お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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94:女ヶ島

 直径5kmを吹き飛ばす爆弾が女ヶ島で弾けた。離れた場所にいるソラ達の所にまで余波が届く。海が荒れ狂う最中、爆心地となった女ヶ島では、地上部分の大半が消し飛んでいた。一部山が半壊しているが、まだ原形が残っている。

 

 しかし、ソラ達を迎撃する為に島の外側に居た者達は、衝撃で吹き飛ばされて海の藻屑。女ヶ島の周辺には、しらほし姫に従う獰猛な海王類や肉食魚達が集まっており、海中は決して安全ではない。海に逃げて助かるなど、甘い希望など存在しない。

 

 しかし、海の猛者である海王類を連れてきたのには別の理由がある。女ヶ島と縁が深い男が近くに居るからだ。その男はシャボンディ諸島から泳いで女ヶ島まで来て、海王類ですら難なく倒す。能力者であれば道中で沈めるのだが、そうもいかなかった。

 

「だが、レイリーは絶対にたどり着けない。化け物級の男であってもイーロンとケイミーに加え、海王類達が海流を操って島から全力で遠ざけている。水中で魚人や人魚に勝てるやつなど存在しない。万が一、たどり着けたとしても本来の10倍以上の時間と体力を消費する計算だ」

 

「兄様。想定通りでしたが、この一発でアマゾン・リリーの全滅はやはり難しいようです。ペルに二発目を投下させます」

 

 地形を変える程の威力がある爆弾。それを何回も投下する事で人が住めない環境にする。あと数回同じ事を繰り返せば、島ごと消えてなくなる。島が海に沈む事になればハンコックは生きられない。

 

 相手が正しく状況を理解する前に、波状攻撃。

 

 ホタルの指示で上空で待機していたペルが二個目の爆弾を投下した。上空からの攻撃など普通考えられない。海上からの攻撃なら鍛えられたアマゾン・リリーの覇気使いなら視認できた。だが、想定しない攻撃には対処が難しいものだ。

 

 ペルが投下した爆弾は、正確に同じ場所を狙う。これで、島の地盤を砕き沈める・・・予定だったが、後少しの所で迎撃され上空で大爆発した。

 

 ソラの眼には、遠すぎて何が起こったか確認できなかった。だが、動物系(ゾオン)の視力は伊達じゃない。ルッチの目がその様子をしっかりと補足した。

 

「ハンコックが地上から飛び上がり蹴り飛ばした。島は、無事だが・・・本人は、かなり近くで爆発を受けたな。無傷ではあるまい。上陸して殲滅するなら今だぞ」

 

「こちらの爆弾の数もわからないのに、よくやる。だが、その対処方法は正しい。ハンコックの判断が無ければ、二度目の爆発でほぼ殺し切れたんだがね。じゃあ、乗り込むか・・・と言うとでも思うか、ルッチ。ホタルの能力があっても万が一があってはダメだ。石化した仲間を取引材料にされては、困るんですよ。逃げ場のない島をそこまで守りたいなら、頑張ってもらおうじゃありませんか」

 

 ソラは、ビビに視線を送る。

 

 そこには、翼が生えたキノコ兵が待機していた。パンクハザードの一件でカビは更に進化を遂げている。ここまで早く成長したのは、”麦わらの一味”の狙撃手がカビに対して様々な弾を打ち込んでくれたおかげだ。

 

 キノコ兵には、濃い緑のカビ…”グリーン・ディ”が表面に付着している。上陸と同時にビビがカビを島全体に広げて死の国を作り上げる。領土侵食を目的に進化を遂げた新しい力だ。単体の力はアーロン並に強くなっており、一人軍隊といっても差し支えない。

 

 だが、それほどまでに強力になったキノコ兵だが、まだ強くなれる余地はある。最終目標は、今は亡きシャーロット・クラッカーのビスケット兵。

 

「ソラ。このタイプのキノコは100体くらいがまだ(・・)限界ですよ。やっぱり、乗り込んで腐界降臨で陣地確保した方がいいんじゃないかしら。数の有利で攻めれば、負ける気がしないわよ」

 

「そりゃ、負けないでしょう。負ける要素もないですからね・・・殺すだけなら容易いです。何度も言いますが、被害者が出れば事実上引き分けに持ち込まれます。それが嫌なんですよ。相手の強さに関係なく、ジャイアントキリングできる能力者は大嫌いなんです」

 

 その発言に、男達はお前が言うなと思った。ワンピースを奪われた時点で勝機が失われるソラの能力も大概だ。”チ〇霊箱”によるダメージ押し付けなどで、実質不死も体現している。

 

「それもそうね。それじゃあ、手早く終わらしましょう」

 

 空飛ぶキノコ兵が”グリーン・ディ”を携えて、女ヶ島に飛び立った。

 

 

◆◇◆◇

 

 ”女帝”ボア・ハンコックは、折れた右足を引きずりながら立ち上がり周囲を確認した。島の原型は残っているが、あったはずの家屋など何処にも残っていない。

 

「誰か、誰か無事な者はおらぬのか。・・・海軍にしては、強引すぎる。海賊ならば、ここまではやらない。あいつらは何者だ。わらわの島にここまで手を出して生かして返すものか」

 

 数刻前にソラからの最後通達を受け取った”女帝”ボア・ハンコック。だが、ソラ達は最後通達はしたが、どこの誰だか名乗っていない。本当に最低限の義務を果たしただけだ。

 

 ここまでの事態になるとは、彼女の想像より相当悪い。海軍なら拿捕が前提だ。上陸戦ならメロメロの実で戦いようはいくらでもある。海賊ならば、略奪目的だ。財宝も女もいるので、実に海賊好みの場所だ。

 

 海賊だからこそ、ソラ達の攻撃の目的が何なのか理解できなかった。

 

「あ、ハンコック姉さま。そこに居るのですか、ハンコック姉さま」

 

「その声はソニアか!?」

 

 ハンコックは、妹であるソニアの姿をみて絶句した。木材が彼女の腹に刺さっており、どう見ても致命傷だった。一撃目の爆心地近くにいて生きているだけでも不思議な彼女だが、強運に恵まれていた。

 

「姉さま、だけでも逃げて!! この爆弾、頂上戦争で見ました。彼等は、アラバスタの軍事同盟です」

 

「つまり、わらわに戦争を仕掛けてきたのはアラバスタの王女ネフェルタリ・ビビという事か。ルフィの元・仲間だと聞いていたが・・・殺すしかあるまい」

 

 海賊達にとって、軍事同盟の評判は毎日嫌と言う程聞いている。彼らが台頭してきたから、海賊達には生きにくい時代になった。皆殺しが前提で、徹底した対海賊戦法取ってくる。極めて強力な能力者でもない限り、物量戦で攻め潰してくる。

 

 ビビの翼が生えたキノコ兵が生存者を確認してその地に降り立つ。着地した場所から”グリーン・ディ”による侵食が始まった。汚染領域を拡大して、僅かに生き残っているアマゾン・リリーの戦士たちを死に追いやっていく。

 

 ハンコックの耳には、彼女たちの悲鳴と苦痛の叫びが確かに聞こえた。

 

「なめられたものだな。この程度の雑兵でわらわを倒せると思っているのか」

 

『思ってませんよ。だから、こうするんです』

 

 キノコ兵を通じて、ビビの肉声がその場に届く。翼が生えたキノコ兵が徐々に集まり、総数80体を超えた。キノコ兵達の手には、海楼石で作られた手錠や盾など様々な武器が用意されている。天竜人の権力があれば、海楼石で作られた物を集めるなど造作もない。

 

 集団戦闘に特化したキノコ兵、海楼石の装備、殺人カビ”グリーン・ディ”・・・そして、ペルが爆弾を補給して再度大空へと羽ばたいていた。

 




翼の生えたキノコ兵・・・量産型EVAみたいな可愛い子たちです。
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