世界経済新聞のネタは既に決まった。ここ最近、大災害で暗いニュースばかりだったので、ビビが天竜人の双子をNTRするという記事で世界を明るくする。
その日からビビへの求婚の申し込みがパタリと止まる。また、同時にソラとホタルに縁談を組もうとしていた天竜人達への抑止力となった。後見人が誰なのか、また誰の物なのかが明確になる事で、よほどの馬鹿でもない限り近づかない。
その翌朝・・・ソラとホタルのウエディングドレスがクリーニングに出される事になる。真っ白なウエディングドレスに黄ばみがある事を指摘できる業者はいなかった。
そして、性の多様性に理解があるアラバスタを第二の女ヶ島と勘違いした者達が集まり始める。
さて、海賊島ハチノス編の予定。王下七武海と一緒に滅んで欲しいわ。
カイドウは、ルフィ達に任せれば何とかなるでしょ。
この世界では、ビッグ・マム海賊団は既に処分されているし。