UND第十三番艦隊司令のアッチコッチ・ドッチソッチと申します   作:スカウトマニア

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お初にお目にかかります。カンパニー・コズミック・イラ支社長のアッチコッチ・ドッチソッチと申します

 私ことUND第十三番艦隊司令アッチコッチ・ドッチソッチが、本社からの命令でコズミック・イラ地球への赴任が決まってから、ポスト・ディザスター地球を出立する準備は順調に進みました。

 治安維持組織ギャラルホルンは指導者層であるセブンスターズの内、新進気鋭のマクギリス・ファリドやアリアンロッド艦隊を統べるラスタル・エリオンが、あまりの情勢の悪さから手を組み、組織の引き締めと膿み出しに奔走しています。

 

 地球上の四大勢力は鉄華団と火星独立政府に繋がりのあるアーブラウについて、我々も協力的な方針としていますので戦力的にはやや優勢といったところ。

 四大勢力が治安維持をギャラルホルンに完全に委託するのではなく、独自に保有する流れがPD地球に広まっており、武力行使も厭わないスペースコロニー群の独立運動も相まって、地球圏は火種ばかり。

 その一方で現地勢力の中でギャラルホルンがそれでも頭一つ抜けているのは変わりませんが、それぞれの勢力に戦力が分散されていますから、艦隊の半数も残しておけば火星と我々と協力関係にある組織を守るのには十分です。

 

 捕縛した宇宙海賊を始めとした連中の我が社への転職とそれに伴う特別研修も、私がいなくても問題なく進んでいます。いざとなったら銀河間移動用のワープゲートもありますし、安心して別銀河にあるCE地球へ行けるというものです。

 そうして私は協力企業である鉄華団と共に艦隊の約半数を率いて、CE地球へと赴いたのでした。

 

 鉄華団の保有する強襲装甲艦イサリビにワープブースターを追加し、ワープ可能なように改修した後、私達は何度かのワープと中継基地の設営を行いながら、CE地球の存在する太陽系へと到達しました。

 既に異星人の部隊が動き出す前兆が確認され、また現地勢力である地球連合とプラント、その他の国々でもきな臭い動きが見受けられます。

 ヤキン・ドゥーエ戦役という地球連合・プラント間における大戦争が起きて、まだ二年前後ですが、CE地球の人々は既に新たな戦争に向けて、闘志を燃やしているようです。

 

 私達は火星と木星の間に広がるアステロイドベルトにある小惑星を改造し、仮の拠点としてCE地球に営業をかける準備を進めています。

 主にこのCE地球で目を向けるべき勢力は遺伝子調整した人類コーディネイターの国家プラント、地球の三大勢力の大西洋連邦、東アジア共和国、ユーラシア連邦、伏魔殿のようなオーブ首長国連邦、それに日本国ですね。

 

 とりわけこの日本国と言うのは他国と毛色が異なります。

 一時期は東アジア共和国に併合される危機に陥りながらも、その後、ドクターヘル率いる機械獣軍団を始め、神出鬼没鬼と彼らの操る鬼獣、女王ヒミカ率いる邪魔大王国から集中的に狙われ、それに対抗するスーパーロボットが存在しているのです。

 通常兵器やMSでも抵抗の難しい強力な戦力を持つこれらの侵略勢力の相手を、日本国がなぜか一手に引き受ける羽目に陥っており、他国は日本国に手を出さない代わりに任せている状態なのです。

 

 アステロイドベルトで鉄華団の皆さんに新西暦地球で手に入れたアーマードモジュールという機動兵器のリオンシリーズやパーソナルトルーパーのゲシュペンスト、黎明地球で手に入れたMSのテストをしてもらい、データ集めも忘れません。

 PD地球では機体とパイロットを接続する阿頼耶識システムがありますが、三日月君を始め鉄華団の皆さんに施されていた粗悪な手術を、我らUND最新の技術で再手術を施した結果、MSの操縦に掛かる負担は改善されて、機体操作もはるかにクリアかつ繊細に行われています。

 

 阿頼耶識ありの機体なら肉体の一部同然に扱える彼らも、阿頼耶識非対応の機体となると一から操縦方法を学ばなければなりません。

 彼らには既に戦い慣れたベテランとはいえ、PD地球人類の機動兵器への適性や戦闘能力を測るテスターをお願いしているわけです。

 今のところ、どの銀河においても地球人類が有数の戦闘種族であるのは、間違いなさそうです。

 

「ふーむ、まずは地球連合構成国がやはり売り込みやすい相手ですね」

 

 私はこのCE地球でもカンパニーと胡散臭い名前の企業を立ち上げて、コズミック・イラ支社長として表向き行動する予定です。

 基地でこの地球の情勢と機動兵器の開発速度のレポートに改めて目を通しながら、どれだけ人材を確保できるか、どれだけ有用な技術の接収が出来るか期待に胸を膨らませていました。

 

 そんな私に火急の知らせが届き、その内容にやっぱりここも地球だと思ったのは内緒です。急遽、艦隊の実働部隊と鉄華団の皆さんに声を掛けて、出撃の準備を進めます。

 鉄華団のイサリビに加え、急遽、艦隊を編成して大慌てで出撃です。出港準備の為、それぞれの艦のモニターで顔を突き合わせながら、直前のブリーフィングを行います。

 

「慌ただしい出撃になってしまって、申し訳ありませんね、オルガ君。特別報酬を用意させてもらっていますから、どうぞご容赦を」

 

『契約した仕事の内ですから文句はありませんが、いったい何が起きたんです? この基地に攻め込んでくる相手がいるってわけじゃなさそうですが』

 

「ええ、今回は防衛戦ではありません。こちらをご覧ください」

 

 そうして私は地球圏各地に放っている偵察機が寄こしてきた映像を、イサリビと共有します。今もリアルタイムで事態は進んでおり、我々がワープ技術を持っていなかったら、もっと深刻な事態となっていたでしょう。

 

『こいつは、確かこっちのコロニー? 壊れたプラントが、まさか地球に落ちている?』

 

 オルガ君の発言にイサリビのブリッジに居た三日月君やビスケット君、ユージン君など、鉄華団の主だった面々も驚きを隠せません。

 向こうの地球ではこういう行為はありませんでしたからね。彼らにとっては驚天動地の出来事でしょう。

 

「ええ、それも事故などではなく人為的に引き起こされた事態です。ザフトの脱走兵がナチュラルへの報復として、破壊されたプラント、ユニウスセブンの半分を地球に落とそうとしているのですよ」

 

 落下を阻止する為に付近にいたザフトの部隊が動いているようですが、熟練の脱走兵を相手に苦戦しているようです。

 ましてや脱走兵は死を覚悟している上に、ユニウスセブンを砕くメテオブレイカーの設置作業をしながらでは、なおさらでしょう。

 

『このユニウスセブンが落ちたら、地球の人がたくさん死ぬのは分かるけど、司令がそれだけ大急ぎで動く必要はあるの?』

 

 聞きようによっては冷淡ともとれる三日月君の言葉ですが、本来、このCE地球とは関わりのないのが私達です。

 まだ介入もしていないこの段階なら、見てみぬふりも出来ますし、ユニウスセブンが落下して戦乱が巻き起こるのなら、その方が我々UNDには好都合な面があるのも否定できません。

 

「もちろんありますとも。将来、我が社の有望な社員となるかもしれない地球人類の数が大きく減るのは困りますし、この状況で我々が華々しく活躍すればその後のスカウトもしやすくなります。

 それに私、社内では穏健派で通っておりまして、縁もゆかりもない相手でもこれはちょっと見過ごすには後味の悪すぎる事態ですよ。それにユニウスセブンには、個人的に気になる方々も集まっているようですし」

 

 私は手元のモニターに映る、ユニウスセブンを目指して続々と集まる諸勢力と、おそらくプラントの最高戦力に近いミネルバ隊の映像を見ながら、三日月君の疑問に答えました。

 ああして質問してくれると、こちらの意図を説明できるから助かります。三日月君が気を遣ってくれましたかね?

 

「目的としては現地のザフト脱走兵の排除とザフト正規部隊の支援を行い、ユニウスセブンの落下を防ぐこと。最悪の場合、我々の手でユニウスセブンを破壊します。

 非常事態ですが、上手くやれば我々UNDならびに鉄華団の存在を、このCE地球に華々しくアピールできます。さあ、皆さん、お仕事の時間ですよ!」

 

 

 地球を眼下に臨む宙域で落下しつつあるユニウスセブンを舞台に、今回の事態を引き起こしたザフト脱走兵と、それを阻止せんとするザフトのジュール隊、ミネルバ隊が死闘を繰り広げていた。

 さらにそこにザフトの開発した新型MSを強奪した特殊部隊ファントムペインが加わり、三つの勢力が入り乱れる戦いに──なっていなかった。

 地球征服を目論む侵略者の一部が、やがて自分達のモノになる地球に傷を付けられては困ると、部隊を送り出してきたのである。

 

「ちくしょう、ユニウスセブンが地球に落ちるかどうかって時なのに、こいつら!!」

 

 ミネルバ隊に所属するシン・アスカはザフトの新型MSインパルスを借りながら、脱走兵のジン・ハイマニューバ2型(ジンHM2)と奪われたセカンドステージと呼ばれる機体、そして侵略者達の大型機を次々と相手していた。

 シン以外にもミネルバ隊のルナマリア、レイは新兵だが優秀な人材で、ジュール隊は前大戦を戦い抜いたベテランだ。脱走兵やファントムペインを相手にしても、そうそう引けは取らないが……

 

「アンタたちも地球に落として欲しいってわけ? ええい!」

 

 ルナマリアは換装システムによりガナーウィザードを装備したガナーザクウォーリアを操り、高エネルギー長射程ビーム砲のオルトロスを真正面から接近してきたボアザン星のボアザン円盤に撃ち込む。

 大型MAと言われても信じる巨大なボアザン円盤だが、幸いオルトロスの威力なら撃ち抜ける装甲だ。レイもザクウォーリアの上位機種ザクファントムにブレイズウィザードを装備し、機動力を活かして敵を攪乱している。

 

「まずいな。これではユニウスセブンを砕けないぞ」

 

 普段は冷静沈着なレイもユニウスセブンの地球落下という非常事態を前に、ヘルメットの中で冷や汗を流す。

 脱走兵だけならまだしもファントムペインにボアザンやキャンベル、ベガにガルファまでもが姿を見せ、四方八方がお互いに敵だらけという状況だ。四面楚歌どころではない。

 

 折あしくミネルバに同乗していたオーブ代表カガリ・ユラ・アスハの護衛アレックス・ディノが特例として、ザクウォーリアのパイロットとして参戦し、ジュール隊と見事な連携を見せてくれているが、それも焼け石に水。

 侵略者達も他の勢力が多すぎてユニウスセブンを落としたいのか、落下を阻止したいのか分からない混戦具合なのがまたひどい。

 せめて落下するにしても細かく砕かなければ、地上への被害は甚大なものとなるだろう。

 

 苦境に陥るザフトにも、それでも救いの手はあった。日本国のスーパーロボットと独自規格の機動兵器で構成された独立部隊『タイタンズ』が、ユニウスセブン落下阻止の為に、地球圏を突破して参戦したのだ。

 マジンガーZ、ゲッターロボ、コン・バトラーV、ボルテスV、ガイキング、電童、鋼鉄ジーグといったスーパーロボット軍団の参戦は、傾いていた戦況の天秤を大きく変える一手だ。

 

 そして、もう一つ。準備が終わり、アステロイドベルトからワープを用い、大急ぎで駆け付けたUNDと鉄華団もまたこのタイミングで駆け付けたのである。

 アッチコッチの乗艦であるアーピエス級に鉄華団のイサリビの他、各地球で手に入れたペレグリン、エンドラ、ラー・カイラム、ナデシコが無人艦隊として同行している。

 

 既にUNDの技術で改修された三日月のガンダム・バルバトスルプスレクス、ノルバ・シノの四代目流星号もといガンダム・フラウロス、昭弘・アルトランドのガンダム・グシオンリベイクフルシティがイサリビから出撃している。

 UND艦隊からもジェガンやリゼル、ドライセン、ズサ、バッタ、ジョウロ、リオン、バレリオン、ジガンスパーダ、ランドグリーズ、ガロイカ、レストレイルと言った多種多様な無人機が続々と姿を見せていた。

 

 よりにもよってのタイミングで姿を見せた正体不明の勢力を前に、ミネルバに乗っているプラント評議会議長のギルバート・デュランダルやカガリ、ファントムペインを率いるネオ・ロアノーク大佐が警戒の度合いを深める中、戦場に居る全ての者達にアーピエスから強制的に通信が繋げられる。

 強制的に繋げられた通信には品の良いグレーのスーツ風の衣服に身を包んだ、筋骨隆々たる身長三メートル近い灰色の肌の異星人アッチコッチ・ドッチソッチその人。

 

『ユニウスセブンを巡る戦場におられるすべての皆様、お初にお目にかかります。カンパニー・コズミック・イラ支社長のアッチコッチ・ドッチソッチと申します。どうぞお見知りおきを』

 

 新たな戦力の出現に誰もが緊張と警戒を深め、トリガーに掛ける指に力を込める中で、アッチコッチは慌てず騒がず話を続ける。

 

「なんなんだよ、また新しい異星人かよ!」

 

 状況をさらに混乱させるようなUNDの出現に、シンがフォースインパルスのコックピットで罵るのも無理のないことだ。

 

『皆様と親交を深める為に歓談に興じたいところではございますが、この非常事態ですからまたの機会といたしましょう。

 我々カンパニーはユニウスセブン落下阻止の為に、ザフトならびにタイタンズへ協力いたします。我々の目的は地球の征服でも破壊でもありませんので。

 また今回は不幸な出会いとなりましたが、キャンベル、ボアザン、ベガ、ゼーラ、ガルファの皆様に於かれましては、また機会を賜れれば幸いと存じます』

 

 それだけ言うとアッチコッチはビジネスマンのお手本のようにお辞儀して、通信を終えた。アッチコッチの通信と挨拶が終わるのに合わせ、UND無人機部隊を引き連れて鉄華団が果敢にユニウスセブンの戦場へとなだれ込んでゆく。

 イサリビを始め、艦隊は後方からの砲撃支援だ。いざという時には、更に遠方に控えているアーピエス艦隊による、惑星をも粉砕する一斉砲撃の出番となる。

 超巨大メイスを片手に持って突っ込むバルバトスルプスレクスのコックピットで、三日月はPD世界のMAよりなお異質で異形なマグマ獣やベガ獣その他諸々に、素直な感想を零していた。

 

「へえ、宇宙にはあんなのいるんだ。やることは変わらないけど」

 

 かつて戦ったMAハシュマルよりも大きなものから小さなものまで、三日月の戦歴を見返しても驚きを禁じ得ないデザインの敵ばかりだ。そのくせ、そのパワーやタフネス、武装の強力さはMS単体での対抗が難しいと分かる。

 グシオンリベイクフルシティの昭弘は、似たような感想を抱いたようで、こちらに向かって迫ってくるガルファ素体やボアザン円盤を前に、別の地球での初戦に対する緊張と闘志に筋肉を震わせていた。

 

「迂闊には近づけねえか。それに目的はこの壊れたコロニーの落下を防ぐことだしな」

 

 未知の敵を前にしても自分達の目的を忘れないあたり、まだ二十歳前後の若者ながら昭弘は歴戦の風格があった。

 シノのフラウロスを筆頭に無人機のランドグリーズやバレリオン、ズサ、ジガンスパーダ、ジャムル・フィン部隊も一斉に砲撃を始める。

 ここにきて急に量と質を伴った部隊の参戦に、侵略者側の勢いは目に見えて衰えて行く。

 なお悲しいかなUNDの平均的な兵士よりも、高度な戦闘用人工知能の制御する無人機の方が基本的には強力である。

 

 PDと状況は大いに違うが再び鉄華団のデビューとあり、オルガもまた自ら機体に乗り込んで前線に居た。

 イサリビをユージンに任せ、出撃したオルガは専用の白い獅電ではなく、有人仕様に改造されたMAハシュマルγに乗り、プルーマ製造ユニットと中枢制御ユニットを交換した量産型ハシュマルβを引き連れている。

 

「三日月、昭弘、俺らは落下を邪魔する奴らを叩くぞ。ザフトとタイタンズって連中には手出すな。いいな、野郎ども! こっちの地球でも鉄華団は舐めていい相手じゃねえって、教えてやるんだ!」

 

 そうして火星の王にはならなかったが、大切なものを取りこぼさなかったオルガは、人造の天使を引き連れて、地球に落ち行く墓標に群がる侵略者達へと襲い掛かるのだった。




補足
ハシュマルα=鉄血オリジナルのハシュマルのこと
ハシュマルβ=中枢制御ユニットを取り換え、プルーマ製造ユニットを取り外した無人機
ハシュマルγ=ハシュマルβを有人仕様に改造した機体。オルガが今回、搭乗

新西暦地球 = OGシリーズの地球
PD地球   = 鉄血のオルフェンズの地球
黎明地球  = スーパーロボット大戦Tの舞台となった地球
CE地球   = ガンダムSEEDをベースにしたスーパーロボット大戦化した地球
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