軍事同盟が大軍を率いて新世界に入ったというニュースは、世界経済新聞を通じてバラまかれた。
『海賊狩りの王女』の評判は、海賊達にとって死神にも等しいと悪名高い。出会ったが最後、生き残った者は誰もいないと言われている。実際、直近でいえば元・王下七武海”女帝”ハンコック、”冥王”レイリーがこの世を去った。
つまり、最低限死んだ者より強い実力者が居ないと手も足も出ないで殺される。バギーは、四皇の中でも実力は最弱。他より優れている事は、その規模のみ。新世界で生き残る為、四皇の庇護を求める者達を受け入れまくった結果・・・図体だけデカい組織になってしまった。
だが、手に職を持つ者達も多い為、海賊派遣業は大繁盛している。その最大の顧客は、新世界に居る反政府組織達だ。”炎帝”サボの活躍で世界各地で革命の下地が整い始めた。だが、革命とは簡単にはできない。戦う力を付ける事や武器の手入れ、調達など後ろ暗い事を学ぶ必要があり・・・海賊達は、各地に呼ばれている。この業界では、バギーの一人勝ち状態だ。
バギーの部下の一人が、最新の世界経済新聞を彼の元に持ってきた。
「バギー船長!! 軍事同盟の標的が判明しました!!」
「なんだと!! すぐに寄こせ・・・え~、何々。革命軍と裏で繋がりがある四皇”千両道化”のバギーを討伐する為、ソラ聖とホタル宮が率いる軍事同盟が新世界へ乗り込む。嘗てローグタウンで革命軍総司令官に邪魔されてその首が取れなかったが、次こそは絶対に殺すと意気込んでいる。何言ってんだ、俺とこいつ等に何の関係もね~だろ!? あったとしても完全に逆恨みだろう」
バギーの評価がまたうなぎ登りになる。彼の華々しい経歴も世界経済新聞に載っていた。
(01)ロジャー海賊団の元・船員
(02)四皇”赤髪のシャンクス”と旧知の仲
(03)”火拳のエース”と船で酒を飲みあう仲
(04)”火拳のエース”を救うため、単身でインペルダウンに乗り込む
(05)インペルダウンの大脱獄の主犯格
(06)囚人たちを連れて頂上戦争に乗り込む
(07)頂上戦争で元・四皇”白ひげ”相手に啖呵を切り認められる
(08)頂上戦争で海軍の不都合を暴露する
(09)王下七武海に就任し、海賊派遣業を確立する
(10)二度目の頂上戦争でビッグ・マム海賊団に決定打を与える
(11)ビッグ・マムの後釜として四皇となり、新世界に君臨する
(12)革命軍総司令に縁があり、軍事同盟の天竜人の双子から逃げ切った実績あり
など、目立った成果だけでこれだ。四皇にふさわしい成果だ。5万人を超える部下も抱えているにもかかわらず統率が取れており、下手な海賊より紳士的だと評判も高い。カリスマがなせる業だと、雇用主達からも高い評価を得ていた。
「すげーーや、バギー船長!! 革命軍だけでなく、天竜人もバギー船長の手にかかれば、楽勝じゃねーか!!」
「お、おうよ!! 俺様にかかれば、革命軍総司令だろうと、天竜人だろうと大した事ねーよ・・・それと、以前から計画していたアレの状況はどうなってる?」
バギーの元には、裏社会たちの出資が沢山集まっている。そして、スポンサーからのオーダーに答えるのが経営者の仕事。しかし、スポンサーからのオーダーを実行するのは諸刃の剣だ。海賊の安全は高まるかもしれないが、その実行役となるバギーの危険は高まる。
「既に指示通り完成して、世界の海賊にバラまきました!! バギー船長ならきっと賛成してくれると思って、特別手配犯も追加しました」
「特別手配?海軍の首に懸賞金をかける以外に俺は何も指示してねーぞ。一体、誰の首に懸賞金をかけたんだ。金だって無限にあるわけじゃねーーんだぞ」
特別手配書には、今話題の人物が揃っていた。
ネフェルタリ・ビビ王女・・・
天竜人ネロナ・ソラ・・・
天竜人ネロナ・ホタル・・・
その手配書を見たバギーは、部下の馬鹿さ加減に嫌気がさした。一国の王女と天竜人に懸賞金をかけるとか、頭に蛆でも沸いているのかと。勿論、バギー自身も気持ちは理解できる。あれほどまでに海賊を殺しまくっている連中だ。海賊側としては、大金を支払ってでも殺したいのは納得だ。
「以前に、バギー船長も言っていたでしょ。天竜人なんていつか俺がぶっ殺してやるって」
「いや、酒に酔ってだな~。それに、時期を考えろよ!! 海軍と軍事同盟相手に同じタイミングで喧嘩を売ってどうするんだよ!! ・・・いや、待てよ。だが、結果的に有りだ。今あいつらは、俺様を狙っている。航海中に身内からグサリという展開も期待できるな!?」
バギーは念には念を入れて守りを固め、巡回させる海賊船を増やした。四皇バギーの勢力が集まるカライ・バリ島は、鉄壁の守りとなる。
◆◇◆◇
ビビの手元には、航海中に遭遇した海賊達から入手した手配書がある。海賊側が海軍の首に懸賞金を付け始めた。相手の戦力を削ぐには有効な方法だ。だが、そんな中、ビビが見つけたのが特別手配書という物だ。
「私、ソラ、ホタルの三人が特別手配書に載ってるわよ。へぇ~、へぇ~。そういう事をするんですね、四皇バギー。楽には死ねませんよ、彼。でも、運がいいわね。彼を潰すのは、まだ先なんですから」
「妥当な手段ですね。私が逆の立場なら同じ事をします。金で解決できるなら、誰かに殺してもらおうってやつですよ。しかも、私やホタルの手配書は、目立つように天竜人と書いています。民間人には恨んでいる人も多いでしょうから・・・背中に気を付けないといけません」
「ビビも兄様もですが・・・随分と端金をつけられましたね。私達全員合わせてもビビが稼いだ賞金額以下ですよ。そもそも、
万が一にも、暗殺に成功したとして・・・暗殺者は、どうやって生きてバギーの元にたどり着くかという問題もある。この三人のうち誰かが万が一死んだとして、犯人が生存できる可能性は極めて0に近い。
四皇カイドウが三人くらいくれば話は別だろうが・・・あんな化け物はこの世に何人も存在しない。
「私やソラは死ににくいですが・・・ホタルは別です。う~~ん、やっぱり無理ですね。ホタルの見聞色を突破できる人って、居ないんじゃないかしら。能力と相まって、間合いに近づける人は殆どいません」
「ビビ。世の中、無敵は存在しません。能力者である以上、殺せるんですよ。特に、我々は今まさに死地である海上に居るんです。落ちれば最後なんです。油断していると足元掬われますよ」
ソラに注意されて、ビビは改めて自覚する。
ハチノスまで後二日の距離まで来た軍事同盟は、気合を入れなおす。世界経済新聞を使った情報操作がいつまでも通用するかは不明だが、同じ手は二度と通用する事はない。失敗は許されない。
入手した黒ひげ海賊団の情報も頭に全員が叩き込んだ。
「ねぇ、ソラ。このドクQって、能力者がいるじゃない」
「ダメです、ビビ。何を考えているか当ててみましょうか?”女になる病”・・・」
ビビがどうしてわかったという顔をしていた。その顔に、何年付き合っていると思っているのだろうかとソラは呆れている。今までの行動を考えれば誰だって答えに行きつく。
ホタルも流石に呆れてしまう
「ねぇ、ビビ。兄様が女になったら実質私と同じになるだけじゃないかしら?」
「それもそうね!! ドクQが死ねばどこかで悪魔の実がリポップするから手に入れればいいわ。楽しみが少し先に延びるだけね」
ソラはこの時、天竜人の権力をフル活用してでもシクシクの実を葬ろうと考えた。しかし、自分たちが育てた王女が最強だという事をソラは知る事になる。彼女は、ヤるといったら文字通りヤる女だ。
年末で忙しく投稿スピードが落ちています。
ごめんなさい。
あと、ちょっとで100話!!